欧州最大のアウトドア・スポーツ用品展示会『ISPO MUNICH 2018』レポート ~物欲を刺激しまくり、未来の注目アイテムまとめ~
注目アイテム紹介その3:最新ウィンターギア
スキー・スノボ・スノーハイクといった雪上でのアクティビティは何といってもこの展示会での花形です。ただ自分はスノボ全般、そしてスキーも専門的なことまではついていけないので、あくまでも個人的に欲しくなったものだけピックアップしてます。その意味ではその道の人たちにとってはやや物足りないかもしれません。
Scott Backcountry Patrol AP 30
現在アバランチエアバッグにはいくつかのシステムが標準になるべく競い合っていますが、こちらは新機構「スーパーキャパシター」内蔵の「Alpride E1」エアバッグシステムを初採用した最新アバランチエアバッグ。低温に強く-30℃~+50℃の温度で動作し、さらに500,000回以上の長寿命、20分~40分で再充電することができます。おまけにアバランチシステム込みでは軽量な2,670グラム。
POC Obex SPIN
軽量で換気性に優れ、特許出願中の衝撃吸収システムSPINパッドを搭載した汎用性の高いスノーヘルメット。その性能もさることながら、相変わらず色合いとデザインがいいですよね。(ISPO Award)
Oakley Prizm React
1枚のレンズで、こめかみ付近にある左右のボタンひとつで調光が可能な「Prizm React」テクノロジーを採用した新モデル。
KOMPERDELL CARBON-AIR FRAME 25
ありそうでなかった、軽量・高強度のカーボン素材を採用し、片足わずか600gという重量を実現したスノーシュー。
Advenate Hybrid Pro
これはナイスなアイデア商品。一見すると単なるスコップですが、実はシャフトの内部にプローブが内蔵できるようになっている伸縮式アバランチシャベルです。さらに2人用シェルターがセットになっており、スコップとプローブ、スキーポールとを組み合わせれば、即座に緊急用シェルターを設営できます。(ISPO Award Gold)
Fischer Ranger Free 130
テックビンディング対応の新モデルは130フレックス、足首可動域は55度でわずか1,500グラムと、アルペンスキーブーツの滑走性の高さをBCブーツに盛り込んだパウダー好きにはたまらない。デザインも最高、絶対高そうだけど欲しい!
Hillstrike
見たまんま、スキーとマウンテンバイクの楽しさが1つになったユニークなウィンタースポーツギア。スキー場でレンタルできるならきっとする。(ISPO Brandnew)
注目アイテム紹介その4:最新アウトドアギアその他
MAMMUT Nordwand HS Flex Hooded Jacket
GORE-TEX®なのに伸縮性のある、新しいStretch Technologyを脇周りなどに配置したハードシェルで、これまでになく自由な動きやすさを実現。アイスクライミングをはじめとした活動量の激しいアクティビティに最適化されています。それにしてもここ最近のGORE-TEX®はホントいろいろな要望に応えてくれるようになったな。(ISPO Award Gold)
Peak Performance Frost Dry Down Jacket
高級感のある表地の質感とクリーンなデザインで、なおかつ防水を実現したダウンジャケット。同じような見た目のジャケットが居並ぶ中でもやはりどこか気品漂うPeak Performanceのデザイン性の高さは相変わらず際立っていました。(ISPO Award Gold)
CEP Ortho Pronation Control Socks
ボンディングされたテープが着圧を高め足の自然な動きをサポートし、過度な動きを制御する機能性ソックス。アーチを安定させ、優れた速乾性が水疱も防止するなど長距離走行時の怪我を防止するとか。(ISPO Award Gold)
Devold of Norway Tuvegga
3Dでシームレスな縫製技術など、ベースレイヤーの高機能化は今年の展示会で最も驚いたことのひとつです。中でもこれは100%メリノウール、さらにリバーシブルで両面それぞれで異なる機能が実装されたベースレイヤー。表面Aは保温性重視、表面Bは通気性重視と、1枚で多様なアクティビティに対応してくれます。 (ISPO Award)
GORE-TEX® INFINIUM
日常生活にアウトドアのスタイルを取り入れる人々のために生まれたGORE-TEX®の新たなブランドライン。さまざまな気象条件で人体がどう呼応するかという「快適科学」の広範な知識を活用したというこのラインで驚きなのは、「防水性に限らず」より快適に過ごすための性能向上を提供するといっている点。つまりもう何でもありじゃんということか!どんなものになるのか、とりあえず様子見よう。
TECNICA Forge S
これまでスキーブーツのライナーなどでは一般的だった熱成形によるカスタマイズがついにトレッキングブーツにも。熱成形によって20分足らずでそれぞれの足に完璧にフィットした一足にフィッティングすることができる最新トレッキングブーツ。昨年夏からその存在は知っていたのですが、今回ようやく実物を見ることができました。もうじき発売開始とのことで、これは必ずレビューします。(ISPO Award Product of the Year)
Mountain Equipment Tupilak
ムダを削ぎ落としたシンプルなデザインで軽量性を実現しつつも高耐久・多機能なアルパインパック。パタゴニアのアセンジョニストをさらに軽量・高機能にした感じで非常に好感度高しです。
SOTO ストームブレイカー
数少ない日本発のメーカーSOTOからは、この春発売の新作ストーブが展示されていました。液体燃料とガスカートリッジが併用でき、風にめっぽう強い多機能モデル。今シーズンレビューするのが楽しみです。
FLSK
高い保温・保冷機能を備えながらデザイン性も高い秀逸なドイツ製ウォーターボトル。お酒や炭酸飲料なんかも入れられるスグレモノ。
まとめ
これでもかなり絞りに絞ったつもりなんですが、気がつけば欲しいものだらけになってしまい、今回はこれまでになく大量に紹介してしまいました。
最後にひとつだけ、今回もやはり少し寂しかったのは、中国をはじめヨーロッパの小さな国々からテクノロジーを駆使した新しい製品やサービスで小さいながらも世界を変えてやろうという気概に満ちたプロダクトにたくさん出会えたのに対し、世界有数の経済大国で、世界でもまれに見る豊かな自然を誇るはずのここ日本からの発信が少なすぎることでしょう。
あくまで印象でしかないので、ここで安易に”日本オワタ説”を展開しようとは毛頭思いませんが、これだけ活気があって世界に広がる市場が眼の前に広がっているというのに、何かもったいないという気持ちが強く心に残ってしまったのは確かです。
デサントやゴールドウィン、東レ、YKKといった立派な企業だけがようやく出店できるという場ではないハズなのに。実際のところ注目を集める小さなブランドとてかなり荒削りで雑な製品も多く、日本の技術力と丁寧さとセンスの良さがあれば十分目立てると思うんですけどね。
毎回ほぼ持ち出しでの海外取材ははっきりいって赤字でしかなく、これが今後も続けられるかどうかは正直未知数です。ただ行く度に新しい刺激に満ち、アウトドア(スポーツ)という産業のいろんな意味での奥深さ、そこで活き活きと挑戦する人々に触れる感動を一度知ってしまうと、それをまた体感し、伝えずにはいられないとついついまた足を運んでしまいます。アウトドア産業がこのまま多様性と活力に溢れ、自分の余力が続く限りはまだ続けていこうと思いますし、個別でレポートや取材の依頼などがあればよろこんで引き受けますのでぜひ声かけてください。それではまた次の展示会で。