歩かずに死ねるか!アメリカ国立公園への旅(5)キャニオン・ディ・シェイ国定公園おすすめハイキング
セドナ、グランドキャニオンに引き続き、グランドサークルおすすめハイキングスポット第3弾は、ネイティブアメリカン・ナバホ族の聖地でもあるCanyon de Chelly National Monument(キャニオン・ディ・シェイ ナショナルモニュメント)です。
アリゾナ州の東北端の町、Chinle(チンリー)の近くにあり、あまり日本ではメディアなどに取り上げられてないこともあってか意外と知られていない絶景スポットです。規模は小さいものの荒野にいきなり現る秘密の渓谷なんです。観光客の少ない静かな場所を求めている方にもお薦めできる場所ですよ。
実際に足を踏み入れると、そこの大地がもつ独特の雰囲気、300mもの切り立った断崖絶壁の下、先住民族の遺跡がひっそりと隠れるように存在する不思議な光景がとてもミステリアスで魅力的なのです。背後にどこまでも続く水平なコロラド高原とこの場所に密かに佇む渓谷のコントラストが迫力満点。
夏休みや、ホリデーシーズンなどの繁忙期を除けば来場者も比較的少なく、キャニオン・ディ・シェイの大地を静かにゆっくりと堪能できますよ。自分と自然との空間をおもいっきり堪能できるはずです。
目次
キャニオン・ディ・シェイ ナショナルモニュメントの見どころ
キャニオン・ディ・シェイ ナショナルモニュメントはアメリカ内務省管轄のナショナルパークサービスが管理する土地にも関わらず、今でも実際に先住民族であるナバホの人々が公園内に暮らしており、ナバホ国であるナバホ・トライバル・トラスト・ランド(ナバホ民族保護区域)と土地を共有し、公園も共同運営という非常に珍しい形をとっている場所です。
公園内は南側(サウスリム)と北側(ノースリム)に分かれており、1日でメジャービューポイントだけなら十分に廻ることができます。自由に観光ができるのは、南側(サウスリム)と北側(ノースリム)の設定された展望台。渓谷の谷間(内側)に入るにはローカル主催のツアーに参加する必要があります。ナバホのドライバーガイドと回るジープツアーなどがあり、入り口すぐのビジターセンターで予約や情報を得ることができます。(サウスリムとノースリムに分かれる分岐点にビジターセンターがあります。)
見どころは特にサウスリムに多くあり、この公園で最も有名なWhite House Ruin(ホワイトハウス遺跡)、Spider Rock(スパイダーロック)などは南側。White House Ruin(ホワイトハウス遺跡)は唯一許可無しで自分達で谷へ下りられる場所なので、今回はこちらのトレイルをご紹介致します。
キャニオン・ディ・シェイの行き方(レンタカー)
所要時間
フェニックスから5.5時間、セドナから4時間、フラッグスタッフから3時間、グランドキャニオンから3.5時間、モニュメントバレーから2時間の場所にあります。
注意事項
公園の手前にあるチンリー(Chinle)の町を過ぎるとガソリンスタンドはありません。公園に入る前に、必要な場合は必ずここでガソリン補給をしておきましょう。
キャニオン・ディ・シェイハイキングのおすすめシーズン
8:00 a.m. から 5:00 p.mで1年中オープンしています(サンクスギヴィング、クリスマス、ニューイヤーは除く)。その時の状況にもよりますが1年を通してビューポイント、ハイキングを楽しめます。標高が約1670mと高地であるため、冬は冷え込み、雪が降ることもあります。冬から春にかけては大変冷え込みますので防寒対策を。夏はとても乾燥していて気温もす非常に高くなります。水分補給をお忘れなく。
そんなキャニオン・ディ・シェイのハイキングおすすめシーズンはズバリ、アメリカの夏休みで混雑する時期を除く「3月から6月頭、秋の9月から11月末頃まで」です。
公園に入るためには前もって手続きが必要?
手続きは特にいりません。この公園に関しては入場料も無料です。
キャニオン・ディ・シェイのハイキングに適した服装は?
