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First Look:カシオ PRO TREK Smart WSD-F20 オフライン地図の実力は?早速ハイキングに使ってみた

スマートウォッチの魔法を、タフなアドベンチャーにも――。あくまでも穏やかな日常やフィットネスが主戦場であるこの分野で、そんな大それた夢を具現化しようとしているメーカーは、今のところ世界中を見渡してもカシオくらいしか見当たりません。例えばSUUNTOのスパルタン、Garminのフェニックスシリーズといったハイエンドモデルは、フィットネス系ウェアラブルデバイスとしてそれぞれが独自の完成度の高いエコシステムを形成しています。とはいえ今のところ、登山を楽しむアウトドア愛好家にとっての楽園はまだどこにもないというのが現状です。

そんななか昨年登場したWSD-F10は、カシオがアウトドア向けスマートウォッチという新しいマーケットを切り拓こうとした意欲作でした。多くのスマートデバイスが抱えるハード的な限界や、Android Wearの完成度の低さによる課題も見受けられた一方で、タフな環境に耐えうる強靱なボディに繊細なアプリケーションを落とし込んだという意味で、山好きにとって大きな希望を抱かせるデバイスであったことは間違いありません。

その初代から1年後の2017年4月21日、早くも後継機種WSD-F20が登場。ついに同社のアウトドアウォッチシリーズの看板である「PRO TREK」の名が冠されました。それは初代モデルで得た確かな手応えを糧に、本格的にこの分野「山で使えるスマートウォッチ」を牽引していく決意と自信の表われ以外の何ものでもない、少なくともその意気込みがひしひしと感じられます。

今回の新モデルでは何よりスマホに頼らずオフラインで利用できるマップ機能が強化されたことが大きなニュースですが、その他にも初代を超えようとするいくつかの試みがなされています。また豊富な機能とタフな性能にもかかわらずかなり競争力のある価格に抑えられており、スマートウォッチの利便性を日常でもアウトドアでも楽しみたい多くの人たちにとって、非常に魅力的なウェアラブルデバイスとなっています。

そんなWSD-F20ですが、昨年に引き続きカシオさんから実機を提供いただきつつ自由にレビューさせてもらえることになりました。そこでまずは発売してすぐ、ハイキングとトレイルランニングで試用してみてのファーストインプレッションや、ざっくりとした使い心地について、いち早くレポートしてみたいと思います。

目次

ファーストインプレッション

“機械”の美しさと質感を損なわずにより洗練されたデザイン

デザインやカラーリングの基本的なコンセプトに関しては初代モデルとほぼ同じ路線です。前モデルも嫌いではなかったのですが、こうして新作を見ると、新たに追加されたつや消しブラックのベゼル、そして頂点に輝く「PRO TREK」の文字が入ることで格段にメリハリが出て良くなった気がします。文字盤がデジタル表示でどうしてもチープになりがちなスマートウォッチですが、ボタンやネジの光沢など、さすがはプロトレックといわんばかりの機械美です。

大きさの割にストレスのない重量

機能が増したにもかかわらず最小限の大きさに留めた本体サイズ(約 61.7 × 57.7 × 15.3 mm )は、それでも普通の時計よりは一回り大きく、はじめて装着した人にとっては違和感を感じるかもしれません。ただ、文字盤でさまざまな情報を表示し、タッチパネルとして操作しているうちにすぐ慣れてくるので、そこまで気にはならなくなります(参考までに下写真では同じプロトレックのPRW-7000と比較)。

ただ前作レビューでも述べましたが、厚み(初代と変わらず15.7mm)に関してはザックやウェアの脱ぎ着の度に引っかかるので、ここは引き続き何とかして欲しいところ。一方見た目のゴツさにも関わらず、重量に関しては他のプロトレック(ここではPRW-7000)よりも軽いのには驚きです。

従来のプロトレックと比べて大きさでは一回り大きいものの、重量では僅かながら軽く押さえられているので、装着時の負荷はあまり気にならない。

前作に引き続きシンプルなボタン構成

本体にあるボタンは右側に3つだけというシンプルさ(下写真)。大きさも、グローブをはめていても確実に押せる大きめサイズです。側面真ん中の大きなボタンは時計にインストールしたさまざまなアプリを起動するためのメニューに移動し、側面上の「TOOL」ボタンからは高度や気圧などさまざまな計器にアクセスが可能。また側面下「APP」ボタンには起動するアプリを自分で自由に設定でき、ワンボタンで設定したアプリが素早く起動するようになります。

