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Insta360 X4 を登山やハイキングで使ってみたレビュー:待望の8K 対応360度カメラは無敵の「万能アクションカメラ」へと進化していた

以前から主に冬のBCスキーで愛用してきた小型軽量・高画質な360度カメラ「Insta360 Xシリーズ」。ONE X2 の頃からその魅力に虜になって以来、このサイトでもそのユニークで美しい自撮りスキー動画の世界と可能性について何度か取り上げてきました。

そのXシリーズが今シーズン「X4」へと待望のフルリニューアル。最新モデルでは高速5nm AIチップによる8K/30FPS や、5.7K/60FPS のビデオ画質や取り外し可能なレンズガード、大容量バッテリー、より大きなタッチパネル液晶、ジェスチャーコントロールなど、前モデルと比べて多くの点で全面的にアップグレードされています。

実をいうとこの新しいInsta360 X4(以下、X4)を使うまで、僕にとって360度カメラとはあくまでも「スキーでのドローン視点的な追い撮り」のためのカメラであって、通常のハイキングやトレイルラン・釣りなどの無雪期のアウトドアでは、よりきれいな写真や動画が撮れる一眼レフやスマホカメラといった他のカメラよりも適しているとは正直考えていませんでした。

ただ、X4 をここ1~2か月山で使ってみた結果その認識はついに覆されました。今ではどんなアクティビティであれ、どんな季節であれ、山に入るときには常に携行したいカメラであると、自信をもっていえます。今や X4 は単純に最も先進的な360度カメラというだけでなく、ドローンカメラであり、使いやすいアクションカメラであり、手軽なコンパクトデジタルカメラでもある、そこまでの手ごたえを感じてしまいました。

今回メーカーより製品版の X4 とアクセサリー類を提供してもらうことができたということで、登山を中心にアウトドアで2カ月ほどじっくりと使用することができました。早速いろいろ試してみて分かったこと、感じたことなどを当サイトのポリシーに従ってレビューしていきます。そのなかで登山やアウトドアでの、自分なりの X4 の活用の仕方についてもちょいちょい紹介できればと思います。

X2の頃から 360度カメラを使ってきましたが、新しい Insta360 X4 を手に入れてからは、冬のスキーだけでなく1年中、これ無しのアウトドアにはもう二度と戻れません。

Insta360 X4 の主な特徴

Insta360 X4 で気に入っているポイント

  • 最大8K30FPS、5.7K60FPSの高画質
  • (やや大きくなったが)持ち運びやすいサイズと軽さ
  • 見えない自撮り棒と組み合わせて360度カメラならではのドローン視点映像が撮れる
  • 撮影後に直感的な操作でリフレーミング(画角の編集)が可能な高い柔軟性と使いやすい編集アプリ
  • 4K60fpsのアクションカメラとしても利用可能なシングルレンズモード
  • 取り外し可能なレンズガード
  • バッテリーの持ちもまずまず
  • 10m防水&-20℃耐寒性能
  • 走っていても画面が揺れない手ブレ補正
  • 豊富なアクセサリやマウント等のオプション

Insta360 X4 で気になったポイント

  • 前モデルに比べてやや大きく重くなった
  • 8K撮影時は発熱しやすい
  • 8K撮影動画はファイルサイズが大きくスマホへの転送に時間がかかる
  • レンズカバー装着時の光の反射によるフレアやゴースト(プレミアムレンズガードでもまだ完璧には除去できない)

詳細インプレッション ~何が進化した? アウトドアでどれだけ使える?~

ややサイズアップしたものの依然としてコンパクトで安定した作りのボディ

X4 の外観は前モデルの X3 からほとんど変化ありません。いつものスティック型のフォルムに前後に取り付けられたレンズ、背面には 2.5 インチのタッチパネル式液晶画面があります。

