歩かずに死ねるか!アメリカ国立公園への旅(7)モニュメントバレーでナバホ族の住居「ホーガン」に宿泊
アメリカという国になる遥か前からこの大地に住み自然と共存してきた先住民達。
その中でもアメリカ最大の面積を現在も誇るのがナバホの人々が住むナバホの国(Navajo Reservation)。
アリゾナ州とユタ州にまたがる広大な部族公園のモニュメントバレーはナバホの国の中にあり、ナバホ族が昔から崇めてきた神聖なる大地です。
どこまでも続く赤土の中に神業としか思えない岩々の芸術が広がる場所。まさに映画の世界。
ここは国立公園ではなく、ネイティブアメリカンであるナバホ族が管理、管轄するトライバルパーク(部族公園)となり、彼らは昔からここを聖地として崇めてきました。
モニュメントバレー周辺はもちろんですが、バレー内で現在でも水道も電気も通っていない場所で伝統的な生活を続けていらっしゃる人々がいるのです。彼らが昔、利用していた住居「ホーガン(Hogan)」も今でもバレー内にはあります。
そんな彼らの知恵からできたホーガンに宿泊できるってご存知でしたか?
ホーガンに宿泊し、満天の星空に包まれて寝る夜。
夜になって星空を見ながら思うことは、この地球はなんて美しいのだ。。ということ。
あまりにも壮大で不思議がいっぱいの自然界、そして夜空の向こうに広がる宇宙の美を垣間見て、あまりの大きさに心が戸惑うほど。
まさにネイティブアメリカンが自然の中に神秘を見出し、自然の中から全てを学んでいったことに同感でき、大きな丸い地球の中で大自然、人間、動物、すべては同じ生命体として共存してるのだ、、と感じることのできるパワースポットです。
ナバホ族の知恵から生まれた住居「ホーガン」とは
冬は暖かく夏は涼しいという彼らが長年自然界の中で生きていく上で、学び、試行錯誤し、そして彼らの知恵から生まれた住居ホーガン。
地球と共に生き、自然に対して深い敬意を払うナバホ族達の知恵から生まれました。
現在でも昔ながらのスタイルでホーガンをあえて自宅の横に建て、そこに住んでいる人達もいらっしゃいます。現在でも、このホーガンで暮らす伝統派のナバホの方は多いそうです。彼らの住むホーガンには電気・水道は一切なし。電気を使うときは、発電機を利用しているそうです。
ホーガンは半球型の土で作ったかまくらの様な形で ジュニパーという木を骨組みにして、外壁に泥を付けて完成させます。ジュニパーの丸太をキッチリ積み上げ釘は1本も使わず半球の型をつくるのだそうです。ホーガンの土が雨などですり減ってしまったら又ペタペタと貼り直せば良いのだよ!とナバホの友人ジョンソンは言っていました。
そしてホーガンの入り口は必ず東側に作られています。彼らにとって神聖な方向である東。
朝日が昇る時間帯が1日の中で一番神聖な時間とされているようで、神聖な新しい光を家の中に取り込み、そのスピリットと1日を過ごせるように、、ということでホーガンの入り口はいつも東向に作られているそうです。
ホーガンは母なる大地と父なる空との関係を保つとも言っていました。天井となる空は父、地面となる大地は母、その両方に囲まれて暖かな空間がホーガンの中。ということになります。
ホーガンの中の真ん中には薪ストーブが置かれ、空に向かって真上に煙突が伸びています。その薪ストーブの上で料理をして、暖をとる。シンプルですが必要なものは全て揃っています。
ホーガン・オーバーナイトを予約
そんなホーガンで宿泊ができるのです。しかもモニュメントバレーの公園中で。
前回の記事でもご紹介しましたが、モニュメントバレーはナバホトライバルパークということでナバホ政府が管理する部族公園です。バレー内には現在でも実際に住んでらっしゃる住民の方がいらっしゃり、私有地の場所もあるので、地元のナバホが運営するツアー会社を通してホーガン・オーバーナイトを予約する必要があります。
地元のツアー会社は何社かありますので、自分の好みや料金などを見てウェブか電話で事前予約する形になります。(何社かオーバーナイトを実施している会社があります。Monument Valley Simpson’s Trailhandler Tours 1泊 $250など)
ホーガン・オーバーナイトで体験できること
オーバーナイトの予約をすることで モニュメントバレービュースポットツアー、夜の食事、食事後のナバホによる歌、ダンスのパフォーマンス、寝袋などの用意、朝日鑑賞、朝食が付いていますので盛りだくさんです。本当に想像以上、料金以上のプライスレスな体験ができるのは間違いありません。
以下に、典型的なスケジュールの1例を挙げてみます。
1.ビジターセンターで午後3時か4時頃に申し込んだツアーのナバホドライバーガイドと集合
2.自分の車はビジターセンターの駐車場に置き、そこからはドライバーさんの車でいよいよバレー内に出発、ビューポイント巡り(観光)
