GORE-TEX® アウターウェアについての疑問を洗いざらい中の人に聞いてきた

GORE-TEX® アウターウェアは”プロダクトクラス”から選べ

―GORE-TEX® プロダクトについていろいろな実態が明らかになったところで、次は実際にGORE-TEX® プロダクトを選ぶというときのモヤモヤを解消指せてください。ズバリ、簡単で失敗しないアウターウェアの選び方ってありますか?

特別な秘訣があるわけではないですが、でもある程度迷わないためのステップはあります。GORE-TEX® ウェアを選ぶ際、まずはじめは用途・目的によって分類される「プロダクトクラス」をチェックすることをおすすめします。ウェアに付いている大きなGORE-TEX®のタグに「プロダクト(無印)」「Active」「Pro」という3つのうちのどれかの分類があるのが分かると思います。

―厚さとか、重量とか、欲しい性能とかから選んじゃダメなんですか!?

もちろんそれもまったくの間違いではありません。でもそうした一つ一つの細かい特徴をチェックするなんて初心者の方にとってはっきりいって至難の業。一方このプロダクトクラスをチェックすることは結果的にそうした特徴をきちんと効率的に選んでいることと変わらないんです。

―どういうことでしょう!?

登山やスキーやランなど、アウトドアではアクティビティによって求められる性能や機能・特徴は千差万別です。プロダクトクラスは、それらさまざまな用途に求められる特徴を整理して大きく3つのスタイルに分類し、選びやすくしたカテゴリを表しています。このためまずはじめに用途に合わせてこのクラスを選択することで、自分が求める基本的な性能や機能を選んだことになるのです。

―なるほど、 ProプロダクトやActiveプロダクトなどのクラス名は何か個別の技術を表しているわけではないんですね。ではもう一方でよく聞く「PACLITE® 」や「C-KNIT™」などは、プロダクトクラス名とは何が違うのでしょうか?

「PACLITE® プロダクトテクノロジー」や「 GORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジー」などは、それぞれのプロダクトクラスで個別に採用されている、個々の「テクノロジー」を表しています。例えばPACLITE® プロダクトテクノロジーはGORE-TEX® プロダクトで採用されているテクノロジーで、軽量・パッカブルという特性があります。ただし強度が足りないのでGORE-TEX® Proプロダクトで使われることはありません。このように、それぞれの物理的なテクノロジーは、その特性に合わせて各カテゴリに紐付いているというのが実際です。もちろんこれは現時点ではという話で、例えばこれとこれ組み合わせたら面白いんじゃないかといったことは日夜研究開発しているところでもあります。

―なるほど~長年の悩みがみるみる溶けていきます。それで、各クラスは具体的にどういう違いがあるのでしょう?

周りの環境と本人の活動量によって、GORE-TEX® プロダクトは極端な環境や負荷でないアウトドア全般に、GORE-TEX® Proプロダクトは過酷な環境下で止まったり動いたりが頻繁な活動に、GORE-TEX® Activeプロダクトはそれほど過酷な環境でないものの心拍数が高い状態が続く活動にそれぞれ最適化されています。

参考:プロダクトクラスの特徴比較表

タイプGORE-TEX® プロダクトGORE-TEX® Pro プロダクトGORE-TEX® Active プロダクト
特徴オールラウンド・バランス
  • 高耐久
  • 高透湿性
  • 高透湿性
  • 軽量
適したアクティビティ日常着からアウトドア全般登山・クライミング・バックカントリースキーなど過酷な環境でのアクティビティラン・バイク・クロスカントリーなどの高負荷アクティビティ
防水性★~★★★★★★
透湿性★~★★★★★★★★
耐久性★★★★★
構造2~3層(PACLITE®は2.5層)3層3層(GORE-TEX® SHAKEDRY™ プロダクトは2層)
生地厚さまざま40デニール以上40デニール以下
代表的なテクノロジー
  • GORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジー
  • PACLITE® プロダクトテクノロジー
  • 徹底した風雨試験
  • GORE® マイクロ グリッド バッカー テクノロジー
  • 徹底した風雨試験
  • GORE-TEX® SHAKEDRY™ プロダクト

―ここでぼくが実際にあった疑問なのですが、例えば40DのGORE-TEX® Proと75DのPACLITE® プロダクトテクノロジーでは、より耐久性が高い方を選びたいと思った場合どうすれば良いでしょうか。

あくまでも一般論ですが、まず強度にはいくつかの要素があります。例えば表面の摩耗に対する強さとか、もしくは引っ張ったときに破れやすいかという引裂強度などです。で、仮に冬山用のジャケットで、ハーネスを使うのであればPACLITE® プロダクトテクノロジーよりもProプロダクトを選んだ方がいいですね。ハーネスが当たる部分は特に擦れます。摩擦に対する耐久性を高めているのはやはり3レイヤーのProプロダクトです。先ほどもいいましたが、生地の耐久性は織密度によっても違います。こうした点からも最適なモデルを選ぶにあたっては、デニール数といった細かな違いよりもプロダクトクラスが何かということをまず優先的に考えるのが賢く選ぶコツだといえます。

―その他に選ぶ際のポイントなどはありますか?

