
秋冬アウトドアに欠かせない化繊インサレーション約200モデルから選んだ、用途・こだわり別ベストモデルと失敗しない選び方のポイント
冬のアウトドアウェアのレイヤリング(重ね着)では、防寒と汗の放出の役割を担うミッドレイヤー(中間着)の使い方が快適さのカギとなってきます。
そのミッドレイヤーには季節や役割などによってさまざまなタイプが存在していますが、中でも登山やウィンタースポーツで最も使い勝手の良いといえる中間着が、化繊中綿を使ったインサレーションジャケットでしょう。確かに軽さと温かさだけならばダウンの方が優れているといえますが、蒸れにくさや濡れに対する強さでいえば化繊インサレーションが上。あるいはフリースは蒸れにくく濡れにも強いですが、今度は軽量コンパクトさや保温力で化繊インサレーションに及びません。そうした総合的な観点からみれば、やはり化繊インサレーションジャケットは寒い季節のさまざまなアウトドア・アクティビティにとって欠かせないウェアといえます。
そこで今回は、現在市場で手に入れられる化繊インサレーションジャケット約200モデルをOutdoor Gearzine独自の視点で多角的に比較検討し、さまざまな用途やシチュエーション、こだわりに合わせてベスト・モデルを選定してみました。さらに後半では自分にピッタリの一着をチョイスするために何をどういう基準で選べばよいかということについてのポイントをご紹介します。
なお、ここでは各部門で1着ないし2着しか紹介していませんが、その他のベスト候補やそれらを含めた全196着の比較一覧表はメンバーシップになっていただくことで閲覧することができます。
Outdoor Gearzineのコンテンツは、みなさんのご支援によって支えられています。ご興味のある方はぜひこれを機会にメンバーシップの加入をご検討ください!
すべてのおすすめ化繊インサレーションジャケットと全196モデルの比較一覧表は有料メンバーシップで
目次
- シーン・目的・こだわり別ベスト・化繊インサレーションジャケット
- 1.ベスト万能化繊インサレーション(初めての一着)
- 2.秋のハイキング・登山向け行動着
- 3.冬のハイキング・登山向け行動着
- 4.レイヤリングを前提とした秋冬向けミッドレイヤー
- 5.秋冬のランニング行動着
- 6.冬のBCスキー&ランニング向け行動着
- 7.春夏用には防寒着として、秋冬には行動着として年間使えるマルチプレイヤー
- 8.厳冬期の登山に持って行きたい高断熱防寒着
- 9.しっかり防寒しつつも動きやすい、スキー場起点のライトなアクティビティに最適な防寒着
- 10.低価格オールラウンド化繊インサレーション
- 11.低価格アクティブインサレーション(剥き出し系)
- 12.低価格アクティブインサレーション(シェルあり)
- 13.断熱性能と耐候性が抜群のビレイジャケット
- 14.超軽量アクティブインサレーション
- 15.超軽量の防寒化繊インサレーション
- 失敗しない化繊インサレーション選びのポイント
- まとめ
シーン・目的・こだわり別ベスト・化繊インサレーションジャケット
1.ベスト万能化繊インサレーション(初めての一着)
まずは「防寒着」という化繊インサレーション本来の役割をしっかりと果たしつつ、利用目的やアクティビティ、シチュエーションが細分化された現在でも高い汎用性を備えた「万能防寒着」といえるモデルを。多くのモデルは定番のロングセラーでありながら、その間現代にもフィットするようにコツコツと進化を続けています。そんななか、「milestone Heatwave Titanium Hoody」は期待のニューフェイス。Climashield®中綿とチタンスパッタリングの裏地という、軽量ながら保温性を最大化する工夫がニクイ。
2.秋のハイキング・登山向け行動着
寒い時期でも行動着として不快感を軽減するように、通気性と汗処理能力を高めた、いわゆるアクティブ・インサレーションはハイキングや登山での行動着として最適。ただその中でも秋の登山では、そこまで保温性が高くなく、だからといって中綿が剥き出しすぎて風がスースーでは寒いので通気性がありながら適度な防風性を備え、そして動きやすいストレッチ性を備え、なるべく薄手で軽い方がいい。そんな基準で選んだおすすめが以下。特に「Arc’teryx デルタ フーディ」のOCTAとデルタピークの組み合わせ、「Rab Evolute Hoody」のPrimaLoft Active EvolveとMotiv Aeroの組み合わせは絶妙。少し防風強めが良ければ「patagonia ナノエア・ウルトラライト・フルジップ・フーディ」も通年使えて便利。
3.冬のハイキング・登山向け行動着
