当サイトのレビュー記事はアフィリエイトリンクを通して製品を購入いただくことで少額の収益を得ています。

Fenix HM62-T レビュー:最大光量1200ルーメン!優れたパフォーマンスとタフネスを両立したアウトドア向けヘッドランプ

1日の行動時間が長くなるような縦走登山では夜明け前に出発することもありますが、そんな時に安全に歩くために欠かせないのがヘッドランプ。

夜に星空撮影に行く際も真っ暗な山の中で頼りになるのはヘッドランプの明かりのみです。

またヘッドランプは暗い道を歩いたり泊まり山行のテント内だけで必要なのかというとそうでもなくて、行動時間の短い山行であっても不足の事態に備えて必ず携帯する必要のあるアイテムです。

これまでは300ルーメンほどの明るさのエントリーモデルを使っていた筆者ですが、正直夜明け前の行動では物足りなく、もう少し明るいヘッドランプにしたいと考えていたところ、タイミングよくレビューを条件に提供してもらったのが「Fenix HM-62-T」。

Fenixといえば、2000年代前半に中国は深センで創設された総合ライティングメーカー。質実剛健な作りとハイパフォーマンスが徐々にハイカーやトレイルランナーにも認められ、今や本場欧米の愛好家の間でも一定の評価を得られるまでの存在に成長。当サイトでも昨年「HM65R-T」をレビューし、決して中国製と侮ってはいけない実力の高さを実感したばかりです。

この最新モデルも実際に山で使用してみて、その明るさにこれまで300ルーメンしか使ったことのない筆者の世界が変わりました。早速そのパフォーマンスについて書いていきたいと思います。

Fenix HM62-Tの特徴

Fenix HM62-T ヘッドランプは、マグネシウム合金製で非常に耐久性に優れた多目的コンパクトヘッドランプです。

手袋をしたままでも操作できる大型スイッチで、白色光は4段階(Low、Mid、High、Turbo)の明るさで、光量は最大で1200ルーメンで最大照射距離は150m。暗い中でもしっかりと照らしてくれます。赤色光、赤色フラッシュ機能も搭載されており、操作の切り替えも容易にできます。

繰り返し使える3400mAhのバッテリーが長時間の点灯を実現。また、残量インジケーターでバッテリーの状態を常に確認可能。

通気性に優れた伸縮性のあるヘッドバンドとダイヤル式の調整機構で簡単にフィットさせることができ、ダイヤルの裏はシリコン製になっていて、ずれにくくになっています。またヘッドバンドにはホイッスルがついているので非常時には自身の居場所を知らせるために役に立ちます。

保護等級はIP68で、完全な防塵・防水構造で幅広いアウトドアアクティビティでの使用に適しています。

お気に入りポイント

  • 暗くても安心して歩ける強い明るさ
  • 高い出力で続く持続時間の長さ
  • 簡単な操作でフィット感を調整できるダイヤル式ヘッドバンド
  • 高い防塵・防水性で頑丈
  • シンプルなボタン操作
  • 繰り返し使える充電式バッテリー・一目で分かるバッテリー残量

気になるポイント

  • やや重い
  • ライトの照らし方が遠距離寄りの1パターンのみのため、近距離を広く照らすことができない
  • 最大出力モードで点灯し続けるとボディにかなりの熱が出る
  • 代用しにくいバッテリー

主なスペックと評価

項目Fenix HM62-T
光量(lm)(最大/最小)1200/5
公式照射距離(m)(最大/最小)150/8
公式照射時間(h)(最小/最大)4/280
実測重量(g)(本体+バッテリー)125.1
専用バッテリーリチウムイオン電池 (3400mAh)
代替乾電池CR123A リチウム電池×2
防水防塵性能IP68
ライト種類

白色光源4モード(Low・Mid・High・Turbo)赤色光源2モード(Low・Flash)

付属品充電池(ARB-L18-3400U V2.0)※V3.0 にアップグレード予定
予備Oリング
USB Type-C充電ケーブル
取扱説明書
遠距離照射★★★★★
近距離照射★★★☆☆
バッテリー寿命★★★★★
使いやすさ★★★★☆
重量(体感重量)★★☆☆☆
防水性★★★★★
耐久性★★★★★

詳細レビュー

暗くても安心して歩ける強くて持続時間の長いライト

Fenix HM62-Tの最大光量は1200ルーメンで、ヘッドランプとしてトップレベルの明るさを誇ります。これまで300ルーメンのヘッドランプで行動していた筆者にとっては驚くほど明るく感じました。

