軽くて使いやすい、登山にピッタリの浄水器「Platypus クイックドローマイクロフィルター」が発売されたので、この夏あらためて浄水器について考えてみる

日本は国土を森に覆われ、年間を通して蓄えられた豊富な雨雪によって常に清らかで豊富な水資源に恵まれた世界でも珍しい国であると言われています。

20年以上前から沢登りを楽しんできた自分のことを振り返ってみても、沢の源流域では普通に流れている水を直飲みするのに抵抗を感じたことはほとんどありませんでした(もちろん北海道の沢となると話は別で、昔から寄生虫のエキノコックスを避けるために沢の水は必ず煮沸して使っていましたが)。

しかし実際のところ今となっては管理された水場ならまだしも、流れている沢の水や、ましてや池のような貯まった場所の水といった生水をそのまま飲んで大丈夫だとは決して言い切れません。たとえこれまでは大丈夫であったとしても、人の活動によっていつの間にか大腸菌やピロリ菌などに汚染されていたり、あるいは天候やその他が原因で、ゴミが入っていたり怪しい水源からしか水を調達できないということもあり得ます。

そんなときに確実にきれいな水を手に入れるためにあると安心なのが、アウトドア用の携帯型浄水器です。環境の違う海外では大抵の場合水を浄水器で処理してから使うことが一般化しており、携帯性と使い勝手に優れた浄水器が数多く発売されています。

山で安心して水を飲むための最新ツール、Platypus クイックドローマイクロフィルターが新登場

今回紹介するPlatypus クイックドローマイクロフィルターは、登山やバックパキングにとって納得の機能性と使いやすさを数多く備えた「使える」浄水器。これまで必要だとは思いつつもなかなか重い腰の上がらなかった自分のようなものぐさが携帯浄水器デビューするのにまたとないチャンスではないでしょうか。

そこで今回は新しく登場したPlatypus クイックドローマイクロフィルター浄水器の使い心地を試してみながら、どう使えるかについて書いてみたいと思います。合わせてこの機会に他の浄水器なども試してみましたので、あらためて浄水器の基本と選び方・使い方についてもまとめてみます。

クイックドローマイクロフィルターを実際に山で使ってみる

持っていくのも苦にならない、軽量・コンパクトさ

まずざっと外観から見ていきます。持ってみればすぐ、その軽さとコンパクトさにホッと安心するはず。フィルター本体の重量はわずか61 gで握りこぶしよりも小さく、バックパックの隙間にうっかり入り込んでくれるほどのコンパクトさです。

構造もいたってシンプル。クイックドローマイクロフィルターはカートリッジの内蔵された本体と、両端の流水口を保護するためのキャップが2つ、合計3つのパーツで構成されています(下写真)。汚れたろ過前の水を入れるための容器(リザーバー)と合わせても、非常にパッキングに優しいです。

両端のキャップを外し、試しにフィルターの中を覗いてみると、中に微細な中空糸のフィルターが束になってぎっしりと収まっているのが分かります(下写真)。

手間もかからず簡単に、スピーディにろ過できる

今回は沢沿いを進む登山コースを歩きながら、適当な場所で実際に流れている沢から水を汲み、飲むまでを一通り試してみました。

【1】まずは適当な水源を見つけたら、安全な場所から未ろ過用リザーバーに水を入れます(下写真)。ここまではいつも沢で水を汲むのと変わりません。

【2】カートリッジの未ろ過水側をリザーバーに取り付けます(下写真)。

【3】基本的なセッティングはこれだけ。あとはろ過後側のキャップを開き、未ろ過水容器を握ってろ過された水を押し出すだけです(下写真)。

何百もの小さな中空糸の濾材によって、従来よりも速いスピードでろ過することが可能になっています。その流量は毎分MAX 3リットルと、競合製品と比べて最速ではないにしてもかなり上位に位置するろ過スピードです(大量に出そうとすれば多少の力が必要)。リザーバーを少しずつ丸めて絞り出すと、水を効果的にろ過することができます。

飲み口から出てくるフィルター済みの水は、清水用のボトルやハイドレーションなどの容器に入れるもよし(下写真)。

またはそのままダイレクトに口へ運んでも問題ありません(下写真)。

さまざまな用途に合わせてボトルを使い分けできる

個人的にこのフィルターで最もお気に入りの点が、水源からの取水用容器を比較的自由に選べるという点です。予めセットとなっている純正のリザーバーの他、ほぼすべてのplatypus製のボトル、そして形状が合えば一般的な28 mm口径のペットボトルもセットすることができます(下写真)。

1人しか使わないのであれば専用の1Lリザーバーでも良いのですが、調理のためにたくさんの水が必要なキャンプなどでは2Lを使う、うっかり忘れてもペットボトルで代用できるなど、シーンに合わせてさまざまな容器が使える柔軟性はポイント高し。

