Review:Garmin Fenix 6X Pro Dual Power これを待っていた。すべてのアスリート、週末冒険家たちの欲望を満たしてくれるアウトドア用スマートウォッチ

バッテリー寿命、インターフェース、ソフトウェア……すべてが着実に進化したアウトドアスマートウォッチの最高峰

熱心なアスリートのための十分な性能と、さまざまなアクティビティを楽しむためのありとあらゆる機能が備わったアウトドア用スマートウォッチ、Garmin fenix 6X Pro Dual Powerを購入してから3ヵ月あまりが経ちました。

Fenix 6シリーズとは、言わずと知れたGarminのフラッグシップスマートウォッチであり、Fenix 5 Plusの正統な後継機。今回の最新作ではよりスリムで軽くなったボディ、長く、効率的に管理できるようになったバッテリー寿命、細かく改善されたインターフェースなど、いくつかの歓迎すべき進化があったようです。何よりも、同社のスマートウォッチでソーラー充電機能がはじめて搭載された記念すべきモデルでもあります。スマートウォッチに長らくつきまとっていたバッテリー寿命の問題はここでついに決別する時が来たのか。手にしたときはワクワクが止まりませんでした。

今回はそんなGarminの最新にして最高クラスのアウトドア・スマートウォッチを、Fenix 5X・MARQ EXPEDITIONSuunto 9・Suunto AmbitCASIO WSD-F30など他メーカーのアウトドア向けスマートウォッチを使用したことのある筆者が実際に登山・トレイルラン・ランニングに約3カ月間使ってみて感じた、この時計でできること、そして実際の使い心地についてレポートしてみたいと思います。

目次

Fenix 5x plusシリーズから進化した点

Garminが前モデルであるFenix 5x plusシリーズでは、前モデルからの変更は音楽プレーヤーやGarmin Pay、ラインナップ全てにプリロード地図を搭載など、主にスマート機能に焦点を当てたものが更新された程度でした。一方で今回のFenix 6シリーズでは、軽量・コンパクト化、大画面化(Fenix 6X Pro)、さらにバッテリー寿命が長くなるなど、少しずつですが全体的に大きな進化が見られます。

Fenix 5x plusからFenix 6X Pro Dual Powerで変わったこと(一部抜粋)

  • 軽量化(同じチタンモデルで88 g → 82 g)
  • 薄型化(17.5mm → 14.9mm)
  • ベゼルが縮小した代わりに画面サイズの拡大(直径1.2インチ240 x 240ピクセル → 直径1.4インチ280 x 280 ピクセル)
  • レンズ素材がサファイアレンズから「Power Glass(材質:Gorilla Glass)」に変更(6X は従来のサファイアレンズ)。※これは進化というよりもソーラー充電対応か。
  • ソーラー充電機能が追加。
  • バッテリー寿命が大幅に増加。例えば通常の「GPS+光学心拍計」で最大30時間 → 60時間+ソーラー充電分に。
  • 新しいバッテリー管理機能(細かい機能のオン・オフをカスタマイズして、好みのバッテリー寿命バランスを調整できるように)。
  • 新しいエクスペディションモード(レートを下げたGPS追跡以外の全機能を停止することで、最大最大36日間程度のトラッキングが可能に)。
  • 超節約バッテリーモードを追加(基本的な時計機能だけで最大80日間のバッテリー寿命が得られるように)。
  • 新しいPacePro機能(目標タイムに対してペース展開を予め算出して、本番ではその進捗状況を確認しながら走ることができるように)。
  • 内蔵メモリが2倍になり、32 GBに(保存可能な音楽タイトル数が最大500曲から2,000曲に)。
  • マップ表示テーマを追加(高コントラスト・人気・ダーク)。
  • ウィジェットの表示インターフェースが一度に3つ表示できるように。

見た目はそれほど変わっていないようですが、実際にはざっと挙げただけでもこれだけの変更があります。個人的にはやはりハード面でコンパクト化・大画面化してくれたこと、そして何よりバッテリー寿命が大幅に増加されたことは何よりも歓迎すべき進化です。

