【保存版】ガス機器をもっと安全便利に使うために知っておきたい20のポイント

ガスストーブを安全、便利に使うにはいくつかの守るべきポイントやコツがあり、場合によってはそれを知らないと大きな危険を伴う場合があります。

そこで今回は登山ガイドや専門家の方から収集したガスストーブを使う上での忘れてはいけない注意点やコツをまとめて一覧にしてみました。こうしてあらためてまとめてみて、筆者個人的にも普段は問題なく使っているつもりが、知っているようで意外と知らない落とし穴があったることに気づかされました。この機会にみなさんも一度目を通してみては、意外な発見があるかも!?

目次

  1. ガス器具を屋内で使わない
  2. 使用前に器具の故障や破損がないかどうかチェックする
  3. ストーブとガスカートリッジは同じメーカー同士を使用する
  4. 状況に適した種類のガスカートリッジを携行・使用する
  5. 防水マッチやフリント式のライターをもっていく
  6. ストーブとガスカートリッジは垂直にして連結する
  7. 傾いた状態で使わない
  8. 安定性向上のためガスカートリッジホルダーや下敷きを使う
  9. バーナーヘッドに直接風が当たらないようにする(各モデルでメーカーのポリシーに従う)
  10. 防風のためだとしてもストーブとガスカートリッジの全面を囲わない
  11. 2台以上のストーブを並べて使わない
  12. 炭火起こしに使わない
  13. 焼き網などの輻射熱が大きいものを使わない
  14. ガスカートリッジを熱源の近くや高温になる場所に置かない
  15. 使用中にガスカートリッジ本体が冷えすぎないようにする
  16. ガスカートリッジを冷やしすぎないように携行・保管する
  17. 使い終わったガスカートリッジにはフタをする
  18. 使い切ったガスカートリッジは適切に廃棄する
  19. 飛行機で移動する場合、ガスカートリッジは機内に持ち込めないため現地調達する
  20. ガスカートリッジに記載がある保険をチェック

1. ガス器具を屋内で使わない

知らなかったではすまされない「一酸化炭素中毒」の危険とは?

ストーブやランタンなどのガス器具を使用する際に最も気をつけなくてはならないことの1つは、一酸化炭素中毒による事故。アウトドアに限らず日本中で毎年のように事故が起こっています。ガス器具を使用するのであれば、何よりもまずこの危険について知っておきましょう。

換気が悪い場所でガス器具を使用すると燃焼に必要な酸素が不足するため不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が発生します。それを吸い込むと血液による酸素の運搬が阻害され、全身の細胞や組織が酸素不足に陥ってさまざまな症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。これが一酸化炭素中毒です。

何が恐ろしいって、自分が今一酸化炭素中毒にあるかどうかの明確なサインがほとんどないということ。一酸化炭素は「無味無臭」のため発生しているかどうか判断しづらく、さらに一酸化炭素中毒の自覚症状というのが初期の場合で「頭痛、吐き気、めまい、集中力の低下、嘔吐、眠気」など、一般に風邪(インフルエンザ)の症状によく似ているため気づきにくい。中等度または重度にまで進行すると自力で動くこともできなくなるためもはや手遅れ。一酸化炭素中毒が「いつの間にか死に至る病気」と言われる所以です。

アウトドアで「一酸化炭素中毒」を防ぐために

テントなどの室内でガス器具を使用するのは控えよう。

このように厄介で恐ろしい一酸化炭素中毒にかからないようにするためには「一酸化炭素が発生するような状況をつくらない」ことに尽きます。外が寒いからといってテントやクルマ、その他密閉された屋内でガス器具を使わないということを徹底しましょう。万が一上にあるような症状が「おかしいな」と思う状況になったら、すぐに新鮮な空気のある場所に移動することを心掛けてください。

2. 使用前に器具の故障や破損がないかどうかチェックする

ストーブを点火する前にはストーブとガスカートリッジの接続部分に漏れや損傷がないか点検しましょう。特にOリングやガスカートリッジのバルブの劣化や損傷はガス漏れの原因となり危険です(Oリングの劣化については前回の記事を参照)。

