歩かずに死ねるか!アメリカ国立公園への旅(10)自然が作り出した芸術作品。見られなくなる前にぜひ行っておきたい アーチーズ国立公園
長年の雨や雪・風などによる侵食によって自然に作り上げられた岩のアーチが、まるで芸術作品のように立ち並ぶ「アーチーズ国立公園(Arches National Park)」。
東京23区の半分ほどの面積をもつ公園内には2,000以上のアーチが存在するといわれ、地球上で自然にできたアーチが最も集合している場所がここ!という説もあるとか。多くの人々を魅了し続けている人気の高い国立公園です。「人工的に作ったテーマパークなんじゃ?」と感じるほど完璧なアーチが至る所にそびえ立っています。長い時間をかけてできたアーチの侵食は今も続いており、将来的にこうした景観を観る機会はさらに減ってしまう可能性もあります。会いにいくならば早いに越したことはありません。
ユタ州の車のプレートデザイン(下写真)にもなっているシンボル的なこのデリケートアーチ(Delicate Arch)は歩いて近くまで観にいくことができます。
今回はこのアーチーズ国立公園の中でもメジャーなハイキングコースである、デリケートアーチ・ハイキングコースをご紹介します。
目次
ユタ州のシンボル的国立公園、アーチーズ。デリケートアーチ・ハイキングコースとは
このコースはアーチーズ国立公園の中でも大人気のハイキングコース。一目あの優雅な、そして堂々たるアーチを近くで見ようと、多くの人々が足を運びます。ほどよく坂もあり、平坦な場所もありという形でバランスの良いハイキングコース。キツ過ぎないところも人気のトレイルの一つです。
アーチーズ国立公園への行き方
一番近いモアブの街から車で約10分 (宿泊はここがおすすめ)
ソルトレイクシティ国際空港(SLC)から
車で約4時間。(SLC)発だとアーチーズ国立公園、キャニオンランズ国立公園、デッドホースポイント州立公園、モニュメントバレーなどをセットに廻る道順もあります。
マッカラン国際空港(LAS)(ラスベガス)から
車で約7時間。(LAS)発だと、ザイオン国立公園、ブライスキャニオン国立公園、キャピトルリーフ国立公園を経由してアーチーズ国立公園へ至る道順もあります。
宿泊施設
近くにあるモアブという小さな街が旅のベースとなります。モアブの街を中心に多くのAirbnbをはじめ、モーテルやリゾートホテル、レストランやスーパーマーケット、ギフトショップがあり、必要なものはここで簡単に手に入ります。
近くにはキャニオンランズ国立公園やデッドホースポイント州立公園などの美しいエリアなどへアクセスができ、アーチーズとセットでモアブの街を起点にアメリカの大自然を楽しんでいただける場所です。もし余裕があれば、モアブに2、3泊して周辺の国立公園を一緒に回るのがベストです。さらにアウトドア好きにはコロラド川エリアのマウンテンバイクツアー、四輪駆動車ツアー、リバーラフティングなどのツアーもこちらで申し込むことができます。
夏休みなどの繁忙期はモアブの街も混んでいますので、モアブに宿泊できない場合は、1時間半ほど離れるとコロラド州グランドジャンクション、南に下りればモンティセロ、ブランディングと宿泊できるエリアは他にもあります。
入園料 (2020年3月現在*)
公園に入るためには前もって手続きはいりません。エントランスで入場料を払うのみです。
- 一般車(自家用車)$30.00 (15人乗りまで)
- バイク $25.00
- 車以外の自転車やハイキングをする人は一人当たり $15.00
営業時間
エントランスは24時間1年中オープン。エントランスを入ってすぐのところにビジターセンターがあります。
ビジターセンター営業時間(祝日は特別営業の日有り)
- 11月から3月:8時から16時
- 3月4月、10月:8時から17時
- それ以外は:8時から18時
公園での案内所は?食料や装備は補充できる?
