
【9月のイベントレポート①】『空、森、水、岩魚、何もかもが素晴らしすぎた。初秋の東北渓流釣り紀行』
登山もキャンプも楽しいけど、自然をもっと感じたいなら、もっと魂の芯から心震わせたいなら、歩くだけじゃもったいない。走ったり、滑ったり、そして登攀って、泳いで、釣って、採って食べたりして、身体いっぱいに自然の厳しさと優しさと豊かさを味わい尽くしたい。
30年以上山と付き合ってきて、最終的にそんな楽しみ方にたどり着いたOutdoor Gearzineがお届するオフライン企画のコンセプトは「その時期、その場所で最も楽しいことしよう」ってこと(もちろん実力・経験的に自分たちのできる範囲で)。そんな思いに共感してくれる、意欲的なアウトドア愛好家の皆さんのお手伝いが少しでもできればと思っています。
前置きはさておき、今回は直前に台風の襲来でどうなることかとやきもきましたが、奇跡的にイベント実施日の土日だけ天気が最高に良いとか、これは持ってるな!ということで東京からはるばる4時間半かけて、東北のとある渓谷に僕含めた4名の参加者とともに、9月のOutdoor Gearzineオフラインイベント「初めての渓流釣り泊」イベントに行ってきました!

車のドアを開けると、涼しいでは済まされない冷風がびゅうびゅうと吹いてる。早朝とはいえ、予想外に寒い。温度計ではざっと15℃を指しています。都会は相変わらず昼も夜も蒸し暑くて秋は本当に来るのかと不安になるほどですが、山はすでに秋が訪れていて、なんだか安心ました(ヒートアイランド現象ぇ…)。
ただ、登山口でこれだとるとテン場ではどうなることやら。シュラフと防寒着の選択を間違えたか?とメンバーはややピリつきましたが、やはり陽が出てくると一気に気温が上昇。結果的にはタープでむき出しの状態でもモンベル800#5とシュラフカバーで寝ても問題なかったようです。

いざ入渓(実はルート間違えてます)!
この沢は数年前訪れたことがありました。適度に登れる小滝や、泳ごうと思えば泳げる釜や淵、ゴルジュ、瀞が折り重なり、距離も思い切り急げば1日で抜けられる程度なので、初心者にも優しい沢。そのうえ苔がびっしりと生えた岩や倒木、周囲はブナやミズナラの森に囲まれるという、日本の渓谷の良さをすべて詰め込んだような秀渓です。

そして何より、魚影が濃い。
その時は沢登り主体で釣りは時間があるときに竿を出していた程度だったのですが、それでも何匹も釣れた実績があります。今回は釣りの時間をたっぷりとってどこまで釣り上がれるのか、釣り三昧のプランで挑んでみました。メンバーの中にはまだ岩魚を釣ったことがないテンカラをはじめて1年足らずの人もいて、初のテンカラ岩魚ゲットで、竿に入魂することが個人的裏テーマでもありました。
このため入渓直後からガンガン竿を出し、釣れそうなポイントがあればどんどん竿を出していきました。

すると果たして、入渓からわずか10分もしないうちに!やってくれました。今回のエースアングラーが待望の1匹目GET!相変わらずクールです。

やや小ぶりではありますが、野性味のある良い色してます。

この時点でも今日は勝ちを確信。これからテン場まででどれだけの大物が釣れるのかと興奮と妄想が止まりません。
しばらくは釣りと美しい沢の流れを楽しみながら、軽快に進めていきます。







嬉しい誤算でしたが、想定外に釣れすぎて、お昼にはテン場に着くかと思っていたところ、気がつけばまだ大きな滝の高巻きを残した状態でお昼時になってしまいました。
しかし、天気といい、渓相といい、釣りといい、この大自然を独り占めした源流釣行は人生の中でも一二を争う当たり。最高過ぎる。
そして今回の核心部である大滝。直登はほぼ不可能なので、潔く高巻き。

ただこの高巻きが想定外にかなり厳しかった。。。たっぷりと藪漕ぎの後、ついに沢床に復帰。しばらく歩いて、ようやく今日のテン場に到着です。十分な広さと平坦さで、しかも前のパーティが残してくれたかまどとちょっとだけ薪の残りがある、まさかの居抜き物件w ありがたく使わせてもらいました。