前モデルとFenix 6X Pro Dual Powerとの比較表

参考までに競合として考えられるSUUNTO 9 BAROとハード面でのスペックをざっくりと比べてみると、画面の大きさ・鮮明さこそ劣るものの(SUUNTO 9はタッチパネルだし)、薄さやバッテリー寿命などではいい勝負。この辺は使い方にもよりますので、最高数値部分だけを比べてもあまり意味のないところではありますが。

アイテム名fēnix 5X Plus Sapphire BlackFenix 6X Pro Dual Power Ti Black DLCSUUNTO 9 BARO Black(参考)
参考価格(税別)109,800円130,000円85,800円
重量Sapphire Black:96 g
(Sapphire Ti Black:88g)
82 g81 g
本体サイズ51 x 51 x 17.5 mm51 x 51 x 14.9 mm50 x 50 x 16.8 mm
画面サイズ直径1.2インチ(30.5 mm)直径1.4インチ(35.56 mm) 
解像度240 x 240ピクセル280 x 280 ピクセル320 x 300 ピクセル
レンズ素材サファイアレンズPower Glass(材質:Gorilla Glass)サファイアクリスタル
ベゼル素材DLCステンレスダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングチタンステンレススチール
ケース素材FRPFRPガラス繊維強化ポリアミド製
ストラップ素材シリコンシリコンシリコン
バッテリーウォッチモード:最大18日間
GPS+光学心拍計:最大30時間
GPS + 音楽再生+光学心拍計:最大11時間
UltraTrac™モード+光学心拍計:最大64時間
スマートウォッチモード:最大24日間 /週※1
GPS + 光学心拍計:最大60時間 + 6時間※2
GPS + 音楽再生:最大16時間 + 1時間※2
UltraTracモード:最大70時間 + 10時間※2
Expedition モード:最大36日間 + 6日※2
バッテリー節約ウォッチモード:最大64日間 + 26日間※2
タイムモードで:14 日間
毎日24時間の追跡およびモバイル通知:
7日間

GPSを使用するトレーニングモード:
25時間 / 50時間 / 120時間

内蔵メモリ/履歴16GB32GB
オフラインカラー地図昭文社地形図・道路地図昭文社地形図・道路地図

※1:屋外にて1週間毎日、3時間50,000ルクスの光に当てると、合計約24時間分(スマートウォッチモード)での充電が可能
※2:50,000ルクスの条件下で使用した場合

Fenix 6シリーズのどれを選ぶか

詳細レビューに入る前に、これから購入を考えている人のために、Fenix 6シリーズのさまざまなラインナップについて、それらの違いをいくつかおさえておきましょう。

ややこしいことに、日本で正規に流通しているモデルは、海外で展開されているラインナップよりも少ないため、単純に名前だけではFenix 5と比較しても機能的に対応していないことが多いので、注意が必要です。

Fenix 6シリーズ

Fenix 6の中でもベーシックなモデル。最も安価なモデルにはFenix 5 Plusであった音楽ストレージ、プリロードされた地形図、Wi-Fi接続機能はありません。レンズはCorning Gorilla ガラス 3とサファイアクリスタルレンズから選ぶことができ、サファイアクリスタルレンズ搭載のモデルについては音楽ストレージ、Wi-Fi接続機能が付属。

Fenix 6Sシリーズ

わずかにコンパクト。ケースサイズが42mmになる代わりに、Fenix 6と比べてわずかにバッテリー寿命が短くなっています。そしてこちらもやはり最も安価なモデルには音楽ストレージ、プリロードされた地形図、Wi-Fi接続機能はなく、レンズはCorning Gorilla ガラス 3とサファイアクリスタルレンズから選ぶことができ、サファイアクリスタルレンズ搭載のモデルについては音楽ストレージ、Wi-Fi接続機能が付属しています。

