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First Look:カシオ PRO TREK Smart WSD-F30最速レビュー 前モデルから何が新しくなったのか?

ついに毎日着けていられるPRO TREK Smartが出た!

2019年1月、カシオ計算機のアウトドア向けスマートウォッチPRO TREK Smartシリーズの最新モデルWSD-F30が発売されます。2018年12月1日にはPRO TREK Smartを取り扱っている店舗での先行予約受付がはじまるそうです。

各種センサーやオフライン地図など、アウトドアシーンでの活用を踏まえた機能や耐久性だけでなく、Wear Os by Googleによる日常での使い勝手も兼ね備えた前モデルWSD-F20の上位モデルにあたり、ほぼ2年を経過しての待望のダウンサイジング。初代WSD-F10のころからこのシリーズに注目し、山でのさまざまな使い方をレビューしてきたOutdoor Gearzineですが、今回は発売前のサンプル機を一足早く使わせてもらうことができました。まずはどこが新しくなったのか、前モデルと比較しながらその詳細をいち早くレポートしてみたいと思います。

目次

外観での比較

より軽量・コンパクトになって女性にも使いやすくなった

F30における最大のリニューアルポイントのひとつは、何といってもこのコンパクトになったボディサイズです。基本的なデザインに関してはF20を踏襲しつつ、ケース縦幅で61.7mm → 60.5mm(-1.2mm)、横幅で57.7mm → 53.8mm(-3.9mm)も小型になりました。

腕にはめてみるとさらにその小ぶりさが際立ちます。厚みは気持ち薄くなった程度ですが、これだけでも自分のような腕の細い人や、女性にもよりフィットしやすいデザインになったんじゃないかと思います。ちなみにカラーリングは従来のオレンジ・ブラックに加えてブルーが追加。

重量も若干軽くなり、より自然な装着感と快適さがアップしました。

スリムでソフトになったベルトは標準で交換可能に

ボディの小型化にともなってベルトも見直されています。これまでよりも幅は4mmほど細くなり、厚みも若干薄くしなやかになりました。また写真のようにホールの間隔が狭くなったことで、長さがより細かく調節できるようになっています。

そしてなんと、前モデルはF20Xという特別モデルにしかなかったベルト交換機能がF30には標準で搭載されています。これで24mm幅のNATOストラップをはじめ、メタルバンドなど(試してないけど)自分好みのカスタマイズも期待できます。これは地味にうれしい。

画質・発色・コントラスト…すべてが進化した有機ELディスプレイと照度センサーによる自動明るさ調整機能

F30のもう一つの大きなリニューアルポイントは、初の有機ELディスプレイの採用です。有機ELディスプレイは、前モデルまでのTFT液晶に比べて、一般的に画質・応答速度・発色・コントラスト・視野角・消費電力すべてにおいて優れています。画面サイズが1.32インチから1.2インチと小さくなったにもかかわらず、前モデル以上の高精細(320×300 → 390×390)な画面表示が可能になっているのは、この進化のおかげです。

曇り空の屋外で最高照度を比較してみた。一見前モデルのTFT液晶(左)の方が明るいように見えるが、有機EL液晶(右)の方が高精細で、発色が鮮やか、コントラストも強いため、小さい画面でも見やすい。

さらに、F30から画面の明るさを周囲に合わせて自動的に調整する設定が可能となりました。スマホなどでも案外当たり前のようについている機能ですが、ちまちまと細かいことを気にするのが苦手な自分にとってはあると非常にありがたい。

「自動」の項目が追加され、新しくなった画面の明るさ設定。

ボタン周りの見直しによって誤操作は起こりにくくなったが…

ボタン部分の形状も若干見直されています。下の写真を見ると分かると思うのですが、左のF20まではボタンが周りから一段盛り上がっていますが、F30ではボタンの下(腕側)半分の凹凸を埋めるようにフラットになっており、手首を曲げたときに誤操作が起きにくい仕様になっていました。

F30(右)はボタンの下半分にご操作防止のカバーが付いた。

ただ、これだけであればよかったのですが、どうしても気になったのは、ボタンを押下したときの感触です。前モデルまであったクリック感がなくなり、心なしかふんわりとした印象。慣れれば何ということもないのかもしれませんが、個人的には前モデルの感触の方が好みでした。

オリジナルウォッチフェイス「フロンティア」が追加

新しいオリジナルウォッチフェイス「フロンティア」が追加されています。地形が強調された世界地図の上にヘックス(六角形)のメッシュが張り巡らされ、訪問した場所が色で塗りつぶされるようになっています。残念ながら現状ではまだ東京の1カ所が塗りつぶされたのみですが、ついついこれを装着して世界各地を塗りつぶしたくなります。

新ウォッチフェイス「フロンティア」では、訪問地にどんどん六角形のピンが立っていく。

機能面での比較

より詳細に、便利で使いやすくなったモノクロ表示モード

F20までは日付と時間のみの無味乾燥な表示だったモノクロ表示モードは、F30になって表示できる項目が劇的に増えました。たとえば高度・気圧・方位の一括表示、あるいは電池残量や歩数計など。これによっていちいちツールボタンからセンサーを起動する必要がなくなり、バッテリーの節約には大きく貢献してくれます。

