連載比較レビュー 1:夜間で差をつけろ。ナイトランでの最適ライティング考察【ヘッドランプ編】

夜の山を走る??これまで考えたこともなかったことが、トレイルランを始めるといつしか当たり前になっていました。ハセツネやUTMFなど長時間走り続ける大会では、日暮れになると頭、腰、手にライトを装備して一昼夜走行することも。そんなある日、当サイト編集長から「手元にライトがたくさんあるんだけど使ってみない?」と声をかけられ渡された大量のライト。

ショップで点灯してみることはできても、山で一気に比較できるなんてめったに無い機会。そこで頭、手、腰で自分が気になっていたライトを選ばせてもらい、実際に夜の山を走って試す連載企画をやることになりました。第一弾はヘッドランプ(ライト)です。

ヘッドランプに求めること

視界の効かない夜の山では、路面状況を把握して障害物をどう回避するか瞬時に判断するというのを繰り返します。ヘッドランプのように高い位置からの照射は石や木の根が影になりづらく、より遠くまで光が届くのでナイトランにおいてはメインアイテムと言っても過言ではありません。このライトを選ぶ際につい最大ルーメンに目がいってしまいますが、最大出力で点灯し続けることはめったにありません。実際は200~300ルーメン程度での使用がメインで、私が最大ルーメンよりも重視しているのはライトの配光。同じ明るさでも使われているLEDの大きさ色、レンズ形状よっても見える景色は全然異なります。他にも、長時間装用するので本体重量や装着感を検証したり、頭に装着したままボタン操作がしやすいかといった使い勝手も見逃せない要素。今回はそれらの点に優れた、トレイルランに最適と思われる強力・高機能な3つのヘッドランプを試してみました。

注目ヘッドランプの試走インプレッション

PETZL(ペツル) NAO+

重量★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★★

ペツルNAOといえばリアクティブライティング(自動調光機能)ですが、最新モデルではスマホ連動機能を装備。明るさや使用時間をカスタマイズしたプロファイルを作成できるのはこれまで通りですが、このプロファイルをパソコンを使うことなくスマホの専用アプリを使って転送できるようになりました。最大光量750ルーメンは他製品と比較しても群を抜いていますが、私が推したいのはNAO+の絶妙なレンズカットによる配光。足元から視界の端まで影にならず自然に照らす配光は他のメーカーと比べても頭一つ抜きん出ていると感じます。

配光イメージ

よくできたNAO+にも弱点はありまして、前述したリアクティブライティング(自動調光機能)は反射素材に弱い。例えばレースで前を行くランナーに接近すると、ザックやシューズについた反射素材によってセンサーが狂って最適な光量を得られないことがあります。これは反射光をセンサーで分析しているため仕方がないこと。前にランナーがいる時は、ライトを少し下に向けることで対策することは可能です。バッテリーは常用する弱(120lm)でも数値以上に明るく感じられ、8時間使えるので不満はありません。

ここが◎

  • 影のでないキレイな配光
  • スマホ連動によりさらに豊富になった機能は使いこなせば最強

ここが惜しい

  • リアクティブ機能は使う場面によっては不安定

milestone MS-F1 Trail Master

重量★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★☆

UTMF2018で土井選手が使用していたことでも有名になった、2018シーズン新登場のトレイルランニング向け高機能ヘッドランプ。上下に異なる色のLED(上が白色、下が電球色)を搭載していて、ボタン一つで光色を変更することができます。霧の中でヘッドランプを使用すると目の前が真っ白になって何も見えなくなってしまうのですが、そんな時にボタン一つでライトの色を変えられるというのが画期的。どんな状況でもスピードを緩められないランナーにとっては待ってましたの機能です。両サイドに装着されたダイヤルを回すことで締め付け具合を調整するというのもこれまでにない機構。

配光イメージ(白色)

配光イメージ(電球色)

前述したNAO+と似た配光で視界全体をまんべんなく照らします。電球色は赤みを帯びた光が目に優しく、霧の中でもしっかり視界を確保。両サイドのダイヤル回すとワイヤーが巻かれて締め付け調整ができます。極細のワイヤーなので頭へのあたりはソフトな印象。ツマミは左右にあるので、頭の形に合わせて締め付け具合を変えるなんてこともできちゃいます。ライトやバッテリーなど頭部と接する部分の面積を狭めた設計のおかげでストレスは皆無。細かい点がよく考えられているなと感じるライトです。シンプルな操作性で容易に使いこなせますし、バッテリーもMID(160lm)で7時間と必要十分。不意の消灯を防ぐセービングモードも搭載されているので長時間でも安心して使うことができる。一つ気になったのがサイドスイッチの操作感。3段階の明るさ調整や電球色の切替に使うのですが、このスイッチがいまいち押したかどうかがわかりづらいと感じました。