ただし後ほど説明しますが、自分で試してみたところ「容器を握って押し出す」という性格上、ペットボトルタイプは一度握ると元に戻りにくいため、結局使いにくくなり、ソフトボトルに落ち着きました。

ウィルスや化学物質以外の細菌や原生動物をしっかりとろ過

当然浄水器としてのフィルター性能も気になるところでしょう。

メーカーによるとこのマイクロフィルターは、安全衛生分野における国際的なガイドライン(EPA & NSF ガイドライン)に基づくテストが出荷前に行われ、エキノコックス、ジアルジア、クリプトスポリジウム、大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、赤痢菌といったバクテリアや原生動物を99.9%以上除去します。

一応注意したいのが、このモデルに限らずフィルター式の浄水器はごく一部のモデルを除いて、工場などから流れ出る化学物質やウイルス(A型肝炎、ロタウイルス、ノロウイルス等)、放射性物質に関しては効かないということ。日本の沢でそこまで神経質になる心配はあまりないとは思いますが、衛生環境のまったく異なる海外や、はっきりとその危険が認められる場所では、浄水器を通すだけでなく煮沸や次亜塩素酸ナトリウム等による別の方法での浄化が必要です。

実際に原虫や細菌が見えるわけではないのでその実力を定量的に確かめることはできませんが、試しにあえて細かい泥を巻き起こして水を汲み、ろ過してみました。水は細かいゴミのようなものは当然ですが一切なく、見た目での汚れは完全に除去されていました(下写真)。

左があえて細かい泥を混ぜたろ過前の沢水。右のろ過後の水は、シルト(泥汚れ)などの粒子がキレイにろ過されていることが分かる。

使用後の手入れも簡単

ちなみに、下山後に行うフィルター掃除も簡単でした。リザーバーに水道からのきれいな水を4分の1程度入れ、それをカートリッジに取り付けて、30秒間縦横に目一杯振るだけです。

また汚れがひどい場合などはバックフラッシュによる手入れも可能です。その方法はまずリザーバーボトルを清水で満たし、その上からフィルターの飲み口をボトルに差し込んでぴったり合わせた状態でひっくり返し、その状態でフィルターが逆流するようにボトルから水を押し出すというもので、最も効果的にフィルター内をクリーニングすることができます。

ちなみにフィルターは累計1,000 リットルまで繰り返し使用可能なので、かなり頻繁に使ったとしても数年はまず安心の寿命の長さです。

ただし少し気になったのは、ろ過前の水にゴミや細かい粒子等が多いとフィルターの目詰まりが起こりやすく、それらを洗い流すまでの掃除は他モデルに比べてやや手間がかかります。フィルターが格納されたエリアは密閉度が高く、一度入り込んだ砂利などが洗浄でも出てきずらいため、思ったよりもややデリケートです。

奥深い浄水器の世界。多様なアウトドアシーンに合わせて最適な浄水器を選ぼう

アウトドア向けの浄水器には、先程紹介したクイックドローマイクロフィルター以外にも、さまざまなタイプ/スタイルの浄水器があり、扱う水の量やろ過方法、重量といった特徴でそれぞれに長所と短所があります。

そこで以下に、ウォーターフィルターの大まかなタイプと、長所・短所についてまとめてみました。ただ現在では一つのタイプに複数の特徴を備えた、一概には割り切れないモデルも登場しているため、あくまでも参考です。

ウォーターフィルターのタイプ別機能・特徴比較

総合評価外観イメージ水汲みエリアの幅広さろ過スピードろ過容量手入れの簡単さ重量・コンパクトさ価格帯
ポンプ式   
重力式    
携帯式

ポンプ式浄水器:信頼性が高く幅広いアウトドア・レジャーにおすすめ

ポンプ式の浄水器は、ポンプによって水源から吸い上げた水をフィルターに通すことによってろ過するタイプの浄水器。ポンプ式の最も分かりやすい長所は、ボトルで直接水を汲み上げるタイプと違ってポンプで水を吸い上げるため、汲みにくい浅い水源からでも水を簡単に抽出できることです。

一方でポンプ式の短所は、重量・サイズが大きめなこと、ポンプを手動で操作するのに時間と労力がかかることです。また使用後のメンテナンスも他タイプに比べると多めに必要で、価格帯的にも高価なモデルが多いのもやや難点です。

  • 長所:浅く小さな水源からでも水を調達できる。耐久性も高い。
  • 短所:重くかさばる傾向があり、水をろ過するのに労力が要る。メンテナンスの手間もかかり、価格も高め。
  • 適したアクティビティ:幅広いアウトドア・レジャー

