大陸からのシベリア気団が日本列島を覆い、本格的な冬型の気圧配置が続くようになるこの時期、日本の多くの山々は深い雪に覆われ、本格的な冬山登山の季節となります。一方、東京近郊の低山でもタイミングによっては積雪に見舞われることもあり、その意味ではこれから雪山に挑戦するのにはちょうどいい難易度ともえる状況です。
そこで、新年最初の投稿では、実際に冬の低山ハイキングで自分が使って気に入っているとっておきの山道具や、これまでの比較レビューによるベスト・ギアなどをあらためてリストアップ。多分に個人的な嗜好が含まれていることはご了承いただきつつ、冬の低山日帰りハイキングをこれからはじめてチャレンジしてみようという人から、なかなかしっくりくる一品に出会えていない人まで参考になりそうな「冬の低山日帰りハイキングでの個人的ベストチョイス」をご紹介します(実は2年ぶりの更新)。
冬の低山日帰りハイキング用持ち物リスト
はじめに
今回の持ち物リストで想定している時期と行き先は、例えば1~3月の東京近郊(奥多摩、丹沢、奥秩父の一部など)の山々。積雪があるといっても膝や腰まで埋まって進めないという量でもなく、タイミングが合えば稜線付近でしっかりとした雪景色が望めそうな日帰りコースを想定しています。よって12本爪のアイゼンとピッケルが必携のような2,000m以上の雪山なんかはストライクゾーンからは外れていますが、ほとんどは雪山装備として高品質かつ汎用性の高いアイテムなので、ごく一部を除けば参考になると思います。もちろんその年の降雪量や、直近の天候によってまったく様相は変わってきますし、当事者の経験や体力、また同行者のレベルや人数などによって難易度や必要な装備は微妙に異なりますので、あくまでも一般的な基準として参考にしてください。
持ち物リストは基本的に以下の2種類の基準でもってチョイスしてみました。
- 無双・・・価格を考えずとにかく性能を追求した場合のチョイス。はっきり言って本格的な冬山に十分いける、低山ではもったいないモデルも多し。
- コスパ・・・十分使えるのに、お財布にやさしい優等生。まずはここからだし、これで十分という声も。
※以下のリスト内のテキストリンクをクリックすると各項目にジャンプします。
種類 | ウェア |
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必ず持っていく(ウェア) | |
状況に応じて持っていく(ウェア) | |
必ず持っていく(道具) |
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状況に応じて持っていく(道具) |
必ず持っていく「ウェア編」
アンダーウェア
無双:MILLET ドライナミック メッシュ ショートスリーブ
コスパ:ATION クレーターメッシュ 半袖シャツ
いきなり、人によっては「必携か?」というアイテムですが、個人的にはもう冬にこれ無しは考えられないので。
肌に直接触れるように着て、ドライ感を高めたり汗冷えを防ぐといった効果がある、いわゆる「高機能メッシュアンダーウェア」は、夏の定番として考えられがちです。ただ、重ね着によって衣服内にデッドエアを貯め込みやすくなる冬は冬で、汗処理だけでなく断熱という点でも非常に効果的。中でもミレーのドライナミックは嵩高のメッシュによって高いドライ感と断熱効果が感じられます。これがあるだけで着ぶくれを軽減してくれるので、冬は特に手放せません。
ベースレイヤー(トップス)
無双:Arc’teryx サトロ AR ジップネック シャツ LS
コスパ:mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ
【公式通販サイト】mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ
冬のベースレイヤーでは何をおいても高い保温力を優先したいという意味で、冬のベースレイヤーにはメリノウールが最適です。個人的にはメッシュのアンダーウェアの上に重ねるという前提のため、ウールの特徴にストレッチ性と高い強度を兼ね備えたアークテリクスのサトロ AR、しかも雪や冷気が当たりにくいハイカラーのジップネックタイプがお気に入り。
