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驚きの高コスパに脱帽!中国内シェアNo.1テントメーカー Mobi Garden(モビガーデン) LIGHT KNIGHT UL & COLD MOUNTAINレビュー
「メイド・イン・チャイナ」といえば、安かろう悪かろうの代名詞――。もしまだこんな考えを持ちつづけている人がいたとしたら、それは早いところ改めた方がいいかもしれません。
中国は今やその圧倒的な生産力によって、世界経済のなかで強い存在感を誇示する経済大国であることは誰もが認めるところですが、実際にはそうした世界の工場としての存在にとどまらない成長が静かに、そして着実に進んでいるようです。
家電やIT分野に目を向ければ、最近の中国メーカーは技術的にも日本を凌ぐほどの勢いで、その成長の片鱗は隠せないほどに大きくなっているのは分かると思いますが、状況はアウトドア産業でも同じ。ここ数年中国では、名だたるトップアウトドア・ブランドの製品を下請けやOEMで生産することで得たその高度なノウハウや技術力をベースに、自ら世界に通用する高い品質のオリジナル・プロダクトを開発するブランドが立ち上がり、世界への進出がはじまっています。
今回紹介する、Mobi Garden(モビガーデン)もそういったアウトドアブランドのひとつ。2003年にテントメーカーとしてアウトドア業界に参入して以来、成熟しつつある中国のテント市場において今やトップシェアを獲得、テント以外の幅広いプロダクトも手掛けるなど、破竹の勢いを誇るアウトドアブランドです。今回は、そのモビガーデンの代表的テント、LIGHT KNIGHT ULとCOLD MOUNTAINをレビューと共に紹介します。
目次
LIGHT KNIGHT UL&COLD MOUNTAINの大まかな特徴
LIGHT KNIGHT UL
LIGHT KNIGHT ULは、海外有名メーカーが上位モデルに採用するほどの高い機能性を十分に備えた3シーズン山岳用軽量テントです。最低重量は約1200gという軽さを実現しつつ、快適性や機能性も兼ね備え、さらにエントリーモデル並の価格を実現したハイコストパフォーマンステントです。
1名用のLIGHT KNIGHT UL1、2名用のLIGHT KNIGHT UL2に加え、4シーズン用にレインフライがスノーフライになったUL Plusもラインナップしています。
COLD MOUNTAIN
COLD MOUNTAINはオーソドックスな自立式ドーム型の3シーズン軽量テントです。入り口を両側に配置したり、十分通気口も確保するなど、多人数での滞在のストレスを低減する居住性を重視した工夫がされています。入門者に優しいベーシックな使い勝手と気の利いた機能を持ち合わせた、コストパフォーマンスに優れた汎用性の高いバックパッキング・キャンピングテントです。2名用のCOLD MOUNTAIN 2、3名用のCOLD MOUNTAIN 3がラインナップされています。
主なスペックと評価
アイテム名 | LIGHT KNIGHT UL1 / UL1 Plus | COLD MOUNTAIN 2 |
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イメージ | ||
価格 | ¥14,900/16,400 | ¥10,780 |
ここが◎ |
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ここが△ |
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居住快適性 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
設営・撤収の容易さ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
耐候性 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
耐久性 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
重量 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
携帯性 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
汎用性 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
スペック | ||
就寝人数 | 1名 | 2名 |
最小重量 (実測/公式) 本体・フライ・ポール | 1219g / ―g | 1956g /- g |
最大重量 (実測/公式) 最小+ペグ・収納袋 | 1565g・1737g/ 1.5kg・1.63kg (フットプリント含む) | 2187g / 2.2kg |
実測重量詳細 |
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本体素材 | 高密度ファインメッシュ | 高密度ファインメッシュ |
ボトム素材 | 20D Silリップストップナイロン (4000mm防水) | 68D PUポリエステル (4000mm) |
フライ素材 | 20D Silリップストップナイロン (3000mm防水) | 173D PUポリエステル (2000mm) |
ポール素材 | A7001アルミ合金 | A7001アルミ合金 |
室内サイズ | 幅110/72 × 奥行215(+60前室) × 高さ100 | 幅140 × 奥行210(+40前室×2) × 高さ110 |
フロア面積 | 1.96㎡ | 2.94㎡ |
収納サイズ | 本体:39×12cm | 本体:41×16cm |
付属品 |
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LIGHT KNIGHT UL1/UL1 Plus詳細レビュー
これを買うだけでフルセットというほどの十分な付属品
