Review:街着の顔して中身は超本格。F/ACSION KENROKUは都会と自然をシームレスに行き来する人に似合う服

地球上で最も過酷な環境で使うための防水透湿性能を備えたアウタージャケットを30年以上前から作り続け、今や名だたるトップ・アウトドア・ブランドからの注文が絶えないレインウェアメーカーである前垣が、満を持して立ち上げたファクトリーブランド、F/ACSION。先日はクラウドファンディングMakuakeにてその第一弾ラインナップの先行販売を開始したことを2回にわたってお伝えしてきました。

編集部ではこの冬、その中のひとつであるハーフコート丈のレインジャケット KENROKU を実際に借りて着て過ごすことができました。そこで今回は外見だけではわからない使い勝手を含めたレビューをお届けします。

すました顔からは想像もつかない、ハイレベルな防水透湿性能

前回でも少し触れましたが、このジャケット、そのルックスはまったくもって普通におしゃれな膝上丈のコート。フードは襟の中に収納しておけば、晴れの日の街中で着ていてもまったく違和感ありません。

普段着はもちろん、スーツなどの上に着てもまったくく問題ないでしょう。

それにも関わらずこのコートに採用されている独自の3レイヤー防水透湿素材 「BARRIER EFFECT.」は、耐水圧30,000㎜以上、透水性はなんと40,000g/m2/24hr以上。数字だけでは比較できませんが、ぶっちゃけ最高クラスのレインウェアの素材と比べても見劣りしない性能です。

一応テストしてみたくて動画に撮ってみましたが、もちろん生地表面にはDWR加工済みで撥水性も十分です。

縫い目のシームシーリングはもちろん、フロントジッパーの二重フラップ、フラップと止水ジッパーの左右ハンドポケットなど、各部の防水処理に対する安定感が半端ない。

アゴ周りはバランスを考慮した低めの設定ながら、しっかりとフードのフィッティング調節がきく。

ただ、袖口だけは事情が違いました。防水性を高めるのであれば、伸縮ゴムやベルクロなどを付けたくなるところですが、ボタン留めのみ。あくまでも街着としてのルックスとのバランスも両立させている事情があるからか、防水性という観点からみればここだけはやや不安です。

コートとしての外観を最大限尊重したデザイン性の高い袖口。一応締めることはできるが、手首を密閉することは難しい。

本格アウトドア基準でも合格点の着心地・動きやすさ

表地・メンブレン・裏地を合わせた3レイヤー生地ですが、メンブレンも表裏生地も非常に薄くてしなやか。ゴワゴワするようなことはまったくなく、肌触りもドライでサラサラと心地よさが感じられます。おまけにロング丈なのに370gと普通のアウトドア向けレインジャケットと遜色ない軽さ。

腕の肘部分の縫い目を見ると、単純にまっすぐ裁断しているのではなく、肘の曲がりを想定した立体裁断となっているのがわかります。

複雑な立体裁断の施された肘部分。

おまけに生地は適度にストレッチするため、大きな動きでも突っ張り感はゼロ。シュッとしたシルエットにもかかわらずめちゃくちゃ動きやすい。最近の本格アウトドア系ジャケットでは見飽きたこの手の機能も、都会でも着られるコートに搭載されていると、そのありがたみがさらに増してきます。

その他にも各所のディテールにこだわり

フロントジッパーは操作が軽快なビスロンジッパーでストレスが少なく、さらにフラップが隠してくれるため変な安っぽさも感じません。また各所に配置されたボタンも一般的な樹脂製ではなく、金属製を採用。快適性と使い勝手を損なうことなく、街で着たくなるような外観やパーツ使いには、妥協のない一貫したこだわりが感じられます。

気になったところ

とはいえ、細かい使い勝手の部分でやはり気になるところは無いわけではありません。いずれもより理想を目指す上では考慮して欲しい部分でした。

真冬に着れるか?

極薄メンブレンと生地によって恐ろしく軽くて着心地の良い防水透湿コートである一方、流石に真冬のコートとして使い回すには少し工夫が必要と感じました。

一応レインウェアである以上防風の役割も果たしてくれるので、ある程度の防寒はできますが、これで真冬の冷気を遮断したり、身体の熱を保温してくれたりはできません。そうなると、冬には中にしっかりとしたミドルレイヤーを着ている必要があります。ただ春~秋に合うようなサイズ感で着ている場合、冬に中を厚着してしまうと、コートがきつくて着られないという場合もなくはないかと思われます。2サイズ持っていれば不可能ではないかもしれないんですが。

ここは例えば、裏地に中綿や保温ライナーが着脱可能であれば、正真正銘4シーズンいけるコートだったに違いありません。

フロントはダブルジッパーが欲しかった

レインウェアである以上、フロントがジッパーになっていることは仕方がないと思います。ただコート丈なだけに、フロントを締めた状態でズボンのポケットに手を入れようとすると、いちいち捲し上げなければならなくてちょっと手間。ここはダブルジッパーで下が少し空けられていれば、スタイルと使い勝手は格段に良くなっていただけに惜しい。

まとめ:通勤コートや普段着としても、旅やアウトドアにも。色んな意味でオンもオフも手放せない一着。

細かい部分で要望はあるものの、機能性の高さと着心地の良さもさることながら、日本人が普通に街中でカッコいいと思えるデザインの良さがここまで見事に融合してくれたジャケットは、これまでなかなかなかったのではないでしょうか。

地球上最も過酷な環境で着用するためのウェアを作る、正真正銘のアウトドアメーカーと、ビジネスや日常でいつも着ていたくなるスタイルを知るデザイナーが出会って、面白くないわけがない、そんなことをあらためて感じられる、唯一無二のモデルでした。KENROKUモデル以外にもMATSUやBUKE JK & PTなど、他のラインナップについても、デザインや細かい部分は違えど、コンセプトは同じで、使い勝手に大きな違いはないようです。

ここ数年、アウトドア用のウェアを街中や普段着で着たり、アウトドア道具を日常で使用することが流行とまではいかなくとも、珍しくはなくなりました。ただその結果、中途半端にアウトドアをかじっただけのメーカーがテイストを寄せただけのウェアやギアもよく見るようになったことも否めません。F/ACSIONに袖を通してみれば、アウトドア道具の本質を知るメーカーが作るものが、自然の中であれ街であれ、いかに快適に生きるために必要なことを考えて作られているかという良さにあらためて気がつくはずです。

F/ACSION公式サイト(リンク)

MakuakeのF/ACSIONプロジェクトページへ(リンク)

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