またバーナーヘッドの手入れを怠っているとスス汚れや細かいごみによって目詰まりが生じていることがあります。そうなると燃焼の仕方に偏りが生じて危険ですので、使用する前にはバーナーヘッドの汚れをチェックするクセを付けておくことも大切です。

左上からOリング、点火装置、左下からバーナーヘッドの目詰まり、カートリッジの バルブ。毎回使用前には異常がないかチェックしよう。

3. ストーブとガスカートリッジは同じメーカー同士を使用する

当然のことながらガス器具は接続部にガス漏れが発生したり、正常な燃焼を果たせなかったりしないよう細部の微妙な寸法まで精巧に作られており、このため各メーカーはそれぞれの純正ガスカートリッジの使用を指定しています。他社製ガスカートリッジを使用することは安全面からだけでなく、万が一何らかの事故が発生したときの責任問題の観点からもおすすめしません。

4. 状況に適した種類のガスカートリッジを携行・使用する

冬季・高所用のガスカートリッジは夏場には使用できない。製品名だけでなく本体の注意事項にも注意してうっかり間違わないようにしよう。

登山用ガスカートリッジの中に含まれているガスは実は一種類ではなく、用途に合わせて複数のガスが比率を変えて配合されていることはご存じでしょうか。

ガスカートリッジはガスの種類とそれらの配合比率によって「高所寒冷地」「冬季・高所用」「夏用~低山」といった具合で分かれています。それはガスによって気化する温度が違うからで、ノルマルブタン(約0℃以上)・イソブタン(約-10℃以上)・プロパン(約-40℃)といった特徴があります。

例えば気化する温度が高いブタンが多く含まれている夏用ガスカートリッジは零下を下回るような寒冷地で使用するとガスがなかなか気化してくれず、燃焼しにくい、最悪中身はあるにもかかわらずガスがほとんど出ないなんてこともあります。冬の登山でなかなか火が強くならずに苦労した経験がある人は多いのではないでしょうか。また逆にあまり知られていませんが、高所寒冷地用を夏の低山に使ってもガスが勢いよく出すぎてしまい調理の効率が悪く、プロパンがたくさん配合されているため夏場の取り扱いや保管にも注意が必要です。このように値段の高いガスカードリッジが必ずしも万能ではなく、なにごとも適材適所だと理解してください。

5. 防水マッチやフリント式のライターをもっていく

左がフリント式ライター。電子式ライター(右側)と違って高所などでも着火しやすい。

ガスストーブは基本的に付属の点火装置を使うことで着火が可能ですが、標高が高い、外気温が低い、湿気が多いなど環境によっては点火装置で着火できないことがあります。またそもそも点火装置がないストーブもないわけではありません。そんなことがないように、また万が一の遭難にも備えて、山に行くときには必ずライターやマッチを(濡れないようにパッキングして)携行するようにしましょう。

このとき携行するライターですが、放電によって点火する「電子式」ライターの場合、高所では着火しないことが多いため、火打ち石で点火する「フリント式」の方を予備として持っていきましょう。

もちろんフリント式ライターも万能ではありません。マグネシウムファイヤースターターや防水マッチの方が安心するという意見もあります。重要なのはその道具の特性(強みと弱み)を知り、状況に応じて臨機応変に行動できる対応力です。

6. ストーブとガスカートリッジは垂直にして連結する

ストーブとガスカートリッジを連結する際には、なるべく垂直にして連結します。横向きで連結すると、バルブから霧状のガスが漏れて大事故に繋がる可能性があるからです。特に新品のガスカートリッジには液状のガスが上部まで入っているため、横向きでなくとも斜めに傾けて取り付けるだけで霧状のガスが勢い良く噴出する恐れもあり危険です。必ず周囲に火気がないことを確認して、垂直向きで取り付けましょう。

