歩かずに死ねるか!アメリカ国立公園への旅(4)グランドキャニオン国立公園おすすめハイキング
セドナに引き続き、今回はグランドキャニオンのおすすめハイキング情報をご案内します。
目次
グランドキャニオンとは
数多くの国立公園や州立公園、部族公園など、興味のある場所をピックアップして様々なめぐり方を自分自身でアレンジできるグランドサークルのアドベンチャー旅行。なかでもグランドキャニオンはアメリカを代表する国立公園。コロラド川によって侵食された大渓谷で、雄大という言葉以上のものが広がる圧倒的スケールをもつ場所。ルーズベルト大統領が「アメリカ国民は人生の中で1度はここに来るべきだ。それくらいの価値がある」と演説したほど、アメリカ国家が誇り、おすすめする場所なのです。
グランドキャニオン面積は広大で、アクセス等の便宜上ノースリム(冬場閉鎖)とサウスリム(年中オープン)の2つのエリアに分かれています。コロラド川を挟んで北側と南側に分かれていますが、今回はサウスリムの大絶景、South Kaibab Trail(サウスカイバブトレイル)をご紹介します。サウスリムは宿泊施設や、お土産やさん、スーパーマーケットなども充実しており、初めて行く方にはとても便利です。
グランドキャニオン(サウスリム)おすすめハイキングコース
今回紹介するのは、グランドキャニオン国立公園のサウスリムにあるカイバブトレイルを歩くデイハイキングのルート。サウスカイバブトレイルは全体では標高2213mのトレイルヘッドから出発し、途中いくつかのポイントを抜けてコロラド川まで下り、さらにノースリムまで縦断するトレイルのことを指しますが、今回は1日で気軽に行けるそのトレイルの途中までのコースを紹介します。トレイルヘッドから3マイル(4.8km)がSkeleton Point(スケルトンポイント)で、デイハイキングの場合はこのスケルトンポイントを最終折り返し地点にします。
グランドキャニオンハイキングのおすすめシーズン
グランドキャニオンでは四季があり、どの季節に来ても本当に美しい景色で私たちを楽しませてくれます。しかし、グランドキャニオンでのハイキングは基本的に渓谷の上から下へ下りていく形になるので往路に下り、復路に登るというスタイルです。
どのシーズンにもサウスカイバブトレイルへのハイキングは可能ですが(もちろんその日の天候、状況による)夏場は渓谷の中へ下れば下るほど灼熱の暑さになり、水分補給が本当に大切になっていきます。夏(特に6~9月)は気温が上がるので脱水症状や熱中症の危険性があるので注意が必要です。そういったことからサウスカイバブのおすすめシーズンは夏前の3月から5月、雪が降る前の10月から11月半ば頃までがベストシーズンと言えます。夏のハイキングは特に下降するごとに気温が上昇するので、数時間のトレッキングなら早朝出発をして午前中に歩き終えるようにプランニングすることをおすすめします。
グランドキャニオンのサウスリムにはHermit Trail(ハーミットトレイル)、 Bright Angel Trail(ブライトエンジェルトレイル)、そして、今回ご紹介する South Kaibab Trail(サウスカイバブトレイル)の3つのメインルートがあり、それぞれの入口へはシャトルバスで行くことができます。
公園に入るためには前もって手続きが必要?
入場料をエントランスで払えば、国立公園に入る特別な手続きはいりません。公園入り口に料金所があり、パークレンジャーの方がいますので、そこで支払い入園する形になります。
グランドキャニオンのハイキングに適した服装は?
夏場
日中は気温が上がり、渓谷の中に行けば行くほど砂漠気候になっていきます。Tシャツ&半ズボンでも全く問題ないです。ただし温暖差の激しい場所で朝晩は気温が10℃以下まで下がるため、ウインドブレーカーやフリースなどの防寒着があると役に立ちます。
冬場
スタート地点の標高が2213mあるのでとても冷えます。最高気温は10℃以下、最低気温はマイナス5℃以下にもなるため、しっかりとした防寒対策が必要です。ショールやマフラー、ホッカイロなどもとても役立ちます。
日差しやその他、注意した方がいいこと
日中は日差しが強いため、サングラス、帽子、日焼け止めなどをしっかりと用意しましょう。眼への紫外線も要注意、長いハイキングではサングラスがあることで疲労具合も和らぎます。足元は岩場も多いのでトレッキングシューズなどのしっかりとした歩きやすいものを選びましょう。ハイキングでは高地で天気も変わりやすいため、十分な飲料水、雨具や軽食なども用意しておくと安心です。朝晩の寒暖の差もあり、常に防寒対策などハイキングをするときは念には念を、準備をしっかりとしましょう。
ハイキングに携行すると便利な持ち物
- 気温の調整できる防寒着
- トレッキングシューズ
- 帽子
- サングラス
- 日焼け止め
- 飲み物(夏は多めに)
- ハイキング中に食べるスナックなど
- 常備薬などがある場合は薬やバンドエイドなどのファーストエイド
- ヘッドライト
- 雨具
国立公園内で気をつけるべき禁止事項など
国立公園では公園を美しく維持し、生態系を壊さないために守るべきルールがいくつかあります。パークレンジャーさん監視のもと、違反をした場合は罰金対象になってしまうので気をつけましょう。なかでも最も基本的なルールの3つをご紹介します。
- 公園内のものは何一つ持ち帰らない、そしてゴミを含めて公園内には何も放置していかない。
- 公園内で見かける動物はすべて野生です。どんなにかわいくても絶対に近づかないこと。触らないこと、餌をやろうとしないこと、驚かさないこと。そして、指定のゴミ箱以外の場所にゴミを捨てることも、彼らの生活を変えてしまう行為です。
- トレイルをしっかりあるく。トレイル以外の道に入らぬよう、トレイル上を歩いていきましょう。
国立公園での案内所は?食料や装備は補充できる?
