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DexShell ソックス レビュー:防水ソックスの実力はどんなものか?登山や渓流釣りで徹底的に使い倒して検証!

「防水ソックス」というものがあるらしい。確かに長時間にわたって足を酷使するアウトドアでは、靴の中が蒸れてマメや靴擦れが起こりやすかったり、万が一靴の中に水が入ってしまうと擦れて皮がむけやすかったりして、濡れによって足に起こるリスクは無視できないものがあります。その意味で「濡れないソックス」があるのであれば、山での安全性はより高まるということは素直に理解できます。

ただ穏やかな天気の中でのアウトドアでなら、防水透湿性のある登山靴と登山用ソックスで十分なのではないか?まだ防水ソックスというものを試したことのない筆者は、単純にそう感じないこともないのも事実だったりします。

果たして防水ソックスは、アウトドアで通常のソックスよりも「使える」のか?使えるとしたら、どう使うのが正解なのか?

そこで今回は、現在市場にいくつかある防水ソックスの中でも代表的なブランド「DexShell(デクシェル)」の防水ソックスを登山・トレイルラン・渓流釣り・ラフティングなど実際にさまざまなシチュエーションで試してみて、一般的な登山ソックスと比較しながらその実力と適したシチュエーションなどの可能性について検証してみたいと思います。

DexShellの防水ソックスとは

DexShellソックスは、高い防水透湿性を備えながら、同時に通常の靴下と同じように快適な履き心地を実現したアウトドア向け防水ソックス。アウター、ライニング、インナーによる3層構造で、ライニングには4方向の伸縮性を備えた高性能防水透湿皮膜「ポレール®メンブレン」を採用し、外側からの浸水や風をシャットアウトしつつ、内側の蒸れを外に排出します。肌に触れる裏地はモデルに応じてメリノウールやバンブーレーヨン、クールマックス®といった機能的な素材を使い分け、それぞれのモデルで用途に適した快適さと保温性、その他の機能を提供します。表地は耐摩耗性に優れ撥水加工を施したナイロン等によって十分な耐久性を確保。家庭用洗濯機で洗濯も可能でお手入れも容易です。

今回テストしてみた3モデル

左からランニングライト2、サーモライト オリーブグリーン、ウェーディング プロ

防水ソックスの実力を検証すべく用意したのは3モデル。1つ目は「ランニングライト2」。トレイルランニングなど運動量の多い状況で使用を想定し開発されたモデルで、インナーは吸水速乾性に優れるCOOLMAX®が採用されたソックスです。足首のサポートとアーチテンションを備えておりランニング時のパフォーマンスを向上させるように設計されたモデルです。

2つ目は「サーモライト オリーブグリーン」。DexShellのベストセラーモデルで、インナーにメリノウールが採用され保温性に優れており、登山だけでなく様々なアウトドアアクティビティに適したオールラウンドソックス。インナー素材はメリノウールの他にアクリルやナイロンを混紡させることによりメリノウールの保温性、調湿性、防臭性はそのままに吸水速乾性も備えることで防水ソックスながらも足をドライに保ってくれる構造になっています。

3つ目は「ウェーディング プロ」。膝下までのロングソックスで、履き口に水の浸入を効果的に防ぐためのDEXLOK®(デクロック)加工を施しており、水遊び、ボート、カヌー、カヤックなど、さまざまなウォーターアクティビティに最適なモデル。インナーには保温力の高いメリノウールとアクリル、ナイロン、ポリウレタンをバランスよくブレンドし、保温性と吸水速乾性を備えています。

主な仕様

ランニングライト2サーモライト オリーブグリーンウェーディング プロ
素材
  • アウター:ナイロン80%、ポリエステル12%、ポリウレタン5%、コットン3%
  • ライニング:ポレール®メンブレン
  • インナー:ポリエステル60%(クールマックス®)、アクリル40%
  • アウター:ナイロン98%、ポリウレタン2%
  • ライニング:ポレール®メンブレン
  • インナー:メリノウール38%、アクリル38%、ナイロン24%
  • アウター:ナイロン96%、ポリウレタン4%
  • ライニング:ポレール®メンブレン
  • インナー:メリノウール40%、アクリル40%、ナイロン17%、ポリウレタン3%
重量約65g(Mサイズ標準/ペア)約84g(Mサイズ標準/ペア)約145g(Mサイズ標準/ペア)
ミドルミドルロング
参考価格(税込)¥4,180¥4,950¥8,360
適したアクティビティ・シチュエーショントレイルランニングなど運動量の多いアクティビティ登山を中心としたオールラウンドなアウトドア釣り、ボート、カヌー、カヤックなどのウォーターアクティビティ