ボタンは右側の3つに集約され、左側はセンサーと充電端子のみというシンプルな構成に。

「PRO TREK」の名に恥じない強化された耐久性

初代から引き続き5気圧防水、米軍MIL規格をクリアしたという耐久性に関しては従来のアウトドアウォッチと比較してもほぼ遜色ないレベルで安心できます。そして何より嬉しいのは最低使用温度が初代の0℃から-10℃になったこと。これで心置きなく雪山にも連れて行けますね。

マグネット式充電端子はやや注意が必要

充電には時計との接続部分がマグネット式の専用ケーブルを使用します。このケーブルが左右からの力に弱く、充電中もちょっとしたことで簡単に外れてしまいます(下写真)。日常で机の上などにそっとしておければ問題無いものの、テントの室内やバックパック内での充電は結構キツいので注意が必要です。

オリジナルウォッチフェイス「トラベラー」が素敵

文字盤がカラー液晶表示であるスマートウォッチは豊富なウォッチフェイスが選べるのが魅力のひとつ。今回特筆したいのはF-20のために追加された新たなオリジナルウォッチフェイス「トラベラー」。プロトレックのフラッグシップモデルである「MANASLU PRX-8000」をほぼほぼ再現しており、通常は「TOOL」ボタンで切り替えてみる情報を、液晶画面をタップする毎に瞬時に切り替えて表示させることができます。使い勝手とデザインを両立させたフェイスの追加は否が応でもそそられます。

早速ハイキングで使ってみる ~その手順と使い心地~

ハイキング前日までに:準備

外観はこれくらいにして、早速アウトドア、特にハイキングでの使い勝手についてレポートしていきます。

まず時計を使い始めるにあたっては、スマートフォンに「Android Wear」アプリをインストールし、さらにスマホと時計をBluetooth接続によってペアリングする必要があるのは相変わらずです。ついでにアウトドアの便利な通知機能「MOMENT SETTER」の設定や、ツールアプリの細かい設定などがスマートフォン側で変更できる「CASIO MOMENT SETTER+」もあらかじめインストールしておくとよいでしょう。

次に今回の目的でもあるオフライン地図を使用するために忘れてはならないのは、山行の度にあらかじめ目的地周辺の地図をダウンロードしておくこと。これをしていないと電波が届かない場所にいたとしても地図は表示できません。ダウンロードする地図の範囲は縮尺を動かしたりして自由に設定できますが、容量に制限があるらしく、あまり広大なエリアを指定すると詳細部分の地図がダウンロードされないので、エリア設定はなるべく自分の行動範囲(できれば電波の届かないエリア)に限るのが賢い設定のようです。

なお時計側にインストールされた「ロケーションメモリーアプリ」を最新版にアップデートしておかないと地図ダウンロード機能が使えないので、買ってから時計側のアプリを何も更新していないという人はそちらもお忘れなく。

登山口で:アクティビティアプリ他、計測したいアプリを起動

アクティビティの進行状況をリアルタイムに把握し、設定したゴールまでの経過測定を行ってくれるのがアクティビティアプリ。F20からはトレッキング・サイクリング・フィッシングという従来の3つに加え、新たにカヌーやカヤッキングなどの「パドルスポーツ」とスキー滑降の「スノー」が加わり、より多彩なアウトドアを便利にしてくれるようになりました。

「トレッキング」を選択し、「スタート」をタップすることで計測が開始。アプリをスタートさせると1画面の中に1時間あたりの高度差・現在時刻・目標高度とそこまでの残り高度(目標高度はあらかじめ設定しておく)・計測時間が表示されます。

なおAndroid WearデバイスであるF20はプリインストールされたアクティビティアプリだけでなく、サードパーティ製のフィットネスやアウトドア管理・記録アプリももちろん利用可能です。今までスマホで使用しているアプリが(対応していれば)そのまま時計上で利用できるというのも大きな魅力です。

ハイキング中:各種メーターを見る

コンパス・高度計・気圧計・日の出日の入り・タイドグラフ・活動グラフには側面右上の「TOOLボタン」からリアルタイムに確認することができます。従来の時計のような小窓ではなく画面いっぱいにグラフィカルに表示され、視認性は良好です。

地図で現在地と軌跡を確認する

ハイキングや登山では高度計やコンパスが便利なのは当然ですが、何といってもあると便利なのが地形図とGPSによる現在表示。これまで地図を表示できるのは電波が届いているエリアか、YAMAPなど特定のアプリを利用するしかありませんでしたが、今モデルからついに標準機能としてオフライン地図が利用できるようになりました。地図は世界中のエリアをカバーしたMapbox社製で、さすがに国内の登山地図のような情報は網羅されていませんが、フルカラーで見やすく、等高線や登山道などもしっかりと記載されていたので一安心(すべてのエリアを詳細に確認したわけではないので、もう少し様子見ですが)。また現在地把握も日本の衛星「みちびき」に対応し精度は十分です。