サウスカイバブトレイルヘッドへ行くためにはビジターセンター、パークストアがある公園内の中心のエリアにまずは車で向かいます。登山口へいくバス乗り場がそこにあり、そこに自分たちの車を駐車します。大きな駐車場もあります。バス停の近くにお手洗いやお土産やさん、カフェやビジターセンターが設置されていますので、ハイキングに必要なものはそこで入手することができますよ。
サウスカイバブトレイルの歩き方
アプローチ:イーストエントランス(東口)から
サウスリムには東側のイーストエントランスの入り口と南側からのサウスエントランスからの入り口を利用して公園内に入ることができます。
どちらから入っても良いですが、もし東口を利用した場合は東口入ってすぐのところにあるデザートビューポイントへぜひ立ち寄ってみてください。ちょうどコロラドリバーがカーブするところがビューポイントから鑑賞できます。とても美しい絶景ポイントで個人的にもおすすめのストップポイントです。
トレイルヘッドまで
マーサーポイントなどと同じエリアにあるVisitor Center(ビジターセンター)まで向かいます。大きな駐車場も設備されていて、軽食なども買える飲食店やお土産やさんもあります。
車を停めて、お手洗いや必要な買い物などを済ませたら、バス乗り場へ。オレンジ色のラインのKaibab/Rim route(カイバブ/リムルート)に乗り、South Kaibab Trailhead (サウスカイバブ/トレイルヘッド)にて下車。降りたすぐの場所に登山口があります。ちなみにバスはビジターセンターから3路線違うルートのバスが走っています。オレンジ、青、紫のバスがありますが、オレンジ色に乗ってくださいね。(乗車時間10分以内)簡単に見つけられますのでご安心を。帰りも同じようにトレイルヘッドから乗り、ビジターセンターに戻ってくる形になります。
バスは15分に1本ペースで走っていきます。
ハイキング開始。South Kaibab Trail(サウスカイバブトレイル)からSkeletonPoint(スケルトンポイント)へ
※写真は全て11月のハイキング時の撮影したものです。
サウスカイバブトレイルはトレイルヘッド標高2213mから出発し、途中いくつかのポイントを抜けてコロラド川まで下り、さらにノースリムまで縦断するトレイル。今回は1日で気軽に行けるそのトレイルの途中まで。トレイルヘッドから3マイル(4.8km)がSkeleton Point(スケルトンポイント)デイハイキングの場合はこのスケルトンポイントを最終折り返し地点にします。
注意:日帰りでは谷底まで行けません。途中お手洗い有り(Ceder Pointにて)。トレイルヘッドに給水所有り。
DATA
- 片道:3マイル(4.8km)
- 往復:約10km
- 高低差: 約620m
- 所要時間:4時間から5時間
ビューポイント
今回のゴールとなるスケルトンポイントへいくまでにビューポイントが幾つかあります。
往路
- Ooh Aah Point:オーアーポイントトレイルヘッドから1.5km。Trailheadから約30分ほど
- Ceder Point:シダーポイント・トレイルヘッドから2.5km。オーアーポイントから約30分ほど(お手洗いあり)
- Skeleton Point:スケルトンポイント・トレイルヘッドから4.8km。シダーポイントから約50分から1時間ほど
復路
- Ceder Point(シダーポイント)までスケルトンポイントから約1時間10分ほど
- Ooh Aah Point(オーアーポイント)までシダーポイントから約50分ほど
- Trailhead(登山口)までオーアーポイントから約50分ほど
1.Ooh Aah Point(オーアーポイント)へ
まずは登山口から下りが始まります。道は舗装されていて歩きやすいものの、ミュール(ラバ)ツアーで使用する道でもあるのでミュール達の糞にも要注意です。トレイルでミュールに会った時はミュール優先なので道の端によるなどしてミュールを先に通してあげましょう。カウボーイとミュール達に笑顔で挨拶もお忘れなく~。
ここのトレイルは1924年の冬にサウスカイバブトレイルの建設が始まり、作業員とラバで道具のすべてを運び、岩を切り崩し、夏の暑い時期は外しながら夜通しで作業が続けられました。4年後の秋ついに開通。その大変な努力と作業があったからこそ今私たちが見る峡谷、岩肌の魅力を十分に体感することができ、作業員達に感謝の気持ちでいっぱいです……。