使用時はヘッドランプなしでは全く視界のない暗い状態でしたが、Fenix HM62-Tを強モードで点灯すると登山道をしっかりと照らしてくれ、安心して歩くことができました。

強モードで照らすとかなり先まで確認することができる

ただでさえ暗い登山道は路面状況の確認だったり、野生動物の物音で緊張しますから、最大光量1200ルーメンのとにかく明るいFenix HM62-Tの光量は安心感が段違いでした。

走ったりしなければ中モード(400ルーメン)でも問題なく歩行することができました。

装着した状態で角度を変えられるので岩場など足元に注意しながら歩かなければならない時は足元を中心に照らし、そうでない時は遠くを照らすことで安全に歩くことができます。

また光の色はクールな真っ白というよりも暖かみのある白(ニュートラルホワイト)で、ややガスのかかった夜間でも見やすく照らしていました(下写真)。

ガスや靄のかかった場所は真っ白な光よりも黄色がかった温かみのある白の光の方が視認性は高い(一方で照射距離は真っ白よりも微妙に短い)

ただ、ライトの照射範囲はワイドでもスポットでもない、標準的な広さの1パターンのみのため、トレイルを歩くだけを考えれば問題ないものの、テント内を広く照らしたいなどといった近距離を広く照らす場合などには使い勝手が良いとはいえず、その辺りどんなシーンでも対応するほどあまり器用とはいえません。

光の照射範囲はスポットでもなくワイドでもない、遠距離寄りのノーマルな広がりをもった光の形をしている。

最大照度で連続使用してもかなりの明るさで長持ちする持続時間

ほとんどのヘッドランプは、明るさが箱に掲げられた光量で照らされることは満充電で点けたほんの数十秒の間だけであることはあまり知られていないかもしれません。そこから数分もすれば5~7割程度の明るさまで急降下していきます。その先の減り方はモデルによってさまざま。このため正しくライトを評価するためにはその光量の時間による減衰の様子もしっかりと見ないといけません。

詳細について興味のある方は過去のヘッドランプ特集記事を参照していただきたいと思います。

そこでこのFenix HM62-Tについても満充電時からの明るさの時間経過を計測してみたところ、そのパフォーマンスは非常に素晴らしいものでした(当サイトで過去10年継続して同条件で計測しているなかでの当サイト比)。

下の表は計測は4段階のなかでの最大光量モード(Turbo モード)で計測した結果です。

まずこのランプは最大光量から10分程度で一気に約40%程度まで下がりますが、この下がり方自体は他メーカーのランプの特性とほとんど変わりません。むしろこのランプは基本出力が高いため、40%程度に下がったとしても大手のメーカーのハイエンドモデル(あえてここで特定の他社製品のグラフを表示しませんが、興味のある方は当サイトの過去の他社製品レビュー記事を参照してみてください)と同程度の明るさを保っているところは特筆すべき点といえます。その後一定期間同じ明るさを保った後、何度かステップダウンしつつ、4時間程度まで現実的な明るさが持続しました。

なお最大光量で使用し続けるというケースは暗闇で高速ランニングでもしなければ実際のところあまりなく、現実的にはその下(MidやHigh)の明るさで使用し続けると思います。その場合であれば、10時間以上は夜間歩行で使える明るさをキープしてくれます。

「強モード」で点灯し続けているとボディにかなりの熱が出る

少し気になったポイントとしては、強モードで点灯し続けてていると本体が熱くなってくること。

熱くて装着していられないということはありませんが、じんわりと伝わってくる感じ。行動中に汗をかくようなシーンだと、若干気になりました。

ヘッドランプを直接装着すると気になりましたが、帽子の上から装着した状態では気になりませんでした。

重い

Fenix HM62-Tは重量が実測で125.1gあり、装着して行動する中で重さが少し気になりました。

一般的なヘッドランプは100g前後くらい(ものにもよりますが)

高い光量を長時間維持するためにはバッテリーの容量を大きくする必要があるため仕方のないことではありますが、3時間ほど装着し続けると疲労と共に重さを感じました。

簡単な操作で調整できるダイヤル式ヘッドバンド

Fenix HM62-Tはダイヤル式で調整可能なヘッドバンドが採用されていて、伸縮性のあるヘッドバンドとダブルでフィット感を高めることができます。

ダイヤル式で簡単に調整できるのがすごく便利で、早く歩いたり、小走りできるようなシーンではダイヤルを回すだけでフィットできるし、逆にゆっくりと歩く時はフィット感は高くなくてもいいのでサッと緩めれば締め付けを軽減することができたのがよかったです。