上記の特徴を基本としたアクティブインサレーションで、より低温下、雪山にも対応できそうなモデルを選んでみた。風抜けの良さは2に及ばないものの、逆に風や冷気をワンクッションする程度に耐風性があります。そのうえで、いずれも中綿の通気速乾性が高く、衣服内の蒸れや汗を外に排出してくれます。動きやすさもストレッチ素材やサイドストレッチパネルなどを採用してしっかり。冬の冷気を適度に受け止めてくれるのでアウターとしてもOK。これらの特徴を最もバランスよく備えているおすすめはというと、ずばり「Rab Xenair Alpine Flex Jacket」。防風性と通気性、ストレッチ性を備えたPertex Quantum Air表地に呼吸する中綿Primaloft Gold Insulation Active+、そしてストレッチフリースのサイドパネルと隙がありません。
4.レイヤリングを前提とした秋冬向けミッドレイヤー
中綿に本来あるべき表地と裏地を排したいわゆる「剥き出し」系のアクティブインサレーションは、めちゃくちゃ軽いということに加えて、非常に高い保温力と通気性を併せ持ったいわば諸刃の剣。実際に使ってみると、ハマれば最高だけど、風がスースー寒いときにはアウターと合わせたり、汗ばむときには逆に脱いで直接風を当ててと、シーンに合わせてちょうどよい快適さを保つために他の衣類との組み合わせが重要になことが分かります。
そうしたレイヤリングを前提として使いこなすのなら、アクティブインサレーションの剥き出しスタイルは非常に理にかなってます。自分の場合は厳冬期のバックカントリースキーでこのタイプをシェルの下にミッドレイヤーとして合わせることが多いです。
ここでは、ただ単にAlpha DirectやOCTAを使っただけではなく、動きやすさをしっかりと考えているもの、厚みや耐久性をしっかり考えているものが優秀。
なかでも今シーズン最も注目しているのは「Houdini Lykan Half Zip」で、非常に柔らかく、軽量で、伸縮性に富んだ起毛感のある独自素材「Airweb Knit™」を、縫い目を排したホールガーメントで着心地も抜群。機能的にも断熱性、透湿性、吸湿性に優れているため行動着として十分な性能を備えているらしい。実際にはまだ触ったことないのですが、これはちょっと楽しみ。
5.秋冬のランニング行動着
ランニングには、アクティブインサレーションであるだけでなく、特に優れた運動性とフィット感、そして汗抜けの良さが重要、そして寒さが増せば、そこに身頃や前面の防風性の高さが求められます。
「NORRONA senja Alpha90 Zip Hood」は僕が最近大のお気に入りであるノローナのトレイルランニングライン「senja」シリーズのミッドレイヤー。寒い季節に熱を逃さない部分と逃す部分のメリハリをきちんとつけたり、伸縮性の高いフリースを充てたりと非常に緻密な計算で軽量かつ効果的な保温・通気・耐久性をバランスしています。
6.冬のBCスキー&ランニング向け行動着
冬のBCスキー向け行動着でイメージしているのは、中綿は断熱性と通気速乾性が両立したアクティブインサレーションが基本、そして登りの時にアウターとして着ているときでも適度に風と雪を防いでくれる防風撥水生地を使っていること、さらに肩や肘周りの可動性が十分に高いものが最高。ちなみに昨年まで使っていて、今でもお気に入りのジャケットは「Teton Bros. Sub Hoody」のフード無しタイプ。またこちらもお気に入りのナノエアシリーズから、今シーズンBC用にアレンジされた「patagonia ナノエア・ウルトラライト・フリーライド・ジャケット」も楽しみ。
7.春夏用には防寒着として、秋冬には行動着として年間使えるマルチプレイヤー
春夏には薄手の防寒着としてザックに入れておけるほど軽量コンパクトながら、保温性は高で秋冬にも行動着としてつかえる、つまり1年中お世話になれる実用性の高いモデル。中でも高い断熱性の軽量中綿とチタンコーディング裏地で、限られた重量の中に最大限のパフォーマンスを実現した「STATIC AFTERBURNER HYBRID HOODY」に注目。
8.厳冬期の登山に持って行きたい高断熱防寒着
とにかく断熱性重視、厳冬期の登山に持っていきたい暖かくて快適なかさ高性を備えた防寒着がこちら。結果的には中綿に「PrimaLoft® ThermoPlume®」を採用したモデルが多くなりましたが、そのダウンのような軽さとふんわりした着心地、そして断熱性の高さは、昨年「Rab Cirrus Ultra Hoody」を着ていて実感済み。コンパクトに収納できるところも冬山に最適。
9.しっかり防寒しつつも動きやすい、スキー場起点のライトなアクティビティに最適な防寒着
極寒のなかスキー場でのんびり過ごすなら、そこそこ通気速乾性があって暖かい中綿、そして動きやすさを備えた防寒着がいい。その場合は、伸縮性のある中綿とシェル生地を組みわせたり、可動部にストレッチパネルを配置して動きやすさを兼ね備えていることが理想です。
10.低価格オールラウンド化繊インサレーション
ここからはコストパフォーマンスの高いモデルをピックアップ。汎用性の高いシンプルな化繊の防寒着ではモンベルを抑えて「Columbia ラビリンスキャニオンII ジャケット」が意外にも低価格。そしてここにまさかのRabが。この品質でこの価格は信じられません!