物理ボタンは側面に以前と同様の電源ボタンと別機能に割り当て可能な「Q(プリセット設定切替)」ボタン、背面には撮影ボタンと(こちらも別機能に割り当て可能な)モード切替ボタンの合計4つが配置されています(下写真右上下)。いずれのボタンも手袋をした状態で無理なく押せます。また左側面にはバッテリーとメモリーカードスロット、USB-C 端子が配置されていますが、密閉性も壊れにくさも卒がなく、相変わらず使いやすく安心できる作りとなっていました(下写真左)。

外観面での唯一の変更点と思われるのは、ボディの凸凹模様と、取り外し可能な「サーモグリップカバー」の有無です。凸凹模倣は握りやすくなっているだけでなく、表面積も増えて排熱性も向上、さらにサーモグリップカバーを組み合わせれば8K撮影での発熱をより抑えることができます。それだけ今回の高画質化によって発熱の問題がシビアになっているということの裏返しでもありますが、いずれにしても前モデルから引き続き、外観的にはまったく不満はありません。

Insta360 X4 をアウトドアで使用するときには、本体の他、取り外し可能なレンズガード、グリップと発熱防止のためのサーモグリップカバーをセットで使用する。

一方でサイズ感に関して、前モデルよりもわずかに重く(カバー付き実測 181 → 220g)、長く(114 → 123.6mm)なってしまったことはやや残念(下写真)。原因はバッテリーが大きくなったことによるものらしいので致し方ない部分もあるかもしれませんが、現状は十分にコンパクトとはいえ、これ以上大きく重くなるとちょっと困る一歩手前のギリギリのラインと感じました。

X3(左)とX4(右)の大きさ比較。約20%重量増、8%高くなって、握ってみるとややゴツくなった感じはどうしてもしてしまう

底部には一般的な三脚用ネジと同じ1/4インチネジのレシーバーマウントが搭載されている。

取り外しも可能になって使いやすくなったレンズガード

360度カメラは構造上どうしても魚眼レンズがボディから突き出ていなければならず、障害物の多いアウトドアで使用するにはどうしてもレンズガードが必須だと思っています。ただこのレンズガードをつけると(一眼レフでの「レンズ保護フィルター」と同じように)どうしても光の反射によるフレアやゴーストが現れやすくなったりして映像品質が低下してしまう原因にもなったりする悩ましいものでした。しかもこのレンズガード、X3 の時はレンズに協力な両面テープで貼り付ける作りだったので、一度装着すると壊れるまで二度と外すことができませんでした。

X4になってレンズガード(標準で付属)が何度も取り外しできるようになり、使い勝手は大幅に向上した。

それが X4 になって、レンズガードが取り外し可能になり(標準レンズガードは付属)、簡単に着け外しができます。X3 ユーザーの誰もが望んでいたであろうこの仕様によって、例えば安全な場所であったり、より画質を重視したい「ここぞ」というところでレンズガードを外して撮影するなどのこだわりが無理なく可能となります(上写真)。

また個人的に何よりも嬉しいのは、冬などで暖かい室内から急に寒い屋外へと出たことによってレンズガード内部が結露してしまうことが頻繁にあったので、そんな時でもレンズガードを外して内部の露をふき取ることができるようになったことです。まだ本格的な冬が着ていないので試していないけど、冬の使用が多い自分にとっては本当にありがたい。

プレミアムレンズガードを装着すると、これまでの標準レンズガードよりも明らかに傷がつきにくくなった。

別売りオプションではプレミアム レンズガードも用意されています(上写真)。こちらはより衝撃や傷に強くなるよう設計された強化ガラス製で、今回のテストでは標準ガードの他にこちらでもテストしましたが、傷のつきにくさは明らかにプレミアムの方が上でした(というか傷はまったくつかなかった)。ちなみに光学性能を向上させ画質も高めると謳われていますが、ここに関しては個人の印象としてはややクリアかなという気はするものの、そこまでの劇的に向上するというほどではありませんでした。やはり画質を上げたければレンズガード無しが一番です。ただまったく変わりないということでもないので、過度な期待をしなければとても得した気分になれます。