フィールドインプレッション&検証

1:普通に登山で履いても快適なのか? ~好天時の登山で登山用ソックスと履き比べ~

まずは「非防水」のトレイルランニングシューズと組み合わせてお試し

まず第一に気になっていたのは「一般的な登山で使用した際、普段使っているソックスと比べてどうなのか?」です。たとえ防水性があるとはいっても、履き心地が悪ければ使い続けたいとは思えません。

DexShellは一般的なソックスとは違って、ライナーに防水透湿膜1層を挟んでいます。このためいくら透湿性と伸縮性を備えているとはいえ、普通のソックスに比べればやはり多少は蒸れやすかったり履き心地が硬かったりするのではないか。そんなことをぼんやりと予想していました。もちろん、仮にそうだったとしても、その程度が許容できる範囲ならば履き続ける価値はあるはず。

そこで普段履いている登山用のソックスと比べて着用感や蒸れやすさの差はどの程度かを確かめるべく、片足にDexShell、もう片方に登山用ソックスを着用し、数時間の山歩きを実施してみました。

蒸れ具合を確かめるため通気性の高いシューズに片足ずつソックスを履いてテスト

ソックスそのものの蒸れ具合を知りたかったため、まずは通気性の高い非防水シューズを使いDexShellランニングライト2を履いてテスト。

7月の安達太良山ハイキングでは、懸念していた蒸れやすさはさほど気にならず

日本百名山の安達太良山をテストの地に選び、登山をしてきました。正直なところ、使用前は蒸れによる不快感を感じるだろうと予想してましたが、実際には通常のソックスと比べて蒸れやすいと感じるということはほとんどなく、不快感はなし。厳密にいえば登山用ソックスと比べて多少の蒸れ感はあったものの、ほとんど許容範囲内といったところで「ポレール®メンブレン」の透湿性の優秀さを体感することができました。

登山やハイキング向けのモデル、ランニングライト2とサーモライト オリーブグリーン。サーモライト オリーブグリーンの方がクッション性が高く厚手

ここまで普通のソックスとして違和感なく履けるのであれば、夏の暑い日の半日登山ならいざ知らず、複数日にわたる縦走登山など天候の変化が予想させる本格的な登山であれば、DexShellが選択肢に入ってきてもまったくおかしくはない、それほどの可能性を感じます。

心地よい肌触り、適度な伸縮性に十分なクッション性もあって履き心地もGood

登山用のソックスはシューズ内での指先が干渉してしまうのを防ぐための緩衝材の役割もあります。

岩綾帯を歩くための登山靴ともなると、指先を保護するため登山靴は非常に堅牢な作りになっていますが、それゆえにシューズ内部で指先が当たると指を痛めてしまうため、ソックスに緩衝材になってもらい指へのダメージを軽減します。実際に試したDexShellのソックスは厚みこそ違いがありますが裏地はしっかりとクッション性があり、心地よい肌触りと衝撃を緩和してくれるクッション性を備えた構造になっていました。

ソックスのインナー。左からランニングライト2、サーモライト オリーブグリーン、ウェーディング プロ

もっとも保温力が高く厚手のウェーディング プロはインナーがパイル地になっておりクッション性も高かったです。春夏の使用に適したランニングライト2、サーモライト オリーブグリーンはパイル地にはなっていないものの一般的な登山用ソックスの中厚手ほどのクッション性を備えています。ランニングライト2、サーモライト オリーブグリーンでいうと、サーモライト オリーブグリーンの方が厚手のため、クッション性はウェーディング プロに次いで高いです。

またランニングライト2には足首をサポートするためにアーチテンションを備えた構造になっており、サーモライト オリーブグリーンに比べフィット感が高く、運動量の多いトレイルランニングやファストハイキングなどでのパフォーマンスを発揮できるよう設計されています。

こうしてそれぞれのモデル毎に必要な厚みとクッション・サポートが施されており、それらが通常のアウトドアソックスと比べて劣るといったことはまったくありませんでした。

次に「防水性のある」ハイキングシューズと組み合わせて蒸れやすさの限界を確認

通気性の高いトレイルランニング向けの非防水シューズとの組み合わせでは不快なほどの蒸れは感じることなく、実用的に使える手応えがありました。ならば防水機能を備えたハイキングシューズの場合はどうなのか?