重力式浄水器:落ち着いた場所で大量の水を作りたいキャンプなどにおすすめ

重力浄水器は水源からまずろ過前の水を汲んできて、それを木の枝などの高い場所に吊るし、重力を利用することで水をフィルターに通し、下方にある容器にろ過した水を貯めるタイプの浄水器です。

Platypus GravityWorksに代表されるこれらのモデルは、大量の水を比較的すばやくろ過することができるため、グループでのキャンプやキャンプキッチンでの使用に最適。また、他の方法とは異なり、バッグを吊るして重力で作業を行うことができるので、押し出す力が少なくてすむということも大きな魅力です。

一方で重力式フィルターの大きな欠点は、道具一式が他の方式に比べて重くかさばることです。また多くの場合2つのリザーバーとホース、そしてフィルターによって構成されているため、収納性もあまり高くはありません。

またある程度の大きさ・深さのある沢や池からでないと水が汲みにくかったり、リザーバーを吊るす場所が必要だったり(なければろ過中にバッグを保持すればいいのですが)、スムーズに利用するためにはそれなりの準備と環境が必要なことも注意が必要です。価格も相対的に見ると若干高めです。

  • 長所:高速で使いやすく、大量の水をろ過できます。重力でろ過できるため作業も楽です。
  • 短所:重くかさばり、水汲みが難しい場合があり、リザーバーを吊るす場所が必要。価格も高めです。
  • 適したアクティビティ:グループで、ベースキャンプやオートキャンプでの使用

携帯式浄水器:できる限りパッキングが簡単で、手早く水を作りたいハイキングやバックパッキングにおすすめ

上記の2タイプ以外で多様な方式の浄水器がありますが、それらは形状の差こそあれ、総じて軽くて携帯しやすいタイプです。クイックドローマイクロフィルターもこのカテゴリに入ります。

例えば専用のウォーターボトルやソフトフラスク、ハイドレーションに直接フィルターを取り付けるタイプや、沢や池の水から直接飲むようなストロー型のタイプ、それから今回のクイックドローマイクロフィルターのようにさまざまな容器の口に取り付けられるタイプなどです。

これらは、日帰り旅行、トレイルラン、マウンテンバイクの乗り物、または水源に絶えず遭遇することがわかっている長期のバックパッキングの外出にさえ非常に便利です。

一般的に軽量でコンパクト、余計な荷物の必要がないことが多いです。さまざまな形のモデルが多いのもこのタイプの特徴です。特に幅広い容器に対応したタイプは汎用性が高くより使いやすいのが特徴です。

携帯式フィルター弱点といえば、ポンプ式や重力式に比べると、(容器を選ばないモデルを除き)一般的には一度に少量の水しかろ過できないことです。またろ過するためにやや力が要りますし、大きな容量を蓄えるためには何度もろ過作業を繰り返す必要があります。このため携帯式フィルターはグループでの使用やキャンプでの料理よりも、荷物を少なくしたいハイカーや短い日帰り旅行で役立ってくれます。

  • 長所:軽量でコンパクト、容量・水源の得やすさなどに合わせて幅広い選択肢があり、手入れも簡単、価格も手頃な場合が多い。
  • 短所:ろ過が遅く、一度に少量しかろ過できないため、大量にろ過が必要なグループやキャンプ料理などには適さない。
  • 適したアクティビティ:1~2人での使用に便利で、日帰り旅行や水源が得やすい長期の外出に最適。

まとめ:どこでも安心して水が飲める。Platypus クイックドローマイクロフィルターは現時点ではハイカーにとっての最適解

Platypus クイックドローマイクロフィルターを一通り試してみて、その収納性の高さと使い勝手の良さには驚きました。携帯式の浄水器は、今や簡単に携帯することができ、以前のようにろ過に時間と労力がかかるわけでもなく、ほんの少しの手間で安心を手に入れられるようになったなぁとしみじみ。

何よりもリザーバーとカートリッジを一緒に巻くだけでパッキングのスペースをほとんどとらないこと、そして専用のボトルに限らずさまざまな容器にセットできるというのがいい。これ1つでファスト&ライトなハイキングや登山からトレイルランニングはもちろん、多めの水が必要なファミリーキャンプやグループ旅行にも使えるので、自分のように幅広いアクティビティで無駄なく使いたいと考えている人間にはもってこいです。

衛生に関わるデリケートなアイテムだけに、日本国内できちんと対応してくれる代理店が取り扱っていることも安心できる一因。というわけで自分はこの夏遅ればせながら、Platypus クイックドローマイクロフィルターで安心して浄水器デビューを果たしてみたいと思います。

山仲間にシェアしよう!

最新ギア情報をゲットしよう!