Fenix 6Xシリーズ

価格がぐぐっと上がったこちらはFenix 5 Plusから全体的にバージョンアップした正当進化モデル。音楽ストレージ、オフライン地形図、Wi-Fi接続機能も搭載されています。そして6・6Sとの違いは、圧倒的に長いバッテリー寿命、PaceProレース戦略機能などがあります。

Fenix 6X Pro Dual Powerシリーズ

最後に、今回レビューする最もハイエンドなモデルが6X Pro Dual Powerです。こちらは6Xに超軽量の全チタン製ボディをまとい、ソーラー充電機能を追加したモデル。さらにオプションとしてチタンバンドを選択できるモデルとなります。

ハイエンドモデルFenix 6X Pro Dual Powerではチタンバンドモデルが選択可能。日常のビジネスシーンではめていても違和感なし。

アイテム名Fenix 6Fenix 6SFenix 6X SapphireFenix 6X Pro Dual Power
ベースモデル参考価格(税別)70,000円65,000円110,000円130,000円
重量80 g58 g93 g82 g
本体サイズ47 x 47 x 14.7 mm42 x 42 x 13.8 mm51 x 51 x 14.9 mm51 x 51 x 14.9 mm
解像度260 x 260 ピクセル240 x 240 ピクセル280 x 280 ピクセル280 x 280 ピクセル
ベゼル素材ステンレススチールステンレススチールダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングステンレススチールダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングチタン
バッテリースマートウォッチモード:最大13日間
GPS + 光学心拍計:最大36時間
UltraTracモード:最大42時間
Expedition モード:最大22日間
バッテリー節約ウォッチモード:最大38日間
スマートウォッチモード:最大9日間
GPS + 光学心拍計:最大25時間
UltraTracモード:最大30時間
Expedition モード:最大16日間
バッテリー節約ウォッチモード:最大27日間

スマートウォッチモード:最大21日間
GPS+光学心拍計:最大60時間
GPS + 音楽再生+ 光学心拍計:最大16 時間
UltraTracモード:最大70時間
Expedition モード:最大36日間
バッテリー節約ウォッチモード:最大64日間

スマートウォッチモード:最大24日間 /週1
GPS + 光学心拍計:最大60時間 + 6時間2
GPS + 音楽再生:最大16時間 + 1時間2
UltraTracモード:最大70時間 + 10時間2
Expedition モード:最大36日間 + 6日2
バッテリー節約ウォッチモード:最大64日間 + 26日間2

内蔵メモリ/履歴64 MB64 MB32 GB32 GB
プリロードされた地形図昭文社地形図・道路地図昭文社地形図・道路地図
音楽ストレージ※サファイアクリスタルレンズ搭載モデルには最大2000曲まで付属※サファイアクリスタルレンズ搭載モデルには最大2000曲まで付属最大2000曲まで最大2000曲まで
Wi-Fi接続機能※サファイアクリスタルレンズ搭載モデルには付属※サファイアクリスタルレンズ搭載モデルには付属ありあり
PacePro機能ありあり
ソーラー充電あり

こう見ると、軽量・コンパクト・リーズナブルな価格を優先するならば6や6Sなのですが、機能性・耐久性ではかなり見劣りしてしまいます。いくらFenix6シリーズと言えども、最低クラスのモデルとなるとレンズなどのハード面でも性能が落ちており、同じ価格帯ならオフライン地図や音楽ストレージが搭載された同社のForeAthlete 945などの方が機能的にはお買い得と思う人もいるかもしれません。正直、ランニングやトライアスロンなどロード主体のスポーツやエクササイズが中心で、コストパフォーマンスを考えるのであれば、FenixシリーズよりもForeAthleteの方をおすすめしてしまうかも。

逆にいうと、多様なスポーツ・アウトドアアクティビティを楽しみ、レースでもガッツリ使いたいという人なら、相当の出費を覚悟する必要はありますが、6Xや6X Pro Dual Powerといったハード・機能が十分に整ったモデルを選ばなければ、せっかくのFenix 6の良さを実感することはできないでしょう。

