
【忖度なしの自腹比較レビュー】コスパ抜群の国産超保温ボトル「TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)」はサーモス・モンベルに匹敵する実力があるのか?【比較検証】
山で使う保温ボトルといえば、サーモスの「山専用ボトル」やモンベルの「アルパイン サーモボトル」は鉄板アイテムとして周知され、多くの人が使っているでしょう。
そんな中、目に入ってきたのが「TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトル」です。定番のサーモスやモンベルの保温ボトルに匹敵するどころか、より高い断熱性が表示されていながら、価格は3,000円でお釣りが来る脅威のコストパフォーマンス。これはテストしてみないわけにはいきません。
そこで今回はテンピークライト超保温ボトルが、「アウトドア・登山向けとしてどれだけ使えるか?」を基準にフィールドテストを行い、定番保温ボトルと比較しながらレビューしてみたいと思います。
結論としてはテンピークライト超保温ボトル(以下テンピークライト)は定番に引けを取らない高い保温力を備え、コストパフォーマンスに優れた保温ボトルでした。
目次
TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトルの主な特徴

TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトル
テンピークライトはキッチン周りを中心としたステンレス卓上用品、タンブラーやフードジャー、家電製品などの製造・販売を行う「株式会社アトラス」の製品です。
コップとボトルが一体型になるシンプルな保温ボトルで、サイズは370ml、500ml、750mlをラインナップ。5層の断熱構造になっており、真空層で外気温の影響を遮断し、輻射熱を反射する構造にすることで保温力(保冷力)を持続させます。
その高い断熱性は気温が約20℃の環境において95℃(誤差は±1℃)のお湯を入れ、6時間経過後も81℃の温度をキープすることが可能(500mlサイズでのテストにおいてのメーカー公表値)
優れたデザイン性と機能の高さから2024年のグッドデザイン賞を受賞した保温ボトルです。(グッドデザイン賞は1957年以降、60年以上にわたり「よいデザイン」を顕彰してきた通商産業省主催の日本のコンテスト)
気になるライバルとのスペック比較
冒頭でもお伝えした通り、登山での使用に最適な保温ボトルはすでに数多く存在し、中でも定番と言えるのがサーモスの「山専用ボトル」やモンベルの「アルパイン サーモボトル」です。
山専用ボトル、アルパイン サーモボトル、そしてテンピークライトはいずれも素材にステンレスを使用しており、同等の仕様になっていることから比較対象になるため、スペックや保温力などを比較してみたいと思います。
評価項目については、下記の通り5つの指標を設定し、星5つで評価をつけました。
- 断熱性能:温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。出来るだけ長い時間温度を保っていられるかを室内/屋外において測定
- 携帯性:重量とサイズなど収納性や持ちやすさ
- 蓋・飲み口:蓋を開けてから飲むまでの素早さ、使いやすさ
- お手入れ:大きさや構造、パーツの数などによって、メンテナンスの容易さ
- コスパ:本体の価格
アイテム | TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトルATPBL-500 | mont-bell アルパイン サーモボトル 0.5L | THERMOS 【山専用】ステンレスボトル FFX-501 |
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イメージ | ![]() | ![]() | ![]() |
Outdoor Gearzine 評価 | |||
断熱性能 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
携帯性(重量・サイズ感・持ちやすさ) | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
蓋・飲み口 | ★★★★☆ | ★★★★☆※オプションの交換用アクティブリッドなら★★★★★ | ★★★☆☆ |
お手入れ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
コスパ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
スペック | |||
容量バリエーション | 350ml/500ml/750ml | 350ml/500ml/750ml/900ml | 500ml/750ml/900ml |
実測重量 (g) | 293.5g | 258.0g | 283.5g |
本体寸法 (直径×高さcm) | 約Ø7.5×25 | 約Φ6.8 x 22.5 | 約Ø7 × 23.5 |
公式保温効力 (6時間)※1 | 81℃以上(室温20±2°C) | 78°C以上(室温20±2°C) | 77℃以上(室温20±2°C) |
公式保冷効力 (6時間)※2 | 8℃以下(室温20±2°C) | 8°C以下(室温20±2°C) | 10°C以下(室温20±2°C) |
参考価格 | 2,680円(税込) | 4,400円(税込) 現行品はシリコンプロテクターは別売 | 6,050円(税込) |
※1:公式保温力テストは室温が20℃(±2℃)の環境において95℃(±1℃)、または95℃になったときから中栓・ふたをして縦置きにした状態で6時間放置した場合におけるその湯(水)の温度です。
※2:公式保冷力テストは室温が20℃±2℃の環境において4℃以下(±1℃)、または4℃の冷水を中せん下端まで満たし、縦置きにした状態でときから中栓とコップを付けて6時間放置した場合におけるその水の温度です。
温度計を使った断熱性能のテスト

