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【DIYでやってみる】チェーンスパイクのシンデレラフィットチューニング

氷上や雪上を歩くのに大活躍のチェーンスパイク、あなたの靴にジャストフィットしていますか?

氷上や雪上、雪渓を歩くときに大活躍するチェーンスパイク。数年前から使い始め、とても便利だと思って使っているのですが、同時に、実はなかなかの曲者ギアでもあるとも、私は思っています。

というのも、グリーンシーズンのこと、白馬岳の雪渓を歩こうと思い立って、お気に入りのアプローチシューズに、持っていたチェーンスパイク(Lサイズ)を装着してみたところ、しっかり装着してあるはずなのに、かかと側のチェーンが、僅かにたるんでしまい、どうもズレそうな感じ。サイズが大きいのかなと思い、同じモデルのワンサイズ小さいもの(Mサイズ)を購入したら、今度は小さくて、どうやっても入らないなんてことになってしまいました。

やむなく、もともと持っていたLサイズのチェーンスパイクを装着して、いざ白馬岳の雪渓へ。すると、やはり上りでも下りでも、チェーンスパイクが前後、左右にズレて、とても歩きにくく、結局、何度も履き直さなくてはならなくなってしまいました。皆さんのなかにも、こんな経験したことある人はいませんか?

そこで今回、「チェーンスパイクのシンデレラフィットチューニング」をDIYでやってみましたので、ご紹介したいと思います。

チェーンスパイクのズレやたるみはなぜ起こるのか?

そもそもチェーンスパイクのたるみがなぜ起こるのか。理由は大きく2つあると考えています。

ひとつは、靴には、0.5cm刻みに細かなサイズバリエーションがあるのに対し、チェーンスパイクは、3~4種類の少ないサイズバリエーションで、幅広いサイズの靴を全てカバーしているから。もちろん、靴と同じように0.5cm刻みでなければならないとは言いませんが、12本爪のクランポンを見ても分かるように、サイズ調整機能は、なるべく多くあるに越したことはありません。

もうひとつは、便利さゆえに、いろいろな種類のシューズやブーツに取り付けられてしまうから。例えば、同じ26.0cmの靴でも、トレッキングシューズと、アプローチシューズ、トレランシューズとでは、靴自体の形や大きさが異なるため、たとえチェーンスパイクメーカーの推奨する靴のサイズのものを購入しても、装着する靴の種類によって、フィット具合が大きく異なってしまうということです。このような理由で、購入したチェーンスパイクが、お手持ちのシューズに、ぴったりフィットするということは、よほど幸運でない限り、とても難しいというのが現状なのです。

例えば、私の愛用しているCAMP社ICE MASTERだと、靴のサイズEU36~38(23.0-24.0cm)がSサイズ、EU39~41(24.5-25.5cm)がMサイズ、EU42~44(26.0-28.0cm)がLサイズ、EU45-47(29.0-31.0)がXLサイズといった具合。つまり、たった4種類のラインナップで、トレランシューズや、登山靴など靴のタイプを問わず、それぞれのサイズで1.0~2.0cmの幅の靴サイズをカバーしているということです。

ちなみに私の場合、靴はEU45サイズなので、推奨なら、チェーンスパイクはXLサイズですが、Lサイズのチェーンスパイクでも、たるみが出てしまっていたということです。

対応サイズが幅広いチェーンスパイクならではの弱点を、DIYで克服

靴であれば、自分の足よりも1.0~2.0cmも大きかったり、小さかったりしたら思うようなフィット感を得られません。これは、チェーンスパイクも同様。逆に言えば、自分の靴の形状やサイズに合ったチェーンスパイクに調整することが出来れば、理想的なフィット感を得られるのではないかというのが、今回の着眼点です。

アウトドアギアは、どれも高価だし、計算されつくしたモノであるという印象があり、DIYで手を加えることには、抵抗感があるのではないでしょうか?しかしながら、結果として、”歩いていてズレる”、”自分の靴にピッタリと合わない”といった不具合があるのであれば、それは、安全性や機能性に、カイゼンすることの出来るポイントがあるということ。より安全で快適な登山をするためのDIYチューニングをオススメします。

※DIYはあくまで自己責任です。必ず安全性や機能性に問題ないことを自身でしっかり確認してから現地で使用するようにしましょう。

誰でもできるチェーンスパイクのフィットチューニング方法

それでは早速、DIYでやってみる「チェーンスパイクのシンデレラフィットチューニング」の方法をご紹介します。

1: 診断

自分の靴にチェーンスパイクを装着してみます。側方から観察して、靴底にたるみがある場合はチェーンのコマをカットして調整することがオススメです。このとき、取り外すコマ(チェーン)を特定し、油性ペンなどで識別することが出来るように、マーキングをしておくと良いでしょう。

2:調整

調整に必要な道具は、ペンチ×2本とニッパーだけです。例として、かかと側のコマを1つ取り外す場合について説明していきます。

下の写真はチェーンスパイクを靴底側から見たところ。

コネクション部分を、ペンチ2本を使って変形させて、

コマが外せる程度の隙間をあけます。

不要なコマをカットして取り外します。

取り外したコマ(片足分)。ちなみにコマの長さは1個当たり15mmです。

最後にコネクションを元の形に曲げ戻して完成です。

3:確認

かかと下のコマを1つ取り外した結果、下のようにチェーンが短くなりました。

再度、靴にチェーンスパイクを装着してみます。靴底のたるみが解消されていれば完成です。まだ、たるみがある場合は、再度、調整をします。

まとめ

今回は、チェーンスパイクのシンデレラフィットチューニングについてご紹介しました。市販のチェーンスパイクの靴底側のチェーンのコマを取り外すことで、自分の靴にピッタリと合った”シンデレラフィット”を実現することが出来ました。興味のある方、フィッティングでお困りの方はぜひとも、トライしてみて下さい。

なお繰り返しになりますが、DIYはあくまで自己責任です。必ず、安全性や機能性に問題ないことを自身でしっかり確認してから、現地で使用するようにしましょう。

これからも、市販のアウトドア用品やお手持ちのアイテムを、DIYで、より快適に、より安全にカイゼンするノウハウや方法を紹介していきたいと思いますのでお楽しみに。

 

粟野宏一郎(あわのこういちろう)

フリーランスのエンジニア、コンサルタント。1978年3月4日生(43歳)。18年間の自動車部品(サスペンション、ステアリング、電装部品など)の開発エンジニアとしての経験を持つ。登山ガイド、ジャーナルライターとしても活動する。大学時代に登山を始め、25年を超える経験を持つ。近年は、バックカントリースキー・スノーボード、ロッククライミングに没頭しており、様々なアウトドアスポーツに通じている。家族、友人とキャンプに出掛けることも多い。モトクロスやマウンテンバイクの経験も長く、2016年には全日本マウンテンバイク選手権大会ダウンヒルマスターズクラス(30歳以上の部)でチャンピオンを獲得している。