ファーストインプレッション(デザインとインターフェース)

それではようやくFenix 6X Pro Dual Powerの使用レビューに進みます。

外観:前モデルを踏襲

ルックスは基本的にFenix 5 Plusと変わらない印象。プラスチックケースの背面は金属板で覆われ、より耐久性の高いDLCコーティングが施されたチタン製ベゼルで縁取られています。時計全体の直径は変わりませんが、ベゼル幅が狭くなったことで表示領域は大きくなりました。

Fenix 6 Pro Dual Power(左)とFenix 5x(右)の画面比較。ベゼルが細くなったことで画面の表示領域が広がったことが一目瞭然。

さらに(バッテリー寿命が延びたにもかかわらず)本体の厚さが17.5 mmから14.9 mmへと若干薄く。特にザックを背負う際の引っかかりが非常にストレスな自分にとっては何よりも嬉しい。

分かりにくいかもしれないが、Fenix 6 Pro Dual Power(左)では底の膨らみが若干薄い。

バンドはおなじみ、QuickFit®ウォッチバンド対応で好みに応じて簡単に付け替えが可能。個人的には普段の着用にはDLCチタニウムバンド、トレーニングやフィールドではシリコンストラップと使い分けられれば、毎日のニーズを完璧に満たしてくれます。

簡単に取り外しが可能なバンド。チタンバンドモデルにはシリコンバンドが標準装備されている(ただし色は写真の黒ではなく、オレンジ)。

ディスプレイ:バッテリー消費を最低限に抑えながら高い視認性を確保

Fenix 5 Plusと比べてサイズが36%増加した1.4インチディスプレイには、強化ガラスソーラー充電レンズが採用されています。280 x 280 ピクセルと広くなったことは地図もより見やすくなり、当然良いことしかありません。

一方GarminのFenixシリーズに採用されているディスプレイは、これまで同様、半透過型のメモリインピクセル(MIP)ディスプレイです。他のアウトドアスマートウォッチと比較すると、便利なタッチスクリーンでもなく、高精細で視認性の高い有機ELでもないところは、やや不満がないともいえません。正直、有機ELディスプレイなどを見慣れてしまうと、かなり暗い印象が否めません。ちなみに、周囲光センサーも無いため、明るさの自動調節もしてくれません。

画面表示の視認性はいつものガーミンっぽさ(荒さ)は否めない。ただ日差しのもとでも見にくいというわけではないので、特にストレスを感じるほどではない。

ただプラス面としては、非常にエネルギー効率が高いこと。そして直射日光の下や暗い場所でも視認性が落ちにくいということは確かで、このあたりはバッテリー寿命とのトレードオフで致し方ない部分と諦めるしかありません。

ボタン構成:ボタン操作には慣れが必要

Fenix 6シリーズは、すべて6つの押しやすいボタンによって操作します。タッチパネル等での操作ができない以上、相変わらず複雑な操作方法の習得が必要です。ボタンを数回程度押すだけで完了する設定はほとんどありません。ディスプレイの明るさの調整など、調整自体に加えて10回以上のクリックが必要です。正直まだストレスフルといわざるを得ません。

またボタンの出っ張りが大きくて押し易すいことは悪いことではないのですが、少し気をつけないとバックパックの着脱の際にボタンが引っかかり誤プッシュしてしまうことも何度か。一方、冬にはグローブを嵌めていても間違いなく押せるし、音楽を聞きながらのワークアウト中には時計が袖や手袋の下に隠れていても簡単・確実に再生・次曲への操作を行えたということもあり、ある程度は個人差や慣れの問題で解決するでしょう。

耐久性:十分合格点

チタンケースに強化ガラス、10気圧防水、動作温度範囲-20℃ ~ +45℃は、ウォータースポーツや雪山でもまず問題ないスペックです。

何ができるか(機能とテクノロジー)

