Review:スマホと一眼レフ持ちの山好きがカシオの新フリースタイルカメラ「CASIO EX-FR200」で新たに手に入れた悦び
一眼レフがキレイに撮れるのは分かるけど、重くてかさばるし、シェアするのも面倒。だからといってスマホの写真ではどうしても平凡な構図になりがち。アウトドアでの感動をもっとダイレクトに伝えられるような「イイ写真」を、カメラに精通していない人でも気軽に撮ってシェアしたい。
そんな手軽に「イイ写真」が撮りたいアウトドア派やカメラ初心者におすすめなのがCASIO EX-FR200です。防水・防塵・耐衝撃・耐低温のボディに広角から水平360°(全天周)まで撮影可能、レンズとコントローラーを切り離して操作できるなど、スマホ・一眼レフが苦手としているちょうどすき間の機能を埋めてくれるような絶妙な使い勝手は、さまざまなアウトドアシーンで大活躍してくれる可能性を秘めています。
編集部ではこのカメラを2~3月にかけてじっくりと試用させてもらう機会をもらったので、登山に、スキーにと使い倒してみました。一眼レフでの山旅に唯一無二のスパイスを効かせてくれるその魅力を、使い込んで分かった気になる点も含めてお伝えします。
目次
目次
- アウトドアでインパクトのある画が撮れるカメラは色々あるけれど
- 画質も使い勝手も、山使いにピッタリのカメラに出会えた!?
- 山とスキーでは実際のところどう?いろいろなシーンで使ってみた
- 気になった点(Page:2)
- 総評:使い方次第でアウトドアでの感動、現場の空気をそのまま閉じ込めてくれる唯一無二のカメラであることは間違いない(Page:2)
アウトドアでインパクトのある画が撮れるカメラは色々あるけれど
アウトドアで使い勝手が良いのは、レンズをいろいろな場所に固定してさまざまなアングルから撮影ができるような、GoproやSONYといったアクションカメラがまず浮かびます。ただこれらの目的はあくまでも動画がメイン、画角的にも普通のカメラとほぼ変わらず、使い勝手も手軽さからはやや遠い存在です。
一方もうひとつ、アウトドアでインパクトのある写真・動画が撮れるカメラの代表格といえば、前後左右(上下)をまるっと記録できるいわゆる「360°カメラ」といわれるジャンル。画質では一眼レフに到底及ばないものの、遮るもののない山頂の開放感をそのまま切り取ることができるのはこのカメラだけです。近年カメラメーカーからハードウェア系スタートアップまでさまざまな新製品が毎年のように登場し、群雄割拠の状態が続いています。かくいう自分も数年前から水面下でいろいろと試しているのですが、結局のところ未だ山登りで常備するまでには至っていません。例えば人気のRICHO THETA。360°撮影だけでいえば総合的に優れているものの、アクションカメラとして見れば汎用性が低く耐久性も心許ない、いわば街で使うカメラ。ならばとKODAKのSP360も使ってみました。こちらはアクションカメラとしての性能は申し分ないものの、撮影範囲が水平360°までしかないことや、遠隔操作もスマホ接続しかない点などからイマイチ利用機会が見いだせず。
つまるところ、アクションカメラにしろ、360°カメラにしろ、現在発売されているモデルで一眼レフ主体の自分の使い方にしっくりと寄り添ってくれるプロダクトには未だ巡り逢えておらず、はじめてこのカメラを見たときもあまり期待はしていなかったというのが正直なところでした。
画質も使い勝手も、山使いにピッタリのカメラに出会えた!?