7. 傾いた状態で使わない

ストーブを傾いた場所で使ったり、燃焼中にガスカートリッジを持ち上げるなどして傾けることは、ゴトクに載せたクッカーが安定せずこぼれやすいというだけでなく、器具の転倒の原因にもなり、思わぬ火傷や火災が発生する危険があります。またガスカートリッジが傾いていることで液化ガスが噴出しやすくなり、突然赤く大きな炎(生火)が燃え上がる危険もあります。

ガスストーブは平坦な場所に水平に置いて使用するようにしましょう。

8. 安定性向上のためガスカートリッジホルダーや下敷きを使う

ガスカートリッジホルダーはさまざまなサイズのガスカートリッジに利用できる。お盆等が敷けないような狭い場所でも使えるコンパクトさも含めて何かと便利。

登山などではキャンプ指定地であったとしても、安全性の高い平らな場所はなかなか存在しないことの方が多いのではないでしょうか。そこで安定性を高めるために便利なのがオプションパーツのガスカートリッジホルダーやお盆・下敷きなどのアイテムです。これによってストーブの安定性は飛躍的に高まり、転倒の危険は少なくなります。ちなみにお盆・下敷きなどは調理の際まな板として、またバックパックの背面フレームとしても役立つため何かと便利です。

9. バーナーヘッドに直接風が当たらないようにする

風は炎と熱を吹き飛ばし、火力に大きく影響を与えますのでなるべく遮断する必要があります。大前提として、ストーブの炎に風が直接当たらないような場所・配置で使用することを普段から心がけましょう。基本的な対策としては自分が風上に座る、周辺に石を積み上げるなどは効果的です。ただ風防を築く際には次のポイント10に注意するとともに、各メーカーのポリシーに従うことが特に重要です。

10. 防風のためだとしてもストーブとガスカートリッジの全面を囲わない

風を遮断するために風防を築く際には、ガス器具及びガスカートリッジ全体を囲んで使用すると、熱が集まって滞留し、その結果ガスカートリッジが過熱して急激な圧力上昇により爆発等の恐れがあります。厳密には各器具によって風防についての注意事項が異なりますので、最低限そのポリシーに従いながら、風防を使用する際にはこうしたガスカートリッジの過熱には十分注意しましょう。

直結型のシングルガスストーブの風防に関しては十分に注意しよう。

11. 2台以上のストーブを並べて使わない

狭い場所や早く温めたくてと、ついうっかりやってしまいがちですが、お互いのストーブから出る熱や底面からの輻射熱によって爆発のリスクが高まり非常に危険です。ツーバーナータイプは熱源や鍋とガス本体が安全に区分けされている構造なのでそれが可能なのです。シングルバーナーを複数使う時は必ず距離をあけて、1つのクッカーにシングルバーナーを2つ以上使ってはいけません。

12. 炭火起こしに使用しない

炭火は輻射熱が大きく、加熱し続けていると知らないうちにガスカートリッジが過熱し、爆発する危険が大いにあります。非常に危険ですので炭火をおこすときは着火剤やガストーチなど別の方法で行うようにして、ガスストーブで行うことのないようにしましょう。

13. 焼き網などの輻射熱が大きいものを使用しない

鉄板・焼き網・セラミック付き製品等の調理器具も炭火同様、輻射熱が大きく、ガスカートリッジが過熱し爆発等の恐れがあります。ストーブの上に底面が広いものを載せて使用するのも避けましょう。

14. ガスカートリッジを熱源の近くや高温になる場所に置かない

基本的にガスカートリッジは中の圧力が急激に上昇するという状況が最も危険なわけで、つまりはガスカートリッジが異常に熱せられるようなあらゆる状況を回避しなければなりません。具体的には、上に挙げたケース以外で以下のようなよくある状況を頭に入れておき、ガスカートリッジの取り扱いには十分に注意するようにしましょう。

  • ガスカートリッジを火の中に投げ入れる
  • 焚き火などの火の近くに置く
  • 熱をもった調理中クッカ―の近くに置く
  • 高温になる舗装路に放置する
  • 炎天下の砂浜・河原に放置する
  • 直射日光の当たる車内(トランクルームを含む)に放置する