近年ハイエンドなアウトドア・スマートウォッチには、基本的なABC(コンパス・気圧・高度)機能だけでなく、GPS、心拍計、ジャイロ、加速度、温度計など豊富なセンサー、そしてカラー地図や音楽ストレージなどのデータ、スマートフォンなどのデバイスとの連携によって、可能性は爆発的に広がりました。

これによって単に数値を確認するだけだった腕時計は、今やトレーニングをより効率的に行い、レースでより良い結果を出し、アドベンチャーをより安全に行ない、日常生活をより便利してくれます。

マルチスポーツ・スマートウォッチの最先端では、いったに何ができるのか。とりあえず自分に関わりがありそうな部分だけ抜粋して、大まかに機能を列挙してみます(ただし以下は冗談ではなくできることの半分程度しか書いていません)。

  1. 時計の基本機能の他、ABC(コンパス・気圧・高度)・気温データをはじめ、心拍数、歩数、ストレスレベル、睡眠時間と睡眠の質といった幅広い健康情報の統計値を表示・記録することができる。
  2. GPSセンサーとプリインストールされたカラー地形図によって、インターネットの通じない場所でも現在地を地図上に表示させることができる。
  3. ハイキングや登山、トレイルラン、ラン、トライアスロン、エクササイズ、サイクリング、スイム、ウォータースポーツ、ゲレンデスキー、バックカントリースキーなどの多様なアクティビティを追跡・記録することができる。その間、GPS情報はもちろん、各種センサーによるスピード・経過時間・高度・心拍数・消費カロリー・トレーニング効果・VO2Max値などのパフォーマンス情報を記録・表示することができる。
  4. 地図とコンパス機能を用いて、ルートを登録すれば目的地まで矢印表示や音・バイブレーション等でナビゲーションしてくれる。
  5. Garminデバイスで計測した各種データを自動分析し、スマホの中の仮想コーチがトレーニングメニューを提示してくれる。
  6. PaceProペーシング機能でレースやトレーニングのランニングコースを、レベルに合わせて調整されたペースでガイダンスしてくれる。
  7. USB充電のほか、ソーラー充電機能を備えている。
  8. スマートウォッチモードで最大24日間、GPSと心拍計を利用したモードでも最大60時間(+ソーラー充電分)、GPSのみでは最大36日間(+ソーラー充電分)の連続使用が可能。
  9. 「パワー管理」でバッテリー節約モードや、自分が使いたい機能だけを選んでバッテリーを自分好みで効率的に消費する電力モードを設定できる。
  10. スマートフォンとBluetooth で接続し、天気情報、カレンダー予定表、スマホの通知・電話の着信通知などを受信したり、見失ったモバイル端末の探索などができる。
  11. inReachデバイスと接続して時計から簡易メッセージやSOS信号を送信することができる。
  12. Garmin Connectというアプリを使用してアクティビティの履歴や詳細分析、活動量や睡眠などのライフログを保存・表示したり、時計や各種アプリの設定・操作をしたりすることができる。
  13. Garmin Connect IQというアプリを使用して、Garminやサードパーティから提供されたウォッチフェイスやアプリを追加・設定することができる。
  14. 一部のアクティビティ中、一部のアクティビティ中の事故を検出し、緊急連絡先にメッセージを送信することができる。
  15. ペアリングしたスマートフォンの音楽、または時計にダウンロードした音楽(最大2000曲)を時計から再生・操作することができる。
  16. Garmin Payによって、対応する加盟店で非接触決済での支払いができる。

登山やランニング・スキー・バックカントリーで実際に使用してみる

この3カ月間実際に使用してみての使い心地を紹介します。他のスマートウォッチと同様、利用するにはまずスマホアプリのGarmin Connect Mobileをインストールし、スマートフォンとペアリングする必要があります。