いずれにせよ自分は雪山の樹林帯を登ったり滑ったりする際に標準のレンズガードで何度も擦り傷を付けてしまい、その都度新しいレンズガードを付け替えていたので、今後はプレミアムレンズガードを装着して渓流や雪山などよりタフなエリアに突っ込んでいこうと思います。

標準レンズ(左)に比べて強化ガラス製のプレミアムレンズ(右)はやや球面が大きくなっている。

携帯には標準付属のソフトケースを使用。オプションのシリコンキャップも便利

レンズガードは撮影中のレンズを保護するものですが、携行時に収納するためのケースも標準で付属しています(下写真)。クッションパッド内蔵のこのケースは、ボディを自撮り棒などに取り付けた状態でも被せることができるので便利でした。

ただ、自分は X3 の頃から使用している、別売りのシリコン製カバーの「Insta360 X4 レンズキャップ」を引き続き愛用しています(下写真)。

これは軽量コンパクトなだけでなく着脱も簡単なのが気に入っているところで、出し入れを頻繁に行う使い方が多い自分のスタイルにはもってこいです。

「8K30FPS、5.7K60FPS」への画質向上によって、SNSやYoutube用のリフレームした動画でも感動のクオリティ

X4 では画質をはじめとしたビデオ機能が全面的にアップグレードされました。なかでも360度ビデオ画質は X3 の「最大5.7K/30FPS」からついに「最大8K/30FPS または5.7K/60FPS」へとついに8Kの大台にまで進化。スロー映像モードでも「3K/100FPS」から「4K100FPS」に向上しています。

このビデオ品質について評価するにあたり、まず自分の360度カメラの主な使い方を説明しておくと、自分の場合、撮影した映像はそれをそのまま使って全周囲が見渡せる360度VR動画のように楽しむことはほとんどなく、たいていの場合は撮影後に編集アプリで必要な画角を切り取り(リフレームして)、縦長のスマホ・SNS用動画や横長のPC・Youtube用動画として楽しんでいます。このため今回のテストはすべて、このようにリフレーム編集するケースを念頭に置いて行われていることを前置きしておきます。

その上で、そもそも360度カメラでの「8K」とか「5.7K」というビデオ画質は360度映像全体での数値を指しているため、上記のように360度映像の一部をリフレームして使用する場合、切り出された動画は実際にはどうしてもそのスペックよりも小さな解像度になるため、結果まだまだ最近の高画質アクションカメラ等に比べてどうしても画質は劣ってしまいます。その限界は X3 での「5.7K」でも明らかで、ちょうどよくトリミングするために映像をズームしていくと粗さが目立つのは致し方がないものでした。

それが X4 ではプロセッサの進化によって画質が5.7K から8K にまで向上したことで、リフレームしてもかなりの高画質が得られるように。実際に使ってみると、16:9に再フレームしてもビデオ映像が非常にシャープで鮮明であることが分かります。オンラインで公開する映像として考えれば、アクションカメラなどの高画質と比較しても十分許容範囲の画質でした。

よく360度カメラの映像で見られるレンズのスティッチライン(繋ぎ目)についても、X3 に比べて改善され、ほとんど目立たなくなったように思われます。この繋ぎ目はレンズガードの有無だけでなく種類もしっかり指定することでかなり調整できますし、この調整は後の編集でもできますので、撮影時に正しく設定してなかったとしても安心です。ちなみにスティッチラインを目立たなくするためには、公式のBLOGによると以下のような撮影時のコツがあるとのことなので、それを意識することでも改善されます。

  • 主要な被写体がカメラ側方のステッチライン上に来ないようにします。
  • 撮影中はカメラを回転させないでください。カメラの位置が固定されていると、スティッチングアルゴリズムが映像の位置を合わせやすくなります。
  • カメラに近づきすぎないでください。可能な限りカメラから1mの距離を保ちます。
  • 撮影後にフラットな映像にリフレームした時にスティッチラインが目立たないようなアングルで撮影します。