夏場
日中は気温が上がり、渓谷の中に行けば行くほど砂漠気候になっていきます。Tシャツ&半ズボンでも全く問題ないです。ただし風が強い日などもありますのでウインドブレーカーなどの風よけや、フリースなどの防寒着など、何かしら羽織るものがあると役に立つこともあります。
冬場
標高自体が約1670mあり冬はとても冷えます。しっかりとした防寒対策が 必要です。ショールやマフラー、ホッカイロなどもとても役に立ちます。
日差し
日中は日差しが強いため、サングラス、帽子、日焼け止めなどをしっかりと用意しましょう。目から紫外線も入るためハイキングではサングラスがあることで疲労具合も和らぎます。 足元は岩場も多いのでトレッキングシューズなどのしっかりとした歩きやすいものを選びましょう。ハイキングでは高地で天気も変わりやすいため、十分な飲料水、雨具や軽食(スナック)なども用意し ておくと安心です。朝晩の寒暖の差もあり、常に防寒対策などハイキングをするときは念には 念を、準備をしっかりとお忘れなく。
国立公園での案内所は?食料や装備は補充できる?
キャニオン・ディ・シェイはグランドキャニオンなどと比べると規模も小さいので、公園内で売店やマーケットなどはないのですが、公園のすぐ近くにChinle(チンリー)の町があり、ガソリンスタンドやスーパーなどはそこにありますので、ハイキングや観光に必要な飲料水、スナックなどは是非公園に行く前に買い込んでおきましょう。
【注意】公園の手前にあるチンリー(Chinle)の町を過ぎるとガソリンスタンドはありません。公園に入る前に必ずここでガソリン補給をしておきましょう。
ハイキングに携行すると便利な持ち物
- 気温の調整できる防寒着
- トレッキングシューズ
- 帽子
- サングラス
- 日焼け止め
- 飲み物(夏は多めに)
- ハイキング中に食べるスナックなど
- 常備薬などがある場合は薬やバンドエイドなどのファーストエイド
- 雨具
キャニオン・ディ・シェイの主な見どころ:South Rim(サウスリム)
峡谷の長さは全長約20km、峡谷の深さは約300mもあります。渓谷に沿って舗装道路が続きビューポイントがいくつかあります。その中でもおすすめの見どころといえば、こちら。
White House Overlook *White House Ruin (ホワイトハウス遺跡)
- 距離:往復4km
- 所要時間:往復約2時間
キャニオン・ディ・シェイにある遺跡の中で最も有名な場所。谷底に建てられた建物と、そのすぐ上の岩壁に建てられた建物が周囲の岩壁をさらにミステリアスにし、とてもきれいな風景となっています。ここは許可なしで峡谷に下りられる唯一の場所なので、遺跡までのトレイルをぜひ歩いてみましょう。
往復2.5マイル(約4キロ)のこのトレイルの先にあるのは、プエブロ族の残した洞穴住居。昔実際に人々が住んでいた事を想像するととても不思議でミステリアスな場所。
この住居跡は1000年ほど前に現在のプエブロ族やホピ族の祖先にあたるAnasazi(アナサジ族)によって建てられたものらしく、この石造りの家の内壁が白い石膏によって塗装されていることからホワイトハウスの名前がついたそうです。でもナバホの友人が教えてくれた色々なミステリアスなアナサジ族に関するストーリーはとても興味深く、ただただこんなに美しい遺跡が残っていることが不思議で遺跡から目が離せません。
Sliding House Overlook (スライディング・ハウス・オーバルック)
Spider Rocks Overlook(スパイダー・ロック・オーバールック)
上記の2箇所もハイキングの後か前に是非立ち寄っていただきたいスポットです。絵になる光景が広がります。
蜘蛛女の伝説
Spider Rocks Overlook(スパイダー・ロック・オーバールック)には名前の通り細長い蜘蛛の足の様な岩が地面から空に向かって伸びています。ナバホ族の神話ではスパイダーロックにまつわる古い話があるそうで、昔ナバホの人々に織物の織り方を教えてくれた蜘蛛がそこには住むと言われているとか。