もしアンダーウェアなしで直接肌に着るのであれば、立体的な凸凹生地、軽くて柔らかい肌触りと保温性・通気性などが高いレベルで備わったパタゴニアのキャプリーン・エア・フーディもおすすめ。他にもたくさんおすすめはありますが、過去のこちらのメリノウール比較特集も参考に。
ベースレイヤー(ボトムス)
無双:Smartwool メンズ メリノ250ベースレイヤーボトム
コスパ:Phenix Outlast®Mid wt. Stretch Tights
ベースレイヤーのボトムスは、気温によっては厚手のトレッキングパンツのみで省略可能な場合もあります。ただぶ厚過ぎるトレッキングパンツは使い勝手が悪いため、自分の場合はオールシーズンのトレッキングパンツに、できる限り薄手で温かいベースレイヤーを合わせます。基本はやはりメリノウール。これなら厳冬期の雪山でも万全です。ただコスパで選んだモデルも、薄手にもかかわらずOutlastによる調温機能が非常にいい塩梅。実はこちらは2枚持っていて、日常~一般的な冬山にフル稼働していたり。
ミドルレイヤー(中間着)
無双:Mountain Hardwear コアストラータジャケット
コスパ:Rab Alpha Flash Jacket
ベースレイヤーとアウターの間に着る1枚。基本は身体の熱を逃がさず(断熱)、保温することが目的ですが、おすすめはそれに加えて通気性があって汗抜けがよく、ストレッチ性もあって動きやすいという、化繊の高通気インサレーションウェア。動いているときに暑くて脱ぎたくなることが少なくなるため、冬の低山ハイキングではちょうどいいのです。毎年進化の激しいジャンルで、選ぶのに非常に悩みましたが、無双に選んだコアストラータジャケットはプリマロフトの最新中綿の性能もさることながら、中綿の分量(多すぎず少なすぎず)、ストレッチ性の高さ、そしてジッパーなど細部のカッコよさなどから、今年選ぶならこれかなと。ただ相変わらずPolartec alphaの異次元の快適さも捨てがたく、特にコスパで選んだRabなんて中間着として使い勝手良すぎなのでこちらも同じくおすすめ。
シェルレイヤー(アウター)
無双:NORRONA lofoten Gore-Tex Active Jacket
コスパ:finetrack エバーブレスグライド
雪や雨、風、外の冷気をシャットアウトする防水透湿・耐久撥水素材のハードシェルジャケット。堅牢で、表生地が多少ザラついている雪山仕様のためより安心ですが、最悪そこまで慎重にならずとも、3シーズン用のしっかりしたレインウェアでも構わないといえなくもなし。低山であればエクスペディション向けのゴツい生地を採用したモデルよりも軽快で動きやすいモデルの方がいいということで、無双に選んだのは最新GORE-TEX Activeを用いて、スキーにも使える超軽快なハードシェル。コスパで選んだモデルもストレッチが効いていて動きやすく、こちらもバックカントリースキーもOK、非常にお買い得な一品です。
トレッキングパンツ
無双:Arc’teryx ガンマ AR パンツ
コスパ:mont-bell クリフパンツ
雪が前提であればジャケットと同じゴアテックスのハードシェルパンツがおすすめですが、今回のケースでいえばややオーバースペック。必要十分な保温性と防水防風機能をそなえ、なおかつ適度な通気性とストレッチの効いた厚手のソフトシェル素材が良いでしょう。着ぶくれして重たくなったり動きにくくなってもいけないので、この下に履くベースレイヤーの厚みなどとバランスを見ながら合わせるのが重要です。
雪山もいける登山靴
無双:LA SPORTIVA TRANGO TOWER EXTREME GTX®
コスパ:SCARPA トリオレ プロ GTX
冬山を歩く登山靴の特徴としては、夏用の登山靴と違って保温材が入っていることがまず挙げられます。そのうえで、本格的な厳冬期の縦走モデルからアイスクライミング向けモデルとさまざまな種類がありますが、とりあえずは雪山入門的な位置付けの冬山用トレッキングシューズで選ぶとよいでしょう。実は無双に選んだモデルを実際に履いているわけではないのですが、このモデルの夏山版の出来の良さから、冬にはぜひこちらを使いたいということでチョイス。なお当然のことながら、登山靴は最終的には自分の足に合っているものが最良ですので、必ず試着することをおすすめします(詳しくはこちらで解説しています)。