プロダクトクラスを選んでから先は、一般的なウェアの選び方と基本的に変わりません。ウェアのフォルム、構造(レイヤー)、厚さ・重量など、同じクラス内でもまだまだ細かく違いがあるはずですので、より自分のアクティビティや好みに合った特徴を選んで問題ないでしょう。ただ先ほど触れたようにGORE-TEX® プロダクトに限っていえることとして、各プロダクトクラスにはその特性を補強・促進するさまざまなテクノロジーが採用されている場合があります。用途によってはあった方が格段に使いやすくなることも多いので、そこにもぜひ注目してみてください。

GORE-TEX® プロダクトのお手入れ方法について

―最後にGORE-TEX® ウェアの手入れ方法についてなんですが。洗わなきゃいけないということは分かっているんです。ただ、頻度とか、洗い方とか、細かいことを聞かせてください。

まずGORE-TEX® プロダクトを洗濯しなければならない理由は大きく2つあります。ひとつは表面の撥水性を維持するということ。これは快適性という意味で非常に重要です。表面の撥水機能が低下する要因のうち元々の撥水加工が消えるというケースはまれで、ほとんどは汚れが原因です。これらを落としてあげれば復活しますので、撥水性を維持するためにもまめに洗濯することは非常に重要です。

―なるほど。

もうひとつはシームテープが剥がれたり、メンブレン自体が汚れたりすることによって耐水圧が下がるのを防ぐためです。その劣化の原因は汗や皮脂であったりすることが多いのですが、洗濯には常に清潔にしておくことで性能を長持ちさせるという重要な役割があります。

―汚れを放置すると防水性まで落ちてしまうとははじめて聞きました。でも何となくですが、GORE-TEX® ウェアって素肌の上から着るわけではないし、しょっちゅう洗うイメージ無いのですが、どれくらいの頻度で洗うのがベストなんでしょう?

なぜかそのように思っている人が多いのですが、実はまったくそんなことありません。理想としては、汗をかかなかったとしても着用したら必ず洗うくらいに考えちゃってください。ユーザーからの問い合わせでも洗いすぎて劣化したという話は一度も聞いたことはありませんし、アメリカではシームテープを貼った状態で洗濯を繰り返すテストをしても問題無いという結果が出ています。

―本当ですか!そんなに洗った方がよいものだったとは……。

洗濯方法に関しても、普通に漂白剤や柔軟剤の入っていない普通の一般的な洗濯洗剤でいいですし、家庭用洗濯機でネットに入れて普通に洗ってもらって陰干ししていただければ最低限大丈夫です(もちろん各ウェアの洗濯取り扱い表示は確認する必要があります)。

―へぇ、ぬるま湯の方がいいとか、山用品店で売っている専用洗剤の方がいいとか、アイロンをかけろだとか、何となく面倒のものと思っていました。

もちろん我々が紹介しているような方法の方がより効果が高いのは確かですが、高い洗剤を使い手の込んだ方法で時々洗濯するというくらいなら、最低限のやり方で何度もこまめに洗っていただいた方が長い目で見れば効果は高いのです。

―最後に、洗った後の保管方法についてはどうでしょう?

よく山から戻っても使わなかったからといって放置してしまう方もおられるのですが、実際にはザックに入れているだけで背中から湿気が伝わってしまっています。湿気がこもることによって劣化してしまいますので、帰ってきたら必ずスタッフサックなどから取り出して拡げた状態で、乾いた場所に保管しておいてください。

まとめ

あっという間の2時間でしたが、個人的にはこれまで直接聞くことのできなかったさまざまな疑問を解消することができた、いちアウトドア好きとしてはまさに夢のような時間でした。結果的に基本的な話があまり載っていないインタビューになってしまいましたが、基本的な情報はいろいろな場所から入手することができますので、それと合わせて読んでいただくとより深い理解に繋がるんじゃないかと。

実際にはここに掲載している以外にも、シューズのこと、グローブのこと、テントのことなど話題が多岐にわたったインタビューだったのですが、ここに収められなかった情報は今後のコンテンツにちりばめていきたいと思います。

最後に、GORE-TEX®についての全般的な情報や最新情報などはこちらの公式ページに公開されていますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。

GORE-TEX®公式サイト

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