谷底からの高さ244m(標高は2094m)の聖なる岩が伸び、この岩には、「スパイダーウーマン」こと蜘蛛女が住んでいて、今でもここに住むナバホ族の神様として信じられています。ナバホの子供たちは「悪いことをするとスパイダーウーマンが下りてきて、拐われて岩の上で食べられるぞ」と親から脅かされて育ったそうです。
蜘蛛女は全知全能の神様で、ナバホ族の生活に関する多くの神をつくりました。地球、太陽、月、星、雨、人、動物からナバホの人たちは学び、大切にし、また尊敬する習慣をこのスパイダーウーマンから学ぶことができたとか…。蜘蛛女は、世界を作った全知全能の女神とナバホ族の方々から信じられています。
ハイキングコースの詳細
ハイキング開始
White House Ruin (ホワイトハウス遺跡) 距離:往復4km 高低差600フィート(約180メートル)谷の上にある駐車場から始まるトレイルを、谷の下までおりていきます。
White House Overlookのビューポイント駐車場に車を停め、駐車場すぐ近くにトレイルヘッドがあります。(駐車場からトレイルヘッドまで100mほどリムを歩きます。)
最初の数分は岩の上を歩き、そこからスイッチバックで下っていきます。距離は往復2.5マイル(4km)と比較的短いので健脚の方であれば無理なくスムーズにいけるコースです。トレイルがしっかり作られてあり、トレイルに沿って進んで行けば大丈夫ですよ。
ジグザグ道を進むと途中でトンネルがでてきます。トンネルをくぐり更にくだると谷底に到着、(トレイルヘッドから40分から50分)谷底には木々が豊富に生えていて、トレイルヘッドからみた景色とはまた違う景色、世界がひろがります。時期によっては美しい花々も出迎えてくれます。
プライベートな敷地なので下に降りたところに「撮影禁止」の看板があります。実際に公園内で住んでいるナバホの人がいますので先住民の撮影は、許可を得た場合のみ可能で基本は禁止となっています。(まわりの景色は大丈夫ですよ。)
更に進むと橋がでてきますが、11月に行った時はその橋は壊れていたので使用できませんでした。橋の下に流れていただろう小川も水はなくカラカラでもちろん水はありません。雨が多く降った時のみできる小川だそうです。短い雨季にのみ川になり、その水は80マイル降ってグランドキャニオンのコロラド川と合流します。ここから長い長い旅をしていつかはグランドキャニオンに行くと思うと、全てはつながりを持ち生存していることが感じられますよね。
遺跡に近づいて行くとナバホの人が露店を出しています。ナバホジュエリーやラグ、置物やツボなど手作り商品がたくさん並んでいました。手作り感があり、とても良い感じです。こういうところで買うのが一番安くて、良いものがあったりするんです。ローカルの人からローカルのものを購入できるチャンスはこういうところですよ。
ハンドメイドでとても可愛いジュエリーがとってもリーズナブルで購入できます。ぜひ挨拶をしながら覗いてみてください。自分だけのとっておきのものが見つかるかもしれません。
進行方向の小川に沿って歩いて行くと、ホワイトハウス遺跡がみえてきます。
綺麗な状態で残されていて、どうやって、はるか昔にこのようなものをこんなに器用に作ったのか……と考えても考えても不思議でしかないです。ぜひ遺跡の前の木の木陰などに座って一時の休憩を楽しんでください。谷の下を通り過ぎる風や光、そこを取り巻く雰囲気を感じながら遺跡と共に、昔住んでいたアナサジ族とのの空間を共有してみてくださいね。
帰りは今来た道を戻るのみ。
ここの公園は本当に人が少なくてでもとっても神秘的で素敵な場所です。たくさんの人が訪れるメジャーな観光地もいいけど、静かに自然と向き合い、歴史を堪能したいという方には特におすすめの場所ですので、ぜひとも足を運んでみてくださいね。
加藤 さやか
キャニオン・ディ・シェイのハイキングはお任せください。父の影響もあり昔からアウトドアアクティビティーが大好きで、日本にいた頃から登山、国立公園巡りをする中で、アメリカやカナダの大自然に魅了され、その結果念願だったアメリカに辿り着きました。現在は日本人ガイドと行く完全プライベートハイキングツアーなど、お客様と一緒に作る現地オプショナルツアーを提供するANAMI TOURSを営んでいます。現地在住だから知り得る、スペシャルなオプションをご紹介させて頂きます。ご興味ある方は下記HPから。