【年末年始セール中】ライカと共同開発の本格アクションカメラ『Insta360 Ace Pro』は登山やスキーで使えるのか?山好きGoProユーザーが乗り換えてみて刺さった点・気になった点
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360°カメラのリーディングブランド「Insta360」による本気のアクションカメラが満を持してデビュー
「Insta360」は 2015年にスタートした深セン発の比較的若いカメラメーカーであり、その名が示すように彼らの主力製品はこれまでほとんどが全天球(360°)カメラでした。代表作である360°カメラ「Insta360 X3」はその優れた画質と使い勝手の良さから、今やぼくのアウトドア撮影にとって春夏秋冬、無くてはならない存在です。
そんな彼らから昨年末発売された本格アクションカメラが『Insta360 Ace Pro(& Ace)』。ライカとの共同開発によるレンズと大型サイズのセンサーを搭載し、最大8Kでの録画機能に加え、自撮り撮影に有効なフリップアップ・タッチスクリーンを備えるなど、分かりやすくユニークで優れた特徴によって同社がこのカテゴリの盟主であるGoPro に本気で取って代わろうとしていることがひしひしと伝わってきます。
思えば自分がいわゆる「アクションカメラ」を使いだしたのは遡ること10年前の「GoPro HERO4」からで、GoPro シリーズは何だかんだと現在手元にある「HERO9」まで使ってきました。ただ毎回期待が大きすぎるのか、正直なところこれまで十分に満足いったという記憶はなく、結局いつの間にか使わなくなってしまうのが常でした。
そんなわけなので、密かな推しメーカーである彼らがリリースした本気のアクションカメラと聞いて気にせずにはいられません。
今回は幸運にも『Insta360 Ace Pro』を自由にレビューしてOKという条件の下で提供してもらうことができたので、早速登山やスキーなどのアウトドアで3週間ほど使用してみました。そこでアウトドアでの使い心地について自分が感じたことを「山で使えると思った点・困った点」についてレポートしてみたいと思います。
目次
Insta360 Ace Pro とは?
ライカと共同開発の高画質・高機能な広角アクションカメラ
Insta360 Ace Pro は、ライカと共同開発したレンズに1/1.3インチセンサーによる昼夜を問わず高解像度で優れた色再現性を備えた、広角アクション カメラです。小型で耐寒性と防水性に優れた堅牢なボディにはフリップアップ・タッチスクリーンを搭載し、他のアクションカメラと比較してVlogなどの自撮り撮影でも他にはない快適な撮影を可能にします。他にも多彩な撮影モードをはじめ、音声・ジェスチャーコントロール、安定した手ブレ補正、使いやすいインターフェースとAIによる高度でスムーズな編集機能、急速充電など、既存のアクションカメラにはない機能を多数備え、トップクラスの画質だけでなく操作性や編集の快適さなど、あらゆる面で総合的に高いレベルでまとまった、ハイスペックアクションカメラ(やや機能と価格を抑えたラインナップ『Insta360 Ace』も同時にリリース)。
おすすめのポイント
- 多彩なアングルでの撮影で撮り逃しを防ぐ「フリップアップ・タッチスクリーン」
- ライカレンズと1/1.3インチセンサー、優れた画像処理エンジンによる優れた画質
- 堅牢な作りと-20℃までの耐寒仕様・10m防水というタフネス仕様
- 激しいアクティビティでも安定感のある自然な映像が撮れる手ブレ補正・360度水平維持
- 画角やFOV(視野)などを撮影後の編集時に決められる便利な「FreeFrame」モード
- 薄暗い場面でも明るく撮影できる優れた低照度パフォーマンス
- スマホでの編集もサクサクできる使いやすいソフトウェア(PCでの編集も◯)
- 最大4800万画素の解像度、RAW 形式をサポートした静止画撮影
- 22 分で80%、46 分で完全に充電可能な急速充電バッテリー
気になったポイント
- 他のアクションカメラと比べてやや重量感がある(ボディ自体も重めだが、通常マウントとセットで使用するのでなおさら)
- 8K/24fps 動画は画質設定や撮影モードが制限され、まだ再生環境も整っていないため、後からトリミングする目的以外にあまり使い道がない
- 自分のスマホ (Pixel 6 Pro) の場合、動画ファイルをダウンロードしてからでないとアプリでの快適な編集が難しかったため、サクサク使うにはスマートフォンの性能もある程度求められると思われる
主なスペックと評価
項目 | Insta360 Ace Pro |
---|---|
外形寸法 | 71.9mm x 52.15mm x 38.5mm |
重量 | 179.8g |
センサーサイズ | 1/1.3インチ |
絞り | F2.6 |
35MM判換算焦点距離 | 16mm |
主な動画解像度 |
