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【その行動、ちょっと待った!】登山・キャンプでついついやってしまいがちなNG行動まとめ

行動中の緊急時でのNG行動

道に迷ったとき、やみくもに山を下っていく

登山では、ベテランでもふとした不注意から道を外れてしまうことが少なくありません。すぐに元の正しい道に復帰できればよいのですが、最悪の場合、道に迷って自分がどこから来たかさえ分からなくなってしまうこともあります。そんなとき、一番やってはいけない行動が、早く下山したいからといって自分の現在地を把握しないまま下っていってしまうことです。山の中で何も考えず歩きやすそうなところを目指して下っていくと、たいていの場合沢にたどり着きます。そこには滝が待っていて、滑落や、身動きが取れなくなるなど、結果的により困難な状況に追いやられてしまうのです。

対策

まず心をいったん落ち着けて、現在地を把握しましょう。もし来た道が分かるならば、正しいコースまで引き返す。万が一現在地も来た道も分からないのであれば、下るのではなく、尾根などの現在地が把握できそうな高い場所まで移動します。それでも現在地が分からず、登山道に復帰できなかったとしても焦って動き回らないこと。特に日が落ちて暗くなってしまったらやみくもに動くよりはビバークして体力を温存しながら落ち着いて行動した方が助かる確率は高まります。

クマに出くわしてしまったとき、背を向けて全速力で逃げる

本来クマは積極的に人を襲う生き物ではありません。ただし、急に人間に遭遇して興奮状態のクマや、何らかの警戒状態にあるクマは、自己防衛本能から襲いかかってきます。このためクマに出会ってしまったときに、不用意にクマを威嚇したり、興奮させてはいけません。クマとばったり出くわしたときにやってはいけないNG行動のひとつは、クマに対して背中を向けて逃げることです。そもそも人間の運動能力では逃げ切ることはほぼ不可能で、あわてている状態で山道を全速力で走れば人は大抵転んでしまうし、クマは逃げるものを追いかける習性があるため、かえって危険です。

対策

クマには会わないようにするのが一番です。万が一クマを見つけたとしても、距離が離れていれば心配ありません。音をたてないようにゆっくりその場から遠ざかりましょう。運悪くクマと目があってしまったときは、瞬時にクマと正対する向きで動きを止めます。クマは動体視力、特に横への動きに対しては非常に対応力が高いため、横方向には動かず、そのまま静かに後ずさりして距離を稼いでいきましょう。それでも万が一攻撃されてしまったら、首を両手でカバーし、地面にうつ伏せでしがみつくように腹部を守ります。このとき攻撃されても決して抵抗しないこと。登山家の山野井泰史氏が2008年に奥多摩でクマに襲われたとき、クマが鼻に食いついて放さなかったところ、抵抗をやめたことで一瞬の隙が生まれ、九死に一生を得たとか。ちなみに熊撃退スプレーも有効な場合がありますが、これも万能ではありません。

ヘビに咬まれたとき、毒を吸い出したり、冷やしたり、血流を止めたりする

日本で生息している毒ヘビはマムシ・ヤマカガシ・ハブの3種類。このうち奄美・沖縄諸島に生息するハブを除けば、マムシとヤマカガシはこちらから手を出さない限りは襲ってくることはまずないので、草むらやヤブの中を歩くときには注意して進みましょう。それでも万が一咬まれてしまった場合、やってはいけない(というかやる意味がない)のは、無理に毒を吸い出そうと口で吸い出したり、腫れを引かせるために患部を冷やしたりすることです。

対策

急いだり、走る、酒を飲むなどして必要以上に血液循環を上げないようにして、とにかくできる限り早く病院へ行って手当てを受けること。マムシの毒で死ぬことはそこまで多くはないといわれていますので、咬まれたとしても決してあわてないことです。なお咬み跡だけではそのヘビが毒ヘビかどうか判断できない場合があるので、できる限り咬まれたヘビの姿かたちを覚えておきます(できれば写真を撮っておく)。

スズメバチに刺されたとき、口で毒を吸い出す

出現頻度や回避しにくさなど、これまでの経験上、屋外で出会う生物の中で最も厄介なのがスズメバチではないでしょうか。毎年20人程度の死者が出ています。うっかり巣に近づいてしまったりすると襲ってきます。黒いものに向かっていく習性があるため、山に入るときの服装には気をつけましょう。万が一刺されてしまったとき、その場にとどまっていると仲間を呼ばれてさらに刺されてしまうことがあるので要注意。まずはあわてずにその場からそっと離れてください。傷口の対処法でやってはいけないのは、毒液を口で吸い出そうとすること。なんだかカッコいいかもしれませんが、口で吸っても毒は吸い出せないし、口内の傷から毒が吸収されてしまう可能性があり危険です。

対策

スズメバチに刺された箇所を流水でよく洗い流します。そして傷口周囲を圧迫し毒液をしぼり出します。抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗り、保冷剤などで冷やした状態にして速やかに医療機関で手当てを受けましょう。特に刺された直後から数十分以内に発疹、吐き気、呼吸困難などの症状(アナフィラキシーショック)が出た場合は、最悪の場合、生命にもかかわることがあるため、大至急医療機関を受診しましょう。

ヒルに吸血されたとき、無理やり剥がそうとする

ヤマビルは陸生のヒルで、北海道を除く日本全土に分布しています。自分がヒルに出会ったのは西丹沢と西表島。どれだけ注意して衣服を着ていても入ってくる印象があるので、ジメジメした季節や沢沿いなどを歩くときには注意が必要。服や靴の中に入り込み、吸着して血を吸い続けます。痛みもなく、直接的な命の危険はないけれど、ヒル自体の見た目、離しても血が出続けるなど、ビジュアル的な気持ち悪さはトップクラスです。運悪く噛まれてしまうと一秒でも早く引き剥がしたくなり、無理にでも引っ張ってしまいますが、かえって傷口を広げる恐れがあります。

対策

ライターで炙るか、消毒用アルコール、食塩、酢などをかけるとヒルは自然に離れていきます。その後は傷口から血を絞り出してヒルが注入した麻酔成分や血液凝固を妨げる成分を体内から排出し、流水で傷口を洗ってから抗ヒスタミン軟膏を塗り、ばんそうこうなどで圧迫止血します。

いずれにしてもヒルに吸い付かれると厄介なことは変わりませんので、そもそもヒルを寄せつけないという努力が大切です。最近では市販のヒル避けスプレーが販売されていますので、ヒルが出る地域に入山する際にはしっかりと吹き付けておくことをおすすめします。

まとめと補足

登山やキャンプでは上に挙げた以外でも、熱中症や高山病、雪盲、骨折などの外傷、ダニ、植物など、普段の感覚では気づけない、思わぬ危険がたくさんあります。また今回ご紹介した対策法はあくまで予防策も含めた総合的な対策のうちの一部でしかありません。十分な知識と心構えのためにはぜひ一度、まとまった内容が網羅されている書籍などで学習することをおすすめします。これを機に、安全な登山のための知識と備えを見直してみてはいかがでしょうか。

監修(火器使用時でのNG行動):日本ガス石油機器工業会 (http://www.jgka.or.jp/gasusekiyu_riyou/index.html)

参考資料(一部。テント・行動中のNG行動):

・環境省「クマ類出没対応マニュアル」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/)
・環境省「NATS自然だいすきクラブ」(https://www.env.go.jp/nature/nats/index.html)
・神奈川県「ヤマビル対策マニュアル」(http://www.pref.kanagawa.jp/docs/u5r/cnt/f550/p6670.html)

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