初期設定が完了したら、すぐにでもフィールドで利用が可能ですが、もう少しカスタマイズしたいという人は、Garmin Connect IQアプリから自分好みのウォッチフェイスを追加したり、時計に追加機能を実装するウィジェットを設定することができます。

ウィジェットの種類は、気温や日の出・日没などのシンプルな情報を提供してくれるものから、フィットネス情報を見やすく表示してくれるもの、特定目的で見やすい地図やナビ、音楽プレーヤーやエンターテイメント、カレンダー・天気予報などの日常を便利にするものまで、想像以上に多種多彩な機能を追加することができます。

これらをインストールすることで、はじめは最低限の機能しか利用できなくてもどんどん自分仕様にカスタマイズできて、左のボタンですぐに自分が欲しい情報にアクセスできるようになります。自分は以下の最低限ウィジェットを入れていますが、この他にも表示させられるウィジェットは選べないくらいに盛りだくさんです。

  • ソーラー
  • 天気
  • 日の出&日没
  • ABC(高度・気圧・方位)
  • パフォーマンス(前回トレーニングのVO2 MAX値と5キロ・10キロ・ハーフ・フルマラソンの予想タイム)
  • 前回アクティビティの概要
  • ステップ数
  • 健康情報の統計(心拍数やストレス値など)
  • カレンダー
  • 通知
  • ミュージック

ウィジェットを追加すると、写真のように表示画面で手軽に情報にアクセスできるようになる。

登山・ラン・バックカントリースキーでアクティビティトラッキング

Fenix 6X Pro Dual Powerを登山やハイキングで利用してみます。ここはぶっちゃけ機能的にはほとんど前モデルと変わりません。

どのアクティビティであっても、基本的には右上のボタンを押してからアクティビティを選択し、スタートするだけ。ちなみにここであらかじめコースのデータを時計に保存していれば、歩き(走り)ながらルートをナビゲーションしてくれる「ナビ」機能も利用できます。

トラッキング中にリアルタイムで確認できるデータは、アクティビティによってあらかじめ設定されていますが、慣れてくればここも自分の好きなようにアレンジすることができます。例えば登山の場合、最初に設定されている項目は画面ごとに、

  • 総上昇量/高度/総下降量
  • 距離/昇降速度
  • 現在地(経緯度)
  • 心拍数
  • 現在地(地図)
  • 現在時刻・バッテリー残量

です。

ただ自分は「現在地(経緯度)」画面を「大気圧&消費カロリー」画面に差し替え、そして「コンパス」画面を追加する、といった具合に、行動中にすぐ確認したい情報をかなり自由にアレンジすることができます。この辺は最初こそ多少は面倒ですが、一度設定してしまうと本当に快適です。

ちなみに、トレイルランのデフォルト項目は、

  • 心拍数/距離/タイム/ペース
  • 心拍数/総上昇量/タイム/昇降速度
  • 心拍数/ラップ距離/ラップタイム/ラップペース
  • 現在時刻
  • 現在地(地図)

です。

となっていますが、これも自分が使いやすいように2つめの「タイム」を「高度」に、「昇降速度」を「総下降量」に差し替え、「歩幅」「ピッチ」「スピード」の画面を追加してみました。

そしてバックカントリースキーでは、ハイクアップと滑走が自動で認識され、そのときに合わせた表示がなされます。

  • 距離/昇降速度(滑走時は最高速度)/タイム
  • タイム/時刻/日の入時刻/心拍数
  • 設定経緯度/進行方向/高度
  • 現在地(地図)
  • 前回ハイクアップ(or 滑走)

納得のバッテリー寿命

実感として、今回のバッテリー寿命は本当に素晴らしく持ちが良くなっています。年末にこの時計を使い始めてから、しばらくアクティビティを行わずに通常の心拍数やステップ数などのフィットネストラッキングとスマホ連携を行うスマートウォッチモードで(バックライト100%)使っていたところ、2週間以上充電せずに着けっぱなしでもまだバッテリーは30%以上。しかもこのときは時計が長袖の下に隠れていたため、ソーラー充電はほぼ行われていませんでした。公称の「最大24日間」という数値はそれほど大きな誤差はなさそうです。