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最大動画ビットレート | 170Mbps |
主な写真画素数 |
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動画モード |
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写真モード |
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充電時間 |
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動作温度 | -20℃ 〜 40℃ |
防水性能 | 10m(潜水ケースなし) |
その他の主な機能 |
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Outdoor Gearzine 評価 | |
タフネス | ★★★★☆ |
重量 | ★★★☆☆ |
ビデオ品質 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★☆ |
編集快適性 | ★★★★★ |
アクセサリ充実度 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★☆☆ |
詳細インプレッション ~実際に登山やスキーで使ってみて刺さったポイントを中心に~
外観・作りの良さ・タフネス
Insta360 Ace Pro は前面にレンズと小型ディスプレイ、背面に大きなスクリーン、側面にボタンやバッテリー、各種端子を閉じ込めた蓋というデザインと構成であり、ここは基本的にGoPro などと同じです。
作りの印象は本当にしっかりとしていて好印象。ボディやボタンは頑丈な素材が使用され、GoProによく似た外観でありながら、手に持ったときの感触がよりずっしりと高級感を漂わせています。これは熱放出性にも優れ、充電などで熱くなった際にも効率的に熱を放出していることが分かりました。
側面のサイドハッチは水の侵入などを防ぐために密閉感が高くしっかりと締まりますが、かといって開けにくいということもありません。またGoProと違って左右に一つずつ配置され、一方がバッテリーボックス、もう一方がmicro-SDカードスロットと高速充電機能を備えたUSB Type-Cポートとなっており、分かれているのは地味だけどより使いやすくなっていて気に入っています(下写真)。
待望のフリップアップ・タッチスクリーン
Insta360 Ace Pro がハードウェア構造的に他のアクションカメラと大きく違うのは、背面の「フリップアップ・タッチスクリーン」です。
DJI やGoPro の前面にあるフロントスクリーンは小さくてお世辞にも見やすいとはいえず、また「前面に」見えているだけなので自分の使い方ではこれが撮影時に十分機能したと思えた記憶がまったくありません。
そこへ来てこのAce Pro では、上部のヒンジが180° 開閉する2.4 インチのフリップアップ・タッチスクリーンによって前面はもちろん、90°開けて上からでも映像を確認でき、さらにある程度離れたところからでも(先行の2機種に比べて)はるかにストレスなくビデオ撮影をすることができました。
これは山やスキーで使うことがメインの自分にとっては待望の機能で、これだけでもこの機種を選ぶ理由になるといっても過言ではありません。
というのも、登山や沢登り、スキー等では身体の一部にマウントし、どう映っているか分からないままに一発勝負の撮影をスタートさせなければならないケースがこれまで多々ありました。その結果、ちょっとカメラの向きが下に向いてたがために空が映っていなかったり、逆に地面のスキー板を入れたいのに入っていなかったりと、残念過ぎて泣くに泣けない経験が数えきれないくらいあります(自分がアクションカメラから360°カメラに移行した大きな理由のひとつ)。
それがこのフリップ式スクリーンがあることで、自撮り中の映像はもちろん、ローアングルでの撮影、またチェストマウントやショルダーストラップマウント時でも、背面スクリーンを跳ね上れば映りを確認しながら撮影することができます。
もちろんこれまでもスマホ連携などで映像を確認しながら撮影する方法はありましたが、スマホを見ながら撮影するのは現実的ではないし、極寒の中でいちいち操作するのも煩わしかったりと実用にはほど遠かいものでした。自撮り棒と胸マウントでの登山が多かった自分にとってこれは革命といえるほどの進歩です。
欲を言えば理想は縦画角でも使いやすいバリアングルスクリーンですが、さすがにそこまで望むのは欲張り過ぎ。今後に期待しましょう。
ちなみにフロントスクリーンは現在の撮影設定に関する重要な情報が白黒画面で表示されます。
カメラの電源がオンになると、選択したモード、そのモードで選択した録画オプション、バッテリー寿命、メモリ カードの空き容量、録画ステータスに応じて青または赤に光る大きなライトバーが表示されます。