11.低価格アクティブインサレーション(剥き出し系)
雨後のタケノコのように沸いた剥き出し系のアクティブインサレーションの中で、現状最も入手しやすいものは?カリマー!マンハー!アクシーズクイン!いずれもOCTA採用の3トップでした。Mountain Hardwearのこのモデルはこの流行の初期からあったもので、自分もまだ裏地がツルツルになってますがまだ着ています。Polartec Alpha Directなら、台湾のULSUSがお買い得です。
12.低価格アクティブインサレーション(シェルあり)
アクティブインサレーションという言葉がないころからずっと軽量で通気性の高い中綿「エクセロフト」を作ってきたモンベルは、価格も相変わらず全体的にお安くてうれしい。やはり基本的に国産メーカーが多くなってきたところで、ここでもRabのお買い得具合が半端ない。
13.断熱性能と耐候性が抜群のビレイジャケット
極寒の中、上から降ってくる雪をかぶりながらじっと確保姿勢を取り続けるビレイヤーのための、抜群の断熱力と対候性を備えたビレイジャケット。ここでは最高レベルの重量対断熱力を備えた「PrimaLoft® CROSS CORE」テクノロジーを採用するモデルが多数。極限で使用するモデルだけに、妥協はしたくない。ここでの注目は「Rab Generator Alpine Jacket」のコストパフォーマンスの高さ。ありえないくらい高い。
関連記事
14.超軽量アクティブインサレーション
冬だって、少しでも軽くいきたい超軽量スタイルのハイカーのための一着を選ぶなら?まぁずっと身に着けているならそこまで気にする必要はないのですが、携行時にも気にならない軽さを備えたインサレーションは下記の3モデル。どれもやはり剥き出し系なので、風を防ぐためにはレインウェアなどと併用して使用したり、着こなすための工夫が必要。
15.超軽量の防寒化繊インサレーション
こちらは稜線上や就寝時に役に立つ追加の防寒着での超軽量モデル。今シーズンになって日本中のガレージブランドショップが取り扱いを始めている「ENLIGHTENED EQUIPMENT Torrid Jacket」はやはり他と比べても圧倒的に軽い。そして同じClimashield®を採用した「milestone Heatwave Titanium Hoody」も気になる。そして軽量コンパクトさでは、独自のダウンライクな中綿を採用した「patagonia マイクロ・パフ・フーディ」も負けてない。
失敗しない化繊インサレーション選びのポイント
ポイント0(前提):レイヤリングについて知る
このまま話を進めていく前に一度レイヤリングという考え方についてざっくりとおさらいしておきます(分っている方は読み飛ばしていただいて構いません)。
アウトドアでの「レイヤリング」とは、過酷な自然環境の中で少しでも安全・快適に過ごすための着こなし方のセオリーを意味しています。レイヤリングによって、主に発汗等による衣服内の水分を素早く排出し、身体をドライに保つ機能や体温を一定に保つ機能(保温)、さらに外気や雨雪からの遮断といった、1着では共存できない高度な機能を兼ね備えることができます。レイヤリングは何でもただ重ね着すればいいというわけではなく、大まかにいって以下の3つの機能をもったレイヤー(衣服)を肌面から順に重ね着することで完成します。
ベースレイヤー:汗を吸い上げ、外側に受け渡す

肌の上に直接着るレイヤーをベースレイヤーといいます。身体から出る汗を肌に残さないように吸い上げて外に逃がす(上のレイヤーに受け渡す)ことで、肌面をドライに、そして体温を一定に保ちやすくしてくれ、汗で濡れた衣服の不快感も軽減してくれます。このため生地の素材は吸湿・速乾性能の優れた化学繊維やウールが鉄板。暑い時期ならばこれ1枚で行動することが多く、年間を通じて最も着用するシーンの多い服であると言えます。
関連記事
ミッドレイヤー:保温(&湿気の排出)

ミッドレイヤーの役割は端的にいうと保温(断熱)。外部の冷気と体温との間に、中綿を詰めたウェアを挟むことによって「空気の壁」をつくります。それによって体表面近くの暖かい空気を閉じ込め、暖かさ・快適さを保ってくれます。また、ベースレイヤーから排出された湿気(水蒸気)が抜けていくだけの透湿性も重要な役割のひとつです。ただ、どんな季節やアクティビティでも常に快適な製品というものは残念ながらまだ存在しません。だからこそミッドレイヤーは賢くチョイスすることが必要なのですが、詳細についてはこのあと説明していきます。
