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Insta360 X4で誰でも簡単にスターラプス・スタートレイル動画を撮影する方法【テント場での実践ガイド】
山の中で過ごす夜。見上げてみると下界ではまず見ることのできない満天の星空が広がります。
ゆっくりと動く星の軌跡を撮影する「スタートレイル」はシャッターを開放する時間を長くしたり、数百枚の写真を重ねて一枚の写真に仕上げる技法です。星の動きを動画にする「スターラプス」や「スタートレイル」は非常に魅力的ですが、一眼レフなどでスタートレイルやスターラプスを撮影するには膨大な労力がかかります。
撮影するために寒空の中、シャッターを押し続ける必要がありましたが、時代は進み、テクノロジーの発展により「スタートレイル」や「スターラプス」は気軽に撮影することができるようになりました。
スタートレイル」や「スターラプス」撮影におすすめしたいのが「Insta360 X4」です。Insta360 X4は360度撮影ができるアクションカメラですが、スタートレイルやスターラプス撮影をすることができ、しかも簡単な設定のみであとはボタンを押せばOK。撮影の簡単さに思わず舌を巻いてしまったほど。
この記事ではInsta360 X4を使ったスターラプス撮影の超具体的な方法をお伝えします。この記事通りにすれば誰でもボタンひとつで圧巻の星空撮影をすることができます。
目次
撮影に必要なもの
星空撮影をするにあたって基本的に必要なアイテムとしては
- Insta360 X4
- 三脚
- スマホ(無料アプリ)
- 予備バッテリー
- ヘッドランプ
- マイクロSDカード
「スタートレイル」や「スターラプス」の撮影は撮影が長時間になるため、「バッテリー」と「メモリーカード」は予備があったほうが安心です。
Insta360 X4はバッテリー容量が2290mAhで、X3よりも容量は増量されています。(メーカー公式ホームページによると5.7K30fpsで135分の録画が可能)ですが、スタートレイルやスターラプス撮影は最低でも1時間、長ければ3時間以上撮影しますのでバッテリーの予備は持っていきましょう。
撮影時間が長くなると同時にデータ量も増えます。Insta360 X4に使用されるのはマイクロSDカードで、容量はメーカーにもよりますが32GBから2TBまでと幅広くあります(Insta360 X4で使用できる最大容量は1TB)
スタートレイルやスターラプス、動画の撮影を考えているのであれば、128GB以上が安心で、筆者は256GBのマイクロSDカードを使用しています。動画撮影をする際には容量に加え、スピードクラスがV30以上のマイクロSDカードを選ぶことがおすすめです。
三脚はしっかりとしたものが好ましい
撮影中はカメラの横で待機していればトラブルへの対処がすぐにできますが、長時間の撮影となるためカメラから離れる場合もあるかと思います(筆者は撮影中はテントや車の中で待機)
であれば三脚はできるだけしっかりとした三脚を選ぶのがベター。携帯性の高い小型の三脚は軽い分、強風時には倒れやすく注意が必要。三脚はしっかりと足が開き、安定感の高いタイプを使用しましょう。
登山をし、山の上での撮影時には三脚選びは悩ましいところです。安定性をとるか、携帯性を重視するかは正解を探すのが難しく、安定感の高い三脚は重量も重たくなることから運搬時の負荷が大きくなります。携帯性と安定性のバランスが良いはLeofotoの三脚。重量が1Kgを切る軽量さでありながら安定感の高くおすすめです。
撮影を成功させるための具体的な方法
- 撮影地を探す
- 月齢をチェック
- 撮影地で方角をチェック
- Insta360 X4の設定
- 撮影開始
ステップ1:撮影に適した場所探しが失敗しないための第一歩
「スタートレイル」や「スターラプス」をはじめとする星空撮影に適しているのはとにかく暗い場所です。
ここで言う暗い場所とは「街の明かり」の影響を受けにくい場所のことを言います。都心から離れ、山の奥地、標高の高い場所や高原、海などがおすすめ。
海もおすすめとは言っても場所によっては街の明かりの影響を受けるため、場所探しはしっかりとする必要があります。街の灯り(光害・ひかりがい)を受けない場所を探すには「光害マップ」などを使用し、できるだけ光の影響を受けない場所を探しましょう。
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出典:日本光害地図
