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Review:berghaus ハイパー140シェルジャケット より万能になった世界トップクラスの超軽量レインウェア

朝晩肌寒くなってくると、やはり何か羽織りたくなりますよね。特に天候が予測しずらい山に行くとなると、夏とは違い保温のことを考えないといけません。そんな時は気軽にウィンドシェルでも羽織ればいいか。思うのですが、ふと雨の心配をしだすと、やっぱりレインジャケットかも…でも重いし嵩張るし…と、煮え切らないこともしばしば。

berghausのハイパー100シェルジャケットは、ウィンドシェル並みの100gを切る圧倒的な軽量性を誇るレインジャケットで、ウィンドシェル・レインジャケット両方の良さを抽出したようなジャケットでした。その後継モデルであるハイパー140シェルジャケットを前作との比較も踏まえてレビューしました。トレイルランナー・ファストパッカーのわがままに答えるジャケットが、どのように変化したのかご覧ください。

ハイパー140シェルジャケットの大まかな特徴

ハイパー140シェルジャケットは、ISPO金賞など様々な賞の受賞歴のあるハイパー100シェルジャケットに改良を加えた軽量防水シェルジャケットです。名前の通り、ハイパー100シェルジャケットが100gほどの重量であったように、ハイパー140シェルジャケットも約140gほどと軽量です。確かに重量に前回ほどのインパクトはありませんが、より動きやすい裁断パターン、ベンチレーション兼用ハンドポケット、止水ファスナーの採用など、無駄に重量が増加したわけでなく、より使い勝手を向上させたています。

おすすめポイント

  • ストレッチに頼らない機動性
  • 軽量・携帯性

気になるポイント

  • 生地の薄さによる耐久性の低さ
  • 使いどきを迷う

主なスペックと評価

総合評価★★★★☆★★★☆☆
項目ハイパー140シェルジャケットハイパー100シェルジャケット
快適性★★★★☆★★★★☆
透湿性★★★☆☆★★★☆☆
機能性★★★☆☆★★☆☆☆
機動性★★★★★★★★★☆
重量★★★★☆★★★★★
スペック
公式重量138g(Mサイズ)97g(Mサイズ)
実測重量150g(Mサイズ)+8g(収納袋)93g(Mサイズ)+7g(収納袋)
素材3-layer Hydroshell®Elite Pro(40g/m²)3-layer Hydroshell®Elite Pro(47g/m²)
性能耐水圧20,000mm
透湿性60,000g/m²/24h
耐水圧20,000mm
透湿性50,000g/m²/24h
ポケットハンドポケット×2左内側

アイテム外観

詳細レビュー+ハイパー100シェルジャケットとの比較

ハイパー140シェルジャケット(以降ハイパー140)の生地には3レイヤーのHydroshell®Elite Pro(40g/m²)、ハイパー100シェルジャケット(以降ハイパー100)には、3レイヤーのHydroshell®Elite Pro(47g/m²)が使用されています。ハイパー140は若干生地の比重が軽くなっているようですが、生地の表・裏を触り比べてみても、触覚に違いはみられませんでした。

左)ハイパー140、右)ハイパー100。左のほうがやや粗めだが、触感に大差はありません。

ハイパー140の生地は軽量化されていますが、実際の重量は150g(収納袋8g)と、ハイパー100と比べ60g弱増加しています。その理由として、裁断パターンの変更、ポケットの追加、ファスナーの変更、耐久性の向上などが挙げられます。

左)ハイパー140、右)ハイパー100。丸めると、容積と重量に差があることがわかります。ハイパー140は本体150g+収納袋8gで158g、ハイパー100は本体93g+収納袋7gで100gでした。

ます、裁断パターンが変更され、より体のフォルムに沿った裁断パターンとなり、縫い目が多くなっています。特に腕・肩周りとフード(特に首)周りの裁断がより多くなって、よりフィット感、機動性の向上を図っています。