防水シューズと非防水シューズ

登山靴の多くは濡れることを防ぐため防水機能が備わったモデルが多く、登山でDexShellソックスを導入を検討している人にとってはむしろこの組み合わせになることが多いかと思います。GORE-TEX製の防水シューズを用意し、片足にDexshell、もう片方に登山用ソックスを着用し、数時間の山歩きを実施してみました。

防水シューズを履いてテスト

「防水性シューズ × 防水ソックス」での夏山登山はさすがに(通常のソックスと比べて)蒸れやすさを感じてくる

防水透湿機能のあるシューズで防水ソックスと通常ソックスを履き比べてみた結果、非防水シューズでの場合よりもややはっきりと蒸れやすさの差が感じられました。

シューズとソックスの両方の防水透湿メンブレンが挟まっているわけだから、通気性は明らかに低くなっているのだから当たり前といえば当たり前ですが、テストをしたのが初夏の6月から7月にかけてで、日中は気温もあがるため汗もかきやすい時期だったのも要因のひとつでしょう。

もちろんこれはこのソックスの品質を表しているわけではなく、道具の使い方の問題であることは言うまでもありません。1年のうち最も暑い時期に、暑い時間帯で「防水シューズ × 防水ソックス」という組み合わせがさすがに最適とは言えないということであり、状況に応じて「防水」を優先するか「快適さ」を優先するかを判断していくことが重要です。

夏山であったとしても、たとえば何度も渡渉を繰り返すルートではいくら防水シューズを履いていたとしても完璧に水の浸入のを防ぐのは難しい場合があり得ます。そんな時には多かれ少なかれ濡れることを覚悟しなくてはなりません。また激しい雨の中ではパンツから伝わってきた水滴が靴の中に入ってきますし、泥や水たまりでグチャグチャの登山道を歩かなければならないこともあります。こうしたシチュエーションではDexShellの防水ソックスが大いに有効です。たとえシューズが濡れてしまったとしてもソックスが水の浸入を防いでくれますから足はドライな状態を保つことができます。

橋のない沢なども多く、渡渉時に浸水してしまうこともある。そんなシーンではDexShellの防水ソックスは心強い

積雪期の登山や低温環境での防水による保温効果は期待大

防水シューズと組み合わせてテストしたことにより、防水シューズとDexShellの防水ソックスの組み合わせによる蒸れは気になったところですが、筆者は環境が変わった時、かなり便利に使えるであろうという確信にも近い手応えを得ました。

確かに気温の高い3シーズンは蒸れは気になりますが、積雪期や、積雪がなくとも冬季の登山ではかなり心強いアイテムです。雪山登山の経験がある人ならば指先が冷たくなって痺れてしまうような経験をしたことがあるはずです。積雪期の登山は防水機能に加えて、保温材も入っているため外気からのプロテクト力は高く、極寒の中での活動も可能になりまが、長時間の行動によりシューズ内部は自らの汗で濡れた状態になり、その濡れにより熱伝導が高くなり足先の冷えが助長されてしまいます。

そんなシーンでDexShellの防水ソックスを履いていれば自身の汗によるシューズ内部の濡れを防ぐことができ、シューズ本来の性能を低下させることを防げるため足先の冷えを予防すると同時に凍傷などのリスクを軽減させることもできるでしょう。

ランニングライト2よりも厚手で、保温力、調湿性に優れるメリノウールが配合されたサーモライト オリーブグリーンであれば使えばより冬季の登山が快適にできそうですし、薄手のランニングライト2であっても下に薄手のインナーなどをレイヤリングすることでより使用できる幅は広がり、インナーの予備を携帯すれば常に足をドライな状態に保ち、厳冬期の登山を楽しめそうです。また保温力が高く厚手のウェーディング プロであればロング丈ですので雪の浸入も気にせずに行動できるでしょう。

2:ウォーターアクティビティでどれくらい使えるのか? ~渓流釣りで防水性能の実力をチェック~

DexShell防水ソックスは、川や湖など、水の中に完全に足を入れるような時でも防水性能は発揮されるのだろうか?

