当サイトのレビュー記事はアフィリエイトリンクを通して製品を購入いただくことで少額の収益を得ています。

Review:スマホと一眼レフ持ちの山好きがカシオの新フリースタイルカメラ「CASIO EX-FR200」で新たに手に入れた悦び

ポイント4:マルチカメラモードで驚きの360°動画・2台同時撮影も思いのまま

このカメラの真骨頂はここから。続いてはカメラを2台認識させて、マルチカメラモードでの全天球動画ではどう撮れるかを見てみましょう。2台のカメラを前後に配置するためには純正マルチカメラマウンターがありますが、そのマウントを身体に固定するためのマウントは純正では存在していませんので、ここはGopro用のヘルメット用マウンターで代替しました。

マルチカメラにしてヘルメットに装着。マウントがやや高い位置にあったため、思ったよりも若干重く感じた。

マルチカメラ(withマルチカメラマウンター・Gopro用ヘルメットマウント)をヘルメット上に設置して360°撮影(スキー滑降)

マルチカメラ(withマルチカメラマウンター・Gopro用ベースマウント)をスキー板に設置して360°撮影(スキー滑降)

どうでしょう!?滑降の迫力も、一緒に滑っている仲間の様子も360°動画によってすべて収めることができてるのではないでしょうか。ちなみに前後のカメラのつなぎ目にあるズレはどうしてもこれくらいはついてしまうようで、今回の試用の範囲では残念ながら完全固定されたTHETAなどには及ばない模様でした。また映像の数カ所に微妙なにじみに気づいた人もるかもしれませんが、それは使用しているレンズカバーについた傷ですので、ご了承ください。

スキー板の前方にGopro用のベースマウントを接着し、その上にマルチカメラマウントを設置(充電中)した。ブレによる衝撃が大きいため実際にはもう少し後ろめの方が安全かも。

ただしここでも念のため注意ですが、Gopro用ベースマウントをスキー板に接着する方法は、板の振動によってマウントが剥がれる危険性がかなり高く、メーカーはもちろん、Goproですら関知していないリスクの高い設置方法です。ネット上でもいろいろと試行錯誤している状態で、編集部でも現状では「これならば絶対安全」というマウント方法は見つかっていません。今回は見通しのよいなだらかな新雪の斜面をゆっくり滑るという判断のもと実施しましたが、試す場合には硬い斜面やスピードを避ける、粘着力を最大限に高める、万が一外れた時のための流れ止めをつけるなど、十分に注意して自己責任で実施してください。

マルチカメラ(withマルチカメラマウンター・Gopro用ヘルメットマウント)で360°撮影(岩場の通過)

ちょっとカメラの角度を傾けすぎてつなぎ目が目立ったので、書き出す際に境界のラインをつけてみました。この程度の岩場でかなりの高度感ですから、アルプスの岩場やバリエーションルートなら相当エグい映像が撮れるでしょうね。ちなみに360°動画の公開に対応しているYoutubeやFacebookですが、どうしてもスクリーンの画角が16:9のため、本当は正方形の大きなスクリーンなのに実際にアップすると上下ぱっつりとトリミングされてしまうのは残念でなりません。

その他マルチカメラモードの場合、前後に配置して360°の画が作れるだけでなく、カメラを自由に配置して、双方まったく別の角度から同じタイミングで撮影するということもできます。例えばスキーで2人がそれぞれにカメラをもち、前後で一緒に滑りながら撮ると、その後同じタイミングで撮影した素材を専用のスマホアプリで上写真のように一画面上で再生・閲覧することができます。同じ瞬間を別々の視点で共有するという体験はなかなか新鮮です。

ポイント5:撮った写真はスマホに自動送信でSNS連携もスムーズ

これだけインパクトのある写真や映像はやっぱりすぐにSNSに投稿したくなるもの。FR200はこれといった特別な操作を介さず撮ってすぐシェアする仕組みがあったのも魅力でした。全天周モードで撮影された画像はダイレクトで3888×3888ピクセルの全天周写真として保存され、さらにカメラとスマホをWi-Fi連携さておくと撮影した画像をすぐスマホに自動送信してくれる機能が備わっているので、基本的に設定さえしていれば専用アプリなど使わず普通に各種SNSへ個別の写真を投稿することができます(Wi-Fi連携には専用アプリ「EXILIM CONNECT」が必要)。下は先日菅平に行った際、ピークでお約束の360°撮影してみました写真をアップした様子。

その他、スマホに転送された写真を専用アプリ「EXILIM ALBUM」を使えば、その日に撮った写真や動画のなかから良い塩梅にチョイスしてスライドショー的に編集された動画を作成可能で、それについてもSNSに共有することができるそうです。

気になった点

このようにさまざまな新しい体験を提供してくれたFR200ですが、使い込んでいくといろいろとアラが見えてきてしまったのも事実です。

せっかく撮影した360°写真や動画をそのままシェアする仕組みに乏しい

PC専用のビューワで見れば本来の360°画像・動画として楽しめるのだが、そのままWEB上で共有する手段が現時点ではない。

一番気になったのはここ。

360°写真は静止画としてスマホ経由で各種SNSに投稿することはできたとしても、マウスや指でぐりぐりと動かせるようなVR画像や動画となると、それらをスマホ経由で手軽に共有する方法がカシオとしては用意されておらず、これは非常にもったいない仕様です。