ただやや気になったのは、X4 は明るい屋外での撮影ではくっきりと鮮明な映像が撮れていたものの、室内や日陰の暗い森の中ではノイズが目立ち始め、細部がつぶれてしまうという点です。とはいえかなりがんばっていることは分かるのでまったく使い物にならないわけではないのですが明るい場所との落差はかなりあり、非常に暗い場所や夜間撮影には適していないと考えた方がいいかも知れません(一般的にセンサーの小さいアクションカメラすべてに当てはまることですが)。サイズと画質のトレードオフの性質上致し方ない部分でした。

ちなみに X4 ではより速い動きのアクティビティやスローモーション撮影に適した高フレームレートのモードでも平均的にパフォーマンスが向上しています。5.7K ビデオを60 fpsで、4K を100 fpsで、広角モードでの撮影時に 4K を 60 fps で撮影できる新しいオプションが追加されています。これは個人的には春夏の遊びで使うことはあまりないのですが、バイクや自転車の愛好家や冬のスキーでは重宝するに違いありません。

360度カメラの真骨頂。見えない自撮り棒で自分と背景を入れたドローン視点での高画質映像

僕が山に360度カメラを持っていく理由の最も大きな理由がコレです。

バックパックのサイドポケットに自撮り棒を指して撮影。実際にはもうすこし前か後に角度を付けてカメラを配置した方が、撮影時に風景と自分をカッコよく収められる。

X4 を自撮り棒に取り付け、それを伸ばして歩きながら斜め上方に向けて(あるいはザックのサイドポケットに刺したりして)撮影すると、トレイルを歩く自分と風景を低空飛行するドローンから撮影したかのようなストーリーのある映像が簡単に撮れます。

そもそもアクションカメラでの自撮りは、いい構図で撮れているかどうかを確認しながら撮るのに相当手間がかかるし、何より自撮り棒が映り込んでしまいますので現実的とはいえません。その点、360度カメラは常に周囲全方向のビデオ映像を撮影してくれるため、被写体がフレームに収まっているかどうかを意識する必要がありません。カメラをセットアップして録画ボタンを押すだけ。その後、編集段階でアングルや画角を調整できます。この「とりあえず撮って後からリフレームできる」機能こそが、360度カメラが替えの利かない相棒(カメラ)といえる最大の理由です。また手に持っている自撮り棒も、撮影された段階で写り込まないように処理される(「見えない自撮り棒」機能)ため、最終的にはまるで被写体は何も持っておらず、ドローンから撮影されているかのような映像に仕上げることが可能です。

ハイキングやランニングでいつも持ち歩いている自撮り棒は全長114cmの自撮り棒。この長さでも肩越しに後ろに担いだり、斜め前方に向けたり、ザックに刺したりするだけで、一人でも簡単にある程度第三者が撮影したかのような映像ができます。

1m自撮り棒はアウトドアに限らず、360度撮影での必需品。

またスピードハイキングやランニングをしながら自撮り棒で撮影するときに問題となるのがいわゆる「手ブレ」ですが、最近のアクションカメラではほぼ必須の機能となっている「手ブレ補正機能」は X4 でもしっかりと搭載され、本当によく機能してくれていました。下の動画は登山道を普通に自撮り棒をもちながら歩き、途中から走ってみた様子を撮影した動画です。かなりバタバタと移動しているにもかかわらず、スムーズに振動を吸収して常に映像を滑らかに保ってくれています。これならトレイルランなどで使ったとしても安心です。

 

少し余裕があってよい景観が見込めそうな旅では全長3mまで伸ばせる「超長い自撮り棒」を持っていきます。すると絶景でのドローン風ハイキング映像が撮れたり。たいていの場合有名な山にはドローン禁止であることが多いため、この小道具はかなり有効なので、個人的にはお気に入りです。