ソックス
無双:SmartWool PhDアウトドアヘビークルー
コスパ:ワークマン マウンテンパイルロング靴下2足組
【公式通販サイト】ワークマン マウンテンパイルロング靴下2足組
厚手であればあるほど安心ですが、できればフィット感やグリップ性の高いものがいい。ということで、夏同様おすすめはスマートウールのPhDシリーズ。冬の低山ならまだこのクラスでも十分いけます。
帽子
無双:finetrack バラクラバビーニー
コスパ:Phenix Snowy Mountains Watch Cap
夏は好みの部分もありましたが、冬のニット帽は必須アイテム。素材はウール・化繊・フリースなどありますが、そこまで神経質になる必要はなく、デザインで選んじゃってとりあえずOKでしょう。それよりも、個人的には稜線の冷たい風対策として目出し帽やネックゲイターにもなるタイプが好きでよく使っています。
グローブ
無双:MAMMUT Meron Thermo 2 in 1 Glove
コスパ:Black Diamond ソロイスト フィンガー
保温力の調整ができ、乾きやすいなど使い勝手の良さから、インナーとアウターが分かれたセパレートタイプがおすすめ。マムートのモデルはインナーにプリマロフト、アウターもGORE-TEX Plus Warmテクノロジーで保温性抜群な上に、インナーはスマホ操作可能と、ハイエンドかつ便利な仕様が至れり尽くせり。一方、コスパで選んだソロイスト フィンガーも十分に高機能。5本指タイプもありますが、慣れてしまえば3本指は5本指よりも温かく、捨てたものではありません。
タオル・着替え
無双:PackTowl personal L
コスパ:日常使用しているタオルや手ぬぐい
冬こそ下山後の温泉が最もありがたい季節。行動中の汗拭きに、下山後のタオルにもなる汎用的なアウトドアタオルが便利です。
状況に応じて持っていく「ウェア編」
追加防寒着
無双:Mountain Hardwear ゴーストウィスパラーダウンジャケット
コスパ:mont-bell スペリオダウンパーカ
中間着だけでは足りないくらいの寒さが予想される、または寒がりで辛い思いをしたくないという場合にはコンパクトで防寒性能の高いダウンなどのインサレーション(断熱)ウェアを1つザックに忍ばせておきましょう。個人的にはとにかく軽くて邪魔にならず、それでいて断熱性の高いものを選びました。保温力でいったらゴーストウィスパラーよりもスペリオダウンの方があるかもしれない。ウェアのサイズや特徴によって、インナーで着る、アウターの上から羽織るなど、TPOに合わせて使ってください。
ゲイター(スパッツ)
無双:OUTDOOR RESEARCH クロコゲイター
コスパ: ISUKA ゴアテックス ロングゲイタ-
靴とパンツの隙間を完全にシャットアウトし、パンツのダブつきをなくすゲイターは、深雪・アイゼン歩行でその真価を発揮します。冬の低山ではなくても困らないことの方が多いのが実際ですが、実は日中に融雪した道を歩くときの泥避けにもなったりするので、あればあったで何かと便利です。
目出し帽(バラクラバ)・ネックウォーマー
無双:OUTDOOR RESEARCH アセンダントバラクラバ
コスパ: mont-bell スーパーメリノウール バラクラバ
【公式通販サイト】mont-bell スーパーメリノウール バラクラバ
樹林帯ではなんてことは無かった寒さも、稜線の強い風に当たると辛さは一変します。そんなとき、顔や首周りの風の侵入を防ぐこれらはウェアを1枚羽織るよりもはるかに効果的。小さいにもかかわらず非常に有効な防寒具です。無双のアセンダントバラクラバは、裏地に話題のPolartec Alphaを使用し、保温性・防風性がありながらもムレにくく、チクチクもしないし、さまざまな状況でも快適そのもの。ありそうでなかった一品です。
インナーグローブ
無双:Black Diamond ライトウェイト グリッドテック
コスパ:mont-bell メリノウール グローブ タッチ
【公式通販サイト】mont-bell メリノウール グローブ タッチ