シェルレイヤー:風・雨・雪・外気を遮断(&湿気の排出)

ベース・ミッドレイヤーが主に衣服内部を快適に保つ役割であったのに対し、シェルレイヤーの役割は主に外の環境から内部を守る役割といえます。冷気をはじめ雨・風・雪といった、快適さを脅かす可能性のある外部からの刺激を遮断し、衣服内の安全を保ちます。具体的にはGORE-TEXなどの防水透湿素材を使ったジャケットを羽織ることで、外からの風や浸水を防ぎつつ、内側の湿気を外に逃すように機能します。想定する気象条件によって、薄手の風よけ程度のものから厚手の防水・防風・断熱性の高いタイプまでさまざまです。
関連記事
ポイント1:化繊インサレーションのタイプ(種類)とそれぞれの特徴を知る
一通りレイヤリングの役割が分かったところで、ここからようやくミッドレイヤー選びの核心に迫っていきます。先述の通りミッドレイヤーの主な役割としては「断熱・保温」ですが、じゃあとりあえず保温性の高い上着を選べばいいかというと、これがそんなに単純な話ではありません。
山登りではじっとしている時もあれば激しく活動しているときもあるし、ちょっと肌寒い程度の時もあれば、凍てつくような寒さの時もある。すべての場面でちょうどよい快適さを提供するような1着は未だ存在していないのです。
保温が必要なあらゆる場面でちょうどよい快適さを実現するためには、さまざまな得意分野の異なる複数のミッドレイヤーを使い分けるのが、単純ですが最も賢い方法です。そのためにはまず山で着るミッドレイヤーの代表的な種類について知っておく必要があります。
タイプ1:保温重視の化繊インサレーション

まずは主にダウン(羽毛)と同じ役割を志向した、できる限り軽く、そして高い断熱性を目指した化繊インサレーションジャケットです。特徴は羽毛に迫る重量当たりの断熱性を備えながら、濡れに対する強さを備えていること。アウトドアでは汗や雨雪などでぐしょぐしょに濡れても保温力を失わないそのタフさは重要なメリットで、ハードなアクティビティである程、化繊インサレーションが活躍する場面が広いといえます。また洗濯しやすいという手入れの簡単さも大きな魅力。代表的な中綿素材にはシンサレート、プリマロフト、コアロフト、エクセロフトなどがあります。
どこまでいってもダウンには追いつけなかった保温性の高さも、近年では「エアロゲル」といったハイテク素材などによって着実に向上していることから、その性能・使い勝手は益々高まってきていることは間違いありません。
ただ、この保温重視タイプの化繊インサレーションにも中綿の量(厚み)によって保温力の大小がありますので、どのくらい寒さで着るのかによってどの程度のウェイトがよいかを選ぶ必要があります。
関連記事
タイプ2:行動着としての機能性を研ぎ澄ましたアクティブインサレーションタイプ

もうひとつは上記の化繊インサレーションの派生製品として生まれ、ここ数年ですっかり定着してきたのが、次世代のミッドレイヤー「アクティブインサレーション」ジャケットです。
素材的にはこれまでの化繊中綿なのですが、重量当たりの保温力では上のタイプに及ばないものの、より高い速乾性と通気性を備え、万が一汗をかいても常に衣服内をドライな状態に保つような特性があります。
さらにストレッチ性を備えてよりアクティブシーンに対応しているモデルも多く、低温下で汗をかきながら激しく行動しても驚くほど快適なため、行動中でもずっと着続けていられます。
アクティブインサレーションジャケットはいわば「動ける防寒着」。冬の行動中に着っぱなしでも常に快適でいられるため、今では冬山登山はもちろん、脱ぎ着がしずらいバックカントリー等では欠かせないといえるほど便利な中間着です。
代表的な素材に、Polartec® Alpha®、帝人OCTA、東レ 3DeFX+、Patagonia フルレンジ、THE NORTH FACE Ventrix™、Primaloft® Gold Active Evolvなど、各メーカーから続々と新素材が登場しています。
タイプ3:バランス重視型
上記のどちらもバランスよく備えた「オールラウンド型」とでもいうべきタイプが3つ目です。適度な保温性と軽量コンパクト性を備えつつ、なおかつ通気性とプロテクションにも優れたタイプは、秋冬は行動着として、さらに春夏には防寒着としても役立ってくれるので、1年中通して重宝します。