ここが◎

  • シンプルな操作性
  • ボタンひとつで光の色を変更できる
  • ダイヤルによるフレキシブルなサイズ調整機能

ここが惜しい

  • 横スイッチを押した時の感触がやや弱い

LEDLENSER MH10

重量★★★ 快適性★★☆ 機能性★☆☆

ここ最近、商品ラインナップが充実して評価が高まっているレッドレンザーの最新機種MH10。LEDは一灯のみですが大型LEDを採用しているのでこれが驚くほど明るくナイトランでは必要十分。ライト先端のリングを回すことでワイド光とスポット光を変更することもできます。ON/OFFや明るさの切替えをボタン一つで行えるシンプルな操作性で、押した感触もしっかりあって使いやすい。配光はスポットに近く、ワイドにした場合でも端には境目の影が出ます。NAO+やMS-F1のような隅々まで明るく照らす配光が好みの人にはここが気になるかもしれませんが、逆にこれが霧ではメリットと考えることもできます。

配光イメージ

赤と緑のカラーフィルターが標準装備されているので簡単にライトカラーを変更することができます。これと、前述したスポット光にすることで霧ではかなり強い味方になることでしょう。願わくばカラーフィルターにイエローーは標準装備にしてもらいたかった。バッテリーはミドル(250lm)で15時間使用できるので、予備バッテリーに頼らずとも一昼夜走り続けられるというのはメリット。

ここが◎

  • ワイド光とスポット光を切替え可能
  • カラーフィルターを使えばライトの色を変更できる

ここが惜しい

  • 隅々まで照らしたい場合には適さない

結論

3つのヘッドランプを使い比べてみましたが、私にとってのベストヘッドランプはNAO+。理由はその拡張性の高さ。レースによっては一晩中使い続ける時もあれば、数時間でいいことも。ライトはできるだけ明るい方が有利なのは間違いないので、使用時間に合わせて明るさをカスタマイズできるのは利点です。また、視界全体を自然に照らす配光もGood。とはいえ、こうした機能を使ってこそNAO+は活きてくるので、もしそこまで細かい機能をいじらずシンプルにライトとしての機能だけ欲しいということでいえば、光の質や使い勝手でMS-F1が最適。ただ、濃い霧に包まれてしまうとNAO+やMS-F1の拡散光は使えない可能性もあるので、MH10のスポット光とカラーフィルターも捨てがたい。どんな場面でも使える万能ヘッドランプというのは存在しないので、選択したヘッドランプの弱点をハンドや腰のライトで補うという使い方がベストなのかもしれません。

次回はハンドライトを比較してみます。

(参考)評価結果まとめ・スペック比較表

アイテム名 PETZL NAO+ milestone MS-F1 Trail Master LEDLENSER MH10
イメージ PETZL(ペツル) NAO+ E36AHR 2B milestone (マイルストーン) トレイルマスター MS-F1 Ledlenser MH10
参考価格(税込) 22,248円 18,900円 12,960円
重量 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★★
快適性 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
機能性 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★☆
スペック
アイテム PETZL NAO+ milestone MS-F1 Trail Master LEDLENSER MH10
重量(電池込みg) 185 180 158
カタログ最大光量 750lm 850lm(ブースト時)300lm(強) 600lm
カタログ最大照射距離 140m 約80m 150m
カタログ最大照射時間(HIGH) 6.5h 3.5h 10h
カタログ最大照射時間(LOW) 15h 17h 120h
防水レベル IPX4 IPX5 IPX4
調光 無段階・自動調光 スイッチによる3段階 スイッチによる3段階
充電 専用USB電池 専用USB電池 専用USB電池
電池残量表示
その他オプション
  • スマートフォン用アプリ MyPetzl Light
  • アクティビティに合ったプロファイルの作成
  • 後部に赤色シグナル光
  • 2灯のLED(白色、電球色)搭載
  • 背後からも見つけてもらえる赤の後部視認灯
  • カラーフィルターセット付属

津島浩平

tsushimakohei旅と自然をこよなく愛する都内在住2児の父。バイクにテントを積んで日本中を走り回ったり、あちこちの山を登るうちにエヴェレストを見ようとチベットまで足を伸ばした学生時代。行った先、登った先に広がる景色をこの目で見たいというのが原動力でした。その思いは今も変わらず、一度は完走してみようと始めたランニングも、フルマラソンでは飽き足らずにウルトラマラソン(100㎞)を走るまでに。最近は山を走ることに魅了されて昼夜を問わず山を走る生活。気づけばランニングの年間走行距離が自家用車を上回っています。辛くて苦しい体験をした者だけが見る景色を求めて、ドMな男は今日も夜の街へ走りに駆り出します。今後は国内外のウルトラトレイル参戦が目標。
Blog:Because it is there

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