どこのトレイルもそうですが、こんな場所によく道を作ったな!と作って下さった人々にいつも脱帽いたします。
右手には岩山が、左手には崖の切り立った細い道が続きます。日陰の多い場所でもあり、標高も高いのでシーズンによっては冷え込むことが予想されます。出発点の地層は最も新しいカイバブ岩層 (Kaibab Formation) で270万年前から存在しています。地球の教科書とよく言われるグランドキャニオン。長い長い年月を通して築きあげられて来た歴史の中を歩いていくのです。
トレイルヘッドから30分も歩けば第1ポイントのOoh Aah Point(オーアーポイント)に到着です。
視界が一気に広がり、目の前に光を浴び輝く渓谷。青い空と赤い岩岩、様々な色を持つ地層のグラデーションに思わず「オー、アー」と人々が声を出し、感激したことからオーアーポイントと名付けられたそうです。そのままで可愛いですよね。
2.Ceder Point(シダーポイント)へ(お手洗い有り)
太陽の光の当たり方により刻々と色を変えていく峡谷。そしてどこまでも透き通る青い空。人の力では作ることのできない自然美に心を奪われながらも次々と出てくる壮大な景色にカメラのシャッターは止まりません。シダーポイントのすぐ先、目の前にあるオニール・ビュートという岩がまた美しく絵になる光景です。
カメラの中には収まりきれない雄大さ、力強さ、大きな大地が持つ深い静けさ、グランドキャニオンを歩くからこそ感じられる自然との一体感に感動しながらハイキングは続いていきます。
こちらで休憩をして少し時間を取ることをおすすめいたします。時間帯にもよりますがこちらでランチタイムをするのもおすすめです。水分補給、軽食などで体を休めましょう。
3Skeleton Point(スケルトンポイント)へ
デイハイキングのゴールとなるスケルトンポイントへ。ここが登山口から谷底までの約半分地点になります。ここまでくるとコロラドリバーも見えてきますよ。ここで折り返す人々も多く、休憩ポイントになります。雄大な景色を見ながら足を休めてくださいね。なぜなら復路は降りて来た分登らなくちゃですからね!
渓谷を半分も降りてくると渓谷の上から見るグランドサークルとはまた違う感覚になるのは間違いありません。時間と共に変わる岩の色、野生動物たちとの遭遇、グランドキャニオンの谷間を通り抜ける風の音や鳥たちの鳴き声。自分の足で歩いて大地を感じるからこそ味わえる風景、感覚があります。
体を冷やさないように上着を羽織るなど体温調節をして存分に休んでください。
夕焼けの復路
往路で来た道をゆっくりと登りながら登山口へ戻るわけですが、私たちがこのハイキングをしたのが11月頭。
ちょうど帰りの登山口に着くころにサンセットタイムと重なることができ、ハイキング後に更に自然界からのご褒美をいただきました。
トレイルヘッド近くのスペースのある岩の上に座りながら少し静かな時間を皆で過ごしましたよ。
一人一人の心にあの夕日がどのように映ったかはわかりませんが、全員、静かに夕日を見つめていました。
こんな美しい自然の芸術が毎日、そして長い長い年月をかけ普通に行われていることが不思議で、本当に凄い!としか言葉はありませんでした。普段目にすることのない自然界の芸術を前に、地球は本当は一体何なんだろう……と謎が深まるばかりです。笑
バスでビジターセンターへ戻って来た頃には空はパープルに輝きまたそれも美しかった……。グランドキャニオンへ行かれる計画のある方、これから行ってみたいと感じてらっしゃる方、是非歩いて渓谷内へ。想像以上の景色、感覚が待っています。
加藤 さやか
グランドキャニオンハイキングはお任せください。父の影響もあり昔からアウトドアアクティビティーが大好きで、日本にいた頃から登山、国立公園巡りをする中で、アメリカやカナダの大自然に魅了され、その結果念願だったアメリカに辿り着きました。現在は日本人ガイドと行く完全プライベートハイキングツアーなど、お客様と一緒に作る現地オプショナルツアーを提供するANAMI TOURSを営んでいます。現地在住だから知り得る、スペシャルなオプションをご紹介させて頂きます。ご興味ある方は下記HPから。