LIGHT KNIGHT ULに含まれるパーツは本体(454g)・レインフライ(424g)・ポール(350g)・ペグ(130g/8本)・フットプリント(189g)・収納袋(18g/本体、9g/ポール)・応急補修パイプ(9g)です(価格から考えると、ここまでフルに揃っているというのは正直驚き)。また通常タイプの他、4シーズン対応となるスノーフライのバージョン「UL1 Plus」が選択肢としてあります。このスノーフライは単品販売を開始したそうですので、冬山シーズンになってから買い足すこともできるでしょう。
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内容物は、インナーテント、フライ、ポール、ペグ12本、収納袋、そしてフットプリントもセット
UL1も、UL1 Plusも付属する収納袋のサイズは同じ。しかしPlusのスノーフライはやや嵩張るので、実際収納すると収納サイズはややPlusの方が大きめです。
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UL1 と UL1 pulsは、収納袋は同じなので、収納サイズはほとんど変わりありません。
UL1の本体・フライ・ポールで構成される実測最低重量は1219gでした。実測最大重量(最小+ペグ+フットプリント+収納袋)は1565gで、公式重量1.5kgとほぼ同じ重量。
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収納袋には、最小重量(インナーテント・フライ・ポール)らしき重量が記載されています。
1人でも簡単な設営
設営は非常に簡単で、インナーテント3点にポールをはめ込んでフックを引っ掛けるだけでインナーテントは自立します。
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ポールはワンピースですが展開すると、足は3本になります。
ポールとインナーテントの接合部分にはシンプルなアルミ製の金具が使用され、設営の簡便さはもちろんのこと、耐久性も高そうです。
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インナーテントとポールの接合部はアルミ製でしっかりした作りです。
横から見ると、インナーテントはほとんどがメッシュ生地になっていることが一目でわかります。夏は天気さえ良くてプライバシーさえきなならなければ、これで十分使用可能です。
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インナーテントは大半がメッシュ仕様で、下部のみ防水加工された素材です。
正面から見ると、入り口のパネルは半分がメッシュ生地になっています。そこそこ高い位置まで防水生地が使ってあるため、フライさえかければ、雨が降っても雨水が跳ねて水が入ってくることはなさそうです。
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下半分はしっかりと防水生地が配置されたメッシュ生地の入り口パネル。かなり大きく入り口を開けることができます。
入り口上部には、大きめのメッシュのポケットがついています。
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入り口上部にはメッシュのポケット。レインフライを巻き上げた際に収納できるようになっています。
フライの設営もとても簡易的で、入口側はポールの末端にアルミ製の金具を引っ掛けるだけで、足側はバックルをはめるだけなので、一瞬で終わります。インナーテントの自立からフライを張るまでものの数分な簡便さなので、多少天気が悪い状況下でもササッと設営が可能です。悪天候時はガイラインを張れば心配なしでしょう。ありがたいことにペグはガイライン分も含めた12本付属しています。
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フライの設置も一瞬です。
細かい工夫が散りばめられ、想像以上に余裕のある室内空間
室内はソロ用としては必要十分な広さ。レギュラーサイズのマットを敷いても横にも枕元にもまだ余裕があり、荷物をおいたりするスペースは十分あります。
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レギュラーサイズのマットを敷いても、荷物を置くくらいであれば余裕がある広さ。
テントの形状は入口側から足の方へ行くごとに低くなって入るものの、足元はある程度の高さが確保されているので、ギリギリまで足を伸ばしても、生地に足がついて冷たい思いをしたりすることはありません。
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足元も余裕のある広さです。
このスペースの広さには、いくつかの工夫がなされています。まず足元は、始めから曲がったポールを使用して、テント自体に角度をつけ、端には硬めの芯材を入れることで壁を立たせ、足を伸ばしても生地に触れないようになっています。
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足元は、スペースを確保するためにポールの形状などに工夫が見られます。
テント側面もバックルでフライと接続されます。この状態で外側にテンションをかけると室内空間は広がり、インナーテントとフライの距離も取れるので通気性も向上させられます。
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テント側面もフライと接合し、空間拡張・通気性の向上がなされています。
天井にはロープを張るループはありませんが、頂点にカラビナがついているので、ライトなど吊るすのに使えそうです。
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室内天井は簡素ですが、汎用性のありそうなカラビナがついています。
室内には、メッシュのポケットが1つ。1つでも十分といえば十分なのですが、欲を言えば反対側にもう1つあれば、使い勝手がよい気もします。
