
【その行動、ちょっと待った!】登山・キャンプでついついやってしまいがちなNG行動まとめ
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特定の条件アウトドアでは危険がいっぱい。そんなとき、これだけは覚えておこう
登山やキャンプといったアウトドアでは、実はまったく人の手が入っていない場所というのは意外と少ないものです。ただし、いくら人の手が入っていようと、またきちんと管理されていたとしても、自然のなかでの活動である以上、何が起こるか人間には完全な予測がつきません。当然のことながら自然においては、最終的に自分の身は自分で守らなければならないのです。
今回は、日本ガス石油機器工業会さんの監修、その他参考資料等から、登山をはじめとしたアウトドアを安心して楽しむために、万が一の危険に際してついついやってしまいがちだけど、実際には安全上よろしくない行動についてまとめてみました。
アウトドアをはじめたばかりという人も、いつかはしっかり学ぼうと思ってついつい素通りしてきたという人も、これを機会に一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
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火器使用時でのNG行動
お気に入りのキャンプ道具での調理や、山でしかできない豪快な料理はアウトドアならではの魅力。ただし、ガスコンロなどの便利な火器は、使い方を間違えると大事故につながる道具のひとつです。便利だからといって下のような危険な使い方をしないように、十分注意して使いましょう。
テントや室内でガスコンロを使用する
ガスコンロやランタンなど、ガス器具を使用する際に、何よりも気をつけなくてはならないことは、テントなどの換気の悪い室内で起こる一酸化炭素中毒です。アウトドアに限らず、毎年日本中で事故が起こっています。ガス器具を使用するすべての人は、何はともあれこの一酸化炭素中毒の危険性を知っておく必要があります。
室内やテントの中などの換気が悪い場所でガス器具を使用すると、酸素不足によって不完全燃焼が起き、一酸化炭素が発生。それを吸い込むことによって引き起こされるのが一酸化炭素中毒です。
一酸化炭素は「無味無臭」であり、一酸化炭素中毒の自覚症状は初期の場合で「頭痛、吐き気、めまい、集中力の低下、嘔吐、眠気」など、一般に風邪(インフルエンザ)の症状によく似ているため気づきにくいのが非常に厄介であるといわれています。濃度にもよりますが、数分から数十分で中等度または重度にまで進行し、手足のしびれや意識障害によってそこからは自力で動くことができなくなり、手遅れとなってしまいます。
対策
一酸化炭素中毒にかからないようにするためには「一酸化炭素が発生するような状況をつくらない」ことに尽きます。外が寒いからといってテントやクルマ、その他密閉された屋内ではガス器具を使っては絶対にいけません。万が一上にあるような症状で「おかしいな」と思う状況になったら、すぐに新鮮な空気のある場所に移動することを心掛けてください。
劣化したOリングのまま使用する
ガスカートリッジとバーナーの接続部分にはガス漏れを防ぐため「Oリング」と呼ばれるゴム製の環状パッキンがついています。ゴム製のため損傷することもあれば、使っていなくても年月とともに劣化していく部品です。
対策
シーズン初めなどは特にですが、点火する際にはこのOリングがささくれていたり、切れていたり、縮んでいたり、ひび割れたりしていないか確認しましょう。そのうえで、ストーブとガスカートリッジを接続してみて、接続部分に漏れや損傷、ごみや砂などが付着してないかチェックしましょう。
Oリングは5~7年程度での交換が推奨されています。劣化するとゴムに切れ目・ささくれ・ひび割れなどのキズが見られるだけでなく、ゴム自体が全体的に硬化したり縮んだりします。Oリングの交換は決して自己流で作業せず、各メーカーや販売店の指示された方法で交換するようにしましょう。
火器を不安定な場所に置く
ガスコンロを傾斜のある場所や、石・砂利の上などの不安定な地面の上で使用すると、ガス器具が横転して突然大きな炎が燃え上がったり、上に乗せた鍋がこぼれて大やけどしたりと非常に危険です。
対策
ガス器具を使用する際には平らで安定した場所を選びましょう。
ガスカートリッジを熱源の近くや高温になる場所に放置する
ガスカートリッジは異常に熱せられると、中の圧力が急激に上昇し破裂してしまう危険があります。
対策
調理中のガスコンロや焚き火の側はもちろんですが、炎天下の砂浜・河原・舗装道路、直射日光の当たる車内など、高温になる可能性がある場所に放置しないように気をつけましょう。
