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SIGG「アルパインスター 0.5L」レビュー:スイスの老舗ブランドSIGGが満を持して放つ、タフで美しくそして熱々の山岳向け保温ボトルは山専、モンベルの牙城を崩せるか?

山岳用として使うボトルには保温(保冷)力だけでなくタフであることも求められます。登山やハイキング用の保温ボトルはすでに定番と呼ばれるボトルがいくつか存在しますが、今回はそんな「定番ボトル」のひとつに加わりそうな断熱性能を誇るタフなボトルを見つけました。

100年以上の歴史を持つスイスのボトルメーカーSIGGが極限の環境に挑むすべての登山者のために作り出した「アルパインスター0.5L」を紹介します。老舗ボトルメーカーがブランド史上最高スペックであるというアルパインスターがどんな実力を秘めているのか、フィールドで試してきましたので早速レビューしていきます。

SIGG アルパインスター 0.5Lの主な特徴

アルパインスター0.5Lは内側の銅コーティング+ステンレスの真空二重構造により0.5Lサイズで95℃の熱湯を6時間後も77℃以上をキープし、4℃の冷水を6時間後も6℃以下にキープすることができる保温(保冷)ボトルです。外装には耐食性・耐衝撃性に優れた18/8ステンレス(SUS304)を採用。
ハードな使用や落下衝撃にも強く厳しい環境下で使うのに適しています。本体外周と底面には滑り止めラバーが採用され、グローブをした手でも開閉が容易におこなえ、底面の傾斜地や岩場など不安定な場所でも安定感を発揮します。

スクリュー式キャップにより、移動中の漏れを防ぎ。コップとして使えて、直接口をつけずに飲める衛生的な設計になった保温(保冷)ボトルです。サイズは0.5L、0,75L、1.0Lの3サイズをラインナップし、カラーはブラック、ブラッシュド、グリーンの3種類から好みに合わせてチョイスすることができます。

お気に入りポイント

  • 高い保温力・保冷力
  • ラフに使っても問題ないタフさ
  • 軽量で携帯性が高い
  • 普段使いもOKなシンプルなデザイン・カラーで普段使いもOK
  • お湯が出てくる場所が一目でわかるフタ
  • グローブをしていても滑りにくい滑り止め加工

気になるポイント

  • ライバルの保温ボトルに比べ大きく、重い
  • 底面のラバーはサイドポケットに入れる際にひっかかる

SIGG アルパインスター 0.5Lの主なスペックと評価

アイテム名アルパインスター 0.5L
本体寸法 (直径×高さcm)Φ7.4×23.7cm
容量0.5L
重量294g
素材
  • ボトル本体:PCR 18/8 ステンレススチール
  • キャップ・フタ:ステンレス、ポリプロピレン、シリコン
容量バリエーション0.5L、0.75L、1.0L
カラーブラック、ブラッシュド、グリーン
参考価格¥6,270税込
Outdoor Gearzine評価
断熱性能★★★★★
携帯性(重量・サイズ感・持ちやすさ)★★★☆☆
蓋・飲み口★★★★☆
お手入れ★★★★☆
コスパ★★★☆☆

温度計を使った断熱性能のテスト

アルパインスター0.5Lの詳細レビューをする前に、保温力がどんなものなのかを知るべく実験をしてみました。気温約20℃の常温テストと、冷凍庫の中(マイナス15℃以下)でのテストを行いました。

テスト方法としては、グツグツになるまで完全沸騰したお湯を中栓までギリギリまで注ぎ、中栓とコップを付けた状態で縦置きし、経過時間によって調理用の温度計での計測をおこないました。

それぞれのテストで、1時間後、3時間後、6時間後の温度を計測した結果がこちらです。

常温テスト(気温約20℃):沸騰したお湯を入れて1、3、6時間後の温度を計測

1時間後でも93.3℃の高温をキープ

アイテムアルパインスター 0.5L
1時間後93.6℃
3時間後87.6℃
6時間後81.6℃

気温が約20℃の環境でテストをおこなったところ、完全沸騰した状態のお湯が6時間後も80℃以上をキープする優秀な結果でした。

1時間後の計測では驚異の93.6℃をキープ。これはこれまでOutdoor Gearzineで取り上げた保温ボトルの中でもトップクラスの数値です。6時間後でも81.6℃をキープしてくれているため、カップ麺やフリーズドライ食品などが熱々の状態で食べることができますから、麓で沸かしたお湯を入れてから山頂を目指せば山頂で温かい食べ物(飲み物)を食べることが可能です。

低温環境(気温-15℃以下):冷凍庫の中に入れて1、3、6時間後の温度を計測

続いては低温環境でのテストです。実際に保温ボトルが活躍するのは冬季の山行のほうが機会が多くなるためこちらの方が実用的にリアルな結果になったと考えます。

低温環境を再現するために冷凍庫の中に入れ、凍った保冷剤で挟んだ状態でテスト

アイテムアルパインスター 0.5L
1時間後90.5℃
3時間後

82.5℃

6時間後

77.1℃

冷凍庫はマイナス15℃以下になるため、想定できるのは厳冬期の八ヶ岳クラスの山岳地帯。結果としては6時間後も77.1℃という高温をキープしてくれる優秀な結果に。低温環境になることで多少の影響は受けるものの、それでも高水準と言えるでしょう。

77.1℃であればコーヒーや紅茶などを飲むには十分な温度が確保されていますし、日帰りの山行において目的地までの所要時間が6時間以内であれば、ストーブなしでも熱々のお湯を携帯することが可能です。