やや重くてゴツいのが難点
しっかりとした作りの良さと背面の便利なフリップ式スクリーンは、一方でどうしてもGoProなどの競合のカメラより重く、かさばってしまうという点避けられません。単体での重量差はAce Pro が179.8g なのに対し、GoPro Hero 12 Black は 154g、DJO Osmo Action 4 は 145g と数十グラムの差ですが、Ace Pro はこれにマウントに取り付ける際に必要なマグネットベースがほぼ必須であるため、それらも含めると重量差は意外と馬鹿にならなくなってきます。ほとんど気にならないことが多いとはいえ、自撮り棒を伸ばして長時間持ち続けたり、ヘルメットに装着したときなどにはやはりその重さは無視できなくなってきます。また(こちらはそこまで気になるほどではありませんでしたが)大きさという点でも、下写真のように背面スクリーンの分だけどうしても大きくなってしまいます。
マウント・画質・画作りのしやすさ
多くの取り付けマウントオプション
アクションカメラといえば、手持ちで撮影するよりもむしろ自撮り棒や身体をはじめさまざまな場所に取り付けて撮影するのが一般的。その際に重要なのが、カメラをそれらに取り付けるためのマウントデバイスです。
これに関してAce Pro は豊富なマウントオプションが用意され、ボディ自体にもマウントの付け替えの手間を省くスマートな仕組みが備えられていました。
基本的にカメラのベースにはマグネットプレートがあり、そこに対応するマウントが取り付けるようになっています。着脱が容易なのでカメラをさまざまなマウントに素早くスナップできます。
このため予算さえ許せば、自撮り棒・ショルダーストラップクリップ・チェストストラップ・ヘルメットなど必要な部分それぞれにこのマウントを取り付けておき、ネジの開け閉めなくセッティングすることができます。
自分の場合、登山ではチェストストラップかショルダーストラップクリップ(チェストストラップが暑い時)が多いです。
もちろん自撮り棒でのVlog的な撮影も。これはトレイルランなどで走りながら撮る場合によく使う印象。
沢登りではヘルメット、スキーではチェストストラップか自撮り棒という使い方がほとんどなので、それに即した自撮り棒やマウント、あとはカメラを縦向きに固定するための縦横マウントがあればとりあえず十分でした。
ただマウンテンバイクやウォータースポーツなど他のアクティビティ向けにもさまざまなマウントが充実しているので、(費用はかかるものの)スタイルに合うマウントがないという心配はほとんど不要かと思われます。
優れたビデオ画質
アクションカメラといえば何をおいても最も重要なのがビデオ画質であることに異論の余地はないでしょう。自分はこれまで特に熱心に高画質の映像を追求してきたわけではないため、高いレベルまで厳密に評価する眼は持ち合わせていないかも知れませんが、ライカ製レンズと1/1.3 インチ センサー、そして優れた映像処理エンジンのおかげでInsta360 Ace Pro のきめ細かく鮮やかな映像は非の打ち所がないほど十分に満足することができました。
百聞は一見にしかず。ほとんどカメラで設定したままで特に細かい後処理を施さなくても、以下のような高解像度で色再現性の高い動画が撮れてしまいます。
スキーでの「4K 120fps」動画のインパクト
またこのカメラは最大8K / 24fps、または最大4K / 12fpsでのビデオ録画を可能としています。8Kという高解像度は現状Ace Pro の多彩な撮影設定が制限されてしまったり、再生側の環境もまだ追いついていないといった理由から実際にはあまりまだ活躍の場面は少ないと思われますが、スキーを撮影したときの「4K /120fps」でのスムーズで鮮明な映像は十分に魅力的でした。
以下の動画ではその120fpsを、60fpsで撮影した動画と比較してその滑らかさを確かめています。
※なお動画自体は120fpsで作成されていますが、お使いのディスプレイのリフレッシュレートが120Hz以下である場合には通常スピード時の動画(前半部分)では滑らかさを確認することはできませんのでご了承ください。
120fpsは主にスポーツなどでスローモーションを鮮明に表現するために使われることが多く、動画後半部分のスローモーションではそれが確認できるかと思います。またスローモーションだけでなく、普通に通常速度で撮影していても(動画前半部分)確かに120fpsの方はより高速に動いているにもかかわらずより鮮明で滑らかな動画に見えます。とにかくスピードのある映像を撮影する際にはかなり重宝しそうです。
動きの速い動画でも鮮やかでバランスのとれた映像が可能な「アクティブHDR」画質
Insta360 Ace Proでは4K / 30fps以下で「アクティブHDR」画質がデフォルトで適用されます。「アクティブHDR」とは、高コントラストの環境下で撮影する場合に最適なオプションで、 動きのあるアクション映像を安定させ、ゴーストを最小限に抑え、ハイライトとシャドウの細部を維持してより鮮やかな映像を実現し、日中の撮影をより鮮やかにします(※公式サイトより)。
