比較レビュー:本当に使えるヘッドランプがお店で見ても分からないので点け比べてみた 2017

ヘッドランプの進化が止まりません。自然のなかで夜を過ごすには欠かせないアウトドア必携ギアであるヘッドランプは、2017シーズンペツルやブラックダイヤモンドなどの主要なブランドで大幅なモデルチェンジがありました。

これによってあり得ないほどの高出力や自動調光機能、スマホ連動といったハイテク機能が当たり前に?なりつつあります。未来のことは分かりませんが、とにかく今やヘッドランプは数年前には想像もできなかった”ウェアラブルデバイス”へと姿を変え、ここまでいくとこの先例えばカメラが内蔵されるなんてこともあながち妄想ではないなんて、そんな時代です。

こうした高機能化と高価格化がここまで進んだのはアドベンチャーレースからウルトラトレイル、さらにはナイトハイクといった夜間積極的に活動するアクティビティの普及によるところが大きいといえるでしょう。ただ逆にいえば、昔からある普通の登山をする人にとっては正直オーバースペックと感じられる機種も少なくはありません。ユーザーはメーカーの煽り文句に踊らされることなく自分の目的・用途に沿ったモデルを選びたいところです。

ところが厄介なことに、昨今のヘッドランプはいざ選ぶとなったとしてもお店では十分に試しにくかったり、表示スペックからは実際の性能が判断しにくいといった問題を抱えたギアであることは以前このサイトで詳しく書いたとおりです。自分にとって十分なモデルを探し出すことは決して簡単ではありません。

そこで今回は、あらためて主要メーカーの売れ筋・注目・最新モデルをピックアップし、さまざまな角度から比較してこのサイトなりの評価をしてみるという好評企画の2017年モデル版をお届けします。

いつもそうですが、このサイトの比較レビューは、単純で分かりやすいランキングを示して購入ボタンへ誘導しようというものではありません。それよりもさまざまな評価項目での各モデル毎の特徴・個性の差が浮き彫りになることで、読む人それぞれの用途・アクティビティにとって最適なヘッドランプが分かるようにと考えて書いています。そんなわけで今回もかなりのボリュームになってしまいましたが、早速いってみましょう。

目次

今回比較したヘッドランプについて

今回の比較にあたっては、国内外主要メーカーのなかで一般的なトレッキングに対応と謳っている範囲で、エントリーモデルからハイエンドモデルまで性能・価格に幅をもたせた下記10モデルをピックアップしました。

  • Black Diamond スポット
  • Black Diamond リボルト
  • Black Diamond スプリンター
  • milestone MS-B3
  • PETZL ティカ
  • PETZL リアクティックプラス
  • PETZL NAO+
  • モンベル パワーヘッドランプ
  • GENTOS GT-105R(テストはGT-305R)
  • LEDLENSER SEO7R

今年も何はともあれ昨年当レビューにて総合1位を獲得したBlack Diamond リボルトの2017年版は外せません。このモデルを含めて、夜道を照らす「遠距離モード」と手元を照らす「ワイドモード」を備えたいわゆる「登山向け」のスタンダードモデルは多くのブランドから発売されており、人気・実力的にも厚めに幅広く選出しました。特に今年はブラックダイヤモンド、ペツルの二大ブランドのリニューアルだけでなくジェントス、レッドレンザーといった新顔も含めて個性的なモデルが多く非常に楽しみ。

それ以外で今年はペツルの新作がおもしろい。大幅に高出力となったNAO+や、スマホのアプリで操作できる機能が追加されたにも関わらず大幅にプライスダウンしたリアクティクプラスなどの新製品は期待が膨らみます。その他、モデルチェンジはしていない模様ですが、mont-bell、milestone、Gentosといったコストパフォーマンスが魅力の日本製モデルも選出しています。なお、GENTOSについて、テストはGT-305Rでおこなっていましたが、テスト中に105Rへモデルチェンジしました。ただスペックを確認したところほとんど変わらず(むしろ機能を削ってマイナーチェンジ)だったということで、記事では現行モデル105Rとして進めています。

テスト環境

DSC04261ヘッドランプの評価をするってどうするか?もちろんこれは点けてみるということに尽きます。ただ、いろいろな場所と使い方によって良さの評価基準は変わってきます。そこでこのサイトでは2017年5月~11月にかけて、以下のような3種類のタイプのテストを実施しました。

