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異次元の進化を遂げた”通気する”レインウェア「ミレー ティフォン ノヴァ ジャケット」は、規格外の耐水圧と呼吸するメンブレンで「蒸れと雨」を同時に制す【実践レビュー】

ミレーの看板レインウェア「ティフォン」シリーズに2026年、これまでにないまったく”異次元の”進化を遂げたレインウェア・ハードシェルジャケット「ティフォン ノヴァ」が加わりました。

従来の「動きやすくて蒸れにくい」という特性を、より高強度なアクティビティ、よりシビアな環境へとシフトさせた本モデル。特筆すべきは、微多孔質構造のポリプロピレン(PP)製次世代メンブレンによる「通気」というアプローチです。今回は、従来のティフォン・ストレッチとの違い、そして最新の GORE-TEX(ePE)などとの比較を交えて、その実力を深掘りしてレビューしていきます。

MILLET ティフォン ノヴァ ジャケットの主な特徴

ミレーの「ティフォン ノヴァ」は、より高強度でハードなアクティビティを想定した次世代の防水透湿シェルジャケット。新開発の「ポリプロピレン(PP)製微多孔質防水透湿メンブレン」は、耐水圧50,000mmという盤石の耐水性を備えながら、空孔率80%、孔径約50ナノメートルというユニークな構造によって、雨を防ぎながら着用した瞬間から内側からの空気自体を通す「防水・通気」を実現しました。この湿気や水分の排出効率の高さによって発汗量の多い急登時でも衣服内の湿気を素早く逃がし、常にドライな状態をキープします。また60デニールの表地を採用することで、従来の「ティフォン ストレッチ」比で約150%の耐摩耗性向上を実現し、さらに加水分解しにくいPP素材による耐久性の高さと合わせて長期にわたる信頼性を提供します。本格アウトドアの勘所を押さえたポケット類や脇下ベンチレーションなど、アルパインシーンでの実用性を極めたハイエンドモデルです。

お気に入りポイント

  • 衣服の内外を常時空気が行き来する生地の「ヌケ」の良さに加えて脇下ベンチレーションも搭載で規格外の蒸れにくさ
  • 豪雨も安心の高い耐水圧
  • 岩場でも安心の生地の丈夫さ
  • 加水分解しにくいメンブレンの優れた耐久性
  • ストレスフリーな動きやすさ
  • これといって不満が見当たらない細かいパーツ類の作りの確かさ

気になるポイント

  • 高い通気性によって冷たい強風での着用は多少冷気を感じる
  • 390gの重さはやや重厚
  • PFCフリー撥水は汚れの付着によって性能が低下しやすいため、パフォーマンスを維持するためこまめな洗濯や撥水回復等のケアが必要

    主なスペックと評価

    アイテム名 MILLET ティフォン ノヴァ ジャケット
    実測重量(g) 387(JPLサイズ)
    生地・素材 ティフォン® ノヴァ 3層 ナイロン100% 撥水加工(PFCフリー)
    レイヤー数 3
    耐水圧(mm) 50,000
    透湿性(g/m² 24hrs) —(通気性メンブレン)
    ポケット数 2(チェスト)
    ベンチレーション
    パッカブル
    評価
    防水性 ★★★★★
    ムレにくさ ★★★★☆
    保温性 ★★★☆☆
    快適性 ★★★★★
    機動性 ★★★★★
    耐久性 ★★★★☆
    機能性 ★★★★☆
    重量 ★★★☆☆

    春の低山トレイルや山スキーで着用した詳細レビュー

    パフォーマンス:革新的なメンブレン「ティフォン® ノヴァ」の驚くべきパフォーマンスの高さ

    ティフォン ノヴァがこれまでのティフォンシリーズと違う革新的なポイントは、なんといってもその新しい防水透湿膜(メンブレン)にあります。

    厚さわずか18マイクロメートルのポリプロピレン製膜に、50ナノメートルの超微細な孔をほぼ均一に何億個も配置したという疎水性微多孔構造メンブレンとそれらをナイロン表地とトリコット裏地でサンドイッチする3層構造の生地は、従来のティフォンシリーズ(無孔質メンブレン)が衣服内の湿度上昇によっていったん膜に湿気(水分)が移動してから透湿が機能し始めるのに対し、ノヴァは衣服内の湿度に関わらず、着用した瞬間から常にわずかな空気が衣服内外を流れるため(通気)、行動直後から蒸れを感じにくく、ドライな快適さを実感できるといいます。

    実際に着てみても、生地の総合的なパフォーマンスの高さには正直驚かされました。これまでの「普通の」防水透湿ジャケットを着た後にノヴァを羽織ると、まるでソフトシェルのように柔らかく、それでいてしっかりとしたハリのある生地、しかも伸縮性もあって動きを妨げない、極めつけは生地が擦れ合う時でもまったく気にならない音の静かさに、たちまち心を奪われるでしょう。