2台以上のガスコンロを並べて使う
狭い場所で複数のガスコンロを並べて使ったり、1つの鍋を2台のガスコンロで加熱したりすると、互いのストーブから出る熱や鍋底からの輻射熱によってガスカートリッジが過熱され、破裂する危険があります。
対策
1つの鍋は必ず1つのガスコンロで温め、ガスコンロを複数使う時は必ず距離をあけて使用しましょう。なおツーバーナータイプは熱源や鍋とガスカートリッジ本体が安全に区分けされている構造のため安全に使用できます。
風防などでガスコンロの全面を囲う
風が強いときには風防を使うなどして風よけをします。そのこと自体は問題ありませんが、全体を囲みすぎると風防内に熱が滞留し、その結果ガスカートリッジが過熱されて破裂する恐れがあります。
対策
風防の使用方法は各メーカーによって異なりますので、風防を使用する際には各メーカーの注意事項を確認するようにしましょう。
テント場・幕営地選びでのNG行動
ひと口にテント場といっても、山のふもとから、中腹、稜線上、あるいは川・沢沿い、湖・海など、地形によって危険の種類もさまざま。また管理されたキャンプ場であればトイレ・シャワー・調理などの設備・料金面など、その特徴はさまざまに異なります。以下にあらゆるケースで絶対張ってはいけないということはないものの、特定の条件で特定の場所にテントを張るときには注意すべきというケースを紹介します。
吹きさらしや小高い丘の上にテントを張る
広い原っぱの中央や小高い丘の上など、広々とした場所にテントを張るのは底抜けに気持ちのよいものですが、安全性の観点からは注意が必要です。風の影響をモロに受けやすいテントを吹きさらしに張ると、ちょっとした強風でも簡単にテントごと飛ばされてしまう危険があります。
対策
テントを設営する場所は樹林の中など風雨の影響を受けにくい場所に張るようにするのが安全上はベターですが、どんな場所に張るとしても、ペグとロープでしっかり防風対策しましょう。クルマも入れられるキャンプ場なら風上に駐車したクルマも風よけに使えます。
水はけの悪い場所にテントを張る
山は突然雨が降り出します。それも想像以上の雨量であることが多く、地面はあっという間に水浸しになります。そんなとき窪地や水を吸いにくい地面などの水はけの悪い場所にテントを張っていると、周囲に水たまりができて厄介なだけでなく、最悪の場合テント内に浸水してきてしまうことも。
対策
テント設営にはなるべく平坦で水の流れたような跡がない、水はけのよい場所を選ぶほか、テントの上にタープを張る、テントの下にグランドシートを敷くなどの対策も有効です。
急な斜面や崖の近くにテントを張る
通常のキャンプ場やテント指定地であれば、危険な崖の近辺にテントサイトがあることはあり得ませんが、一見崖とまではいかなくても、急な斜面の近くに張る場合には万が一の注意が必要です。悪天候が続いて地盤が緩んだ後など、斜面の上方で何かがあった場合、落石の危険があります。
対策
できる限り斜面の近くは避けた方がよいですが、万が一斜面に隣接した場所に貼らなければならなかった場合でもできる限り距離を置いて張るようにしましょう。
1本の大きな木の側にテントを張る
広々とした原っぱは強風に弱いのであれば、木の下ならば木陰もあって快適だし、風も多少防げるのでより安全なのでは?ある意味間違いではありませんが、そのときでも注意しなければならないことがあります。それは雷です。
雷は高い所へ落ちる傾向が強いため、大きな木はそれだけ落雷の確率が高く、さらに万が一テント脇の木に落雷した場合、雷の側撃を受ける危険があります。
対策
落雷の危険が高そうな木の側にテントを張る場合は、側撃の心配がない程度に木から離れて幕営すること。そもそも雷が来たら、テントの中にいることは危険です。雷の危険は事前に把握し、できる限り速やかに山小屋などの避雷設備のある安全な場所に避難することが必要です。山小屋などの建物がない場合には、可能であれば、高さ5m以上の木を探し、その木の頂上を45度以上で見上げる範囲、そして木からはできれば4m程離れた場所に低い姿勢を保ちます。
河原や中州にテントを張る
ついさっきまでキャンプを楽しんでいた人々が、急な増水によって中州に取り残されるといった不幸な事故は、毎年のように起きています。上流で豪雨があった場合、増水によって下流の水位上昇は急激に進行し、川の近くのテントはいとも簡単に飲み込まれてしまいます。
対策
河原の側や、中州などにテントサイトは張ってはダメ。例えそのときカラカラに乾いている場所だとしても、山では降雨時あっという間に水位が上がってくる可能性がありますので、河原や中州にテントを張ることは絶対にやめましょう。