  • 外からの光をシャットアウトした真っ暗な室内で定量的な比較(強さ、広さ、電池寿命など)
  • 真夜中のトレイルで静止した状態、歩きながらでの比較
  • 実際の泊まりがけハイキングで一通りの使い方を試しながら使用感をチェック

明るさの測定にはCIE(国際照明委員会)規格に準拠した照度計を使用(写真)しました。ただいろいろ調べてみると、照度計自体の品質や光の色の違いによって計測結果にはある程度誤差が生じるらしいので、測定値は絶対値として評価せず、各ギアの相対的な比較でしか使用していません。なお、テストはすべて新規・充電済みの電池で実施、写真はすべて同設定で撮影し、現像しています。

テスト結果&スペック比較表

総合順位 1位 1位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 8位 10位
アイテム PETZL(ペツル) REACTIK+ リアクティックプラス E95HPETZL リアクティックプラス Black Diamond(ブラックダイヤモンド) リボルト BD81080Black Diamond リボルト PETZL(ペツル) NAO+ E36AHR 2BPETZL NAO+ LEDLENSER(レッドレンザー) LEDヘッドライト SEO7RブラックLEDLENSER SEO7R Black Diamond(ブラックダイヤモンド) スプリンター スモークブルーBlack Diamond スプリンター Black Diamond(ブラックダイヤモンド) スポット BD81053 300ルーメンBlack Diamond スポット PETZL(ペツル) TIKKA ティカ 2017 E93 AAPETZL ティカ マイルストーン MS-B3 距離センサーモデル ヘッドライト TCmilestone MS-B3 モンベル(mont‐bell) パワー ヘッドランプモンベル パワーヘッドランプ GENTOS(ジェントス) LED ヘッドライト USB充電式 【明るさ320ルーメン/実用点灯4.5時間/耐水】 GT-105RGENTOS GT-105R
総合スコア(100点満点) 80 80 78 76 73 71 70 67 67 62
参考価格 12,420円 7,776円 22,248円 12,960円 10,368円 4,752円 3,780円 6,264円 3,132円 6,998円
ここが◎ 遠距離照射(歩きやすさ)、電池寿命、多機能 欠点のなさ(遠距離・近距離・電池寿命・機能性) 遠距離照射(高出力)、多機能、電池寿命、フィット感 遠距離照射(距離)、近接照射(明瞭さ)、重量 電池寿命、操作性 遠距離照射、近距離照射、重量 価格、電池寿命、重量、操作性 遠距離照射(歩きやすさ)、重量、欠点の少なさ 遠距離照射(距離)、重量、操作性 近距離照射(明瞭さ)
ここが△ 操作の難しさ 特になし 重量、価格 照射範囲の狭さ 遠距離照射(明るさ、距離) 電池寿命 出力の低さ、機能の少なさ 基本的な明るさ 近距離照射、電池寿命、機能の少なさ 遠距離照射(距離)、電池寿命、重量
遠距離照射
(25点)
22 18 23 17 13 17 14 15 16 14
近距離照射
(15点)
12 14 12 11 11 13 10 11 10 13
電池寿命
(25点)
21 20 18 18 21 12 19 16 15 13
機能性
(20点)
18 18 19 17 17 17 13 14 13 14
重量
(10点)
5 6 3 8 6 8 9 7 8 4
操作性
(5点)
3 4 4 4 5 4 5 4 5 4
スペック
アイテム PETZL リアクティックプラス Black Diamond リボルト PETZL NAO+ LEDLENSER SEO7R Black Diamond スプリンター Black Diamond スポット PETZL ティカ milestone MS-B3 モンベル パワーヘッドランプ GENTOS GT-105R
カタログ最大光量 300lm 175(アルカリ使用時300)lm 750lm 220lm 200lm 300lm 200lm 160lm 160lm 320lm
ビームモード
  • ワイド
  • ミックス
  • スポット
  • 遠距離
  • 近距離
  • ワイド
  • ミックス
  • スポット
  • フォーカス調節可能なLED
  • ダブルパワーLED
  • 遠距離
  • 近距離
  • ワイド
  • ナチュラル
  • クール ホワイト
  • 白色LED(High/Low)
  • 電球色LED
  • フォーカス調節可能なLED
カタログ最大照射距離 110m 68m 140m 130m 50m 80m 60m 80m 110m 54m
カタログ照射時間(HIGH) 2h30m 6h 6h30m 5h 4h 30h 60h 約3h30m 40h 4h30m
カタログ照射時間(LOW) 10h 30h 15h 20h 42h 175h 240h 約45h 90h 45h
重量(g) 115g 97g 185g 93g 105g 90g 86g 97g 91g 145g
防水レベル IPX4 IPX8 IPX4 IPX6 IPX4 IPX8 IPX4 IPX5 IPX6 IP66
無段階調光 × × ×
自動調光 × × × × × ×
USB充電 × ×(別売りリチャージャブルバッテリー使用可) × ×
アルカリ電池使用 × × ×
残量表示 × × ×
誤動作防止 × ×
点滅モード × ×
 レッドライト × × ×
その他
  • スマホアプリ連携
  • ズレにくいバンド
  • ワンタッチMAX出力ボタン(パワータップテクノロジー)
  • スマホアプリ連携
  • バッテリーパック分離
  • 背面RED
  • ズレにくいバンド
  • フォーカスコントロール
  • 吊り下げ用フック
  • バッテリーパック分離
  • 背面RED
  • ズレにくいバンド
  • ワンタッチMAX出力ボタン(パワータップテクノロジー)
     