ところがこれが実際に使えば使うほど面白いようにハマる(ややとっつきにくかったことは確かですが)。
アクションカメラのような十分な耐久性に加え、さまざまなアングルから撮れる機動性の高さを備えながら、超広角、パノラマ、水平360°(全天周)、さらに別途カメラを追加すれば全天球360°撮影も可能と、一眼レフやスマホには真似できない幅広い写真が撮れる。もちろんスマホと連携してSNSへの投稿も難なくできます。スマホアプリでしかプレビューできない他モデルと比較しても馴染みやすく安定した操作感もあって、これほどアウトドアにちょうどいいカメラはない、いつしかそう思えるようになっていました。以下、その具体的なポイントについて実際に撮った写真や映像を交えて説明していきたいと思います。
なお、いろいろと実例をまじえて書いていたら基本的な使い方やスペックなどに関して説明する余裕がなくなってしまいましたので、それらについては公式の製品紹介ページやその他カメラ情報サイトのレビューなどを参考にしてみてください。
山とスキーでは実際のところどう?いろいろなシーンで使ってみた
ポイント1:タフなつくりだからアウトドアでも安心して使える
前モデルFR100から引き続き、強度に優れた素材・構造を採用してアウトドアでラフに使っても問題ない耐久性の高さを備えています。
耐衝撃ではMIL-Standard 810F Method 516.5-Shockを参考に策定した当社独自規格による試験をクリアとなっており、ちょっとした落下なら問題ないレベル。防水・防塵性能については長時間の水没に耐えるIPX8およびIPX6相当、砂埃も完全にシャットアウトするIP6X相当。耐低温については電池寿命が短くなるものの-5~40℃となっています。つまりよほどの極端な環境でない限り屋外どこでも気にせず使えるということではやはり安心感が違います。
ただ、もちろんこの範囲でどんなことしてもまったく壊れないということではありません。念のため詳細についてはメーカーのFAQページの防護性能についておよびスキー場・雪山での使用についてを参照ください。
ポイント2:分離式ボディで「ながら撮り」も楽ちん、アタッチメントを駆使して多彩なアングルでの撮影が可能
軽量・スリムなカメラ部分は固定可能なヒンジと豊富なアタッチメント類(別売り)によってさまざまな位置に、あらゆる角度で設置が可能です。しかもカメラとファインダー兼コントローラーが分離しているので、記念撮影や自撮りはもちろん、歩きながら、登りながら、スキーしながらの撮影などさまざまなシチュエーションで柔軟に撮影することができます。
とにかく可能性は無限大!なんですが、とはいえメーカーのサンプル写真なんかでは海中だったり岩登りの壁だったりとシチュエーションだけで既にインパクトある場所だったりしますよね。正直ユルいハイカーやスキーヤーにとってはそこまで必要ないのではと思っていました。
でも使ってみると意外と面白い。「カメラは手に持って、見て撮るもの」という固定観念を捨て、試しにこれまで手持ちでは絶対にできなかったアングルに固定※し、自動的にシャッターが切れる設定(インターバル撮影)にしてしばらく放置してみましょう。下の写真はメーカー純正の「リスト用ストラップ」をスネの位置に取り付けた例です。
こうやって構図を気にしないで取りあえずシャッターを切るという設定に思い切れるのも、画角185°という超広角だからこそ。すると百枚に1枚は想像していなかった面白い画が撮れていたり、いなかったり(下写真)。
はじめは博打的な楽しみのようなものですが、そんなことを繰り返していくうちに「ここでこう撮ればこう写る」といったカンが働き、どんどん「イイ写真」が撮れるようになってくるから面白い。そんな楽しみを増やしてくれる多彩な撮影スタイルは、いつの間にかやみつきになっていました。インターバル撮影は1枚1枚はどうってことない写真ばかりですが、行動中ずっと撮り続けながらポイントポイントで手動撮影しておくと行動記録にもなるし、行動後はカメラのボタンひとつで動画をある程度選別して一連のスライドショーに編集してくれるので、あとでここまでの行程をしみじみと思い出すのにも役立ちます。
ちなみにアダプター部分は普通に三脚用のネジ穴だったりするので、純正アタッチメントの他にもGopro用のアタッチメントなどもモノによっては十分使えます。それらは各自自己責任でいろいろと試してみるのもアリでしょう。
※これら自分流のやり方についてはメーカーが安全を保証しているものではありませんので、場合によっては固定が外れたりしてカメラが破損する可能性があります。編集部としても楽しみを追求することをおすすめしていますが、それによって引き起こされた結果については自己責任であることを理解した上で楽しんでください。
ポイント3:アタッチメント×全天周撮影で手軽に迫力のある画が撮れる
FR200の他のカメラにはない大きな特長は、上述したアクションカメラ譲りの柔軟さと分離式コントローラーによるながら撮りの便利さを備えながら360°撮影が楽しめるという点です。山好きの360°動画ってことで、今回はちょっとしたバックカントリースキーと、ちょっとした高度感のある岩場の通過でどんな映像が撮れるのかを試してみました。まずはカメラ1台(シングルカメラ)をさまざまな位置・アングルで取り付けて全天周(水平360°)撮影をした映像です。
なお、映像はすべて専用のアプリ「EXILIM 360 Viewer」から書き出してYoutubeに360°動画としてアップしています。マウスや指でドラッグすることでアングルを自由に変えて閲覧することができます。
※以下の動画をスマホのブラウザで直接再生しても360°動画として再生されないようです。その場合は動画のタイトルをタップしてスマホのYoutubeアプリを立ち上げ、Youtubeアプリで閲覧すると正常に360°動画として再生できます。
シングルカメラ(withマルチアングルスティック)でレンズを上向きにして全天周撮影
シングルカメラ(with Gopro用チェストホルダー)で前方を全天周撮影
シングルカメラ(withヘッドストラップ)を後頭部に取り付けて後方を全天周撮影
全天周ということで後方半分が暗いのがやや残念ではありますが、これだけでも通常のアクションカメラにひと味加わったユニークな映像が撮れることが分かるかと思います。ちなみに画質の方は全天周の場合1440×1440ピクセルですが、16:9の画角であれば4Kの高画質動画でも撮影可能です。
なお、ここから続々とスキー滑降動画をアップしていますが、スキー技術についてはお世辞にも誇れるレベルではないのでその点についてはスルーしてください。
続いてはカメラを2台認識させて、マルチカメラモードでの全天球動画ではどう撮れるかを見てみましょう。