    程よいフィット感で冬の重ね着も苦にしない窮屈感の少ない立体パターン、そして顎をきちんと包み込むハイカットの襟とヘルメット対応のフードが相まって、しなやかながら非常に安心感のある衣に包まれているような感覚です。

    注目の「蒸れにくさ」はホンモノ

    また雨の降っていないときにこのジャケットを羽織ってみると、「普通の雨具」とは異なるその快適なフィーリングにもすぐに気づくことができました。いわゆる「熱が籠る」感じがほとんどなく、その清々しさは限りなく「ソフトシェル」的な何かです。しばらく歩いたり、早足したりして汗をかき始めると(そもそも汗をかき始めるのもいつもよりやや遅くなった気がする)、インナーの湿気は(ソフトシェルには劣るものの)レインウェアとしては驚くほど素早く外に排出され、ドライな状態に復帰できました。

    通気性抜群にもかかわらず・・・盤石過ぎる防水性

    かつて「ヌケの良さ」を謳うメンブレンはどうしてもその引き換えとして生地の耐水性が高くないことが多くありましたが、このジャケットはその常識を見事に打ち破っていました。強めの雨が降るトレイルを歩いてみても、60デニールというその表生地の厚みと共にまったく水が内側に侵入してくることはなくその公表数値が偽りでないことが実感できました。そのうえ世界中の山岳ガイドや登山家たちのユニフォームとして実績を積み上げてきたその確かな作りによって、フード周りから袖・裾に至るまで高いプロテクションを備え、しっかりと濡れから護ってくれました。

    ただこのメーカーに限った話ではありませんが、いまだそのメンブレンの進化にPFCフリーの耐久撥水が追いついていないという点は今回もどうしても触れなければなりません。(洗濯をまだ1回もしていない状態の製品を着て)雨にさらされてからしばらくは何とか雨粒も玉となって表面をこぼれ落ちて耐えてくれていましたが、数時間後には表地が水分を吸い始めてしまいました。これで防水性が無くなるわけではありませんが、透湿性を含めたパフォーマンスは十分に発揮できない可能性があることは覚悟しなければなりません。もちろん、それでも使用後の手入れによって撥水性は回復しますので、こまめな洗濯と撥水力回復ケアは忘れずに。

    数時間の行動を終えると、表地はどうしても撥水力が落ちて水を吸いやすくなってしまう。

    ハードシェルの安心感と、ソフトシェルのような着心地と動きやすさ

    従来の「ティフォン ストレッチ ジャケット」のようなしなやかさな生地感とストレッチ性はこちらのノヴァにもしっかりと備わっています。正直厚みの割に「これがレインウェア(ハードシェル)か」というほど動きやすさ抜群。生地の柔らかさとストレッチ性に加えて肩・肘周りの立体裁断も効いています。

    それにもかかわらず、ノヴァはしっかりとしたハードシェルの安心感も兼ね備えているところがおいしい。60デニールの厚みを備えたナイロン表地は岩場や重いバックパックを背負った山行を想定してデザインされており、アルパインでの使用にも十分に耐えうる堅牢性を備えています。

    最新のPFCフリーGORE-TEX(ePE)との比較(透湿性と耐風性)

    防水透湿ジャケットといえば、やはりこのジャンルのトップメーカーである「GORE-TEX」との比較が避けられないわけですが、ティフォン ノヴァと最新のGORE-TEX ePE メンブレンとを比較するとどうだろう。同じフィールドでノヴァとGORE-TEXジャケット(GORE-TEXプロダクト3層)をどちらも着て比べてみました。

    すると最新のGORE-TEXは依然として高い防水・防風の「壁」としての性質が強い素材である一方、対してティフォン ノヴァは、メンブレンの疎水性が極めて高く水分を保持しない、また均一で高い空孔率(約80%)によって、激しい発汗を伴うシーンでの「ヌケ」において一歩先をいっていることがはっきりと実感できました。ちなみに生地のしなやかさとストレッチ性による着心地もこちらの方が調子いい。

    一方で、風の通り抜ける春の立山(気温は摂氏一桁程度)でベースレイヤー1枚の上に着て試してみたときには、GORE-TEXが従来のようにバリアとして風の冷気をかなりの程度防いでくれたのに対し、ノヴァを着た時には若干の冷気を感じないわけではありませんでした。風が通り抜けるという感覚ではないのですが、うっすらと衣服内の温度が冷めていく感覚です。