※↑↑↑ 超長い自撮り棒を限界まで伸ばして横に倒すと、重みによって若干棒がしなり根本部分が消えなくなってしまいます。

※↑↑↑ 超長い自撮り棒を限界まで伸ばす場合はなるべく真上に上げればしならずに根元まで棒が消えてくれます。

大きなタッチスクリーンで操作性にも満足

大きく頑丈なタッチスクリーンではスワイプとタップでほぼすべての操作が完結。

背面の大きなスペースを占める2.5インチのCorning® Gorilla®ガラス製のタッチスクリーンは、前モデルの2.29インチから若干大きく、そして頑丈になりました。操作画面・ファインダーとしての視認性も問題なく、物理ボタンでは撮影と電源といったシンプルな操作を、それ以外の設定や細かな操作ははここでほとんどすべて行えるというインターフェースはまったくストレスがありません。

バッテリーの持ちもまずまず

通常の使用ならば1時間以上の連続撮影が可能だが、万が一のための予備バッテリーは持っておいた方が安心。

新しいX4 では8K の高画質ビデオが撮影可能となったことは、一方でバッテリーの消費も懸念されますが、そこはバッテリー容量を X3 の 1800mAh から X4 の 2290mAh にまで増加させたことで、高画質化による影響を回避し、それどころか全体としてバッテリー寿命は向上しています。X4 での8K/30FPS 連続撮影可能時間が75分、前モデル X3 では最高画質の5.7K/30FPS で連続81分でしたから、それと比べても遜色ありません。ちなみにX4 なら同じ条件で135分という驚異的なバッテリー寿命を実現。バッテリーの持ちは X3 に比べて約1 時間延長されたと考えて問題なさそうです。とはいえ泊りの登山や長い縦走などでは予備のバッテリーがある方が安心です。

撮影中の発熱(オーバーヒート)の点でもX4 はおおむね問題のないパフォーマンスを発揮し、通常の撮影では一度もオーバーヒートで止まるということはありませんでした。ただ、8K/30FPS での撮影時に関しては、メーカーからも注意が出ていますが、環境によっては長時間の録画でオーバーヒートする可能性があります。実際に自分でも8K録画では10分もしないうちにボディがホッカイロのように熱くなります。特に風がない日中のゆっくりとしたアクティビティでは注意が必要です。

その他、山やアウトドアで嬉しい機能 ~10m防水・-20℃の耐寒仕様・ジェスチャーコントロール~

X4 は前モデルと同じく、水深10mまでの防水と、-20℃までの耐寒仕様ですので、1年を通じたアウトドアでの使用にもまったく心配はありません。

さらに、X4 からはカメラに手が届かないときに簡単に操作できる新しい AI ジェスチャー コントロール機能が付きました。前モデルでは音声コマンドが使用できましたが(今回でも引き続き利用可能)、今回はジェスチャーコントロール機能をONにすると、たとえレンズの前にいなくても手のひらを上げる(またはピースサイン)だけで録画を開始または終了してくれます。このジェスチャー機能は一般的な自撮り棒手持ちの使い方でならかなり便利なのでどんどん使っていきたいと思ったのですが、自分の場合、バックパックに取り付けて背中に伸ばす場合などはそもそもジェスチャーを写すことが難しいシチュエーションが多いため、個人的には完全に満足することはできませんでした。このジェスチャーを自分用にカスタマイズできれば完璧だと思います。

「GPS プレビューリモコン」は仕事用撮影のための最終兵器

GPS プレビューリモコンは腕や自転車のハンドルなどに装着できるシリコン製バンドが付属している。

そんな自分にとっての最終兵器はこの別売りのリモコン「GPS プレビューリモコン」でした。このリモコンを X4 と連動させることで、①電源のON/OFF、②動画のライブプレビュー、③撮影開始・終了、④リアルタイムでのGPSデータ取得が可能です。たったこれだけの機能ですが、これがどれもぼくにとってクリティカルでありがたい機能ばかり。

タッチスクリーンと物理ボタンによって、カメラを電源のON/OFFからリモートで操作可能。

 