本体が少し重いのでしっかりフィットさせると締め付けが強くなりすぎてしまいますが、状況に合わせてストレスなく調整できました。

ダイヤルの裏には滑り止めのシリコンがついていて、ずれにくくなっています。実際に使用した時も緩めのフィットで装着していても歩行時にずれて落ちてくるようなことはありませんでした。

ダイヤルの裏はシリコンでずれにくくなっている

高い防塵・防水性で頑丈

Fenix HM62-Tの防塵・防水に対する保護等級はIP68で、IEC(InterNational Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)が定める基準の中で最も高い保護等級です。

暗い環境を歩く際、ヘッドランプは安全に歩くために必要不可欠。生命線とも呼べるアイテムです。

ヘッドランプの「頑丈さ」は絶対に欲しいところ。万が一にも壊れてしまうことのないよう、最上級の防塵・防水性能を誇るFenix HM62-Tは雨が降ろうが、砂嵐だろうが安心感があります(砂嵐は滅多にないと思いますが)

シンプルなボタン操作

白色光モードと赤色モードがありますがボタンは一つ。

操作は非常に簡単で、消灯の状態から長押しで白色モードの点灯、ボタンを押すと光量の調整ができます(消灯は長押し)

消灯の状態から2回押すと赤色モードになり、ボタンを押すと点滅との切り替えができます(消灯は長押し)

一度覚えてしまえばストレスなく操作が可能です。

繰り返し使える充電式バッテリー・一目で分かるバッテリー残量

USB Type-C充電ポートを内蔵したバッテリー

乾電池を使うヘッドランプで困るのが電池の残量が分からないこと。残量がどのくらい残っているのか分からないのは不安だし、山中でバッテリー切れは絶対に回避したいですよね。

だから予備の電池も合わせて携帯しますが、Fenix HM62-Tはバッテリー残量が一目で分かるインジケーター付きです。しかもバッテリーは充電式なので山やトレイルへ出かける前に充電しておけばOK(わざわざ電池を買いに行く手間も省けます)

ボタンのところについているインジケーター。これで電池残量が一目で分かる

バッテリー残量がだいたい何パーセントかによってインジケーターの光り方が変わるのでこれは覚えておきましょう。(緑で点灯している場合は残量が100〜80%)

使用時は強モード(1200ルーメン)と中モード(400ルーメン)を切り替えながら約1時間40分ほど点灯し続けましたが使用後のバッテリー残量は80〜50%でした(この場合、インジケーターは緑で点滅)

充電中のバッテリーは上部が赤くなる。青に変わったら充電完了

バッテリー本体にもインジケーターがついていて、充電中はバッテリー上部が赤色に光り、充電が完了したら青色になります。

代用しにくいバッテリー

付属のバッテリーはCR123A リチウム電池2本で代用することができる

Fenix HM62-Tは市販の乾電池での点灯も可能ですが、使用するのがCR123A リチウム電池で、日本ではあまり流通していないタイプの電池です(買えないわけではありません)

入手が簡単な単3や単4電池で併用できるヘッドランプもありますから、それと比べると入手しにくい電池が使用されているのが気になるところでした。

短期縦走やトレイルランニングなどでは十分ですが、長期縦走やロングトレイルではバッテリーの入手が困難になることからあまり向かないかもしれません。

まとめ:幅広いアウトドアシーンで活躍すること間違いなしのヘッドランプ!

Fenix HM62-Tヘットランプを紹介しました。

1200ルーメンの最大光量は暗い環境でも昼間と同じように安心して登山やハイキングをすることができる非常に満足のいくものでした。操作のしやすさやフィット感もよく、防塵・防水性が高いことから登山やハイキングにはピッタリです。キャンプやカヌー、釣り、そして防災用など幅広いシーンで使用したい人におすすめですが、唯一重さがネックのため、あくまでも非常用として重量を削減したい人や、激しい振動を伴うトレイルランニングにはそこまでフィットするようには思えず、そこははやや考慮する必要があります。

Yosuke(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

一年中アウトドアを楽しんでいるフリーのライター。 自身の経験や使ってみて良かった道具を発信しています。

opoアウトドアブログ