Review:OSPREY(オスプレー)Kestrel(ケストレル)38 磨き抜かれた定番バックパックがモデルチェンジ

アメリカを代表するバックパックメーカー、オスプレー。真に実用的な道具への飽くなき探究心、ものづくりへの異常なまでのこだわりと情熱については以前紹介した通り。どのモデルも決して派手さはないが、使えば使うほどその素晴らしさがにじみ出てくる、数少ない信頼のおけるブランドのひとつです。

そんなオスプレーの代表作といってもよいマルチユース・バックパック、ケストレル(女性モデルはカイト)シリーズが前モデルから4年の歳月を経た2016年、満を持してリニューアルしました。この1ヵ月で何度か使用することができましたので、早速詳細レビューをお届けします。

8年を経て確立されたバックパック・スタンダードの現在形

まずはじめに断っておきたいのは、リニューアルしたケストレル(カイト)には前モデルと比較して何か目新しい機能が追加されたということはなく、変わったのは快適さや便利さに関する細部の改善と、現代的なトレンド・ニーズへの微調整が中心ということ。実装された機能やパーツ類については基本的に変更はなし。だが、それでいいんです。

現在の入門向けバックパックの多くが採用するトレンドの機能・パーツ類を既に4年前のモデルから実装していたこのモデルにとって、新たに実装しなければならない決定的な機能はほぼ見当たらないといえます。しかもそれら各種機能・パーツが、部分的に採用された他社と違ってほぼ全部盛りで実装されているという点が重要。もっとも、さらに驚くべきは、根本的なコンセプトについては8年前の登場時点から大きく変わっていないことなのですが。

いわば他のパックを周回遅れにして走り続けるこのパックが目指す先はもう「完成」しかありません。その意味で今回のモデルチェンジは、8年の歳月を経て確立された近年のトレッキング向けバックパックにおけるひとつの集大成と言っても過言ではありません。もちろんここでいう「定番」は「どこにでもある、ありふれた」という意味ではなく、流行に左右されず「道具」として普遍的な価値を備えているという意味であり、恐るべき完成度の高さってことです。

詳細レビュー

アイテム名

OSPREY(オスプレー)Kestrel(ケストレル)38(参考価格:19,440円)

 

前面

背面

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
素材 メイン:210D Nylon Double Diamond Ripstop
アクセント:420HD Nylon Packcloth
ボトム:420HD Nylon Packcloth
カラー
  • ドラゴンレッド(RD)
  • ジャングルグリーン(GN)
  • アッシュグレー(GY)
  • オーシャンブルー(BL)
サイズ/背面長 S/M=40.5~51cm、M/L=48~58.5cm
容量 S/M=36リットル、M/L=38リットル
重量 S/M=1.37kg、M/L=1.42kg
バリエーション
  • ケストレル28
  • ケストレル38
  • ケストレル48
  • ケストレル58(海外でのみ流通)
女性向けモデル
  • カイト36
  • カイト46
メインアクセス トップ・サイド・ボトム
ハイドレーション
レインカバー
ポケット・アタッチメント
  • 固定式トップポケット
  • リバースストレートジャケットコンプレッションストラップ
  • 収納可能なアイスツールループ&バンジーストラップ
  • 正面にストレッチポケット
  • サイドにストレッチポケット
  • ヒップベルト両サイドにジッパーポケット
  • ストウオンザゴートレッキングポールアタッチメント
  • 着脱式スリーピングバッグストラップ
  • 縦長のサイドジッパーポケット(48のみ)
その他 エアスケープバックパネル、背面調整が可能
快適性 ★★★★☆
安定性 ★★★★☆
収納性 ★★★★★
使い易さ ★★★★★
耐久性 ★★★★☆
重量 ★★★☆☆
総合点 ★★★★★

ここがスゴイ & ここが変わった!

デザイン一新、ヒップベルト長が短めに調整

前モデルにあった渋すぎるシルバーとのツートンカラーが一掃され、なかなか洗練された色合いとスタイルにリフォームされました。それでも昔ながらのプリントロゴは健在。個人的にはバリアントシリーズのようにロゴ控えめが好みですが、ここは意見が分かれるところでしょう。

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そして個人的に何よりも大歓迎なのは、ヒップベルトのベース長が短くなったこと。前モデルではヒップベルトを最短にしても、ウェストの細い(70cm台後半)自分にはまだ余ってしまうというアメリカンサイズであったため、残念ながらフィットしませんでした。それが短く調節されたことによって、ようやく痩せ型の人でも選択肢に入るようになったわけですから、地味ながら重要な変更点です。

