モンベル2024春夏新製品で気になったアイテムまとめ 例年になく胸熱な新作たちと、ついに誕生してしまった魔性のギアとの遭遇
夢のニセコBCツアーから帰宅して次の日、まだ余韻と疲れが抜けきれない身体を引きずりながら、行ってきました、毎シーズン恒例の「モンベル新製品発表会」。
いつもならばお腹いっぱいになって満足するのみでこうしたレポートは書いていないのですが、今年は別。どうしても書いておくべきだと、リトル俺が言っています。なので、Outdoor Gearzine的に気になった2024年の新作アイテムと、自分の頭の中でまだ大きな物議を醸している「とある新製品」との遭遇についてまとめてみます。
今年も豊作、胸熱な新作たち
幅広いアクティビティを網羅する総合アウトドア・ブランドのモンベルの展示会では、一般的なブランドの数倍はあるであろうたくさんの新作が並びます。毎回一回りするだけでもいっぱいなのですが、今シーズンは昨年にも増して個人的に引っかかる興味深い新作がたくさん。時間がいくらあっても足りないくらいでした。以下、個人的に引っかかったものの一部を紹介していきます。
まずはやっぱりアウトドアウェアの花形、レインウェアで新しいイノベーションがあったことは特筆すべきでしょう。モンベル独自の防水透湿素材であるドライテックの新バージョン「スーパードライテックⓇ」を採用した超軽量3レイヤーレインウェアが登場。裏地の快適な肌触りと一気に向上した透湿性がヤバい。7デニールの極薄生地を採用した「スーパー ドライテック ピークシェル ジャケット」の重量は168gと軽さも十分。しかもメンブレンや撥水剤にフッ素化合物を一切使用せず、裏地も植物由来ナイロンを採用と環境への対応も万全です。
他のスポーツブランドからの新規参入も賑やかな、吸汗速乾性を高めるドライアンダーウェアの分野でも独自のアイデアで気になる新作が。通気性と速乾性に優れた薄手ジオラインクールメッシュ生地を身頃に、袖にはアームカバーのようにUVカット効果を備えた伸縮性の高い素材を合わせたハイブリッドアンダーウェアが新登場。前の記事に書きましたが、長袖のドライアンダーを通年着用し、その上に夏は半袖Tシャツ、秋冬は長袖ベースレイヤーなど着まわすハイカーは多いようで、これはそうした愛好家にとっては見逃せない一着になりそう。
今年はシューズも豊作でした。軽快なトレッキングブーツ、マウンテンクルーザー400にゲイター一体型モデルが登場。どちらも選べるならばゲイター一体型の方がプロテクション・歩きやすさなどいろいろな面から安心です。ゲイターも防水透湿生地を採用しているので、夏場の蒸れもそこまでひどくないと期待しています。
もう少し硬めの、岩場や長い縦走も対応する「アルパインクルーザー800」のBOAモデルがアップデート。BOAが1つとシンプルになった一方で、足首にはベルクロ留めというハイブリッド構造になっています。万が一BOAの部分が破損しても紐で対応できるような作りになっていたりする細やかな作りにも感心。
低山ハイクやスピードハイクを想定してデザインされたローカットシューズ「トレールランダー」はGOREインビジブルフィットはそのままにラストが改善され、さらなるフィット感と柔らかさに。非GORE-TEXモデルのほか、こちらにもBOAモデルが登場。「シューズのフィッティングにBOAシステム」がどんどん一般的になってきてる。
日常や水遊びだけでなくテント泊まりにも欠かせないサンダル。ぼくの渓流装備にも常に入っています。嬉しいことに新作ではさらに薄く・軽く(約30%もの軽量化!)なり、さらにグリップ力が向上しています。
正直ここ最近自分の琴線に触れるモデルと出会えていなかったモンベルのバックパックですが、今シーズンの最新キトラパックの気が利いた収納システムにはかなりグッときました。防水スタッフサックを兼ねたメイン収納に、ボトムからアクセスできる別の収納スペース、ベスト型っぽいショルダーポケット、立ったままボトルにアクセスできるサイドメッシュポケット、取り外し可能なトップリッドなど抜け目ない収納類が満載。しかもそれらが取捨選択(カスタマイズ)可能というのトコロもいい。