自撮り棒をバックパックなどに固定しての撮影では、どうしても自撮り棒を自由に動かすことができず、操作のしずらさや、撮影状態がどうなっているかが分からないといった心配がありました。例えば、せっかくスキー滑走を撮影していたと思ったらレンズに雪が付着していた、電源や撮影のON/OFFのためにいちいち自撮り棒を伸び縮みさせなければならなかった等々。また360度カメラは周囲全体を撮影できるとはいえ、リフレームしたときに思い通りの構図を作るには視点(カメラ)をどこに置くかが重要であったりします。

カメラを背中に伸ばした自撮り棒に取り付けたままでも操作可能になり、きちんと映っているかも確認できたり、これがあれば操作が驚くほど快適。

それらのリスクやわずらわしさがこれによって一気に解消されました。思い切り伸ばした自撮り棒での撮影で、自分や風景がどのように収まっているかを確認しながら撮影おまけに取得したGPSデータを使えば、以前「Ace Pro のレビュー」で作ったような、速度、ルート、位置などのデータを合わせた個性的な動画を作ることもできるようになります。

リモコンは腕に着けるか、多少煩わしいと感じたらザックのストラップなどに括り付けてもいいでしょう。高価ではありますが、これがあれば撮り逃しのミスがなくなり、操作の手間もかなり減って快適なことこの上なく、使ってすぐにこの小さなリモコンが手放せなくなりました。

4K60fpsまで撮影できるアクションカメラとしても使用可能

僕を含めてほとんどの人は X4 を360度ビデオ撮影のために使うと思いますが、このカメラは他にもさまざまな使い方ができるようになっています。以前まではおまけ程度のように考えていましたが、今回画質が向上したことで十分使えるクオリティになっていると感じました。

ひとつは「シングルモード」を利用した、広角アクションカメラとしての利用法。前方のレンズのみを利用して、最大4K/60FPS画質の映像が撮影できます。このモードでは両手を使って岩場を登ったり、バイクや自転車、スキー滑走するときなどに、ヘルメットやチェストマウントに取り付けて使うと、いわゆるアクションカメラと同じように撮影することができます。

もうひとつは静止画撮影するコンパクトデジカメとしての利用法。写真の解像度は X3 と同じで、4K画素の写真や約72MPの360度写真などが撮影できます(下写真)。後処理で周辺のゆがみをトリミングで切り取るなどすれば(最新のスマホほどではないとはいえ)十分に機能しています。

X4 のシングルカメラモードで美瑛の白金青い池を撮影してみた。

360度でざっくり撮ってから撮影後は編集アプリで簡単にリフレーム・画質調節できるので思い通りの映像がスムーズに作れる

前モデルの時からすでに使い慣れているとはいえ、Insta360 の動画編集・書き出し用のアプリは使いやすく、ストレスなく思い通りの映像を編集することができます。このシンプルで洗練されたUIと、ストレスのない書き出しは非常に優秀で、Insta360 を使う大きな理由のひとつとなり得ます。もちろんスマホだけでなくPC用のソフトウェアも用意されており、細かい編集や管理などをするのにはこちらも便利です。

ただ、X3 にはなかった問題としては、X4 になって8K で撮影することも多くなってきたため、その場合ファイル サイズがかなり大きくなってしまうことです。この時、これまでのようにWiFi 接続で映像をスマートフォンに転送するとかなりの時間がかかり、バッテリーも大量に消費してしまうのが何とも悩ましい。スマートフォンに転送せずWiFi接続のまま動画を編集することもできますが、その場合よほどスマホの性能と回線状況が良くないかぎり処理が遅くて編集がしずらいため、動画編集はスマートフォンに転送してから行うのが現実的でした。