暖かさを足したい場合、メインのインナーが濡れてしまったり紛失した場合など、万が一に備えて薄手のインナー手袋は複数持っていくようにします(極力アウターグローブも予備をもっていく)。
必ず持っていく「道具編」
バックパック
ベスト中型: OSPREY ケストレル 38
ベスト大型:GREGORY バルトロ65
冬は何かと荷物が多くなってくることから、バックパックは例外的に日帰り専用の「中型」と、ギアが多くなってきても耐えられる汎用性を考えた「大型」の2つで選んでみました。基本的には夏に使用しているもので問題ありませんが、容量的には荷物が多くなるため日帰りでも40L以上は欲しいところです。無双に選んだのは、当サイトで夏のベストアワードを獲得したケストレル38。冬のハイキング・トレッキングにも十分対応します。ちなみに昨年までOSPREYにはVariantという冬のオールラウンドな登山に最適なモデルが存在しており、それが個人的にはベストだったのですが、今シーズンはなぜか発売されていないため、このような結果に。来シーズあたりはVariantのモデルチェンジを期待したいですね。
トレッキングポール(暫定)
無双:Black Diamond ディスタンスカーボンFLZ (with Zポールスノーバスケット)
コスパ:KOMPERDELL ワイルド ランブラー
冬の足場は滑りやすく、万が一の深雪に備えてポールかピッケルは必携。急斜面や氷、暴風などが少ない冬の低山であれば、経験上ポールの方が使いやすくておすすめ。冬専用のポールもありますが、夏使用しているトレッキングポールに雪道用のスノーバスケットが取り替えられるモデルがオールシーズン使えて効率的です。夏の軽量トレッキングポールとして最強と思っていたBlack Diamond ディスタンスカーボンFLZに、このたびめでたくスノーハイクにも利用できる「Zポールスノーバスケット」が発売されたため、冬のファーストチョイスとしても選出してみました。
クランポン(アイゼン)
無双:PETZL レオパード FL
コスパ:mont-bell スノースパイク 10
ハイク:CAMP アイスマスター
凍った斜面や雪と岩のミックス帯を歩くためにクランポンを持参します。積極的に使用することを前提としていないので、爪の本数は少なめの10本で、材質も軽量なアルミで問題ないと思います。そのなかではPETZLのこのモデルはとにかく軽いし、バンド留めなのでどんな靴にも合わせやすくてよい。なお、本格的に雪山をやるのであれば、このような簡易アイゼンではなく、12本爪でクロモリ素材のモデルを最初から買ってしまう方が汎用的でおすすめです。また、積雪状況やルートの険しさによっては、取り付けが簡単なチェーンスパイクでも十分です。もちろん、必ず下界で試し履きしてサイズなどを調節してから持っていきましょう。
サングラス・ゴーグル
無双:OAKLEY ホルブルック Matte Black Tortoise Prizm Sapphire Polarized
コスパ:まぶしさと紫外線をカットするサングラス
冬~残雪の時期には雪に反射した日差しで目がやられます。気がついたら目が炎症を起こし(雪目)、酷いときには行動不能になってしまいますので、冬のサングラスは何をおいても必携の装備。また偏光レンズであれば紫外線だけでなく、ギラつきや乱反射を抑えてよりクリアな視界を提供するのでおすすめ。さらにメーカーによってはよりコントラストを鮮明にする加工も施されたハイエンドなレンズも用意されています。
水筒・断熱ボトル
水筒:ナルゲンボトル
断熱ボトル:FLSKボトル
冬は金属製よりもナルゲンボトルなどのプラスティック系の方がおすすめ。雪から水を作る際の使いやすさも考えると折りたためるウォーターキャリーではなくハードなモデルがちょうどよい(日帰りではそこまで気にする必要はありませんが)。また冬山では温かい飲料によって体力・気力を回復するのに、保温性の高い真空断熱ボトルが必須です。朝熱々の状態でポットに注げばその後半日はもちます。中でもFLSKボトルの保温力は圧倒的。熱すぎて直飲みできないため、コップを持っていく必要はありますが。容量は携帯性も考えて500ml程度がおすすめ。
ナイフ・マルチツール
無双:LEATHERMAN SQUIRT PS4