    ただ、その冷感具合はこれまでの通気系メンブレン(いわゆる FUTURELIGHT や PERTEX SHIELD AIR など)に比べるとそこまで気になるほどではなく、冬でも行動中であればこの程度の抜けは程よく好都合である場合が多いとも感じます。もちろんもう一枚中間に挟んで重ね着すれば問題になることはありません。

    つまりこの防風性の違いはメリットにもデメリットにもなり得えます。この特性の違いを意識して、アクティビティや季節に使い分けると、これからの旅でより快適なレイヤリングが可能になるでしょう。

    機能性:フード、ベンチレーション、ポケット、パッカブルと文句なし

    形がよく、簡単にジャストフィットする調節可能なフード

    ティフォン ノヴァは、クライミングヘルメットからキャップや頭まで幅広い形状にジャストで調節可能な3D構造のフードが便利です。伸縮性のある生地と後頭部のコードロックとベルクロによって誰でもちょうどよいフィット感とツバの深さが調節でき、さらに首元にあるドローコードで前方の衿の高さも調整できます。さらに額にも密着感を高めるよう伸縮性のメッシュ生地が配置され、ツバも顔の形にしっくりと寄り添ってくれます。

    着心地を妨げずに万全の蒸れにくさを提供するベンチレーション

    生地のパフォーマンスに加えての充実した換気機能はノヴァの大きな武器です。脇下のピットジップ(ベンチレーション)に加え、胸のV字ジップポケットもは余裕のある大きさもさることながら、裏地がメッシュ構造になっていることによりさらなる換気を促すこともできます。

    ベルクロで調節可能な袖口はスキーグローブをしながらでもスムーズに袖を通せるほどの広さから密閉させることができ、さらに保護性を高めるよう甲部分が長めにとられています。裾もワンアクションで締められるコードロックが左右に配置され、過酷な状況でのプロテクションは万全です。またフロントのビスロンジッパーは防水性と凍結に対する強さ、そして耐久性に優れ、またハーネスの着用などを考慮して上下両方から開閉できるダブルジップ仕様。衿裏には起毛のチンガードが配置され、無雪期・積雪期問わず通年使用に抜かりなしです。

    重量・携帯性

    重量約390グラムは超軽量レインウェアと比較すればやや重いといえなくもありませんが、その分、通年使用が可能なだけの十分なプロテクションと耐久性が確保されている、つまり通年用のハードシェルとしても着用できる考えると十分軽いモデルとも言えます。収納サイズもここ数年の軽量シェルと比べればそれなりのボリュームとなりますが、高所登山や長期縦走など「常に着続ける」シチュエーションを想定すれば十分納得できるのではないでしょうか。

    まとめ:こんな人におすすめ

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    ティフォン ノヴァ ジャケットは、これまでのティフォンシリーズとはまったく異なる方向性で進化したものであることは確かで、まったく予想していなかった新鮮な感動を提供してくれました。

    そしてこのジャケットを着こんでいくうちに、どうしても個人的には惜しまれつつ消えていった「Polartec Neoshell (ネオシェル)」を思い浮かべずにはいられませんでした。ただ、感嘆すべきは、こちらがあのネオシェルでも到達できなかった地点にまで到達しているという点。GORE-TEX系のレインウェアにはないスピーディーで確実なヌケの良さとしなやかな着心地の良さ、自然な動きやすさはネオシェルにもありましたが、それに加えてティフォン ノヴァにはさらに優れた防水性、、過酷な環境でも安心の頑丈さ、そして極めつけは環境負荷軽減への対応が備わっています。そう、このジャケットはまるでネオシェルの「完全上位互換」といってもおかしくない完成度の高さです。もちろんこのモデルだけでいえば、重さや厚みなどは高温下でのアクティブな活動に向いているとは言えないかも知れませんが、素材のポテンシャルという意味では期待しかなく、早くももっといろいろなバリエーションが見たいと思っている自分がいます。

    このモデルはどちらかというと雨や冬での寒さにじっと耐える人のためではなく、暑さ・寒さの中でも濡れないだけでなく動きながらも「常にドライでい続けること」を追求する、能動的な登山者のためのアクティブ・プロテクション。その意味ではこのジャケットがぴったりくるのは、こんな人たちなのではないでしょうか。

    • 激しい発汗を伴う高強度の登山・ハイクを楽しむ人(真夏や高温下を除く)
    • 岩場や稜線でのハードな使用を想定し、1枚で3シーズンから冬山まで使い倒したい人
    • 従来のレインウェアの「蒸れ」に不満を感じ、瞬時の換気性能を求める人
    • 経年劣化に強い素材を選び、一つのギアを長く愛用したい人

    最新のPFCフリー素材への移行期において、ミレーが提示した「通気する疎水性微多孔質PPメンブレン」という選択肢は、日本の湿潤な山岳環境において新たな有力な答えになるかもしれません 。