左)ハイパー140、右)ハイパー100。ハイパー140の方は脇にマチがあり、機動性が向上している。

裏のシームテープの処理は変わりはなく丁寧ではありますが、相変わらず薄い樹脂テープのため、耐久性は低そうです。

左)ハイパー140、右)ハイパー100。シープテープの仕上げはほとんど変わりません。

ハイパー100に外部ポケットはなく、左側にジッパー式の内ポケットがあります。洗濯表示がこんなところにプリントされていて、涙ぐましい軽量化への努力が垣間見れます。

ハイパ−100唯一のポケット。重量を軽くするために、タグを排除して生地自体時洗濯表示をプリント。

一方ハイパー140は、両腰にハンドポケットを装備。しかも止水ジップ仕様でポケットに入れたものをドライな状態にキープしてくれます。そして、ポケットはメッシュ仕様なので、ジップを開けておけばベンチレーションにもなり、より透湿性に力を入れています。

ハイパー140ポケット。ジッパーは止水仕様。ポケット本体はメッシュ仕様で、ジッパーを開けておけばベンチレーションとしても活用できます。

フロントファスナーは通常のジッパーから、YKKの止水ジッパーAquaGuard Vislonに変更されています。ハイパー100は止水ジッパーではないものの、ジッパー裏にフラップを配置し、ほとんど浸水の心配はありませんでしたが、ハイパー140はこの止水ジッパーに加え、より厚く丈夫なフラップがあるので、フロントからの浸水の心配はほとんどないでしょう。しかし、ジッパーの開閉のしにくさは変わらずです…

左)ハイパー140、右)ハイパー100。ハイパー140のフロントジッパーは止水仕様に変更。ジッパー裏のフラップも幅広・厚めに変更され、耐久性が向上しています。

袖口の仕様はほぼ変更ありません。胴体部分も仕様は変更ありませんが大きさが変更されています。ハイパー140の方がやや大き目になっています。

上)ハイパー100、下)ハイパー140。ウエスト部分に仕様の変更はありませんが、ハイパー100はタイト目。

他にもチンガードも追加され、細かい部分もアップグレードされています。

左)ハイパー140、右)ハイパー100。ハイパー140ではチンガードが追加されました。

ハイパー100は公式値・実測値共に100g を下回り、超軽量ながら着心地もある程度確保した、完全防水ジャケットです。重量こそ50gほど増加して極端な軽量化志向ではなくなり、そのインパクトはなくなってしまいましたが、大きな弱点であった耐久性をある程度解消し、ポケットなどの機能性も向上し、完成度は高まっています。

実際使ってみたインプレッション

ではここからは、実際にハイパー140のインプレッションになります。

レインジャケットとしての性能は高く、通常に使用している時は、雨が強くても浸水はありませんでした。フロントファスナーに強めのシャワーを当て続けると、ややじわっと浸みてきはしますが、そんな状況自然界ではないので、雨による浸水は心配なさそうです。DWR(耐久性撥水)加工もしてあることから、撥水も長期間続きます。撥水が長続きするので透湿性も維持してくれそうです。しかし生地が薄いためザックとの摩擦での擦れが心配。今回のレビューではそこまで使い込んでいないので断言はできませんが、やはり軽量性の高い生地なので、そのリスクは考慮しておくべき点です。

防水も撥水もレインジャケットとして十分な性能です。撥水は比較的長く持続します。

もちろん防風性もしっかりしているので、強風時でも問題なしです。しかし生地自体はとても薄いので、冷たい風や雨が当たると風雨自体は防いでくれるのですが、温度自体はダイレクトに感じてしまいます。保温性もほとんどないので、晩秋や冬に使用する時は、厚めのベースレイヤーや薄めのミッドレイヤーが必須になってきます。

透湿性も良好。実際のスペック上では60,000g/m²/24hとありますが、そこまでの高い数字は実感できませんでした。気温がやや高く運動強度が高まる登り区間では透湿性は追いつきませんでした。しかしポケットを開ける、フロントファスナーを開けるなど積極的に換気を促せば問題はありませんでした。涼しい気候では、内部の蒸れの心配は全くありません。