写真は関東地方の光害マップですが、青い場所ほど影響を受けにくくなります。このマップを見る限り、首都圏などでは山岳地帯であっても街の明かりの影響を受ける場所が多く、影響を受けにくいのが南アルプスや北アルプス、群馬や新潟などの山岳地帯が撮影に適した場所と言えます。
海もおすすめとは言いましたが、伊豆半島南部は影響を受けにくくなっていますが、房総半島や静岡の海岸沿いか黄色、または赤くなっている場所が多く、星空撮影には向きません。
光害マップと登山地図、グーグルマップなどを照らし合わせながら最適な場所を見つけることが星空撮影を失敗しないための第一歩です。
まずはキャンプ場などでチャレンジ
「スタートレイル」や「スターラプス」は撮影時間が長くなるため、街の明かりの影響を受けにくい場所に加え、長時間待機できる場所が望ましいです。
光害の少ない山に登り、人が来ないような場所での撮影がが最もきれいに撮影できますが、山中での長時間の撮影の間、寒さや風にさらされることを想定しなければなりません(これは結構過酷です)
まずは撮影中にテントで過ごすことができたり、車の中で待機できるような場所を選びましょう。
都心から離れ、標高の高い場所や高原のキャンプ場や、登山のキャンプ指定地などがおすすめ。高原にある駐車場なども星空撮影は可能ですが、撮影中に車が通る可能性があるため、駐車場から展望台まで少し距離のある場所が撮影に向いています。
ステップ2:月齢も欠かさずチェック
星の光量は非常に小さいため、星空を撮影する時には「月」の明かりですら悪影響になります。月の明るさで見える星の数は減ってしまうため、星空撮影に出かける前に必ず月齢をチェックしましょう。
満月に近くなればなるほど月の光量は増し、新月に近くなるほど月の影響は受けにくくなります。筆者が星空撮影をする時は新月の前後3日間くらいを狙って出かけています。
ステップ3:撮影地で方角をチェック
撮影地と月齢を確認したら、残るは方角をチェックするだけ。スタートレイル撮影では星の軌跡を撮影するため、円を描くような写真にするには方角が重要になります。円を描くような構図にするのであれば南と北のどちらかにカメラを向けて撮影するかを決めておきましょう。
方角の確認はコンパスでもいいですが、現在はスマホアプリでも簡単に確認できるため、撮影に出かける前にダウンロードしておくと便利です。
場所探しの段階で地図から方角はある程度把握できますが、撮影地では思わぬ障害物などがあるため、可能であれば明るいうちに下見しておけると構図が決めやすいでしょう。
Insta360 X4がすごいのは画角の調整幅が広いこと
方角の確認について触れましたが、Insta360 X4での撮影の場合、ある程度はざっくりでOK。Insta360 X4の最大の強みはなんと言っても360度撮影ができることですから。
一眼レフやデジタルカメラを使っての撮影の際にはよりシビアな方角確認と構図設定が必要になりますが、細かい構図は気にしなくても撮影後にリフレームすることで簡単に理想の構図での撮影ができます。ただし、撮影したい方角に車やテント、木などの障害物がないようにチェックが必要なのと、撮影したい方角がレンズの正面になるようにセットすることは忘れないでおきましょう。Insta360 X4は前後二つのカメラにより360度撮影を行います。撮影したい対象(星空なら方角)を前後カメラの境目に置いてしまうと、リフレーム時に歪んだ画像になってしまいます。(写真下のグレーの部分)
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撮影したい方角にカメラが正面を向くようにセットすると構図通りにリフレームしやすい
撮りたい対象(方角)をカメラの正面にセットすることで失敗は格段に減らすことができます(多少の調整は後でできますから)
ステップ4:撮影モードの設定をする
Insta360 X4にはスターラプス(スタートレイル)を撮影するための専用モードがあります。スターラプスモードにはオート設定もありますが、オートでは微弱な星空を捉えることはできないのでマニュアル設定で撮影をするのがマスト。
設定は本体(またはスマホアプリ)で行います。長時間撮影になるスタートレイルやスターラプス撮影はスマホと連携し、撮影する方が圧倒的に便利なため、ここではスマホアプリを使っての設定方法を解説します。
Insta360 X4本体とスマホを使った設定方法
- Insta360 X4とスマホをBluetoothで接続し、「M」ボタンから設定画面を開き、自動(オート)から手動(マニュアル)に切り替える
- シャッタースピードを遅く設定(決まりはありませんが、遅ければ遅いほど光を取り込みやすいため20秒以上で設定)