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室内の小物用ポケットは1つのみ。
入り口は、短辺側にありながら目一杯使うことで大きく取られています。フライを両端からジッパーを上まで上げられるので、見た目も広々としています。フライはインナーテントのポケットにしまうことができるので強風時などかなり便利です。インナーテントは留められないので、ポールなどに引っ掛ける必要があります。テント内のポケットが向かって左側にあるのですが、これが右だとちょうど入り口パネルが引っ掛けられて便利だと思いました。
入り口を締め切った状態でも、フライを上に揚げれば通気性は抜群です。フライのファスナーの開閉時に、ファスナーがやや噛みやすいので、そこは改良してほしい点です。
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メッシュの切り替えはできないので、風を防ぎたい時はフライを降ろさないといけません。
前室はソロなら十分な広さ。入り口からの奥行きは60cmもあるので、多少の荷物や調理くらいであれば十分こなせます。やはり2点で止めて台形状にできるのが大きいです。
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余裕のある前室。
フライとトレッキングポールを使えば、前室をキャノピー付きの空間として使うこともできます。風雨さえ強くなければ入口前に広々とした空間を設営することができます。
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トレッキングポールや周りの障害物を利用してキャノピーを作ることもできます。
細かい使い勝手にも妥協なし
手頃な価格だと、ユーザー側もメーカー側も妥協しなければならない点が、どうしても出てきます。しかし、このLIGHT NIGHT ULはその辺りも抜かりなく、実に丁寧に処理されているように感じました。
例えばテンションが掛かり破れやすいガイラインの設置部分には、しっかりと補強がみられ、本気で耐風のことも考えてあります。
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ガイラインの設置点裏側はしっかりと補強が施されています。
縫製も真っ直ぐ、しっかりと丁寧にされています。安価な中国製のテントは、このあたりに価格が反映されることが多いですが、しっかり縫合されています。写真だとわかりにくいですが、縫合部にはしっかりシームテープが貼られ、防水性を高めています。
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縫合部は真っすぐで丁寧なのが見てわかります。
フライ・インナーテントボトム部共に、シリコンコーティングによる防水加工がされています。安価なテントでは、そのほとんどがポリウレタンコーティングです。ポリウレタンコーティングは安価ですが、経年劣化で加水分解を起こしやすく、剥がれたり粘ついたりすることがあります。特に湿度が高い場合は劣化具合も加速します。しかしシリコンコーティングは、高価ながら加水分解が起こらず耐久性も高いため、高価なテントにのみ採用されがちですが、ライト ナイトはしっかりシリコンコーティングが採用されています。
フットプリントは専用のサイズが付属しています。コーナーには金具もついているので、しっかりとテントに固定できずれることなくその役割を果たしてくれます。別売りオプションのテントだと数千円するので、もとから付属しているのはかなり嬉しいポイントでしょう。
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付属のフットプリントは、テントの大きさに合わせた作りになっています。
このライト ナイトは、今回紹介してきたソロ用のUL1だけでなく、2名用のUL2も販売しています。それに加え、スノーフライ仕様で4シーズン対応のUL1 Plus/UL2 Plusもあり、力の入れ具合が見られます。スノーフライ/レインフライのみでの販売も近々開始するようなので、目が離せない山岳テントとなりそうです。
COLD MOUNTAIN 2 詳細レビュー
はじめての人にも使いやすいセット内容
続いてオールラウンドな2人用軽量バックパッキング・キャンピングテント、COLD MOUNTAIN 2を見ていきます。内容物は、インナーテント(751g)、フライ(731g)、ポール2本(472g)、ペグ8本(126g)、メッシュロフト(24g)、各収納袋(81g, 12g, 12g)、ポール緊急補修パイプ(9g)となっていますです。ロフトが含まれているのはありがたい。別で購入すると結構いい値段しますからね。最小重量(インナーテント+フライ+ポール)は1956g、最大重量(最小重量+ペグ・収納袋)は2187gと、公式重量の2.2kgと同等でした。
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インナーテント、フライ、ポール2本、ペグ8本、メッシュロフト、各収納袋がセットになっています。
すべて収納すると、こんな感じに収まります。収納袋はやや大きめにできていて撤収後適当に詰め込んでもやや余裕があり、コンプレッション機能がついているので、圧縮してある程度は小さく収納可能です。
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収納袋はコンプレッション機能付き。
立て方も癖のない自立式ドーム型テント
ポールは2本あり、交差させてインナーテントに接続して、フックをすべてかければインナーテントは自立します。大部分がメッシュ仕様になっているので、空気が籠もることはありませんが、冬期の使用はやや覚悟がいりそうです。ボトム部分はやや高めの位置までポリウレタン加工の防水生地が使用されています。
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上2/3はメッシュ生地で、ボトム部分は防水生地となっています。
フライを被せたところ。地面スレスレまでフライが伸びているので、風雨の進入をしっかり防いでくれます。