それを確かめるべく、DexShellのソックスを履いて渓流釣りへと出掛けてみました。いつもは濡れることを前提とするウェットウェーディングスタイルで釣りを楽しんでいる筆者。足が濡れることには慣れてはいますが、長時間の釣りの後には足がふやけてしまうのはいつものこと。

そこで今回は膝下まである「ウェーディング プロ」を履いて、じゃぶじゃぶ水の中を歩きながら渓流釣りを試してみました。ウェーディング プロは履き口にDEXLOK®(デクロック)加工を施していることで水の浸入を防いでくれる効果があります。

さっそくウェーディング プロを履いた状態で入渓し、川を遡上しながら釣り上がってみます。川に足を入れてみると不思議な感じ。足は確かに水の中にあるはずが靴の中で指を動かしてみるとドライな状態を維持してくれています。

数時間履き続けましたが、履き口を超えない規模の川(沢)であればドライな状態を保ってくれました。退渓後、シューズを脱ぎ確認すると、自らの汗による多少の湿り気はあるものの濡れてはいないため、足がふやけるような状態にはなりません。ウェットウェーディングスタイルで釣りを楽しんでいる筆者にとっては新鮮な感覚でした。

水深が深ければ履き口から浸水はしてくるので注意

膝下まで長さのあるウェーディング プロを履いて下半身(太ももあたり)まで水の中に入ってみました。水の浸入を防ぐDEXLOK®加工が施されているとはいえ、完全に浸水させてしまうと水は浸入してきます。ランニングライト2サーモライト オリーブグリーンも同様で、履き口からの水の浸入へのリスクは考えておくべきでしょう。

ウェーディング プロは履き口に水の浸入を防ぐ加工がされていて、水深が30cmを超えるような場所でも水の浸入を防ぐ

ソックスの履き口よりも深い場所に立ち入るのであれば浸水は免れません。一旦浸水を許してしまうと高い防水性からソックス内に水を留めてしまい、常に水に足が浸かっている状態になり、防水性というアドバンテージはデメリットに働いてしまうため注意が必要です。

登山やハイキングにおいては水かさがソックスの高さ以上になるような場所に足を踏み入れるようなシーンは稀なため、浸水してくるとしたら雨水などが足をつたって浸入をしてくることが想定できますのでレインウェアを着用すれば問題になることはほとんどないでしょう。

釣りやウォーターアクティビティの際にはフィールドの見極めが必要になります。浅瀬などシューズが水に浸かる程度であればDex Shellソックスはその防水性を発揮してくれ、ドライな状態のまま水辺でのアクティビティを楽しめますが、膝下まで長さのあるウェーディング プロを履いていたとしてもそれ以上に深い場所では効果は発揮できないため、より深い場所へと足を踏み入れるのであればウェーディング プロよりもウェーダーを着用した方が確実に水の浸入は防げます。

まとめ:通常のソックスと同じ感覚で防水してくれるDexShell防水ソックスは、状況を見極めて使えれば鬼に金棒

素材の違いによる特性をシチュエーション別に番付してみる

DexShellの防水ソックスを紹介しました。最後に検証のまとめとして、DexShellの防水ソックスと一般的な登山・ランニング用のソックスを素材別に、シチュエーションごとの最適表をつくってみました。当然ですが、ソックスは厚みや品質、混紡率などによっても性能が大きく変わってきますし、各シチュエーションも地域や条件等幅広いケースが考えられるため、厳密にはひとまとめにして比較できるものではありません。あくまでも筆者の経験上から感じた目安ですので、参考程度にお考えください。

シチュエーション化繊系ウールDexShell
夏登山
春・秋登山
冬登山
ランニング・ファストハイク
足元が濡れるアクティビティ
悪天が予想される長期縦走

通気性の高い非防水シューズを愛用する人で、雨などによる濡れから足を守りたい人にとってDexshellの防水ソックスは有効な手段であると言えるでしょう。しかもソックスであれば予備の携帯も容易なため、仮に雨や徒渉時に浸水してしまったとしても予備を忍ばせておけばOK。防水シューズではこうはいきません。予備を携帯するには重たすぎ、浸水してしまったら完全アウトですから。防水機能の備わったシューズと組み合わせる際は、過剰なプロテクトによる蒸れが発生してしまうため、好天時には向きませんが、厳冬期の雪山や、低温環境ではDexShellの防水ソックスのメリットを最大限に活かせ、快適な登山が楽しめそうです。渓流釣りなどのウォーターアクティビティでは水深が深い場所では浸水は免れないため、訪れるフィールドの見極めと、必要に応じてネオプレンソックスなどとの併用をすることでドライな状態を保ちつつ、快適にアクティビティを楽しめるでしょう。

Yosuke.C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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