- ISO感度設定(1600以上、高くしすぎるとノイズが入るため、2000〜3200がおすすめ)
- WB(ホワイトバランス)星空を撮影する場合、青っぽいほうがいいため、3400K〜4000Kがおすすめ
- 液晶を上にスワイプし、撮影する時間を決める(時間指定しない場合は無限でOK)
スタートレイルの撮影を始める前に、設定を変えながら静止画で撮影し、星の写り方を確認してからスタートレイルの撮影を始めるとより失敗しにくくなります。
ステップ5:撮影開始
設定が完了したらあとは撮影するだけです。撮影中は光の影響を受けにくくするためライトは消して待機しましょう。撮影が終わるまでそのままにしてもいいですが、万が一途中で撮影が止まってしまったり、三脚が倒れてしまうなどのトラブルがあった場合には撮影が台無しになってしまうため、撮影中は何度か様子は確認したほうがいいです。
筆者が撮影したスタートレイルとスターラプスの設定を公開します。
デモ1:南アルプスで撮影したスタートレイル動画
- シャッタースピード:25s
- ISO感度:3200
- WB:オート
南アルプスのテント場で撮影したスタートレイル動画。星空と一緒に設営したテントを構図に入れ、人の動きが加えること星がゆっくりと軌跡を残すのを強調することができます。WB(ホワイトバランス)はオートにしましたが、より星空に宇宙ぽさをだすならWBは4000以下に設定することで青っぽい空になります。
デモ2:伊豆高原で撮影したスターラプス動画
- シャッタースピード:25s
- ISO感度:3200
- WB:3600
伊豆高原で撮影したスターラプス動画。星空撮影は晴れていることが前提となりますが、雲が入ることで星の動きに雲の動きが加わることでスターラプス動画が魅力的になります。
海から近いということもあり、街の明かりの影響は受けてしまいますが、それでも月の影響を受けない日を狙って撮影したため、しっかりと星が写り込んでくれました。
Insta360 X4のすごいところ!ピント合わせも必要なし
通常、星空撮影においてもっとも大変なのが「ピント調整」です。一眼レフのようなカメラの場合、オートフォーカスで星空の微弱な光でピントを合わせるのが難しいため、マニュアルフォーカスでピントを合わせるのですが、フォーカスリングをすこしずつ回し、撮影しながらピントが合うところを探します。この作業が慣れるまでは非常に大変。しかもピント合わせを失敗してしまうと全ては水の泡になってしまうため、失敗は許されません。
Insta360 X4のすごいところは微弱な星空撮影においてもピントを自動で合わせてくれることです。
シャッタースピードやISO感度など設定後、あとは撮影開始ボタンを押すだけでOKだから誰でもスタートレイルやスターラプスを撮影することができます。
撮影後はボタンひとつでアプリが編集してくれる
撮影したスターラプスはアプリを使用することで簡単にスターラプス、スタートレイル動画、または静止画をエクスポート(保存)することができます。
Insta360のアプリを開き、Insta360 X4本体とBluetoothで接続すればコードも必要ありません。
スターラプス、スタートレイルの保存方法
- スマホアプリからInsta360と接続し、アルバムを開く
- 撮影したスターラプス動画を選択
- エクスポート(保存)したい形式を決める(スターラプス、スタートレイル、スタートレイル写真)
- 画面右上のエクスポートボタンでエクスポート開始する
スターラプス、スタートレイル動画は容量が大きいため、編集時の読み込みに時間がかかりますが、操作は非常に簡単です。ここでは割愛しますが、こだわりたい人は動画の中でアニメーションを加えたり細かい編集も可能で、撮影したままの動画だけでなく、さらに動きをつけることもできます。
まとめ:画質は一眼に劣るとしても気軽さはInsta360X4に軍配!SNSや思い出として記録しておくには十分
時間をかけて登り、たどり着いた山の中で目にする満天の星空。目に焼き付けるだけでなく、思い出として記録したい。だれもがそう思うはず。星空撮影においての画質で言えば変わらず一眼レフに軍配が上がりますが、重たい一眼レフを背負って登るのは大変です。(撮影の労力も手間も)
簡単な設定を覚えておくだけで気軽に簡単に星空撮影が可能で、思い出を残すことができます。満天の星空をInsta360X4で撮影しましょう!
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Yosuke(ヨウスケ)
不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。