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フライを被せたところ。低めまでフライが伸びているので、雨の跳ね返りや風の侵入を防いでくれます。
その分フライを締め切ったときの通気性は低下してしまいますが、フライの裾をガイラインで引っ張ったり、フライ上部のベンチレーションを活用すれば、空気の通り道ができるため、通気性は確保できます。
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フライ上部2ヶ所に備わったベンチレーション。つっかえ棒を立てれば、常時通気可能。
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フライ下部のガイラインをしっかり張っておけば、通気路を確保できます。
前後に配置された広い出入口で快適性は高い
入り口は2つあり、インナーテント側の入り口は大きめに確保してあります。しかし、フライの入り口は仕様が異なっています。片方は完全にロールアップできるタイプとなっています。横には壁ができているので、風が強い場面では使いやすい面です。
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完全にロールアップしたところ。横からの風はしっかりと防いでくれます。
ロールアップせず伸ばせばキャノピーのようにして使えますが、両端のループが非常に小さいのでトレッキングポールの先がそのまま入る大きさではないのが残念。ロープやカラビナを通したりすることで張ることができました。
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上方に伸ばせばキャノピーとして使用可能です。
反対の入り口は横に巻くタイプです。
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フライを横にたくし上げるタイプで、入り口を広く使えます。
左右両方たくし上げられるので、かなり開放感のある使用法が可能です。留め具もついているので、煩わしさはありません。一人で使うことはないかもしれませんが、反対側の入口とは性格が異なるので、使い分けができそうです。
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左右のフライをまくれば、かなり開放感のある入口になります。
室内は広くもなく、狭くもなく、2名でちょうどよいといったサイズ感です。足元・枕元もある程度余裕があります。
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室内はスリーピングマット2枚敷くのにちょうどよいサイズ
付属品のメッシュロフトを使えば、天井空間を有効に利用できます。小物を入れたりライトを置いてテント内を照らしたりと、
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メッシュ製のロフトは上に乗せることもできるし、ポケットついて、かなり使い勝手がよくできています。
フライを閉じると前室は狭く、靴や小物を置くくらいしかできなさそう。基本的には穏やか天候のなか、フライを上げるかキャノピー状にして使うことを前提としているのでしょう。
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前室は控えめなサイズ。荷物置き程度の広さ。
総じて初心者でも安心してオールラウンドに使える、スタンダードなこのテントですが、やはりポイントはここまでしっかりしていながら約1万円で購入できるというコストパフォマンスの高さが一番のポイントでしょう。名のあるメーカーであれば、この2-3倍はしていてもよいスペックです。重量が2kgを越えてくるので本格的な登山にはややかさばりますが、低山やキャンプ、ツーリングなどには十分ではないでしょうか。
まとめ:こんな人におすすめ
経験に裏打ちされた高い技術力と、丁寧な作りの良さを実現しながらこの低価格は、公式HPでの紹介にある通りこれぞ納得のコストパフォーマンスというべきクオリティを確かに感じられました。
山岳用として販売されているテントであれば、しっかり要件を満たしているため、開発に時間やお金を割いていたり、よい材料をつかったり、スペックを高めたりと、どうしても販売価格は高価になってしまいます。頻繁に使用するハードユーザーならまだしも、年に数回程度しか使用しない人にとっては、とても高価な買い物になります。しかしスペックなど妥協してしまうと、現地で思いも寄らないアクシデントに巻き込まれないとも言い切れません。
LIGHT KNIGHT ULは、機能性は最低限でありながら、強風吹きすさぶ山岳地帯でも、しっかりとその役割は果たしてくれます。最低重量1200gと軽量な仕上がりです。過酷な環境でストイックに攻める人にとっては、物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、厳冬期や悪天候のなか使うようなハードユーザーでないかぎり、十分活躍してくれるはずです。そして食指が動く一番の理由は価格でしょう。単なるコストパフォーマンスが良いという言葉以上の価値はありそうです。
COLD MOUNTAINは、もっと価格を抑え込んだ入門モデルですが、両側に入り口、十分な広さの室内、キャノピーにできるフライなどの快適性がよく考えられ、2名用のバックパッキングテントとしての十分満足できる使い心地を感じさせてくれます。ガッツリとした縦走などでは使いにくいモデルではありますが、低価格なのも相まって活躍する場面はとても多そうです。中国のブランドですが、国内に代理店があるのと、3年間という長期保証が付くのもかなりの安心ポイント。
世間にはまだまだありえない安さの中国メーカーがゴマンと存在しており、Mobi Gardenのテントはそうしたメーカーよりは高めの価格であることは確かです。ただ、ここでレビューしたとおり、Mobi Gardenのテントを使えば、そうした怪しいブランドとは明らかに違う、細部にまで気を配られた高いクオリティが実感できることは間違いありません。