テン場に着いたら、さっそくタープなど設営、薪集め、焚火の着火、夕食の準備と、日の入りまでの明るいうちに済ませておきたいことが山ほどあります。本当は余裕をもってテン場につきいてのんびりやりたかったのですが、ついつい楽しんじゃったのだから自業自得笑。
落ち着く間もなくみんなで手分けして快適な寝床づくりの開始です。



小さいサイズの岩魚はすべてリリースしてきましたが、それでも今回準備してきたメニューを賄うには十分すぎるほどの釣果があり、ありがたいことに今夜は豪華な源流ビストロが開店。このためにたくさんの調味料と食材を荷揚げしてきた甲斐があった。
いずれも映えなどは一切お構いなしですが撮った写真がありますので、作った料理を紹介。まずは基本の刺身。


これも基本の塩焼き

岩魚スパイスカレー(白米&ナン)


岩魚の燻製

塩焼きの後に残った骨と頭で岩魚の骨酒。

岩魚あら汁(翌朝ごはんと一緒にあら汁飯)

あとは写真には取り忘れてしまいましたが、フライパンで岩魚の香草焼きも。写真からは伝わりにくいかもしれませんが、とにかくどれも旨いとしか表現できません。どんな調味料よりも採れたて新鮮にかなうものはありませんな。
その場で採れたものを食べ、その場で起こした焚火にあたり、自分たち以外誰もいない、あるのは自分たちと自然だけという空間にどっぷりとつかる旅。やはり沢旅は、大変なこともあるけど、どんなアクティビティよりも手つかずの自然と向き合い、自然を堪能し、自然と一体になれる。だからやめられない。もちろん他のアクティビティも尊くて素晴らしいことは前提だが。
そんなことをあらためて思いながらあっという間に夜も更けて、次の日に向けて深い眠りにつきました。
明日は勝負どころ。実はまだ裏テーマの「メンバー全員釣る」が達成されていないのです。テンカラビギナーのメンバーに初イワナGETの時は訪れるのか?

翌朝は6時起床。今日のコースはそこまで厳しくはないということで朝ご飯を食べてからしばらく空身で釣りを楽しもうということでまずは自由時間にしました。4人のうちテンカラの2人は上流へ、エサ釣りとルアーの2人が下流へと二手に分かれます。
この時間帯はいわゆる「朝マズメ」頃で岩魚の活性も上がる時間帯。自分もここらで尺越えを釣りたいなという欲もありましたが、それよりもはるかに気がかりなのはメンバーのこと。1匹釣れると釣れないではエライ違いなことは自分がよく知っていますから。
頼む、釣れてくれーと心の中でつぶやいていたら、その瞬間は驚くほどあっけなく訪れました。後方から控えめなトーンで「釣れましたー」の声が!


コロンとしたかわいいサイズの活きのいい奴が釣れてくれました!いやーまじで嬉しい。これでこのイベントやった甲斐があったわ100点だわ。
ようやく肩の荷が下りた。と思ったのもつかの間、そこから彼は怒涛のヒットラッシュ。2匹、3匹と、朝の1時間半の間に5匹以上連続で釣りあげてしまいました。中にはかなりの魚型もあって、一気にテンション爆上がりです。


何となく穏やかに見守っていた自分もこれには正直焦りました。でもこっちもポイントらしき所に毛バリを落とすと、おもしろいようにかかってくれる。バラシもたくさんありましたが、こっちも負けじと釣りまくり。朝イチのデッドヒートが繰り広げられました。

その結果、この時間だけで5匹と7匹という、二人ともびっくりするような釣果の新記録が打ち立てられました。こんなに上流でもここまで魚影が濃いとは、恐るべし。
その後はみんなでテン場に合流し、撤収を済ませて、例によって釣りながら詰め上がっていきました。
・・・今日も相変わらず釣れまくりです。



さしたる厳しい詰めもなく、お昼過ぎに脱渓。
はじめての渓流釣り泊イベントでしたが、胸もお腹もいっぱいの大満足の旅となりました。
ご参加いただいたメンバーの皆さん、楽しい道中を本当にありがとうございました!