フィッティングは全体的にスリムフィット気味ですが、ハイパー100と比べるとややゆったりしています。胴はやや長く、腕周りはより動きやすい裁断パターンとなっています。特に脇部分にはマチがついているので、腕を上げるなど腕を大きく動かす動作でも窮屈に感じることはありません。

フードのフィッティングは調整できないですが、裁断はハイパー100から改良されているので、よりフィッティング・機動性が向上しています。ツバ部分には薄いフラップがついていますが、これで雨を防ぐのは厳しい…。雨が強いと顔に直接かかるので、キャップやサンバイザーをフード下にかぶるのが良さそう。つば部分以外はゴムシャーリング仕様なので、フィッティングは顔にピッタリきて良好。このゴムのおかげで、フロントジップを一番上に上げていても、着脱可能です。

フードの裁断パターンも大きく変更され、よりフィット感が向上し、機動性が高まっています。

袖口は手のひら側はゴムシャーリング仕様、手の甲側はフラップ仕様で着脱しやすく、風雨が侵入しずらくなっています。特に雨が降っていると、このフラップ部分が濡れて手の甲にくっ付くので、より侵入が無くなります。ウェスト部分も前面はフラップ仕様、その他はゴムシャーリング仕様となっているので、フィット感と防風・雨性を同時に向上させています。単純ですが、かなり実用性のある構造です。

袖部分に仕様の変更なし。しかしすでに十分な性能で、風雨も侵入せず、フィットも良い。

ポケットは止水ジップのおかげで防水仕様です。実際外部からは防水ではありますが、ポケット内部はメッシュ仕様なので、汗をたくさんかいて蒸れ出すと湿ってしまいます。いくら防水といえど、紙でできたマップなどをダイレクトに入れるのはやめた方が良いでしょう。しかしそのポケットはメッシュ仕様のおかげで、ジップを開けておけばベンチレーションの効果もあります。そのメッシュのポケットは内側で横方向に縫い付けてあるので、多少の重量物を入れても揺れずらくなっています。

ポケット本体はメッシュ仕様なことから、入り口は止水ですが、内部が極度に群れると内容物は湿りそう…ポケットは生地に縫い合わせてあるので、揺れは少ない。

生地の薄さは、やはり気になります。ハイパー100もハイパー140も生地は非常に薄く、枝に引っ掛けたり岩などで思いっきりこすると悲しい気持ちになりかねません。ハイパー140は、構造・仕様の変更により全体的に耐久性は向上してはいますが、生地の薄さは大きな弱点でしょう。細いシングルトラックで周りに草木が茂っているような場面では、使うのを躊躇してしまいます。いばらに引っ掛けたら一発でしょう…使う場面を選びそうです。

まとめ:こんな人におすすめ

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ハイパー140シェルジャケットは、前作のハイパー100シェルジャケットのアップデート版。まず名前にもある通り、ハイパー100は100gを下回る”超超”軽量レインジャケットでしたが、ハイパー140は実測重量だけで見ると50g以上増加しています。しかし細かな仕様が変更されて、機動性・機能性・フィット感・耐久性が向上しています。

人によって求めるものが違うので、この変更はアップデートと呼べるのかはわかりません。ハイパー100の重量はウィンドシェル並みで、透湿性もそれなりにあるので、確かにウィンドシェルとしても使えるレインジャケットでした。しかしハイパー140は全体のバランスこそ底上げされていますが、重量は150gほどと未だに軽量ではありますが、ウィンドシェル兼用できます!と強くは言えません。しかし重量をシビアに気にする人以外には、ハイパー140は使い勝手が良く、汎用性も高いでしょう。

同等な重量のジャケットはたくさん存在していますが、レインジャケットでフロント・ポケットが止水ジッパー仕様と完全防水で、この重量は未だに超軽量の分類。トレイルランナーのウィンドブレーカー兼レインジャケットの様な使い方から、ファストパッカーの緊急用シェルまで、とても汎用性の高いジャケットです。しかしやはりこの生地の薄さにおける耐久性の低さは考慮すべき点です。それを踏まえ、汎用性の高い軽量なレインジャケットが欲しいという方には、この軽量性・機能性合わせて後悔はないでしょう。