ポイント3:着用シーン(タイミング)に合わせて選ぶ
化繊インサレーションにも素材や構造によってさまざまな機能的特徴があることが分かったところで、最適な一着を選ぶには、その着用シーンによって使い分けることがベストであることが分かります。それぞれの場面で重視する機能を見極め、そこに適したウェアを選択することが重要です。もちろん予算や物理的な関係でどうしても1着しか選べないという場合もありますが、そこでいかに工夫できるかがアウトドアの道具選びの難しいところであり、楽しいところでもあるわけです。
あまり動かない(汗をかかない)シチュエーションで防寒着を着るということが前提の人には、保温重視の化繊インサレーションを考えます。
逆に寒い季節の行動中に着たいという場合には、「アクティブインサレーション」か「バランス重視型」タイプを選ぶのがよいです。

ポイント4:アウターとしても着るかどうかで選ぶ
最近の化繊インサレーションには、従来までのオーソドックスな「中綿+表裏のシェル生地」構造のジャケットに加えて、重荷アクティブインサレーションに代表される「中綿のみ」のジャケットも存在しています。シェル生地に挟まれたタイプは寒さを防ぐ中間着的な役割はもちろん、十分な防風性や耐久性を備えているのでアウターとしても活躍してくれます。ただ一方でシェル生地が風を通しにくくするので、飛び抜けた通気性は備わっていません。
一方でセーターやフリースと同じように中綿(断熱)素材のみで構成されているジャケットの場合は、シェルの下に着れば高い保温性と軽量性、通気性を得られることによって高負荷アクティビティに適していますが、その分風を通し過ぎるので山でアウターとしては使いにくい場合があるといったデメリットがあります。
もちろんこれは優れているとか劣っているという問題ではないので、アウターとして着られる1枚を探しているのであれば逆にこちらの方がマッチする可能性は十分にあるわけです。
ポイント5:その他にチェックしておきたい防寒着選びのポイント
個人的にこれまでの経験から、中間着を選ぶ際に注意しておいた方がいいポイントは以下。
ポケット
アウターとして使う場合には左右のハンドウォーマーポケットがあると便利だが、中間着として中に着るのであれば不要。むしろその時は胸ポケットが便利。
フード
フードのあるなしで頭まで防寒できるかできないかという違いが出てきます。当然単体で考えればフードがあった方が防寒力は向上すると考えてよいのですが、ここはできればレイヤリング全体で考えた方がよいでしょう。例えばベースレイヤーにもフード、ミッドレイヤーにもフード、そしてアウターにもフードが付いていた場合、それはそれで結構首周りが大渋滞を起こしてしまい、逆に暑苦しい、かさばって息苦しいといったことになってしまうからです。最低限アウターにフードがあって、バラクラバなどで首元が保温できればそれで充分と考えることもできます。その場合は中間着はフード無しのジャケットで十分です。実際ぼくはそのパターンが結構気に入っています。
ストレッチ素材で頭のサイズにフィットするようになっているもの、もしくはドローコードで調節できるものが主流。そのどちらでもないパターンでは、自分のサイズに合っていないと被ったときに空気が漏れる・視界が遮られるなどで不快です。またアウター前提の防寒着の場合、ヘルメットの上から被ることを想定して大きめに作られている場合が多いので、その辺は好みが分かれるでしょう。
まとめ
毎年のように新しい素材やギミックが登場する化繊インサレーションジャケットも、他のあらゆる山道具と同じで、大切なのはやはり製品の特徴(長所と短所)を理解したうえで、自分の利用シーンや好みに合わせて着用することです。この記事を参考に、みなさんにとって理想のインサレーションにめぐり逢えれば幸いです。





















ダウン?化繊中綿?フリース?レイヤリングのカギは素材選びにあり。登山向け防寒着(ミッドレイヤー)今シーズンのタイプ別ベスト・モデルと、失敗しない選び方のポイント
着っぱなしで寒さ知らず&汗冷え知らず!行動着としておすすめの化繊インサレーション7着
比較レビュー:この冬着てみて分かった、化繊インサレーションジャケットのベストチョイス
“動ける”防寒着!最新化繊インサレーションをおすすめする7つの理由と注目の7着