ビジターセンターでマップなどの情報収集ができますが、飲食は売っていませんのでモアブの街でしっかりとご準備を。ビジターセンターの入り口にお水を補充できる場所はあります。
ビジターセンターではそこでしか購入できないアーチーズのロゴが入ったグッズや、アーチーズのムービーが流れていたり、ブックストアもあるのでそこでアーチーズの歴史なども学ぶことができます。ビジターセンターは帰りに寄ろうとすると、時間が遅くなり、閉館に間に合わないことがよくあるので、公園観光に入る前に立ち寄ることをおすすめします。
天候
グランドサークルならではの砂漠気候で夏は非常に暑く、冬も高地のためかなりの寒さとなります。1年中乾燥していますが、夏は特に乾燥と日差しが激しいので要注意。過去に7月で46度という暑さを記録しています。
おすすめのハイキングシーズンは4月から6月、9月から11月。夏休みも入る6月~8月はピークで公園内も混んでいます。4月、10月、11月が人の数もわりと少なくベストシーズン。(夏は軽く40度を越しますので熱中症対策を。)オフシーズンは12月~3月。特に真冬に当たる1、2月は積雪もあり温度もかなり低くなります。
国立公園自体は年中オープンしているため訪れることは可能ですが、天候が変わりやすいので最新の情報を常に手に入れてください。入園規制や天候・コンディションなどの情報はアーチーズナショナルパークのHPから。
ハイキングに携行すると便利な持ち物
- 飲み物 (夏は多めに、4リットル位あれば大丈夫だと思います。)
- 気温の調整できる防寒着
- トレッキングシューズ
- 帽子
- サングラス
- 日焼け止め
- ハイキング中に食べるスナックなど
- 常備薬などがある場合は薬やバンドエイドなどのファーストエイド
- 雨具
デリケートアーチ・トレイル ハイキング情報
- 距離:往復約:5 km 標高差:約186m
- 所要時間:往復:約2.5時間~3時間
デリケートアーチは夕日に染まる姿が有名ですが、いつ来ても美しくそびえ立つ姿はたくさんの人々を魅了します。でも夏の間は軽く40度を越すエリアです。夏にハイキングを予定されてる方は早朝か夕方など気温が少しでも低い時間帯にハイキングへ行かれることをおすすめいたします。
夕日の時間帯には刻々と色を変えていく空とアーチの景観は自然界だけが作れる芸術以外の何物でもなく、本当に美しい世界が広がります。ただし日没後は真っ暗になり帰り道はやや危険です。ビジターセンターで情報を入手し、日没時刻や所要時間を考慮して、真っ暗になる前に帰って来る予定でお楽しみください。
またもし日没まで待って下山される方は道が見えなくなりますので懐中電灯は必須アイテムです(冬場の雪が降っている時期や気温が低い時期はは地面は滑りやすく大変危険なのでハイキングはおすすめしません)。
アーチーズ国立公園内はとてもシンプルです。ビジターセンターで無料マップをもらいまずはデリケートアーチのトレイルヘッド目指して車を走らせましょう。ビジターセンター(地図上の1 )からダイレクトにデリケートアーチのトレイルヘッド(地図上の3 )へ行けば北へ30分ほどで到着です。
途中のドライブウェイにビューポイント(地図上の2 と4 )があり、おすすめポイントがいくつかありますのでオプションとしてハイキングにプラスして寄っていただきたいポイントもご紹介します
バランスロック (Balanced Rock)
ここはアーチ型の岩ではないですが、公園を代表する有名な岩のひとつ。
頂上に乗った岩が今にも落ちてきそうで見るからにヒヤヒヤする岩。
周りを歩けるように0.5kmの短いトレイルがありループになっているのでお散歩気分で一周歩いて廻れます。お時間がある方は是非歩いてみて下さい。30分もあれば歩けます。近ずけば近ずくほど岩の大きさに驚きですよ。
ウィンドウズ セクション(Windows Section)とダブルアーチ(Double Arch)
車でバランスロックの先を右に曲がり、4kmほど走ると、ループ状の駐車場に当たります。駐車場右手がウィンドウズ セクション(下写真)。North WindowとSouth Windowと名前が付けられた二つの大きなアーチがあり、その反対側にはTurret Archというまた違うアーチがあり、たくさんのアーチの集合体、見どころ満載なエリアです。
駐車場入り口から左側にはダブルアーチ(下写真)の見えるポイントへのトレイル1.2 km が続きます。このダブルアーチもとても迫力があり映画などの撮影地として使用された場所でもあります。
ほぼ同じエリアにダブルアーチとウィンドウズセクションがあるので、バランスロックの後、もしくはデリケートアーチ・ハイキングの帰りにでもぜひ立ち寄ってみてくださいね。
ここだけ制覇するだけでもプチハイキングになるので、体力が心配な方はデリケートアーチと違う日にここのスケジュールを組んで歩いていただくといいかもです!体力のある方は1日で全部廻れますよ。
デリケートアーチ・トレイルヘッドへ
ビジターセンターからハイキングのトレイルヘッドまで車で約30分かかります。売店などはありませんので、お水、スナックなどはしっかりと用意してきてくださいね。
駐車場と簡易トイレがあります。車が沢山停まっているのですぐにわかると思います。
基本的にしっかりトレイルがありますし、歩いている人も多いのでトレイル自体はとてもわかりやすく歩きやすいです。途中にお馴染みケルンもあり道案内してくれます。最初はほぼ平らな道のり!
