控えめにみてもワクワクしかない!新しいGORE-TEX PROは何が進化した?これからどうなる?中の人に聞いてきた

登山やクライミング、バックカントリースキーなど、過酷な環境で行うマウンテンアクティビティを安心して楽しむために必要不可欠なのが、雨や風雪、寒さから身を守る堅牢なアウター。それを支える生地・素材のパイオニアにしてトップブランドが「GORE-TEX プロダクト」であることはよく知られていると思います。

GORE-TEX プロダクトの肝となる素材は鉱石である「蛍石」を原料にした「ePTFE」と呼ばれるフッ素系の樹脂のフィルム(メンブレン)です。そこには微細な孔が無数に空いており、水蒸気を逃がしますが、外部からの雨水は通しません。黒いタグの「GORE-TEX ~」と書いてある製品には靴であれグローブであれ、すべてこの膜が入っています。

GORE-TEX プロダクトは進化とともに、用途に応じてさまざまなバリエーションを生み出していきました。そのなかでも、2007年、地球上で最も過酷なシチュエーションでの使用をも想定して開発され、現在でも世界最高レベルの耐久性と防水性を誇る素材が「GORE-TEX PRO プロダクト」です。

それが2020年秋冬シーズン、前回から数えて7年ぶりとなるテクノロジーの刷新が行われました。

早速某日、ゴア社の中の人に直接この新しい素材がどんな特徴を持ち、どんな可能性を秘めたものなのか、リモートでお話を聞いてきましたので、早速どうぞ!

目次

新しいGORE-TEX PRO プロダクトはここが進化した ~選べる3つのGORE-TEX PRO~

―今日はよろしくお願いします。早速ですが、新しいGORE-TEX PRO プロダクトは、どのようなコンセプトのもとで進められたプロジェクトなのでしょうか。

GORE-TEX PRO プロダクトは御存知の通り、GORE-TEX プロダクトのなかでも最も丈夫で耐久性に優れた保護を必要とする、アウトドアのスペシャリストやコアなアウトドア愛好家向けの製品です。GORE-TEX アスリート、山岳ガイド、ブランドパートナーの協力のもと行った調査では、GORE-TEX PRO プロダクトの優れたパフォーマンス性は認められましたが、さらにユーザーには2つのグループが存在することが分かりました。耐久性を最も重要視するグループと、透湿性を最も重要視するグループです。

そのような声を背景に納得のいくまで検討し、研究開発を積み重ねた結果が今回のリニューアルです。

―新しいGORE-TEX PRO プロダクトの特徴を簡単に挙げるとすると、どのようなことでしょう。

新しいGORE-TEX PRO プロダクトテクノロジーが進化したポイントは大きくいって2つあります。そのひとつ目は「耐久性」「透湿性」「ストレッチ性」を実現する、3種類のGORE-TEX PROテクノロジーです。

まず大前提として、長期に渡る過酷な環境に耐えうる「最も高い耐久性と堅牢性」を保つというGORE-TEX PROの基本的なコンセプトは変わりません。その上で、同時にさらに多様化したニーズや用途に合わせて、以下のように3種類の異なる特徴を備えた素材から選べるようになったのが今回のGORE-TEX PRO プロダクトです。

  1. 【極めて頑丈】GORE-TEX PRO most rugged technology
  2. 【極めて優れた透湿性】GORE-TEX PRO most breathable technology
  3. 【ストレッチ】GORE-TEX PRO stretch technology

―3つの種類はそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。

まず、GORE-TEX PRO most rugged technology(モスト ラギッド テクノロジー)は、名前のとおり、当社がアウトドアスポーツカテゴリで展開する素材のなかでは最も堅牢なGORE-TEX ファブリックです。

GORE-TEX PRO プロダクトは、素材・パーツの選定からウェアの構造やカッティング・縫製に至るまで、当社のなかでも最も厳しい基準を設けています。その中でも特にこのテクノロジーには、より強化された新開発のメンブレンが採用され、表地も70~200デニールの厚手生地を使用する必要があります。当然ながら、激しい摩耗が多く予想される、より過酷なアクティビティに適しています。

―これまでの堅牢性が更に強化されたということですね。次は「極めて優れた透湿性」について教えて下さい。

次にGORE-TEX PRO most breathable technology(モスト ブリーザブル テクノロジー)は、GORE-TEX PROの高い耐久性と優れた透湿性を併せ持ったファブリクスで、より過酷な環境において透湿性を高めることで快適性を提供しています。