現時点でとれる方法としては、専用アプリで編集・書き出ししてからFacebook(静止画・動画)かyoutube(動画)にアップするしかなく、現状ではPCを介さなければなりません。この点ではTHETAの方が撮影から編集加工・共有までスマホアプリでの機能が充実しています。これからのカメラ、特にこうしたSNS映えのする写真をみんなで撮って楽しむ系のカメラであればその仕組み、シェアしやすさが不可欠であることは間違いないと思うので、ぜひともここはもっと力を入れてもらいたいところ。

スキーを存分に楽しむには電池寿命が足りなく、充電池が交換できない

元々カメラ・コントローラーのバッテリーは分かれており、インターバル撮影や動画などを撮っているとカメラばかり電池がどんどん減っていってしまう。

冬に使うと電池の減りが如実に早まるため、ちょっと(延べ数十分)動画を撮影しただけですぐにカメラの電池が切れてしまいました。ただこれはおそらくどのメーカーのどのカメラもだいたい同じだと思うので、そこまではしょうがないと割り切れるのですが、問題はこのモデルが電池交換できないということです。普段ぼくは一眼レフで冬に撮影するとなると4つほど予備電池を持っていき、電池が切れたら迷わずどんどん交換するという方法で低温環境を切り抜けていますが、それができないとなると、正直お手上げです。ちなみに気温が比較的高め(10℃手前くらい)で使用した日も丸1日の登山でインターバル撮影や動画などで使用していけば、ゴールまではギリギリ持たない程度でしたので、やはり何とかして欲しいところです(そんな日はどうしようもないので、隙あらばモバイルバッテリーで充電しながら使うという方法で対処します)。

アプリやソフトウェアのユーザビリティ・安定性がイマイチ

実際には多くのハードウェアメーカーの製品にありがちなことですが、今回もご多分に漏れずアプリケーション部分や液晶部分が若干使いにくかったり、欲しい機能がなかったりするのがどうしても気になりました。

例えば撮影時に現状のカメラモードの表示が隠れてしまうため、マルチカメラモードで「全天球モード」で撮りたかったのに「全天周モード」になっていたことがありました。通常のシングルカメラモードでも主要な表示がすぐ隠れてしまい、このため設定方法が分かりにくく、はじめはとっつきにくいと感じてしまいました。また、スイッチを入れる度(スリープから復帰する際は時々)2台のカメラをコントローラーにペアリングしたり、スマホのWi-Fi・Bluetoothに繋げたりする必要があるのですが、その操作はハッキリいってまだ分かりにくくて面倒であるし、毎回の接続は安定しないこともしばしば(時々それが上手くいかずにカメラ自体がフリーズし、リセットしないと復帰できないということもありました)。

スマホのアプリももう少し画像や動画の編集機能があって欲しい。EXILIM ALBUMは全天周画像の分割表示やハイライトムービーが作成できるといいますが、正直SNSとの相性良好とはいえず、まだ積極的に使いたいと思えません。またせっかく2台を別アングルから同期撮影しても、同時に並べて再生できるのはコントローラー上の再生機能のみで、同期させた2本の動画を並列に並べて1つの動画に編集することができないのは残念。

その他PC上での編集ソフト(EXILIM 360 Viewer)に関しては、360°写真・動画を自由にトリミングして静止画を切り出すなどの編集機能などあと一歩ユーザーの欲望を叶えてくれる機能が欲しい気がします。

総評:使い方次第でアウトドアでの感動、現場の空気をそのまま閉じ込めてくれる唯一無二のカメラであることは間違いない

前モデルのFR100ではアクションカメラ的なトリッキーなアングルと手軽さが気になる程度の注目度でしたが、FR200になったことによって360°撮影が可能になり、ここに至ってスマホにも一眼レフにもない魅力を備えた非常に面白いカメラとして個人的には大好きになりました。画質や設定にこだわってアーティスティックな作品を撮るのではなく、とにかくみんなでワイワイ楽しんだ思い出や現場で出会った感動、空気感をそのまま閉じ込めたい、もっというと、普通では撮れないインパクトのある画をシェアしたい!という人にとってはもってこいのカメラです。

ただし正直な感想としては、このカメラの真価を発揮するためには価格的にやや手を出しにくくはなってしまうものの、やはりカメラは2台、そしていくつかのアタッチメントは欲しいところ。基本的な使い方でもそれなりに面白いとは思いますが、このカメラはやはり想像力を働かせてさまざまな撮り方を工夫することでどんどん面白みが増してくるカメラだと思いました。同時にこれだけハードウェアとしての魅力が十分あるのだから、それを取り巻くアプリケーションや撮った後の共有環境の充実も期待したいところです。

詳細な仕様や付属品等についてはこちら(公式製品ページ)

前のページ 1 2