  • バッテリーパック分離
  • 背面RED
  • ズレにくいバンド

評価結果 ~タイプ別おすすめ~

PETZL REACTIK+(リアクティックプラス)

総合1位:歩きやすさと多彩な機能が詰まったヘッドランプの未来形

多くのヘッドランプメーカーが高出力ビームやセンサーによる自動調光などでお茶を濁しているあいだに「ヘッドランプをスマホで操作する」という、ちょっとどうかしているとしか思えない方向へと三段跳びかましてくれているのが2017年のペツル。だってそうじゃないですか?「今度のスマホは何が新しいんだい?」と聞いて「スマホで操作できます」と返されたら普通「は?」でしょ。一体何が便利になったのか、想像できますか?ぼくのようなにぶい人間にはとんと分かりかねます。

ところが、もちろんそれだけではない点も含めてですが、いろいろな意味で斬新なこのモデルが今回の1位になってしまいました。ギャップってヤツですかね、それは否定しません。機能がたくさん付いているからってイイなんていうつもりは毛頭ありません。ただこればかりは、使ってみて自然と「未来のヘッドランプはこうなるのか」という気が本当にしてきてしまったのだからしょうがない。

リアクティックプラス(左)なら遠方だけでなく足元もくっきり。絶妙な照射範囲。

このモデルの目玉であるスマホアプリ「MyPetzl Light」ですが、いろいろな機能があるもののまだ試行錯誤な所は否めません。アクティビティに合わせたビームパターンのカスタマイズもそこまで必要?という気がしないでもない。ただこれだけははっきり言えます。「出力レベル」と「電池の残量(残り時間)」が分かるって気持ちいい(精神衛生上)。スマホと連動して良かったことはまだこれだけですが、当たり前になって欲しい機能であることは確か。残り照射時間はまだどんな場合でも正確という程ではないのでここは引き続きがんばって改善していってもらいたい。

その他の性能についてもさすがハイエンドというだけある性能を備えています。例えば他ブランドでも見られるようになった「リアクティブライティング(自動調光機能)」は鉄板で使えます。思えば今までランプの明るさを歩いている途中で調節したことなんて数える程しかありませんでした。周囲の明るさに合わせて自動でちょうどいい明るさにしてくれて、電力を節約してくれればどれだけ幸せかということが実感できます。電池寿命に関しても、多くのモデルがすぐに出力が半分以下に落ちてしまうなか、このモデルは2時間経っても80%程度の出力、5時間経っても10%以上を維持していました。さらにもうひとつこのランプにしかない素敵なポイントは足元の照射範囲の広さ(写真)です。暗闇を歩く時には遠くまで見えることだけでなく、足を置く場所も明るいということがこんなに快適だったとは、これ(正確にはこの前モデルティカRXP)を使うまで気づきませんでした。

登山はもちろんのこと、運動中でもずれにくいヘッドバンドで夜間走行ありのトレイルランにも十分守備範囲。そして何より価格がギリギリ手の届く範囲になってきたことから、どんな人に対してもおすすめできる良品と言えるのではないでしょうか。ただ最後にひとつだけあらかじめ断っておくと、操作は複雑。覚えるまでは面倒だからそれだけは覚悟しておけ、とだけは言っておきます。