テストには調理用の温度計を使用
比較する3モデルはできるだけ同じ条件で比較できるよう、ボトルの容量を500mlのモデルで統一し、テストをおこないました。
テストはメーカーが公式保温テストの環境に近い、気温約20℃での常温テストと、冷凍庫の中(マイナス15℃以下)でのテストを行いました。
それぞれのテストで、1時間後、3時間後、6時間後の温度を計測します。
グツグツになるまで沸騰した状態で中栓まで注ぎ、中栓とコップを付けた状態で縦置きし、経過時間によって調理用の温度計での計測をおこないましたが、計測については全てのボトルを同時に計測ができないため、若干の時間差があり、正確な数値というよりは参考として比較していただければと思います。
常温テスト(気温約20℃):3モデルとも実力は拮抗
アイテム | TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトル | mont-bell アルパイン サーモボトル 0.5L | THERMOS 【山専用】ステンレスボトル FFX-501 |
---|---|---|---|
1時間後 | 90.6℃ | 92.7℃ | 91.0℃ |
3時間後 | 86.3 | 87.4℃ | 86.4℃ |
6時間後 | 80.5 | 81.0℃ | 80.0℃ |
まずはじめに気温が約20℃の環境でテストをおこないました。6時間後に最も高温を維持していたのはモンベルの81℃です。次いでテンピークライトが80.5℃、サーモスが80℃となりました。全てのボトルにおいて6時間後の温度の差が1℃以内となり、どのボトルも高い保温力があることが分かります。

室内テストでの6時間後の温度。全てのボトルが80℃以上をキープ
テンピークライトは公式の測定値よりも0.5℃低いという結果に。あくまでも家庭用の設備や機器を用いた簡易なテストであるということでご理解いただきたいところではありますが、モンベルとサーモスは公式の測定値よりも高い数値となり、むしろ控えめに書いているといってもいい温度変化となりました。
ちなみに、約80℃がどのくらいかというと、カップラーメンなどが問題なく食べられる温度です。
低温環境(気温-15℃以下):こちらも実力はほぼ互角(というかテンピーク優秀!)

冷凍庫内に入れてテスト
アイテム | TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトル | mont-bell アルパイン サーモボトル 0.5L | THERMOS 【山専用】ステンレスボトル FFX-501 |
---|---|---|---|
1時間後 | 92.6℃ | 93.1℃ | 92.2℃ |
3時間後 | 86.4℃ | 86.1℃ | 84.9℃ |
6時間後 | 78.2℃ | 77.4℃ | 76.0℃ |
続いてのテストは冷凍庫の中に入れた状態でのテスト。冷凍庫はマイナス15℃以下になるため、厳冬期の八ヶ岳を想定できる環境です。ボトル同士の間に保冷剤を置き、それぞれのボトルが干渉しない状況にし、テストを行いました。
6時間後に最も高い温度をキープしていたのはテンピークライトの78.2℃、次いでモンベル(77.4℃)、サーモス(76.0℃)となりました。
マイナス15℃以下の間とあって、6時間後の結果は屋外テストよりやや温度は低くはなりましたが、十分に熱い温度をキープしてくれています。この結果から分かることは、低温環境になることで多少の影響は受けるものの、どのボトルも高い断熱性能を誇り、大きな力の差はないということです。

マイナス15℃以下の環境でのテストでも高い温度をキープ
断熱性能の比較テストでは頭ひとつ飛び出るようなボトルはなかったため、ベストボトルを選定するには保温(保冷)力以外のディテールを見ていく必要があります。
ここからはテンピークライトの詳細レビューをお伝えしながら、各ボトルとの実用性について解説します。
TEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトルの詳細レビュー
お気に入りポイント
- 高い保温力・保冷力
- シンプルなデザイン・カラーで普段使いもOK
- 抜群のコストパフォーマンス
- ストレスのない注ぎ口とシンプルなパーツ構成
気になるポイント
- ライバルの保温ボトルに比べ大きく、重い
- グローブをした状態だと滑る
高い保温力・保冷力
マイナス15℃以下での低温環境でのテストではモンベル、サーモスよりも高い温度をキープするという結果に筆者も驚きました。テンピークライトはモンベルやサーモスの保温ボトルと比べても対等に渡り合える保温力を備えています。
気温約20℃の環境で12時間後の温度は71.1℃でしたので、寝る前に作っておいたお湯でも翌朝まで十分に持続してくれます。例えば混み合ったテント場では、早朝のストーブの使用はためらってしまうような時もありますが、テンピークライトがあれば起きてすぐに温かいコーヒーなど飲むことができます。
さらに容量は500mlあるため、コーヒー(150ml)に加えてスープ(150ml)を飲んでも300ml、残りの200mlでアルファ米を食べることだってでき、満水にしておくことでちょうど一食分のお湯を確保しておけます。
70℃のお湯ではぬるいと感じるような時はストーブで再加熱すればすぐに沸騰させることができますし、常温から加熱するより短い時間で沸かせるため、時短になり、燃料のセーブもできて一石二鳥です。
抜群のコストパフォーマンス
500mlサイズで2,680円(税込)で3,000円でおつりのくる価格は、比較した保温ボトルの中では頭ひとつ抜けて低価格となっています。サーモスは2倍以上(6,050円)、モンベルのでも1.5倍以上(4,400円)の価格のため、コストセーブしたい人にとってはテンピークライトの価格設定はありがたいところ。
保温性能のテストの結果を見れば安価だからといって性能が劣っているわけでもなく、保温性能に対しての価格を考えても比較した中ではもっともコスパのいい保温ボトルです。
ライバルの保温ボトルに比べ大きく、重い