より快適で通気性が向上した背負い心地

ベースとなる背面パネル「エアスケープバックパネル」の素材自体に変更ない模様ですが、放射状に広がった溝が通気性を加速。まだ気温も夏本番にはほど遠いのでそこまで実感はないですが、少なくともこれによって快適性が失われているわけではないので、今後に期待です。

ショルダー・ヒップベルトに使用されているスペーサーメッシュ素材は中身のスポンジが前モデルに比べて若干しっかりとした印象。特にウェストベルトははっきりと厚みと同時にクッション性が増し、よりしっかりと腰で荷重を支えやすくなっています。

調整可能な背面長

背面パネル裏側のマジックテープを剥がすことで背面長を細かく調節可能(下写真)。背面調節機能自体は比較的大きめのバックパックには実装されていることが多いものの、実は30L程度のモデルで実装されていることは少なく、競合ブランドの多くは「S/M/L」の3サイズ程度からしか背面長を選ぶことはできません。ここも地味ですが、快適なフィッティングにとって重要な優位点です。

パックのサイズはS/M、M/Lの2サイズながら、それぞれ背面長が調節可能なので個々人の身長にピッタリ合わせることが可能。

計算し尽くされた外部ポケット・アタッチメントの数々

ケストレルの外部ポケット・アタッチメントは決して目の覚めるようなアイデアは少ないものの、当然あって欲しいと思うものがきちんと一通り揃っている、質・量ともに、欠点のない配置です。しかも工夫次第でさまざまなシーンにフィットするような汎用性も備えており、幅広い用途に活躍するように作られています。

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ポール・アックス用のアタッチメントは左右2つ→右1つに削減された。

サイドにはより深く収納性の増したストレッチ性のポケットと、ポール等の長物を取り付けるストラップの両方が完備。ただストラップの上下間隔が開きすぎている気がしないでもない。

シュラフやマット、テント、スノーシュー、スノースコップなど嵩張るギアを外部に取り付ける際に便利なストラップやデイジーチェーンの豊富さは圧巻。

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ヒップベルトの両サイドに配置されたポケットはスマホ・コンパクトカメラ・エナジーバーからウィダーinゼリーまで収納可能で使い勝手良し。

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オスプレーのバックパックではおなじみの「ストウオンザゴートレッキングポールアタッチメント」はポールを素早く出し入れするのに欠かせない。

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ハイドレーションパックの収納エリアはメインコンパートメントではなく外部に配置されているため、パッキングがし易い。

ビギナーにやさしい使いやすい便利機能

パッキングに慣れていない人でもスムーズな荷物の出し入れを可能にする、メインコンパートメントへのアクセスジッパーはサイド・下部の2カ所に配置されています。これも軽量化のためにカットされることがしばしばなところですが、しっかり押さえてくれているところはさすが抜け目ないですね。

雨避けのためのレインカバーはザックの底に標準装備。

ここがイマイチ

トップリッド(天蓋)の使いにくさ

欠点がないところが強みのケストレルにあえてひとついわせてもらうとすれば、それはこのパックには珍しく淡泊なトップポケット。容量も大きくないし、何より入口が狭くて若干出し入れがしにくい。ジッパーがもう少しぐるっと広く開くか、もしくはもう少し高さのある設計であれば。普通に使えるんですけど、ここまで来ると惜しいといわざるを得ません。ちなみに内側にはメッシュのポケット(キーチェーン付き)もあり、そこに関しては満足。

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まとめ:どんな活動におすすめ?

上で見てきて分かるように、デザイン、快適さ、収納性、軽さ、丈夫さ、どれをとっても決してこのモデルにしかない機能があるわけでもなく、一番といえるほど飛び抜けているわけでも無いケストレルは、実は個人的に人から「何がいいのか?」と聞かれてこれほど困るモデルはないんじゃないかと思っています。

ところがこれほど他人におすすめできるバックパックは他にないということも実感として強く思うわけです。いつ、誰が、どのような用途で使っても満足できる細部にわたって配慮された使い心地。どこをとっても欠点のない緻密な作り込み。手荒に使っても破損しない程度の丈夫さ。すべての要素を総合すると、結局のところこれほどの完成度を突き詰めたモデルは他に見当たりません。

まとめると、多機能で、快適、そして軽量。日帰りハイキングには余裕があり、1~2泊の小屋泊まりにはちょうどよいサイズ。新ケストレル38は、これから登山をはじめようとするすべてのビギナーにとって不満が一切出ようのない素晴らしいバックパック。これまで4年毎にきっちりリニューアルしてきているので、このGWに山デビューを考えている方なんかにとっては、まさに4年に一度のチャンス(多分)を見逃す手はないと、声を大にして言いたくなるおすすめの逸品です。

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