きっと入れられないモノは無いに違いない新作どデカキャンピングトートバッグも、キャンプだけでなくあらゆるアクティビティで超便利に使えそう。開口部の開け締めしやすさや、肩掛け時の持ちやすさなどもよく考えられています。
ウォーターボトルは「キャップ(フタ)」が進化。従来の広口に細口の飲み口が加わりました。このキャップはモンベルのボトルはもちろん、口径が57mmの一般的な広口ボトルにも対応しているようです(実際には構造的に適合しないものもあり得ます)。
取り扱い輸入ブランドの「ヒューマンギア」からは、縦に開いて洗いやすいプラスチックストローが登場。食洗機にも対応は嬉しい。
手ごろな大きさに手斧・ハンマー・ペグ抜きといったマルチな機能を搭載したスマートなハチェット、GEAR AID(ギアエイド)の「バルタ コンパクトハチェット」は知らずのうちにどんどん総重量が重くなっていってしまう我が家のキャンプ道具一式にぜひとも加えたい助っ人です。
まとめ:最後に、ついに誕生してしまった魔性のギアとの遭遇
以上のように今シーズンもたくさんの興味深い山道具が登場し、新しい春が待ち遠しくなってきたわけですが、ただひとつ、いまだにその衝撃から立ちなおることができずにいる新製品との出会いについて報告しておきます。
いつか出るだろうとは思っていたのですが、そのギアとはそう「登山版 空調ウェア」。
今や夏の屋外作業では無くてはならないといっていいくらいに普及した、電動ファン付きウェアがついに登山の世界にまで。モンベルはこの空調ウェアを、バックパックを背負っていても効果的に空気が首回りへと抜けるように様々な工夫を凝らし、バックパックを背負った登山などのアウトドアでも利用できるようなモデルを開発しました。
そりゃもちろん、試してみましたよ。実際にベストの上からバックパックを背負って。
衝撃でした。
脇腹から首を通って身体全体をスバーっと、最大19Vという強力な風が抜ける、抜ける。これはもうあかん、魔性過ぎる。真夏の低山でこれ使ってしまったら、無しで歩くのが嫌になるかもしれない。それほどまでに強烈な快感のインパクト。連続使用時間は最大モードでも6時間程度は持つというので、日帰り一発で使うのなら十分なパワーを持っています。
こうした電気の力を利用したウェアといえば、冬用では生地に電熱線を通した「バッテリー式発熱ウェア(ソックス・グローブ)」などがすでに市場に存在することから、電熱を利用したアウトドアギア自体は珍しくないのかもしれません(実際自分も多々お世話になっているし)。ただこの革新的な空調ウェアは、身体を暖めるのではなく「冷やす」機能を持った夏用の電子式ウェアという意味では世界初といえるのではないでしょうか。高温多湿な日本という環境、そしてさらに日本で独自に育まれたワークウェア市場があったからこそ誕生したとも考えられます。
ただ、ファン付きのベスト自体はそれほど重くはないものの、大容量の専用バッテリーは343gとまだ若干重くごついのは確か。また冬の寒さというリスクと違い、夏の暑さは自らの体力向上と体調管理によってどうにかなりやすい領域です。さらにはこのファンが大きく重いザックを背負ったときにまで通用するかどうかも未知数。このため個人的には(不格好さも含めて)必要に迫られる、あるいは使いたいという気持ちには正直まだなれていないのですが、いずれにせよこれを機に時代は一気に進んでいくでしょう。
良い悪いは別として、そう遠くない日に夏のジメジメした樹林帯であっても自前で起こした風にそよがれながら爽やかに歩くのが当たり前、という世の中が来ることは間違いありません。今回はそんな新しい時代の到来を予感させる展示会でした。
モンベル 2024年春夏の新商品について
モンベル2024年春夏の新商品の詳細については公式通販サイトをご確認ください。