年末から使用して、約2週間経ってもバッテリーはまだ数日もつくらいに余裕があった。

次にアクティビティでのバッテリーの持ち具合について。節約設定などせず、通常のアクティビティトラッキングで何度か計測してみました。

3時間程度、約5kmのバックカントリースキーでは80%台後半で、10%程度しか消費しません。同じく6時間程度利用で70%台、何と15時間近くトラッキングしていても50%以上を保っていました。

もちろん、ここからバックライトを暗くすればさらに消費は抑えられますし、さらには「UltraTracモード」にすれば、GPSや各種センサーデータの取得頻度を少なくなる分、その倍以上の時間持ちます。また「Expeditionモード」ならば、GPS取得機能のみの低電力消費状態になることで、最大で1ヵ月以上充電無しで利用が可能とか。このように1回のアクティビティ程度であれば、スマートウォッチだからといってバッテリーの枯渇の心配はほぼないといっていいでしょう。

ソーラー充電機能はまだ気休め程度

極めつけ、気になるソーラー充電機能です。公称では、冬の晴天と同程度の約50,000ルクスの日光を1日少なくとも3時間当てると、ソーラー充電レンズはスマートウォッチモードで最大24時間バッテリー寿命を延ばすことができるといいます。

それは一体どの程度なのか、ウィジェットで過去6時間のソーラー充電アクティビティを表示できますので、約半日程度、腕時計をむき出しにした状態で過ごしてみて、バッテリーの消耗具合を見てみました。ちなみにアクティビティのトラッキングは行っておらず、スマートウォッチモードです。

すると実感的には、このソーラー充電を行っている間、バッテリーレベルは増えも減りもしないという状態が続きました。個人的な実感としては、ソーラー充電は「積極的に充電」できるほどの効果はないものの、バッテリーを「現状維持」させる程度には効果があると思われます。

ソーラー充電を機能させながら過ごしてみると、バッテリーレベルは減りも増えもせず、ずっと同じ程度にとどまっていた。

地図表示:ちょっとだけ前進?

地図関係のソフトウェアはFenix 5X Plusとほぼ同じのため、大きく見やすさ・使いやすさの印象は変わりません。通常時・アクティビティ時に呼び出して閲覧することが可能です。アクティビティ中には地図上に現在地とこれまで歩いた軌跡が表示されます。GPS・GLONASS・Galileo・みちびきを合わせた現在位置把握速度と精度はまずまず。

少しだけ進化した点として、画面サイズが「240 x 240ピクセル」から「280 x 280 ピクセル」へと約17%大きくなったことによって、多少ストレスなくルート把握が可能となりました(前出の写真)。

また地図表示がコントラストを高くして視認性を上げる「ハイコントラスト」や、夜間に視認性が高くなる「ダーク」など、いくつかのテーマから選択することができるようになり、これによってもある程度地図は見やすくなっているように感じられました。

なお、スマホ地図やタッチスクリーンのスマートウォッチと比べると、ボタンを駆使しての拡大縮小・画面の移動ははっきりいって不便。このためこれだけで地図の代替とすることはおすすめできず、実用レベルではあくまでも現在地と周辺地形の確認にとどまります。もちろんそうでなくても紙の地図は最悪の事態に備えて常に携行するべきです。

恐るべし!Pace Proによるコースプランニング機能

Fenix 6xになって新たに追加された機能の一つ、Pace Proによるコース戦略立案機能を利用すると、設定したルートを決めたタイムで走るための、最適なペース配分を一瞬にして割り出してくれます。設定はスマホかPCでのGARMIN CONNECTで行います。