その秘密は、GORE-TEX PROプロダクトではこれまで採用されなかった30デニールという薄手の生地を採用することができるようになったことにあります(もちろんこれまでのようにPROといえるレベルでの耐久性などの基準は保たれています)。このため、実使用レベルでの透湿性は結果としてこれまで以上の快適性を得ることができるわけです。

―なるほど。最後に「ストレッチ」についてはいかがでしょう。

おそらく今回のリニューアルで最もシンボリックな進化といえるのがこのGORE-TEX PRO stretch technology(ストレッチ テクノロジー)ではないでしょうか。これは改良された新しいePTFEメンブレンを採用することによって、高い透湿性や耐久性を保ちながら最大20%伸縮することを可能にします。

もちろん、現在でもストレッチ性を備えたGORE-TEX ファブリクスはすでに存在しますが、今回の新しいGORE-TEX PRO ストレッチ テクノロジーは、GORE-TEX PRO プロダクトの耐久性などの厳しい基準をクリアし、かつストレッチ機能を実現したところに、他にはない優れた優位性があります。

組み合わせることで多様な用途やニーズに応えられるように

―背面がGORE-TEX PRO ストレッチテクノロジーのサンプルジャケットを触ってみました。手が伸びる、上半身が曲げやすいですね。ところでこの3種類のGORE-TEX PRO プロダクトを採用した最終製品は、1つのモデルの中で部分的に組み合わせて作ることは可能なのでしょうか。

まさに今回、そこが重要な点です。実際にアパレル製品を設計するメーカー・ブランドは、この3種類のテクノロジーを組み合わせて1つの製品として開発することが可能です。より多くの選択肢を用意させていただくことで、これまで以上に各アクティビティに特化したウェアが作れるようになりました。ここから各ブランドがどのような製品を着想するのか、本当に楽しみにしています。

真の持続可能性に向け着実に進歩し続けるGORE-TEX PRO

―もひとつの大きなリニューアルポイント、サステナビリティへの取り組みについて教えて下さい。

当社は長年にわたりサステナビリティへの取り組みを続けてきました。製品の環境負荷を定量的に評価する国際標準ツールである「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を適用し、製品の環境への影響を改善することにコミットしています。

そのうえで、今回のリニューアルにおいては、その製造過程においても、製品による環境への影響を改善する努力を続けています。新しいGORE-TEX PRO プロダクトでは、高いパフォーマンスを維持しながら、特に裏地(マイクログリッドバッカー)の染色方法を見直すことにより、染色時の水の消費量を約45%削減可能としました(ストレッチは除く)。

また、表地の素材についても、十分なパフォーマンスを発揮するリサイクルナイロンの採用や、上記の染色方法による水消費量の削減など、着実に環境フットプリントの改善を図っています。

まとめと今後の楽しみ

新しいGORE-TEX PROが採用されたアイテムは、新しい GORE-TEX PRO テクノロジーの採用製品は、ARC’TERYX、Burton、DESCENTE ALLTERRAIN、Haglofs、Helly Hansen、MAMMUT、mont-bell、MONTURA、Mountain Hardwear、Patagonia、Phenix、Rab、THE NORTH FACE他のアウトドアメーカー各社より、2020年秋から順次発売される予定とのこと。

インタビューでもありましたが、新しいGORE-TEX PROで何よりも楽しみなのは、これまで通り基本的なコンセプトである高い堅牢性と耐久性を保ちながら、用途や目的に合わせてより多彩な機能を選択できるようになったことです。これまで良くも悪くもGORE-TEX PROは品質に対する高い要求からか、どのメーカーもある程度同じような特徴の製品になりがちだった印象をもっていたのは僕だけではないはず。それがこのリニューアルによって、これまでになかったさまざまなタイプの”究極のGORE-TEX ジャケット”が誕生するかもしれません。

例えば肩、腰、袖などの摩耗が激しい部分で特に頑丈なハードシェルや、背中や脇下が高透湿、そして可動域が大胆にストレッチする機動性抜群のハードシェル、あるいはとにかく軽量性と透湿性を突き詰めた”ファスト&ライト”ハードシェルなどなど、各メーカーはどんなコンセプトで既存の製品をアップデートしてくるのか、あるいはまったく新しいコンセプトの新製品を投入してくるのか、今から楽しみすぎて妄想が止まりません。

GORE-TEX PRO について詳しく見る(GORE-TEX 公式サイト )

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