Mapbox製の地図はカラー表示も等高線も見やすく、さっと見の地図としてはまずまず。ただ所々英語表記なのは今後に期待。

山奥に入って早速電波が届かなくなりましたが、ダウンロードしていた地図は問題なく表示されています。

写真が暗くて若干見にくいが、電波の届かないところでは、右のスマホ上のマップは地図が表示されていないが左のF20ではダウンロードしたオフライン地図と現在地がしっかりと表示されている。

ハイキング終了後、自分の通った軌跡を確認。登りがオレンジ、下りがブルーで表示されている。

その他面白そうな機能としては、「ロケーションメモリー」アプリを使うと地図上にチェックや音声メモを残すことができます。ここからはまだ試していませんが、さらにその情報をGoogleドライブにアップロードし、Google Earthで閲覧なんてこともできるとか。やはり天下のGoogleですから、そういった連携がどんどんできるようになれば無敵ですよね。

大菩薩嶺手前の「雷岩」地点を自分でチェックしてみた。

CASIO MOMENT SETTERが活動状況を逐一通知

「MOMENT SETTER」はアクティビティアプリと連携して動作する通知サービス。これは写真のようなさまざまな条件を設定でき、状況変化をタイムリーに気づかせてくれるスマートウォッチならではの機能。基本的なところでは移動距離や高度が一定程度進んだところでグラフや地図を表示してくれる設定をしていますが、日の出の1時間前や、気圧の急激な下降・上昇など自然環境の変化を知らせてくれる機能はこれまでどうして気を配りにくかった情報に確実にアクセスできるのはかなり便利。その他身長・体重など設定して消費カロリーを計測することもできるので、消費カロリー毎に休憩を指示してくれる設定もありがたい。

「MOMENT SETTER」で設定すれば、一定時間ごとに休憩のタイミングを知らせてくれる。

気になるバッテリーの持ちは?

誰もが気になるであろうバッテリーの持ち具合についてですが、最終的な結論を下すにはまだもう少し使い込んでの検証が必要です。というのも、Android Wearは色々できるがゆえに、電力を消費する要因と、使う上でムダな(節約できる)設定というのがまだ掴めていないからで、はじめて無計画に機能を使いまくっていたときは半日程度でみるみるうちにバッテリー切れ寸前まで消費されていってしまいました。そこで次はトラッキング精度を「バッテリー優先」にしたり、見ていないときの画面をすぐにOFFにする設定にしたりといくつか(当たり前の)工夫をしたところ、数時間寿命が延びた気がします。ちなみに日常使っている限りでは1~2日は持ちますから、そんなに致命的でないことも分かっています。

ただ、どれが電池寿命にとって必須の設定なのかはまだ絞り込めていないのが現状なので、今後はトラッキング精度を調整したり、画面の明るさ、スマホとの連携の有無、起動アプリの多少などによってどれだけ電池がより長持ちするのか、ならないのかをさまざまな角度から検証してみたいと思います。

まとめ:工夫次第で自分だけの使い方ができる、アウトドアでも十分使えるスマートウォッチ

頑強なボディにオフライン地図をはじめとした多彩なアプリを閉じ込めたWSD-F20は、前作からは何も切り捨てず順当な進化を遂げたことで、理想的なアウトドアウェアラブルデバイスとして着実に先頭集団にいるデバイスです。美しく信頼性の高いボディはもちろん、中身のAndroid Wearは日常から本格アウトドアまで、さまざまな用途目的に応じて自分好みの設定やアプリをカスタマイズできるという今のところ唯一の魅力を備えています。それは依然として大きなアドバンテージであることが今回あらためて感じることができました。

ただユーザーがストレスフリーで最新機能を満喫できるというレベルに至るにはまだすべてのメーカーが超えなければならないさまざまなハードルがあり、WSD-F20とてまだそこに達しているとはいえないのも事実。やはり快適に使うにはユーザー個々人である程度のコツが必要です。

追記:その後、このデバイスを登山などのトレッキングで快適に使用するために最適な設定は何か、どんなアプリをどう使うのが楽しく便利なのかということを中心に、もう少し検証してみましたので、興味のある方はこちらの記事をご覧ください

[カシオ]CASIO スマートアウトドアウォッチ WSD-F10BK メンズ

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