サイズが最もコンパクトなのはモンベルのアルパイン サーモボトル
勝るとも劣らない保温力を発揮するテンピークライトですが、気になる点としては大きさと重量。上の写真を見てもらえれば分かるように、テンピークライトのサイズが最も大きく、ボトルの直径も太くなっています。
重さは293.5gで、最軽量のモンベル(258.0g)との差は35.5gあります。シビアに1gでも削りたいと考えている人にとっては35.5gの重量差は多少コストを払っても妥協はできないところでしょう。
ちなみに、比較した3つのボトルにはいずれも取り外し可能なシリコンゴムが装着してあり、シリコンゴムを外すことでわずかに軽量化をすることができます。

シリコンゴムを外した最小重量
シリコンゴムを外した状態だと、モンベルが235g、山専用ボトルが258.5g、テンピークライトが280.5gとなり、300gを切ることで軽量な部類には入りますが、ライバルとの重量差は目立つ結果に。断熱性能と重量、大きさのバランスを総合的に見るとやはりモンベルは強いですね。
保温力の高さと安価であることを考えると、この重量差は目をつぶれる範囲内とも言えそうですが、ベストな保温ボトルはおサイフと重量との相談になりそうです。
シンプルなデザイン・カラーで普段使いもOK
カラーはバーガンディ、シルバー、ネイビーの3色、シンプルなデザインで、ロゴマークも小さく目立たないため日常使いでも全く違和感なく使うことができます。
デザインは完全に好みによって違うので主観的な意見になってしまいますが、アウトドアらしいデザインはやはりフィールドで使うからこそカッコいいのであって、日常での使用時にはやや似合わない感じも。。
グローブを装着した状態では滑る

サーモスの山専用ボトルは持ったときに滑らないようシリコンバンドが配置されている
気になったところとして、滑り止めがついていないグローブをした状態では滑ってしまい、蓋を開けにくいこと。これはすごく使いにくいというよりはサーモスが使いやすさにこだわっていることを痛感させられたというのが本音です。
サーモスの山専用ボトルはアウトドアライクな見た目ですが、コップには凹凸があることでグローブをした状態でも滑らず回せ、中栓を開ける際にもちょうど手を握ると箇所にシリコンバンドが装着されており、山での使用において使いやすさはピカイチでした。
シリコンバンドは必要なければ取り外しも可能なため、実用性はサーモスの山専用ボトルに軍配が上がるところです。
ストレスのない注ぎ口とシンプルなパーツ構成

シンプルな注ぎ口はストレスなくお湯を注げる
断熱性のテスト結果からもテンピークライトの保温力が高いことが証明されたわけですが、注ぎ口は上下2箇所から注ぐことのできるシンプルな構造のキャップで、ストレスなく使うことができます。
使用にあたっての洗浄時にパッキンが多かったり、点数が多くなることで洗う手間がかかりますし、キャップの構造はできるだけシンプルな構造、点数になっていることでお手入れの容易さにも直結します。サーモスはキャップが2重構造になっている分、お手入れのしやすさではネックになりますが、テンピークライト、モンベルはパーツ点数も最小限になっており、お手入れのしやすさからもおすすめです。

パーツの点数はお手入れの容易さと直結する
まとめ:保温効果の高いボトルを携帯すればもっとお手軽に温かい食べ物を楽しめる
保温力とコストパフォーマンスに優れたTEMPEAK LIGHT(テンピークライト)超保温ボトルを紹介しました。
登山での定番とも言える保温ボトルに負けず劣らずのパフォーマンスを発揮してくれたテンピークライトがあれば、もっと気軽に山でのコーヒーやスープを楽しむことができるでしょう。
定番の保温ボトルには揺るがない信頼度や実績がありますが、価格が高騰し続ける昨今。アウトドアギアも例外ではありません。テンピークライトのようなリーズナブルなアイテムも取り入れることで経済的な負担をセーブし、アウトドアを楽しむことも必要ではないでしょうか。
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Yosuke(ヨウスケ)
不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。