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比較インプレ:歩きやすさ?つかれにくさ?登山向けインソールを履き比べてみて分かったこと

前ページでは比較したモデルのランキングと、評価・スペックの一覧、そしてそれに基づくおすすめを紹介しました。ここからはその評価について、どのような基準で評価したのか、なぜそのような評価になったのかについて解説していきます。

各項目詳細レビュー

重量

インソールの重量は各社それほど大きな差はなく、その差はせいぜい10~30g程度でしょうか。個人的にはインソール製品についてはそこまで神経質になる必要を感じません。衝撃吸収性に特化したインソールはSIDASアウトドア3DのようにEVA素材を使用しシンプル構造で軽量な製品が多く、かたやショックドクターウルトラ2のようなサポート性を高めたインソールはプラスティック素材のスタビライザーが使用されているため多少重量が増します。スタビライザーの有る無しが重量の決め手となるのは間違いありませんが、インソールの場合はその重量よりも性能・効果のほうが比重の大きい製品だと思います。

サポート性

機能性インソールの多くは、ヒールカップによって踵周りを包み込み、土踏まず部分に厚みを持たせて足裏のアーチを支える形状をしています。この2つがインソールのサポート性を計る上で欠かせない重要なポイントです。まずヒールカップの深さを見ていきますが、最も深いのはショックドクターウルトラ2、次いでスーパーフィートという結果になりました。この2つのモデルは裏側にプラスティック素材のスタビライザーが装着されていることで足が内側、外側に傾いた際にも歪むことなくしっかりと踵を保持し続けます。SIDASアウトドア3Dにもヒールカップがありますが、全体が柔らかいEVA素材で構成されていることから踵を包み込むという感覚というよりも踵に当たっているだけといった物足りない印象を受けました。

ヒールカップと土踏まずサポートの様子。左上から時計回りにSIDAS、SUPERfeet、SHOCK DOCTOR、ソルボセイン

続いて、土踏まず部分のアーチですがこちらも最も高くしっかりとしたアーチはショックドクターウルトラ2、次いでスーパーフィートという結果になりました。あくまでも私の足での話ですが、スーパーフィートは土踏まずアーチの下部までの高さに対し、ショックドクターウルトラ2はそれよりも高い足内側の側面(土踏まずアーチ上部)までの高さがあります。そもそもこの部分は疲労時に足の内側縦アーチが崩れ扁平足になることを防いでくれる役割があるようですが、ショックドクターウルトラ2については下からだけではなく側面からも支えが効いているように思います。

土踏まずのアーチ高さ比較。左上から時計回りにSHOCK DOCTOR、SUPERfeet、SIDAS、ソルボセイン

快適性

ここでは靴内部の環境を左右する通気性、そして靴内部での足ズレについてレビューします。通気性については素材による比較というのが一般的ですがこのインソールについては各社EVA素材を使用していることから素材による大きな差は無いように思います。ただし、SIDASアウトドア3Dショックドクターウルトラ2については、表面に通気孔を設けていますので、他の2アイテムと比べれば通気性が高いと言えるのかもしれませんが、今回のテストだけではなんとも言えないところが正直な感想です。

続いて靴内部での足ズレについてですが、こちらは表面素材(生地)による違いやメーカー独自の工夫が見えるところでもあります。化繊素材が多い中、唯一SIDASアウトドア3DだけゴートバッグPVという樹脂が使われています。滑らかな触り心地ですが不思議と足が動かず驚きました。また、個人的に感心したのはショックドクターウルトラ2の足指付け根部分の形状。アルファベットの「Y」の字を逆さにしたような形状の突起があり、足指が引っかかることで靴内部での足のズレ(滑り)を防いでくれます。また、靴にジャストフィットさせない独特のフィッティング方法を謳うスーパーフィートについては、靴内部でインソールと連動して足が動くため、ズレそのものを感じることはありませんでした。

衝撃吸収性

衝撃吸収性について、今回のレビューを通してわかったことは、衝撃吸収性を高めるためには少なくとも2つの手法があるということです。1つはヒールカップで踵周りを包み込み足本来の衝撃吸収性を生み出す方法、そしてもう1つが柔らかいクッション素材を用いる方法です。今回レビューした4アイテムの中で前者にあたるのがスーパーフィートショックドクターウルトラ2、後者にあたるのがソルボスケルトントレッキングということになります。SIDASアウトドア3Dについては両者の中間的な存在でやや後者寄りといった印象を受けます。どちらが良いのかということは人それぞれだと思いますが、個人的には前者(足本来の衝撃吸収性を高める構造)の方が長距離を歩いた時に疲労の度合いが全く違いました。後者(クッション性素材採用)は歩き始めからそのクッション性を実感することができますが、長距離・長時間の行程でヘタり反発力が弱くなってくる感覚がありました。私自身が選ぶのであれば短距離・短時間=クッション性重視、長距離・長時間=足本来の衝撃吸収性を高めるタイプをチョイスすることになるかと思います。

価格

導入のしやすさとコストパフォーマンスというヤツです。高くても安くても性能や効果に不満が残るようでは最適な選択とは言えません。幸い既製品インソールの多くは同じような価格帯で販売されていることが多く大体5,000円前後といったところでしょうか。

オーダーメードであっても10,000円前後と登山用品の中では比較的導入しやすいアイテムだと思います。今回レビューしたアイテムの中でも3アイテムが同価格帯に収まっています。導入のしやすさという点で言えばソルボスケルトントレッキングということになりますが、ネックなのは重量。日常的に使用するということであればその選択も間違いではないと思いますが、登山というシチュエーションで考えると釈然としないのが正直な感想です。また、サポート性ということを考えると物足りなさも感じることから5,000円前後の金額を費やせば、選択肢も拡がり自身の目的に合ったインソールが購入できるということなんだと思います。

まとめ

さまざまな特徴を持つインソール。その効果や感じ方は個人差があると思いますが、登山中に足に何かしら不具合を感じているのであれば是非とも導入をオススメします。また、購入の際は登山靴とのフィッティングも重要ですのでインソール単体で選ぶのではなく、登山靴を持って実店舗で購入されることもオススメしておきます。あくまでもアマチュア登山愛好家によるインプレッションですがインソール選びの参考にしていただけると幸いです。

齋藤 ヒロアキ

埼玉県在住。黒部峡谷下ノ廊下に魅せられ、30歳を過ぎてから登山にのめり込み未だ開発途上中。持ち前の好奇心・探求心を前面に、経験値の少なさをカバーするため時間があれば山に入るようにしています。物欲旺盛で後先考えない衝動買いで一喜一憂の日々。そんなトライアル&エラーを交えながらギアの魅力を伝えていきます。

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