SIGG アルパインスター 0.5Lの詳細レビュー

マイナス8℃まで冷え込んだ秋の立山でフィールドテスト

アルパインスター0.5Lを晩秋の秩父、丹沢から雪化粧した立山など環境を変えて使い倒してきましたのでその時に感じたことをたっぷりとお伝えします。

高い保温力・保冷力とタフさ

いかに高い温度をキープできるかが保温ボトルにとって最重要なポイントです。温度計を使った実験でもわかる通り、アルパインスター0.5Lはマイナス15℃以下の環境(冷凍庫内)であっても長時間にわたり高い温度をキープしてくれる優秀な保温ボトルでした。

厳冬期の雪山では休憩時の水分補給にも冷たい飲み物ではなく、温かい飲み物を飲むこともあるためアルパインスター0.5Lの保温力はお気に入りです。雪山登山の際は山頂に到着する道中もアルパインスター0.5Lの熱々のお湯を飲みながら登り、目的地でストーブで沸かしたお湯をアルパインスター0.5Lに補充することで帰路の分のお湯を確保する使い方をしましたが、0.5Lという容量もちょうどよかったです。

テント泊の際は雪を溶かして水を確保することもありますが、寝る前に沸騰したお湯をアルパインスター0.5Lに入れておけば凍結対策にもなるし、また朝起きてすぐに温かい飲み物を飲むこともできます。寝る前に入れておいたお湯は約10時間経過した翌朝の起床時にもまだ熱さを感じるほどで、そのまま白湯として飲んでもいいですし、再沸騰させれば常温の水よりも沸くまでの時間を短縮できるため出発前で準備の忙しい時間帯でも素早くお湯を作ることが可能。朝に温かい食事を摂れるかどうかで1日のパフォーマンスに大きく影響すると自分は思っています(これまでの体験から)

登山で使う保温ボトルは山では貴重になる「水」を運ぶ容器になるため保温力と同時にタフさも求められます。アルパインスター0.5Lは頑丈なステンレスを使用していることから耐久性は問題なしで、使用中に誤って落下させてしまった際も全く問題ありませんでした。

軽量で携帯性が高く、普段使いもOKなシンプルなデザイン・カラー

SIGG アルパインスターシリーズは大きさのバリエーションが0.5L、0.75L、1.0Lの3種類からチョイスすることができますが、自分は携帯性を重視し0.5Lをチョイスしました。カラーも普段使いにも違和感のないマットな質感のベーシックなブラックにすることで山も街もアルパインスター0.5Lを愛用しています。

実は容量が大きくなった方が保温力は高くなり、保温力を重視するなら0.5Lよりも0.75Lにした方が高い保温力を得らるためサイズは迷いました。しかし自分の場合は単独で行動することが多く、大きな容量は必要としなかったのと、0.75Lよりも0.5Lの方が約56g軽量なため携帯性も重視ししました。容量を0.5Lにしたのは一人用としては調子が良く、満水でちょうど一食分のお湯を確保しておけます。コーヒー(150ml)に加えてスープ(150ml)を飲んでも300ml、残りの200mlでアルファ米を食べれますし、カップ麺(300ml)にコーヒー(150ml〜200ml)など一人用としてぴったりなサイズ感でした。

チタン製の保温ボトルに比べればやや重い

0.5Lサイズの重量は294g、チタン製の保温ボトルなどと比べると重量は重くなるため、シビアに1gでも削りたいと考えている人にとっては多少コストを払っても妥協はできないところでしょう。

1g単位での軽量化を図りたい人にとってはチタン製のボトルに軍配が上がるものの、保温力を比較してみるとアルパインスタ0.5Lのほうが上です。より高い保温力を得られることを考えるとアルパインスター0.5Lの重量は重たいとは感じませんでした。保温力の高さと重量を天秤にかけて考えると、チタンボトルなど軽量モデルとの重量差は目をつぶれる範囲内とも言え、耐久面を考えてもアルパインスター0.5Lに分があります。チタン製の保温ボトルは軽量ですが価格も高価であるため、ベストな保温ボトルは保温力、重量に加え、耐久性とお財布との相談になりそうです。

グローブをしていても滑りにくい滑り止め加工、一目でわかる注ぎ口

アルパインスター0.5Lの中栓には注ぎ口が一目でわかる矢印があり、コップに注ぐ際にこぼれたり、注ぎ口を確認する手間を省くことができます。別になくても確認すればいいだけですごく困るわけでもないですが、このような細かいところは作り手のこだわりを感じるところ。なくても困らないけど、あることで使用中のストレスは軽減されました。

アルパインスター0.5Lはボトル底面と側面の上部に滑り止め加工が施されていて、側面の滑り止め加工はグローブをしたままでも操作できるため操作性が高く、滑り止め加工のないインナーグローブでも難なく開閉をおこなえました。

グローブをしたままでも扱いやすい

底面の滑り止めに関しても安定感を高めてくれるメリットはありますが、滑り止め効果がバックパックのサイドポケットに入れる際にスッと入ってくれず、行動中の出し入れがしにくかったのが残念なところ。ボトル本体の耐久性は非常に高く、手荒に使用しても全くびくともしなかったですが、滑り止め加工に関しては耐久性はそこまで高くはなく、使用する過程で剥がれてきてしまうため、スタイリッシュなデザインなだけにすこし残念なポイントです。

滑り止め加工は用途や使用シーンに合わせて取り外しができるとより使いやすいと感じました。

まとめ:冬の山で「お湯」を持ち歩ける便利な保温ボトル

寒い中で目的地を目指す中で体を温めるのはウェアだけではありません。休憩時に一杯のホットドリンクがあるだけで身体を中から温めることができます。自分のようにお酒が好きな人であればホットウィスキーや熱燗、お湯割にすれば冬のテント泊の夜をいつもよりも温かく楽しめるでしょう。寒い冬の季節はSIGG アルパインスター 0.5Lが手放せません。

執筆:Yosuke.C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

山道具図書館(Mountain GearLibrary)