ということで、絶晴れのスキー場で撮影してみました。確かに雪面の陰影もくっきり、そして青空、樹木、影、スキー板など周囲のコントラストの強い対象物もバランスよく見えています。これが「4K / 60fps」でも効いてくれればいいのですが、現状は「4K / 30fps以下」でしかかからないようで、そこは残念。
低照度パフォーマンスはもちろん登山での撮影においても威力を発揮
日中の映像の美しさもさることながら、実はAce Pro が他機種と比べて抜きん出たパフォーマンスを発揮できるのはこの低照度でのパフォーマンスだったりします。それが撮影モードのひとつである「PureVideo モード」です。
ライカ製レンズと大型センサーがより多くの光を取り込み、AIで強化された5nmのチップの高速プロセッサーがノイズを低減し、暗い環境でも細部を強調することができます。おかげで低照度条件でも非常に優れた映像を残すことができました。
下の動画は夜8時頃の上野公園を散歩しながら「PureVideo モード」で録画した様子です。あまり詳しくないけど、ただこの設定で撮っただけにもかかわらず、すでにこのノイズの少なさはヤバイ。
この暗所での優秀さはもちろん登山でも役に立ちます。特に日の出・日の入りあたりの撮影、あるいはテント内での撮影、そして夜の焚き火や星空の撮影など、山では24時間、常に素晴らしい景色を収めるチャンスが転がっており、Ace Pro はどんな場面でも最適な設定を瞬時にセットすることができるはず。
安心感のある手ブレ補正
ここ最近では付いていない方が少なくなってきていますが、アクションカメラにおいて手ブレ補正機能は無くてはならないほど重要で当たり前のものになってきています。その例に漏れず、このカメラの手ブレ補正も本当によく機能してくれていました。
以下の動画は起伏のある登山道を普通に自撮り棒をもちながら歩き、途中から走ってみた様子を撮影した動画です。かなりせわしなく動いているにもかかわらず、まるでスケートしているかのように振動を吸収して常に映像を滑らかに保ってくれています。これならたとえトレイルランに持っていったとしても安心です。
侮れない「静止画撮影」
Insta360 Ace Pro はその大きなセンサーを最大限活かした最大48メガピクセルの高解像度写真が撮影できます。しかもDNG RAW 形式をサポートしており、Lightroomなどでの現像が前提ですが、十分実用に足るだけの広角カメラとしても活用できることが分かりました。下はAce Pro のRAW形式で撮影し、色や画像のゆがみなどを調整して現像した写真です。
なおカメラ内蔵のHDR機能を使用して、ダイナミックレンジと色の精度を高めたHDR写真のJPEG画像も撮影できます。もちろん、構成のスマホカメラをすでに持っている人にとってはそこまで重要ではないかも知れませんが、Ace Pro では動画の撮影中にも静止画を撮影する機能もあり、少なくともアクション中のショットを撮るのには最適であることは確かです。
豊富な撮影オプションと「FreeFrame」モードの使い勝手の良さ
Outdoor GearzineではYoutubeチャンネルもあればInstagramもあり、異なるSNSでの発信の必要上、動画を縦長で撮ったり横長で撮ったりと忙しないことをしなければならないのですが、そんな時に便利なのが「FreeFrame」モードです。決してユニークなものではないですが、Ace Pro に備わっているこの機能では、あらかじめ標準のアスペクト比 16:9 よりも広い視野の 4:3 アスペクト比でビデオを録画しておき、後で編集するときに「9:16」や「1:1、16:9」などといったさまざまな画角にあらためてトリミングすることができます。それだけでなく、編集時に手ブレ補正の強さや視野(FOV)の設定など、さまざまな画作りの要素を編集時に細かく設定することができます。
「FreeFrame」モードを使えば、一つの映像リソースを下写真のように複数パターンの画角、複数種類の視野で書き出すことができます。画作りを後から落ち着いて考えられるというのは厳しい環境でカメラを操作することの多いアウトドアでは非常にありがたい機能といえます。
なお、ここでAce Pro が持っているさまざまな視野(FOV)について説明すると、まず「超広角」モードは両端のゆがみが大きめの、昔ながらの魚眼ビュー。ただそれほど極端ではなく、どのフレーム レートでも機能します。次に「アクションビュー」モードは最も広角な撮影が可能。「デワープ」モードは超広角やアクションと比べると狭い視野ですが、歪みを除去した自然な見え方を実現します。最後に「45度水平ロック」モードは「デワープ」をさらにトリミングし、カメラを±45度の範囲で傾けても水平を維持してくれるモードです。
機能性
音声制御とジェスチャーコントロール
