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Review:FIELD RECORD FR-chair carbon まったく新しい発想の軽量チェアで、どこでも優雅なコーヒータイムを

日本にはまだ小さいながらも欧米に負けず劣らず強烈な個性を放つプロダクトを創造するアウトドア・メーカーがたくさん埋もれています。

今回紹介するのは、インテリア・雑貨などの独創的なプロダクトデザインで知られる共栄designにより2018年に立ち上げられたアウトドアブランド「FIELD RECORD」がこの春発売を開始した折り畳み式チェア「FIELD RECORD FR-chair carbon」。

一見すると何の変哲もないアウトドアチェアのようですが、実はこれ、トレッキングポールをフレームとして組み込むという今までにない構造になっています。このまったく新しい発想によって快適性と軽さを同時に実現した革新的なチェアには、ほかにも安全・便利に使用するための小さな工夫がたくさん。

普段は登山にチェアなんて贅沢品を持っていく気などさらさらなかった自分ですが、ここ数週間使わせてもらって、チェアが常に傍らにあるハイキングにも悪くないぞと思ってしまった。そんな新鮮な驚きをくれた注目チェアについて早速レビューしていきます。

詳細レビュー

驚きの510gとパッカブル仕様

FR-chair carbonは本体ポールおよび別売りのトレッキングポールにカーボンを中心とした素材が採用されているため、強度を維持しながらも驚くほど軽量にできています。その重さは510gと、ちょうど手元にあった代表的な超軽量チェア「チェアワンミニ(450g)」比較しても50g程度しか差がありません。あちらは軽量化のために座り心地を多少犠牲にしている面がありますので、その意味でFR-chair carbonの革新的な軽さは想像に難くありません。さらに袋要らずで収納できるパッカブル仕様。下の写真のようにコンパクトに折り畳むことができます。

トレッキングポールは基本的には同ブランドのFR-CDPトレッキングポール(別売り)を組み合わせます。”基本的に”と書いたのは、最短収納時の長さが68cmのトレッキングポールであれば、他のポールへ差し替えが可能だからです。ただ実際のところ、最近のトレッキングポールはどれも収納時68cmよりも短いモデルが主流なので、現実的にはこのポールを使用することになるかと思います。このFR-CDP自体は軽量で高耐久、十分な使い心地ではあるものの、やはり収納時68cmという長さはネックで、できれば他ブランドの幅広いモデルが使えるようになるとありがたかいのが正直なところです。

慣れてしまえば組み立ても簡単

必要なもの以外は極限まで削ぎ落とされた構造ゆえ、組み立てに関しては多少の慣れが必要です。ただ慣れてくればストレスに感じるような煩わしさはないのでここは他の性能とのトレードオフということで納得できる部分でしょう。

まずはじめに、本体に3本取り付けられたカーボンポールを伸ばします。ここまでは誰でも難なくいきます。

次にトレッキングポール2本を互いに交差させて両端のスリーブにセットします。このときポールがストラップの下を通るようにしないといけないのですが、これが慣れないうちは「どうだったっけ?」と混乱してしまいがち。ただ最初こそやや戸惑いますが、すぐに慣れますのでご心配なく。

最後に5カ所あるストラップをすべて強く引いて全体を締め付けて固定します。

ここまで慣れれば1~2分で設営完了です。

軽量チェアでは味わえない、広い座面と背もたれを備えた贅沢な座り心地

座面の幅こそチェアワン ミニより少し広い程度ですが、奥行、そして背もたれの広さは一目瞭然。

早速座ってみます。一般的なキャンプチェアに近い感覚で背もたれに上半身を預けることができます。極楽極楽。

地面でコーヒーを淹れるのにもちょうどいいロースタイル

ゆったり背中をもたれるのもいいですが、このチェアのニクイところは地面で調理や湯沸かしするときにもちょうどいい高さであるという点。軽量チェアにありがちな、高すぎたり低すぎたりということがない。長い坂を登り切ったその先は、いつでも優雅なロースタイルが待っているというわけです。

それでも気になる交差したポールの当たり具合と横方向の安定性

最小限の重量で最大限の快適性を実現した、見事なチェアではありますが、個人的にまだ手放しで喜べない部分が2点ほど。ひとつはポールが交差している関係で、お尻~背中に当たるのがいつも片側(上側)のポールであるため、多少違和感があること。一番よいのはポールが身体に当たらないことですが、せめて気づかないくらいにソフトな当たりであるのが望ましいです。

もうひとつは横方向の傾きに対しては若干弱いこと。普通に座っている分には特に不便はないのですが、少し身体を傾けたときには不安定さが感じられてきます。これは地面にペグを打って固定する(下写真のようにループあり)ことである程度安定しますが、そもそもちょっとした休憩程度ではペグを打つのも現実的ではないので、ペグなしでももう少し安定してくれると嬉しい。

まとめ:どんな人におすすめ?

今回はちょっとしたハイキングにしか使用していませんでしたが、このチェアが最も活躍するのはやはり、ちょっとした休憩時よりもテント泊でのリラックスしたひとときを過ごすタイミングです。このチェアがあれば、調理から夕飯、そして酒とつまみを囲んで過ごす長い夜が、きっと捗りまくるに違いありません。これまでなら、軽量チェアレベルの快適さであれば我慢していたところ、ここまでリッチな座り心地であれば、思わずちょっと持っていってもいいかなとなってしまう。価格は確かに高めです。ただそんなこちらの欲望をくすぐってくる魅力をもった素敵なギアです。

このアイテムの他にも連結・可変式のシェルター!といった興味深いアイテムを展開し、機能性とデザインを融合した用の美を追求するブランドFIELD RECORDからは今後も注目していきたいと思います。