Black Diamond リボルト

泊まりのハイキングに必要な機能を高次元に備えた登山向けNo.1

遠距離照射の実質的な明るさや近距離照射での視認性の高さ、そして極端な電池の減少がないという安心感、USB充電機能。前回の比較で1位を獲得した大きな理由はこうした奇をてらわない使いやすさ、バランスの良さでした。2017年のリニューアルで大きく進化したのは、明るさが300ルーメン(アルカリ電池使用時)と約3倍になったこと、そしてほぼ防水(IPX8)になったことでしょうか。重量はさほど変わらない一方、見た目的に大きく変わり、よりコンパクトになったというのも目新しいといえなくもない。

正直ペツルが次々と新しいぶっ飛んだ機能を詰め込んでくるため若干の拍子抜けは否めませんが、冷静に考えればこれで十分でしょう。その意味でリボルトは面白みはないかもしれないけど素直で、優等生なヘッドランプ。新モデルはその完成度にさらに磨きがかかり、より隙がなくなりました。

やはり近距離・遠距離ともそれぞれでムダのない範囲をしっかりと照らす光の質の高さは相変わらず。そして5時間以上経っても極端な減り方をしない電池消耗曲線の緩やかさ、ボタン1つで操作が完結するシンプルさも、従来からのハイカーにとっては代えがたい安心感に繋がります。

あなたが強烈なビームを瞬かせながら前を走るランナーを威嚇する必要がなければ、細部まで完成度を高めて明るくなったリボルトは相変わらず間違いのない選択となるでしょう。新しい機能での新しい使い方はトレイルランナーにこそ刺さるわけで、価格的にも登山メインであればこちらがちょうどいいといえます。

PETZL NAO+

走るための照射性能と機能を突き詰めたモンスターライト

もちろんライトは明るいに越したことはないですが、登山で歩く程度のスピードならば、はっきり言ってそこまで高出力の光は必要ありません。ただしレースとなると話は別。1分1秒を縮めるためには可能な限り明るい光を、可能な限り長い時間照らして欲しいという欲求は止まることを知りません。その要望に応えてくれたのは予想通り、750ルーメンという超高出力を誇るペツルのアウトドア向けフラッグシップモデルでした。

自動で明るさを調節してくれる「リアクティブライティング」をはじめ、電池寿命が減ってきても長時間高い照射力を一定に保つ「コンスタントライティングテクノロジー」、 走りやすいように近距離照射用ワイドビームと遠距離照射用スポットビームを同時に照射するミックスビーム、重量バランスを保持し後方の赤色シグナル光にもなるバッテリーボックス、ズレにくいヘッドバンドなど、欲しがりランナーのシビアな要求にも応えてくれる機能が一通り揃っています。これを点けて走った時の真昼のようなずば抜けた快適さは想像以上でした(後述)。さらにスマホアプリ「MyPetzl Light」も連携するため、大まかなバッテリー残量も時間表示で把握可能。1分1秒が大切なランナーにとってこれは大きい。

ただ専用バッテリーはアルカリ電池等使用不可ですので、予備バッテリーが必要な場合にはオプションでまた 専用バッテリーを購入する必要があり、高い出費を覚悟しなければなりません。とはいえ性能に妥協したくないユーザーにとってはそれをしてでも装備する価値があるモデルであることは確かです。

Black Diamond スポット

シンプルな機能ながら高い品質を備えたコスパNo.1

高性能のヘッドランプで気になるのはやはり価格で、1つ目から5千円を超えるモデルを揃えろというのはさすがに酷だということはぼくも分かります。ビギナーの方々は「いいから早く安くて間違いのないモデルを教えろや(#゚Д゚)ゴルァ!!」と今頃しびれを切らしているに違いありません。そんな人たちのためにはじめてでも安心の、ベテラン登山者の長い説教を聞かなくてすむという意味でのコスパNo.1を選ぶとすればこちら、泣く子も黙るBlack Diamondのベストセラーモデル、スポットなんかいかがでしょう。

電池寿命の短さを除けばBD リボルトと遜色ないビーム品質、IPX8クラスの防水性能は、5,000円を切る価格帯としてはかなりデキる子といえます。前回のコスパNo.1モデルであるモンベル パワーヘッドランプも高コスパであることは間違いないのですが、やはりスペックには現われてこない性能まで含めて相対的に考慮するといくら低価格であったとしても今回はこちらに軍配を上げたいと思います。

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