コスパ:VICTORINOX リクルート
ナイフがあることが前提、後はプライヤー(ペンチ)やハサミがあれば、色々と便利。現状ではちょっと小さいながらプライヤー・ハサミなど豊富な機能が揃っているレザーマンがベストか。
クッカー
無双:SOTO サーモスタック SOD-520
コスパ:PRIMUS イージークック・ソロセットS
食器で食べるような食糧を持っていく場合にはもちろん、また緊急避難用に常備してもよいでしょう。SOTOのサーモスタックは着脱式のチタン軽量マグとステンレスマグのダブルウォール仕様のため、冬に保温カップとして使ってもいいし、チタンマグのみのUL装備でもいけるし、目的に合わせて柔軟に使い分けることができるナイスな一品。今シーズン発売されたときから目をつけていて、気が付けばずっと使っています。
ストーブ・燃料
無双:SOTO ウインドマスター SOD-310
コスパ:SOTO AMICUS SOD-320
火を起こせるかどうかがシビアな冬では火器も必携装備。温める食材を持っていく場合にはもちろん、また緊急避難用にも常備したいところです。冬は気温が低く燃料が気化しにくく、風が強いことがほとんどなので、低温や強風下でも安定した火力のウインドマスターは現在最強のストーブです。ちなみにガスカートリッジは必ず冬季用のハイパワータイプを持っていきましょう。
カトラリー
食器で食べるような食糧を持っていく場合に。スプーン、フォーク、割り箸など何でも構いませんが、1本でスプーンもフォークもこなす「スポーク」という種類が比較的便利。でも底の深いクッカーに最適化された長さと収納性と食べやすさを両立させた最高のブキには未だ出会えていません。
コンパス
冬は夏道が雪に覆われて道が見えなくなることは日常茶飯事なので、読図の技術は必須。何らかの形でコンパスは必携です。
地図・コース資料
地図はガイドブックのような簡易なものではなく、詳細な地形が載った国土地理院の2.5万分の一地形図に磁北線を自分で書き入れてもっていくのが理想です。さらに、コースについての最新の記録やガイドがあればそれらのコピーをもっていくことで、より安全に行程を運ぶことができます。
ヘッドランプ
無双:PETZL リアクティックプラス
コスパ:Black Diamond スポット
夏山同様、万が一のためにヘッドランプは持っていきます。日帰りで積極的に使用する予定がない場合は、個々人の判断でコンパクトなモデルにすることも。
替え電池(モバイルバッテリー)
万が一のためにヘッドランプその他電子機器の替え電池は持っていきます。特に冬は寒さで驚くほど電池の消耗が早いため、夏での備え以上に注意が必要。
薬
切り傷・擦り傷、虫刺され、ねんざ等万が一の怪我に備えます。なおファーストエイドキットについてはこちらで解説しています。
日焼け止め
雪面の照り返しもキツい冬は紫外線が特に強く、UVカットのリップクリームも含めて日焼け止めは必携です。
ライター・マッチ
火器を使用する想定がある場合にはもちろん、あまり考えたくないですが万が一夜を明かさなければならなくなったときには火を起こすために必要です。
携帯電話・スマートフォン
最近では便利なアプリも出ていたりしますので、使うシーンも増えてきました。またキャリアによっては稜線上で繋がる場合もあるので、万が一の時、連絡がとれて助かったなんて話もあります。
ロールペーパー
トイレットペーパーを適量。トイレに使用したり、食器等を拭いたりします。
行動食
山行で食べる昼食、レーション(塩分・糖分などおやつ的な食糧)など、必要な分だけ持っていきます。山の中では数分の休み毎に細かく食糧をとっていくのがよいので、小分けにできるものがいいです。
非常食
ぼくの場合はカロリーメイトを常に1箱パックの中に入れてあります。
ビニール袋
ゴミ袋に、濡れた衣服にと、袋が必要になることは結構な割合でありますので何かと使えます。
予備靴ひも(細引き)
万が一靴ひもが切れたときのための備えとして。自分の場合、靴ひもではなく3mm×10mの細引きを常にパックの底に入れています。その方が汎用性が高く、靴ひもが切れたときの他テントやタープなどで張り綱が足りないとき、その他さまざまなシーンで活用できます。
時計