モノクロ表示時でも気圧・高度が確認可能に。

用途に合わせて効率的に電池を節約できる3つのバッテリーモード

他のGPSアウトドアウォッチと比べ、かねてからやや懸念材料でもあった「バッテリーの持ち」ですが、F30では内部の回路設計やアルゴリズムを徹底的に見直したこと、そして効率的に電池を節約するための3つのバッテリーモードを搭載したことによって、ハード・ソフト両面から不安が軽減されています。

通常使用モード

まずは何も気を遣わずに、F20F30の両方を同時に使ってみました。2週間ほど試用した限りでは、時刻と通知を確認し、地図やアプリを数回使う程度の日常的な使用(F30でいうところの「通常使用モード」)なら、F30は日中16時間使用した程度で平均およそ50~70%程度の消費でした。これは前モデルF20と同時に使用して比較してみてもほぼ同じ、公称の「通常使用:約 1.5 日」というのにほぼ間違いはないでしょう。

エクステンドモード

エクステンドモード」は1泊以上の登山などを想定し、通常モノクロ表示画面で、GPSは生かしながら通信を切断し、ボタンを押すとカラー地図のみが表示されるというモード。このモードでは行動していないはずの夕方~翌朝までは自動で電源を切るようにあらかじめ起動時間を設定するため、ハイキングに必要最低限の機能を制限することで劇的にバッテリー消費を減らすことができます。

「エクステンドモード」ではあらかじめ行動計画を設定し、それ以外の時間は電源を自動で切れるなど、効率的にバッテリーを節約してくれる。

メーカーによると各日8時間の行動中にGPS記録、地図表示を行った場合、3日持つということですが、どの程度か自分でも実際試してみました。下の写真は約8時間の行動後の様子で、バッテリー残量は約70%程度。確かにこのペースなら3日持つはずです。

ちなみに、裏側でYAMAPを起動してトラッキングしておくこともできました。ただ、その際はバッテリー消費は案の定上記のようにはいかなかったため、実際にこれまでの使い方で3日持つようになったということではなさそうです。この辺の細かいチェックについては発売以降のレビューでじっくり試してみたいと思います。

マルチタイムピースモード

時刻とセンサー情報表示以外の機能をすべてシャットダウンして、バッテリー消費を最大限節約したモノクロ表示のみのモードで、メーカーによると電池は1ヵ月程度持つとされています。モノクロでの表示内容は高度・気圧・方位の「アウトドアモード」と歩数・バッテリーの「日常モード」の2つ。3日以上の長期にわたって充電ができない長期縦走などを想定しているようです。ただ個人的には必ずモバイルバッテリーかソーラーバッテリーを持参するし、もし時計機能しか使わない想定ならば普通のプロトレックを持っていくため、これは本当に万が一のためのモードといえるでしょう。

細かい点でより使いやすくなったオフライン地図

高精細で使いやすいインターフェースを備えたオフライン地図は、F30バージョンで地味にバージョンアップ。まずは地図上の自分の向いている方向が表示されるようになりました。

F30では地図上に時計の向きを表す表示が追加された。

さらに、ダウンロードして保存できる地図の数が1つから5つに増えました。これによって、おなじみの山域などをストックしておき、一度のダウンロードで繰り返し利用できるようになります。

ダウンロード済み地図の選択画面。写真上部の「1/3」は、ダウンロードした3つの地図のうちの1番目という意味。

まとめ:待ち望んだ正統進化と細かい改善によって、より毎日着けていたくなるアウトドアスマートウォッチへ

ボディを小型化し、有機EL液晶を纏ったWSD-F30は、全体としてみればアウトドアに最適な堅牢性とオフライン地図という前作からのコンセプトはそのままに、よりコンパクトに、見やすく、使いやすく進化しました。懸案のバッテリーに関しても節約する選択肢が用意されたことで、アウトドアウォッチとしての使いやすさは堅実に進歩してくれたといえます。

さらに最新バージョンのWear Os by Googleによって、GoogleアシスタントやGoogle Fitをはじめとしたアプリがより身近に使いやすくなり、日常での使い勝手もますます捗るようになりました。小型化しながらも見やすくなったF30はスマートウォッチとしての使い心地も着実に向上しており、その意味で日常から週末のアクティビティまで、アウトドア派ユーザーの毎日にとって欠かせないアイテムになってくれそうです。

次回は発売後、フィールドで細かい使い勝手などをさらに突っ込んでレビューしていきたいと思います。

なお冒頭でも書きましたが、2018年12月1日にはPRO TREK Smartを取り扱っている店舗での先行予約受付がはじまるそうですので、気になる方はぜひチェックしてみてください。詳細についてやお問い合わせははこちら(公式製品ページ)へ。さらにメーカーによるお役立ち情報や最新情報などはPRO TREKのFacebookページで発信中です。