例えば下図では、奥多摩の棒ノ折山周回7kmのコースを約1時間で走り抜ける場合、Garmin Connectが標高差も計算に入れたうえで、1kmごとのペース配分プランを立ててくれました。しかもここから前半ペースを上げ気味で走る(ポジティブ)か、前半は抑え気味に、後半にかけてペースを上げていく(ネガティブ)かという調節なども可能で、自分の理想的なレースプランを驚くほど簡単に作ることができます。自分にとってはオーバースペックであるとは思いますが、恐るべし。

Pacepro機能を使えば、どんなコースも一瞬で分析し、レースプランを作成してくれる。

過去のアクティビティはGarmin Connectでしっかり分析

アクティビティが終了すると、アクティビティは保存され、スマホにつなげば、即座にGarmin Connectアプリに転送され、これでもかというくらいに細かいデータとともに振り返ることができるようになります。

登山の場合(MARQのレビューで記録したデータを再掲)

「登山」アクティビティを設定した場合の行動記録。とにかく多角的で詳細なデータが終了直後スマホで即座に確認可能。

バックカントリーの場合

バックカントリーのアクティビティの場合、ハイクアップと滑降が自動的に分類され、色分けされてデータが表示されます。

ランニングやトレイルランの場合

ランニング系のアクティビティの場合、スピード・ペースの他、ピッチやストライドなどのランニングダイナミクスが分析できます。

相変わらず細かいデータを見やすいインターフェースで提供されるアプリは優秀。これまでのアクティビティの詳細なデータはもとより、心拍数から歩数、運動量、疲労度、ストレス、消費カロリー、睡眠の質・量、など、毎日のありとあらゆる活動や健康状態が一目瞭然で把握できる。その精密さと表示の分かりやすさは、個人的な印象では他のどのアプリよりも優れています。

ピッチやケイデンス(歩幅)、VO2Max(最大酸素摂取量)、FTP(機能有効パワー)、乳酸閾値など、パフォーマンスの詳細で多角的な分析に欠かせないさまざまな測定データをグラフィカルに確認することができます。本気のランナーにとってはこれ以上ないモチベーションとなるでしょう。

左から現在のダッシュボード、直近のアクティビティ、Vo2Maxの履歴、心拍数の履歴。それぞれの数値に合った表示方法で分かりやすい。

まとめ:どんな人におすすめ?

これだけ書いても、まだこの時計の機能を書き尽くしたとは到底言えません。1人の人間が使いこなすにはあまりにも多くの機能が詰め込まれていながら、ラン・登山・スキーと、どんな方面のユーザーが使っても満足のいくパフォーマンスを得ることができる、感動的なまでに完成されたスマートウォッチです。普通に時計を使っていた人が新たに使い始めたとしても、ストレス無くスムーズにスマートウォッチに入っていけると思います。それくらいに不満要素がない。

現状どのメーカーのものよりもすべてにおいて使いやすさ・機能性の高さ・バランスの良さにおいて勝っていると感じました。予算に余裕のあるアウトドア愛好家であれば、迷わずおすすめです。ただFenix 5x Plusを持っている人に買い替えをすすめるかと聞かれると、今回は微妙です。すべてがまんべんなく進化しているとはいえ、その違いは微差ですので。Fenix 5xならば買い替えもありかもしれません。

ただ一方で、高いお金を払ったからといって「何もしないで何でもやってくれる」時計というわけでもありません。正直言って、生半可な気持ちで軽く使おうものなら、まずその操作の複雑さにやられ、そしてやれることの膨大さに振り回され、結局「私には使いこなせない」となるでしょう。日常生活でも活動の質・量や睡眠の質・量を常に記録していてくれますので、健康維持にとっても便利な相棒となってくれますが、それだけならばApple watchで十分、となるに違いありません。

その意味で「シビアなアスリート」や「アクティビティに限定せず、多様なアウトドアアクティビティをとことん楽しみたい」というアウトドア中毒者の欲望には、間違いなく、全力で向き合ってくれます。これから始まる新しいシーズンに向けて、ついにスマートウォッチを買おうと考えている皆さん。すべての準備は整いました。あとは飛び込むだけです。

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