普段はスマホなどで確認できますが、万が一のときでも確認できるように何かしら時計は必ず持っておきたい。気圧計や高度計が付いているモデルはかなり便利。
ガムテープ
素材は布です。補修用に、絆創膏代わりに、食材などの袋ものを開けた後の蓋として、そして焚火の着火剤にもなるガムテープは万が一の時に大活躍してくれます。
エマージェンシーシート
おすすめ1:Grabber オールウェザーブランケット
おすすめ2:SOL ヒートシートサバイバルブランケット
被るだけで暖かくなる、緊急ビバーク用の保温シート。テントの下に敷くグランドシートにもなります。
状況に応じて持っていく「道具編」
GPS地図(ウォッチ)
おすすめ1:GARMIN fenix 5X Plus
おすすめ2:CASIO スマートアウトドアウォッチ プロトレックスマート WSD-F30
より安全に、より素早く現在地を把握するのにGPSはやはり便利。それがスマートウォッチによって容易に確認できるとあって、今やオフライン地図付きGPS内蔵スマートウォッチは個人的に手放せないものとなっています。より精密なデータを記録するならGARMIN、鮮明な地図、YAMAPなどのスマホアプリ連携を重視するならCASIOがおすすめ。
ツェルト
アライテント スーパーライトツェルト1
とにかく冬は何か不測の事態が起こったときの危険度が夏の比ではなく、そのための備えは万全にしておくことが重要です。ビバーク(緊急避難的な露営)時に雨雪や外気をシャットアウトするツェルトは緊急時以外のちょっとした休憩時に風よけに使ったりもできます。個々人でもたなくても、共同装備としてパーティの人数分の容量を1つは持っておきたいです。
ピッケル(ピッケルバンド・カバー)
そもそもピッケルが必携の山域・コースは今回想定していませんが、万が一に備えて持っていく方がいいケースも。ただ、持っていくのであれば本番で使う前に使い方の練習は必ずしておくこと。
ワカン・スノーシュー
こちらもそもそも今回の想定外ですが、行ってみたら意外な積雪があって助かったというケースがあることも確か。ただこちらも事前に足に合わせ、使い方を習熟しておくことが大切です。
カメラ
好みと体力に応じて。
ホイッスル
これもハイキング程度であればほぼ使うシーンはないと思いますが、山の中ではぐれたときなどに大きな音を出す必要が出た場合使うために、お守りとして持っています。ちなみに岩や沢登りでは滝・壁の上下で相手が見えない状態で合図する為に重宝します。
裁縫・修理セット
万が一の時に補修ができるような最低限の糸・針・当て布があると安心。最悪無くても何とかできる臨機応変さも必要ですが。
ポケットウェットティッシュ
山は水が貴重ですから、さっと拭けるものがあると嬉しい。コンタクトを付けるときのお手拭きにも便利。
まとめ
一気にまとめてみましたが、2019年1月の時点でのリストなので、次のシーズンにはまた変わっているかもしれない。あらためてみて、ぶっちゃけ無双に選んだモデルはどれも低山ハイキングとしてみればややオーバースペック気味。選んでいる途中からアドレナリンが出過ぎてしまった結果、本格的な冬山登山もバックカントリーもそこそこやるという自分が選んだ、偏り強めのチョイスになってしまったのではないかと、その点はちょっと反省しています。
ただそれでも「ここまでなら大丈夫」といった線引きは正直不可能なので、その辺は各々がいろいろなギアを試すなかで、自分にとっての満足のいく心地よいラインを見つけていくしかないでしょう。ただ、それは面倒なことでもなんでもなく、まさに自分にとってかけがえのないお気に入りを見つけたり、自分なりの道具観をもつ過程ってのが何よりも楽しいわけで。
なお例によって念のため、この持ち物リストおよびそれぞれのチョイスはあくまでも編集部の調査と経験に基づいた見解です。掲載されている情報の内容の完全性、正確性、安全性についてはいかなる保証もできません。個々人の体力や経験、志向などによってさまざまな意見があると思いますので、そこは自己の判断で参考としてください。また、低山といえども冬山は夏山とは異なる知識と、適切な技術・経験・体力が必要な世界です。くれぐれも油断のないように、最初は経験者に同行して経験を積むのはもちろんのこと、万全の準備と計画の上でチャレンジしましょう。