15. 使用中にガスカートリッジ本体が冷えすぎないようにする

ポイント4.で触れたように、ガスは基本的に残量の多少に関わらず、低温になるとどうしても噴出の勢いが弱くなり、火力も上がりにくくなってしまいます。しかもこうした低温の原因は外気温度の影響だけではありません。ストーブが燃焼している(ガスが気化し続けている)間、ガスカートリッジ自体は周りの熱を奪いながらどんどん冷たくなっていくのです。このため外気温がさほど低くなかったとしてもガスカートリッジ本体の温度が下がりすぎないように心がけることは、ストーブを効果的に使用する上で重要です。

ガスカートリッジを冷えすぎないようにするための正しい対処法としてまず挙げられるのが「手のひらで温める」。原始的ですが最も手軽で安全な方法です。その他2つのストーブを交互に使用するという方法も有効です。使用中に一方のガスカートリッジが冷えてきたら、使用していない(冷えていない)ものと交換することを繰り返すと、常に効率のいい調理をすることができます。また最近ではあまり見られなくなりましたが、専用のパワーブースターなどが発売されている場合はこれを利用するという方法もあります(当然各メーカーのポリシーに従うことが前提です)。

その他、雪の上でストーブを使用する際には雪に触れるように直には置かず、ガスカートリッジの下にベニヤなどの下敷きを敷いて使うとよいでしょう。そうすることで地面からの冷気を断熱でき、さらに上からの熱などによって雪面が溶けてバランスを崩す危険などもなくなり、安全・効率的に調理することができます。

雪上などでガス器具を使用する際には断熱性の下敷きを使用するのがベスト。写真はベニヤ製のお盆ですが、プラスチックの下敷きでも十分に効果はある。

16. ガスカートリッジを冷やしすぎないように携行・保管する

秋~春にかけてなど気温の低い季節では、1日の行動を終えた直後や起床直後のガスカートリッジは多くの場合キンキンに冷えてしまっています。それを防ぐためにはいくつかの心がけが重要です。

  • 就寝中、寝袋の中に入れておく。
  • 同じく就寝中、断熱されたジャケットにくるめて保管する。
  • 行動中はガスカートリッジをバックパックの背中近くに収納して運ぶ

17. 使い終わったガスカートリッジにはフタをする

無くしてしまいそうなガスカートリッジ本体のフタですが、これは連結部分の要であるバルブ部分を保護する役割のものです。OD缶タイプの場合、フタがなかったとしてもガス漏れが起こる危険は少ないですが、特にカセットタイプの場合はガス栓が押されるとガスが吹き出してくるため安全のためにも、使わないときには必ずフタをしておきましょう。

18. 使い切ったガスカートリッジは適切に廃棄する

使わなくなったガスカートリッジは中身を使い切ってから廃棄するのは当然としても、細かい廃棄ルールに関しては各自治体によって異なっていることがあります。このため廃棄する際には各自治体のルールを確認し、適切な方法で廃棄するようにしましょう。

19. 飛行機で移動する場合、ガスカートリッジは機内に持ち込めないため現地調達する

ガスカートリッジの航空機内への持ち込みは航空法により禁止されています。このため国内外問わず飛行機を利用した遠征登山の場合にはガスカートリッジは基本現地調達する想定で計画するようにしましょう。宅配便で送る場合も会社毎でできたりできなかったり、条件も異なるようです。詳しくは各運送会社・郵便局等に確認してください。

20. ガスカートリッジに記載がある保険をチェック

正しい使い方であったにもかかわらず万が一事故が起こってしまった場合、それによって生じた損害を弁償する制度「生産物賠償責任保険」があります。ただし、前半でも触れたとおりガスカートリッジと本体のメーカーが違う組み合わせで使用するといったメーカーの定める使用の範囲外であると、基本的に保険は適用されません。こうした観点からも、自分の所有するストーブのメーカーが指定する使用方法を確認しておくことをおすすめします。

監修:日本ガス石油機器工業会 → http://www.jgka.or.jp/gasusekiyu_riyou/index.html

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