3.ビューポイントを巡った後、宿泊するホーガンのある私有地へ行き、まずはホーガンの説明やお手洗いの場所、諸注意などを聞き、その後は束の間リラックスタイム。ちょうど夜になる前の美しい時間帯なので、写真をとったり周りを散歩したり。。
淡い色が混ざり合う夕方の空。
その間にナバホのスタッフさん達が夜ご飯の準備をしてくれてます。
4.夕食タイム! ディナーはナバホタコ!ナバホの伝統料理であるコーンフラワーから作ったフライブレッド(揚げパン)に野菜、お豆、ステーキなどがのった食事!ベジタリアン用にも対応してくれます。ナバホタコのフライブレッドは日本人にもすごく合いますよ。できたてはフワッフワで本当に美味しい。懐かしのコッペ揚げパンを薄くして柔らかくした感じ?フライブレッドに粉砂糖やはちみつをかけることでデザートにもなります。
ナバホの方々と一緒に食べながら楽しいひと時。
5.食事の後はナバホの方による歌とダンスのパフォーマンス。そしてストーリータイム。
心と体に響くナバホの歌とダンス、彼らの歌やダンスは彼らの文化、生活そのものです。
現在は歌を歌ったりセレモニーをしたりする人は昔に比べると少ないようですが、でも今でもナバホスピリットを常に持ち、昔ながらの伝統や習わしを大切にしている人もいます。私たちのガイドさんのジョンソンもその一人。歌は人生そのもの と彼は言っていて色々な話をシェアしてくれました。
彼らの歌は自然界に常に語りかけ、自然界からメッセージを受け、そこから生まれてきたものが多いそうです。
ナバホ語で歌う歌はもちろん言葉はわからないし、意味もわかりませんが、そんなものは関係なく、彼らの歌からは深いところにあるメッセージが心に響き打たれるものがありスピリチュアリティーを感じずにはいられません。
素敵なパフォーマンス鑑賞のあとはサプライズで手作りブレスレットのプレゼントまで、、一人一人にそのブレスレットに込められたメッセージを説明しながら結んでくれて、本当に感謝でいっぱいです。
その後のストーリータイムは彼らが考える人間と自然のあり方や、考え方、彼らの文化や習慣、生活ぶりについて話を聞くことができ、語られるナバホにまつわる話はスピリチュアルな世界観に満ちています。
6.自由時間、就寝
すっかり暗くなり静まり返った大地ですが、ホーガンの外にでると、頭上に広がる宇宙の不思議。満天の星空に、どこまでも広がるはてしない宇宙。
肉眼で天の川を見ることができ、非日常な風景に皆言葉はありません。
皆で束の間地面に座り、各々静かな時間をすごしました。
7.その後はホーガンに戻り就寝。写真は11月でしたが、ホーガンの中は薪ストーブが炊いてあり暖かくて心地よかったです。寒いのかな、、という事前に予想していた心配は全く無く、暖かいホーガンと大地のエネルギーに包まれながら就寝です。
8.朝、ナバホのジョンソンが薪を追加しつつ、起こしにやってきます。水道、電気は通ってませんが、お水が利用できるタンク、バケツなどがあるので、その水で顔を洗ったり歯磨きをして準備をしたら、朝日を見に出発です。
9.ホーガンから車で10分くらいで朝日、絶景スポットに到着。
夜から朝になる瞬間を見て、あまりの美しさに言葉はありません。こんな美しい芸術がここでは普通に毎日行われているんだと感動しました。
太陽も顔を見せ、本日も晴天。清々しい1日の始まりです。
10.朝ごはんはシリアル、ハム、パン、ミルクやヨーグルト、フルーツやドライフルーツ、ペストリーなどのコンチネンタルブレイクファストスタイルで、朝ごはんを済ませたあとツアーは終了です!
朝食でのコーヒーも身体にしみましたが、ナバホティーもとっても優しい味でおいしかったです。お土産にぴったりですよ。カモミールティーのような味でした。お土産屋さんや近くのスーパーに置いてあります(人気で売り切れの場合もあります)。
最後に
1泊のみでしたが内容は盛りだくさん。本当にホテルの宿泊では味わえない経験ができ、人生においての良い経験、思い出になると思います。
何よりもネイティブアメリカンのナバホの方々と触れ合えることはなかなか無い機会で、彼らの歌やストーリーが本当に心に染み、さらにこの赤い大地とナバホ文化が美しく繋がることで心惹かれる自分達がいました。アメリカが持つ雄大な大自然と長い歴史、美しい大地を更に知りたくなります。
モニュメントバレー内、ホーガンオーバーナイト心からお勧めしますよ。オーバーナイトのご質問や代行予約が必要な方はお気軽にアナミツアーまでご連絡ください。お手伝いいたします。
加藤 さやか
モニュメントバレーのハイキング・旅行プランはお任せください。父の影響もあり昔からアウトドアアクティビティーが大好きで、日本にいた頃から登山、国立公園巡りをする中で、アメリカやカナダの大自然に魅了され、その結果念願だったアメリカに辿り着きました。現在は日本人ガイドと行く完全プライベートハイキングツアーなど、お客様と一緒に作る現地オプショナルツアーを提供するANAMI TOURSを営んでいます。現地在住だから知り得る、スペシャルなオプションをご紹介させて頂きます。ご興味ある方は下記HPから。