【忖度なしの自腹比較レビュー】実際に着比べて分かった、ミニマリストハイカーに刺さる軽量アクティブインサレーション
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「アクティブインサレーションがいい」とは言うけれど
「動ける防寒着」と巷で話題のアクティブインサレーション。
最近では多くのブランドから発売されていますが、正直なところどれを選べばいいか迷いませんか?私はかなり悩んでいました。例えば、
- 中綿は何を選べばいいの?オクタ?ポーラテック アルファダイレクト?プリマロフト?
- シェル(表地)の違いでどう変わるの?
- フードは必要?(フード渋滞もストレスだし)
- 重さと保温性のバランスは?
- アウターでもミドラーでも使える便利なモデルは?
などなど。いざ購入して使ってみると「暑すぎてオーバーヒートした」、逆に「思ったよりも保温性がなくて寒かった」とならないように、自身のアクティビティに応じたものを使うことが大切です。しかしながら、これが非常に難しく、結局のところ使ってみないとわかりません。アクティブインサレーション選びは悩ましいのです。
そこでこの記事では、冬のハイキング目的で厳選した軽量アクティブインサレーション3点を実際のフィールドで着比べてテストし、各モデルインプレッションと『最も気に入ったモデル』について書いています。皆さんにとってベストなアクティブインサレーション選びのヒントになれば幸いです。
目次
ミニマルな軽量アクティブインサレーション候補3アイテム
2023-2024 秋/冬のアクティブインサレーションから、次の条件で3点を選びました。
- 表地がある(通気し過ぎない)
- 行動着として保温性が高過ぎない
- 重量200g未満
- レイヤリング重視のためフードなし
最後に外観その他、個人的な好みも若干加えて条件に合ったのが次の3点です。
finetrack ポリゴンULジャケット
OMM SuperSonic Smock
Teton Bros. Sub Jacket
Sub Jacket / Teton Bros.は重量200gを超えていますが、中綿の「ストレッチOcta」が非常に気になったので選んでいます。
テスト環境とフィールドテスト結果
テスト環境
中綿もシェルも異なる3点ですが、実際のところどのように違うのでしょうか。また、メーカーが謳っている特徴は、実際のところどうなのでしょうか。フィールドテストをして気になる点をチェックしました。
- 【期間】11月〜12月
- 【山域】八経ヶ岳(奈良)、金勝アルプス(滋賀)、京都一周トレイル(京都)
- 【天気】晴、曇、雨
- 【アクティビティ】ファストパッキング
- 【レイヤリング】ベースレイヤーにアクティブインサレーションを着用
テスト期間の11月〜12月は、1日の気温変化が大きい時期。登り始めは暑いですが、稜線に出て冷たい風が吹けば急に寒くなるため、テストにはピッタリの環境です。ファストパッキングスタイルで比較的速めのスピードで進みます。
レイヤリングは、ベースレイヤー(ノースリーブ)の上にアクティブインサレーションを着ます。暑くなればアクティブインサレーションを脱ぎ、寒くなればシェル(レインジャケット)を着て調整します。
アクティブインサレーションを初めて買うなら、できるだけ万能なギアを買いたいところ。さらに軽量でコンパクトなら言う事なしです。この3点の内、汎用性が高いインサレーションはどれでしょうか?気になるテスト結果は次のとおりです。
フィールドテスト結果
各モデルのインプレッション
BEST:ちょうどよい暖かさ、着心地、機能性、総合点でミニマリストなハイカーにオススメ! OMM SuperSonic Smock
188g(実測)と超軽量な防風インサレーションウエア。超軽量な理由は、PRIMALOFT® NEXT、極めて薄い表地PointZero、プルオーバー、フードなしという組合せによるもので、ミニマリストなハイカーにピッタリな仕様です。
着た瞬間のフワッとした着心地と暖かさがとにかく好き。素肌に着ても全然違和感がなく、着心地は3点の中で飛び抜けて良いです。
サイズ感やシルエットも自分の体型にはちょうど良く、しっくりきています。機能性も高く、簡単にパッカブル、内蔵のウエストベルト、枕にもなること(!)、袖を伸ばすと簡易的なフローブになること等、便利な機能がいくつもあります。寒い日にフルジップ全開にして歩くとお腹が冷えるので、ハーフジップでも十分だと感じました。
しかし、脱着はどうしても煩わしさがあります。特にキャップを被った状態での脱着は大変です。また、急いで着ると裏地が飛び出ることも。袖通しはコツがいります(慣れれば問題なし)。フードがないことについても好みが別れるところ。個人的には、寒い時はシェルのフードを使うので、フードなしで問題は感じず、むしろフード渋滞がなくて快適でした。
オススメのレイヤリングとしては、「ノースリーブ+SuperSonic Smock」または「素肌+SuperSonic Smock」。素肌に着てもPRIMALOFT® NEXTがしっかり汗を吸い上げて拡散してくれるので、ミニマリストにオススメのレイヤリングです。保温着としても夏の北アルプスに持っていこうと思いました。私の場合100gの軽量化です。
洗濯機OKなのでメンテナンスも簡単。無駄を削ぎ落とし、1つの道具で2役をこなすことを良しとするミニマリストなあなたにオススメのアクティブインサレーションです。
換気や重ね着がしやすく、細かく温度調節したい人にオススメ! finetrack ポリゴンULジャケット