10分位歩くと目の前にゆるい傾斜の丘が見えてきます。ここが意外に急ぐときつい!標高と砂漠地帯のカラカラ感が思った以上に体力を奪うので、あまり急がないで!
これからはゆるい上り坂が続きます。健脚な方ならまったく問題ありません。
歩いている人の中にはご年配の方も多く、皆さん各々歩いては休憩して、また歩いて、、を繰り返しながら家族の方に支えられて歩いてらっしゃる方も多かったです。とても微笑ましい光景でした。
迷いそうな場所には標識もしっかりあるので、それに従っていきましょう。
景色はグランドサークルならではで雄大で素晴らしく、天気が良ければ青空と赤土がさらに映えて美しいと思います。
デリケートアーチは最後まで姿を見せてくれないので、「楽しみは最後にとっておけ」という感じで歩きながら、まだかな、まだかなというワクワク感が常にあります。
最後の方は道が細い部分もあり、反対側は断崖絶壁になっている箇所もありますので、足元は常に注意してくださいね。後半は、岩山に沿って歩くルートになります。
そしてついに最後、開けた場所が見えてきたと思うと、ゴージャスにそして堂々たるデリケートアーチの登場です。高さは14mほどで4階建てのビルに相当します。
周りにゆっくりとできるスペースもあるので写真を撮った後は、お弁当を食べたり、寝そべったり、贅沢な光景を前に各々自由に時間を過ごせます。
デリケートアーチを十分に堪能したら帰りは来た道を。1時間くらいあればトレイルヘッドまで戻れると思います。
夕焼けが有名なデリケートアーチですが、冬以外のハイシーズンは人気スポットということもあり、アーチ周辺には観光客で非常に混雑します。なので空いている時間帯を狙うなら朝焼けの時間帯に訪れることもおすすめですよ。
ハイキングの後、車での帰り道、夕日に染まる岩岩がとても神秘的でした。
ほんの束の間のサンセットタイム。
普段見ることのない鮮やかな空の色。刻々と変わる美しい夕焼け空に心が和み1日が終わります。
長い時間をかけてできたアーチの侵食は今も続いており、すでに崩れてしまったアーチや、現在崩れかけてきているものもあります。このため興味のある人はなるべく早く来園することを国立公園側もすすめているくらいです。しばらくのうちはまだ訪れることも簡単ではないかもしれませんが、日本では決して見ることのできない自然の芸術作品に、いつかぜひ会いに来てください。
新型コロナウィルス感染拡大に関するご注意
2020年7月現在、各国では検疫体制強化に伴う入国制限をはじめ、国立公園への入園規制や国内の移動制限など、さまざまな状況があり得ます。そうした条件は予告なく変更になる場合がございますので、旅行の際には必ず各国の大使館・領事館及び外務省海外安全ホームページ(感染症危険情報)、国立公園ホームページをはじめとした現地情報を入手し、乗継地および渡航予定国、訪問予定地周辺の情報を確認してから無理のない計画・行動をしてください。
加藤 さやか
アーチーズ国立公園のハイキング・旅行プランはお任せください。父の影響もあり昔からアウトドアアクティビティーが大好きで、日本にいた頃から登山、国立公園巡りをする中で、アメリカやカナダの大自然に魅了され、その結果念願だったアメリカに辿り着きました。現在は日本人ガイドと行く完全プライベートハイキングツアーなど、お客様と一緒に作る現地オプショナルツアーを提供するANAMI TOURSを営んでいます。現地在住だから知り得る、スペシャルなオプションをご紹介させて頂きます。ご興味ある方は下記HPから。