このため X4 で頻繁に8Kビデオを撮影するという人は、WiFi 接続よりもはるかに高速にファイルを転送できる「クイック リーダー」アクセサリがおすすめです。

あるいは、USB-Cケーブルで直接カメラとスマホを繋ぎ、ケーブル経由でデータを転送するということもおすすめ。自分はこの方法をよく使っています。

アプリで映像をSNSやYoutube用の動画に編集する方法は、思った以上にシンプルです。

映像を読み込んだら、まず縦横サイズを(縦長や横長、正方形など)設定します。次に視野角を設定(広い範囲を収められる「超広角」や、画角は狭くなるけどゆがみの少ない「デワープ」など)します。それから直感的にビデオ映像をドラッグして、表示したい構図を決めます。それから自分のタイミングで所々にキーフレームを置きながらタイムラインに合わせて構図を指定していくと、自動的にカメラが上下左右スムーズに動いてくれます。これがいわゆる「リフレーム」という作業で、ざっくりと撮影した360度の映像を、自分の決めた画角の中で、自分の好きな構図とタイミングを自由に後から作り込むことができるのです。撮影時点で視野角から構図までが決まってしまっている通常のビデオカメラとはここが決定的に違います。

編集の基本は、撮影した動画のタイムライン(下部)上にキーフレームを設定し、そこで視野角や構図などを決めていくだけ。

ちなみにこのリフレーム作業は、Insta360 のアプリではキーフレームを置くといった昔ながらの操作方法だけでなく、360度動画を再生しながらリアルタイムにスマホを(あたかもカメラのように)動かしてリフレームできるといった「クイック」という編集モードもあり、その場合は恐ろしく直感的に動画をリフレームすることができます。

「クイック」モード編集では、動画を再生しながら、スマホを実際に傾けながら構図を決めていける。まるで自分があらためてカメラマンとなって撮影し直すかのように直感的な操作が可能。

新しく追加された「AIによる編集」機能

さらに X4 で新しく追加された「AIによる自動編集」機能も試してみました。

「AI編集」ではAIが自動的に動画をリフレームしてくれ、さらに候補となるクリップを同時に複数作成してくれる。

これはAIが360度映像で起こっていることを解析し、重要な瞬間を抽出したり、必要に応じてズームインとズームアウト、パンとティルトしたりして、主要な被写体を追跡します。トレイルを自撮り棒をもって歩いている動画で試してみましたが、理想はもちろん、自分が狙った被写体にフォーカスした迫力満点の動画が自動的に出力されてくれるということです。かなりの時間をかけて解析した後に出てきたカットは、シンプルに自撮りの動画と進行方向を写した動画の2種類。もちろんこれはこれで便利ではあったのですが、期待したほどではありません。人間ができないような複雑で個性的な動画が作れたりするわけではないので、正直この機能はこれから、例えばもう少し出力映像にこちらから内容などをリクエストできるようになってからだと感じました。

まとめ:アウトドアでの感動をこれ1台で自由に多彩に表現できる、現時点で最高のアウトドア向けアクションカメラ

冒頭でも書きましたが、今回のアップグレードによって優れた映像画質に堅牢なボディ、多彩な映像表現と使いやすく便利な機能を搭載したInsta360 X4 は、総合的な意味で、現時点での最高のアクションカメラであると感じました。シンプルに360度カメラとしても優れているだけでなく、リフレームによって柔軟に調節可能な使い勝手の良いアクションカメラとしても優秀。もちろんちょっとした静止画もしっかり撮れる。X3 ではそこまで感じられませんでしたが、X4 への進化は究極のオールラウンダーアクションカメラへの進化であったともいえます。

今後は冬のスキーだけでなく、ハイキングや登山、トレイルラン、渓流釣り、沢登り、キャンプ、旅行の際のメインカメラとして常に携行するでしょう。もちろんとことん画質を優先する場合など、ケースバイケースで一眼レフやハイエンド・アクションカメラを持っていくこともありますが、その際でも何にでも対応できるInsta360 X4 を外すことはありません。

スマートフォンや通常のビデオカメラでは不可能な映像表現が可能なInsta360 X4 は、360度映像、アクションカメラ、VLOGなど、アウトドアでのさまざまな撮影が可能な多目的カメラをお探しのすべての人々におすすめです。ぜひこの新しいカメラで夏の最高の思い出を収めてみてください。