適度な保温力と軽量性(実測で183g!)を追求したオールシーズン活躍するfinetrackの行動保温着です。内側の右ポケットに簡単に収納(ポケッタブル)できてコンパクト。独自開発のファインポリゴン®を中綿に使い、風を通す表地と汗処理できる裏地で挟んでいます。3点の中ではゆったりめのシルエットなので、ベースをロンTやフーディーにすることで、幅広いレイヤリングが可能。汎用性が高いです。
3点の中では保温性が最も低いですが、その分ヒートアップもしにくいです。リンクベント®によりムレを開放でき、ジップで微調整も可能。ただ、個人的には、リンクベント®の場所は腹部より脇の方が嬉しかったです。撥水性が高く、濡れても保温性が下がりにくい上にすぐ乾くので、雨の日でも安心です。
気になる点は、汗をかくとベタつき、気温が下がると肌寒さを感じてしまう裏地。
オススメのレイヤリングとしては、「ロンTフーディー+ポリゴンULジャケット」。リンクベント®とフルジップでムレを開放しながら歩き、寒い時はベースレイヤーのフードを被ったりもう一枚薄手の中間着を重ねれば快適に冬の低山を歩けます。ロンTなら裏地の肌触りも気になりません。
finetrackはデザインや色がもったいないと思っていましたが(すいません!)、ポリゴンULジャケットはカラー展開やシルエットが好みで使いやすいです。私個人の感覚では、ベースがノースリーブなら10℃以下、ベースがロンTなら5℃以下で着ます。もちろん洗濯機OKなのでメンテナンスも簡単。秋口から冬本番まで、幅広い季節で細かく温度調整をしたい派のあなたにオススメのアクティブインサレーションです。
冬本番でのアクティビティや、寒がりハイカーにオススメ! Teton Bros. Sub Jacket
保温力とモイスチャーコントロールのバランスに優れた新開発のStrech Octaを使い、きめ細かいカッティング、フルジップ、大容量のポケットなど機能性に隙がありません。Teton Bros.らしいカラー展開も、好みの色ばかりで選ぶのに悩みました。
3点の中で最も重量(実測309g!)と厚みがあり、保温性が高いです。想定の温度帯やアクティビティは他の2点とは一段違うと感じました。寒い屋外で袖を通した時の安心感はピカイチで、着た瞬間心地よい肌触りと暖かさを感じます。
Strech Octaの伸び具合ですが、ジャストサイズなシルエットにも関わらず突っ張りは一切感じません。また、ジャストサイズなシルエットなので、シェルを着ても動きやすく、なによりスタイリッシュです(従来Octaとの違い)。
気になる点としては、パッカブルできないのでザック内で嵩張ること。また、森林限界以下の雪山ハイクを楽しむ私にとっては、保温性の高さが少しオーバースペックに感じました。
気温が氷点下の山を楽しむ方、寒がりな方、ゆっくり歩くのが好きな方にオススメのアクティブインサレーションです。
参考:主要項目の解説
通気性
評価するため、扇風機の風を当ててテスト(気温16℃)した結果、風がよくヌケると感じた順番は・・
- 1位は、厚い生地にも関わらず風がヌケるSub Jacket
- 2位は、SuperSonic Smock
- 最後は、僅差でポリゴンULジャケット
ちなみに、これら3点は扇風機の風に数十秒当たっても寒くなかったのですが、ダイレクトにOctaを使っている製品(エアメッシュ1/2ジップ / Mountain Hardwear)は風を通しすぎて寒くて1秒も我慢できませんでした。シェルがないので当然なのですが、風のヌケ具合は全然違います。
保温性
わかりやすく違いが出た項目。参考までに、私が着る目安の温度帯も書いておきます(あくまで目安です!)。
- 1位は、表地が厚く重量もあるSub Jacket(5℃以下なら着用)
- 2位は、空気を溜め込むPRIMALOFT® NEXTのSuperSonic Smock(8℃以下)
- 最後は、ポリゴンULジャケット(10℃以下)
速乾性
洗濯機で脱水して、30分外干し(曇り、20℃、微風)した後の重量を比較しました。Sub Jacketは洗濯機NGのため、ポリゴンULジャケットとSuperSonic Smockの2点で比較。テスト結果は・・・
- 1位はポリゴンULジャケット。30分後は31g軽くなっており、ほとんど乾いてびっくりしました!
- 2位はSuperSonic Smock。30分後は25g軽くなっており、少し保水している状態でした。
ちなみに、脱水後にポリゴンULジャケットとSuperSonic Smockを着ましたが、2点とも保温性は十分感じられました。
まとめ
ミニマムな軽量アクティブインサレーション3点をフィールドテストした結果、今シーズン私が一番欲しいと思ったのは、OMMのSuperSonic Smockでした。
決め手は(テストした時期にもよるかもしれませんが)保温と風ヌケのバランス。また着心地のよさや機能性の高さ、ギミックの多さなど、総合的なバランスという意味でも次もまた着たい、持っていきたいと思わせてくれました。
ただ、今回自分にとってのベストはOMMでしたが、他の2点もじっくり比較してみるとそれぞれに違った特徴・魅力があり、例えば換気しやすく幅広い季節で着まわせるファイントラック、より低温下で強いティトンブロスなど、使用山域や季節、アクティビティ等によって適したモデルも変わってくるかと思います。この比較レビューがれぞれ判断いただく際の参考になれば幸いです。
村上ハルキ
登山歴5年、UL歴2年。まだまだ試行錯誤中のハイカーです。ロングハイク好き。旅も好きで国内外問わず出かけています。初心者の視点から感じたことを中心に、読者の皆様に「来週も山行くぞ!」と感じてもらえるように分かりやすくお伝えしていきます!