音声制御については昔からやや精度がイマイチだったためほとんど無視していましたが、久々に新モデルを購入してみてかなり改善されていることが分かりました。そしてさらには「ジェスチャーコントロール」ですか。具体的には顔が見える状態で手をパーに開いて掌をカメラに見せると、3秒のカウントダウンの後、おもむろに録画を開始する機能。あたパーではなく「ピース」サインの場合は3秒後に写真を撮ります。意外と便利!と思ましたが、まだ精度100%ではなかったため、あてにするのはまだ早かった模様。ただ成功してくれたら便利なことこの上ないので、余裕があるときに使おうと思っています。
Garmin やApple Watchと連携してデータを表示
これは新しい。Garmin ウォッチや Apple Watch と連携することで、そこから取得したデータをいくつかのスタイルで画面上にオーバーレイで表示してくれます。下の動画では、左上に心拍数、右上に標高と斜面の傾斜、左下にルートの地図とルートの距離、日付、最後に右下に時速が評されています。これらすべてのデータはその時に自分が付けていたGarmin Fenix 6 でトラッキングしていた際のものです。かなり遊べそうです。
完成度はあと一歩だけど、あって嬉しい「自撮り棒消しゴム」機能
Insta360 Ace Proでは撮影後のアプリ編集でAI画像処理による「自撮り棒消しゴム」機能が使用できます。果たして実力はどんなものか、Insta360純正の「スキーストックマウント」によってスキーポールに取り付けた自撮り棒を消してみました。
はじめて使ってみたのでクセが分かっておらず、動きが激しくて複雑な背景では難しいようですが、結果的には気にならない程度には消すことができるようです。 ただ、この機能は長い動画では再生中ずっと消し続けることができるわけではなく、最大30秒までしか適用できない模様です。いずれにしても、自撮り棒を消せるのは360°カメラだけだと思っていた時代はもうすぐ終わり、アクションカメラでも近々自撮り棒は映像から消えていくようになるのかと思うと感慨深い。
編集・書き出し
Insta360 X3 をすでに使い慣れている自分にとっては、同じアプリを使用して編集・書き出しをするAce Pro でも(元々快適なアプリですが)迷うことなく便利に使うことができました。Insta360 の優れた点のひとつとして、彼らのカメラにはもれなくこのシンプルで洗練されたUIと、延々とアプリ画面を開いて待ち続けなければならないといったストレスもない、非常にユーザーフレンドリーな(しかもフル機能を無料で使用できる)アプリが用意されています。
トリミング、フィルター、露出編集などの基本的な修正から、新しいAIによる動画処理・編集サポート機能まで、映像を編集したりカスタマイズしたりする方法が数多く用意されています。また機能はすべて同じではないものの、PC用のソフトウェアも提供しており、細かい編集や管理などをするのにも便利です。
このソフトウェアに不満があるとすれば、(自分の場合だけかもしれませんが)Wifi経由でカメラ内の動画をスマホに表示して編集すると動画がカクカク止まり重くなり作業にならないため、スマホで編集する場合はたいてい動画をスマホ内にダウンロードする必要があることです。回線速度・スマホの処理速度のいずれも十分ないと、スマホアプリでの編集はストレスがたまると思われます。自分の場合、現状ではPCに動画ファイルをダウンロードしてデスクトップアプリで編集することが多くなっています。
まとめ:再び登山に持っていきたいと思わせてくれたアクションカメラ
自分の中では「Insta360 ONE X2」と「Pixel 6 Pro」を手に入れた時、この2つで山の撮影は十分だと思っていました。ずっと使っていたGoPro が結局ハマらず、ここ数年はアクションカメラはもういいかなと思っていた自分がいました。Insta360 Ace Pro は、そんな自分にあらためてアクションカメラの実用性の高さを教えてくれた気がします。重量など細かい点でまだ次に期待したい部分はあるとはいえ、総じてあらゆる場所、天候、時間帯において余計な心配をすることなくカメラを回すことができるスゴイ奴です。
文句なしの映像クオリティはもとより、アウトドアに安心して持ち出せるタフネスと軽快さ、基本的なものからよりトリッキーなものまで多彩な撮影モード、使い勝手が良くなったインターフェースになど、厳しい環境で優れた映像を収めるためのあれこれが詰まっています。
360°カメラやスマホカメラと機能が被る部分は多少あったとしても、自由で軽快な360°、手軽で汎用性の高いスマホカメラ、タフで高画質・高機能なAce Pro と、それぞれ強みは異なっており、この3つはこれからも併用していける気がします。いずれにせよ、特に沢登りやスキーなどのテクニカルな激しいアクティビティでも使いたいし、登山やキャンプ、街歩きなどの緩やかなアウトドアでも使いたいという自分のような欲張り人間にとっては最高の一台といえるのではないでしょうか。