意外と知らない?最適なトレッキングパンツの選び方

見た目だけで選びがちなトレッキングパンツについてまじめに考えてみる

世の中バックパックやトレッキングシューズ選びに多くの時間を割く人は多いと思いますが、トレッキングパンツについてじっくり時間をかける人はそうはいないのではないでしょうか。自分のことを思い返しても、これまで購入してきたパンツは大抵が型落ちセール品、十数年前の初心者時代はお約束のジャージでした。なので気持ちはよく分かりますが、実のところトレッキングパンツもシューズなどと同様、快適なトレッキングには欠かせない重要なパーツです。その昔沢登りに熱中していた時代、今では信じられないかもしれませんが粗末なジャージで思いっきり股擦れを起こすという、酷い過去を思い出すまでもなく、甘く見てはいけないのは確か。そこで今回は、これまであまり語られてこなかった、最適なトレッキングパンツ選びのポイントを5つに絞ってご紹介します。

目次

トレッキングパンツの特徴 ~普通のパンツと比べて何が違うのか~

チェックポイント1:タイプ

チェックポイント2:生地の厚さ

チェックポイント3:フィット感・動きやすさ

チェックポイント4:素材(UVカット・撥水性・透湿性・耐久性・重量)

チェックポイント5:ディテール(ウェスト・ポケット・裾)

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トレッキングパンツの特徴

まずはじめにトレッキングパンツとは何なのか、日常に履いているパンツと何が違うのかについて整理しておきます。大まかにいって、トレッキング用のパンツは日常穿くパンツに比べ、以下のような点で優れているという特徴をもっています。

  • 汗による不快感を軽減する通気性
  • もも上げや屈伸をしても突っ張らない機動性
  • 木や岩などによる傷から守る耐久性
  • 濡れてもすぐに乾く速乾性
  • 動きやすい軽量さ
  • 風、外気による寒さを防ぐ防風・防寒性
  • 多少の水や汚れを弾く撥水性

とはいえ現実には1着のパンツがすべてを兼ね備えているわけではなく、用途に応じて力点の違う製品がグラデーションのように存在しています。このためパンツを選ぶ際には自分がどんなアクティビティがメインなのかを考慮したうえで選ぶことが重要です。例えばクライミングなどの動きが多いアクティビティであれば身体の動きを妨げない軽さと伸縮性が求められますが、夏のハイキング程度ならば、何よりも求められるのは肌をドライに保つ通気性と速乾性です。また沢登りでは濡れることも登攀要素も多いアクティビティのため、その両方が求められます。

素材、デザイン、ディテールにいたるまで実にさまざまなモデルが存在しているのがトレッキングパンツ

チェックポイント1:タイプ

自然の中での行動では、傷や汚れをはじめ日差しや寒さ、虫刺されなどさまざまなリスクを避ける必要があるため、トレッキングパンツの基本はロングパンツ。とはいえ、あらゆる場面でロングパンツでなければならないわけではありません。スピード重視のハイキングや、真夏で距離の短いコースなどでは、ショート・ハーフ・カプリパンツなどの丈が短いタイプの方が適している場合もあります。さらに、最近のトレッキングパンツでは、ジッパーで接続され、ロングとショートを臨機応変に使い分けることができる「コンバーチブルパンツ」も増えつつあります。パンツを選ぶときにはまず自分の目的にどのタイプが最も適しているかをチェックしてみましょう。以下にそれらを選ぶ基準として、メリット・デメリットをまとめてみました。

種類 ロングパンツ ショートパンツ
(ハーフパンツ・カプリパンツ)
コンバーチブルパンツ
イメージ アークテリクス アークテリクス PALISADE PANT Graphite Graphite 30【Mens】 (パタゴニア)patagonia M\'s Tribune Shorts 57850 ASHT 30 カリマー(カリマー) カリマー Karrimor コンフィー コンバーチブルパンツ comfy convertible pants 2018M142 Charcoal (Men\'s)
メリット
  • バリエーション
  • 防寒性
  • 防護性
  • 対紫外線
  • 通気性
  • 動きやすさ
  • 重量
  • ロングとショート両方の特性をもつ(使い分け可能)
デメリット
  • 通気性
  • 動きやすさ
  • 重量
  • 防寒性
  • 防護性
  • 対紫外線
  • バリエーション
  • 重量
  • デザイン
  • (気になる人は)接続部分の違和感
  • 価格

選ぶときのポイント

  • 全体のシルエットやジッパー部分の肌触りが気にならなければより万能なコンバーチブルタイプが断然おすすめ
  • ライミング向けのパンツは特に動きやすさを重視したモデルが多く、他の機能でも重複する部分が多いためトレッキングにも十分活用できる(素材に綿が含まれていないことが前提)。
  • ショートパンツをチョイスする場合には日焼け・怪我・防寒対策は必須。その場合はサポート(機能性)タイツ等とのコンビがおすすめ。
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さまざまなシチュエーションで最適なスタイルに調整できるコンバーチブルタイプ。丈もハーフ・カプリパンツなど色々なバリエーションがある。

 

チェックポイント2:生地の厚さ

自分に適したパンツのタイプが決まったら、次はどのくらいの厚さ(ボリューム)がよいかを考えます。ポイント1でショートタイプを選んだ場合には、ほぼ夏の暑い時期しか想定しなくてよいと思いますが、ロングパンツの場合は生地の厚さによって、大まかに春夏向けと通年向け、そして積雪期向けに分けられます(積雪期向けは厳密には構造からして違いますが)。このうち通年向けモデルを選んでおけば(厳冬期以外)とりあえずは安心ですが、夏の低山などでは暑すぎて若干オーバースペックとなることも。以下にそれぞれのモデルの一般的な強みと弱みを整理してみましたので、参考にしてください(共通して生地のストレッチ性や透湿性能は備わっています)。

タイプ 春夏向け 通年向け 積雪期向け
強み
  • 伸縮性
  • 透湿性
  • 薄手・軽量
  • 通気性
  • 速乾性
  • 重量
  • 伸縮性
  • 透湿性
  • 防寒性
  • 耐久性
  • 耐風性
  • 伸縮性
  • 透湿性
  • 防寒・保温性抜群
  • 防水(撥水)性
  • 耐久性
  • 耐風性
弱み
  • 防寒性
  • 耐久性
  • 耐風性
  • 厚手の生地で重い
  • 通気性
  • 速乾性
  • 重量
  • 厚手&中綿入りで重い
  • 積雪期以外では暑い
  • かさばる
  • 価格

選ぶときのポイント

  • はじめて購入する人には汎用性の高い(コンバーチブルタイプの)通年向けモデルがおすすめ。ただし一番のおすすめは春夏向けモデルと通年モデルの使い分け
  • 軽量・速乾性が魅力な春夏向けモデルはインナータイツを二重履きするなど、工夫次第である程度寒い時期を乗り切ることもできる

チェックポイント3:フィット感・動きやすさ

フォルム(立体裁断)

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トレッキングパンツは可動範囲が広く、動きやすいことが第一。ただしだからといってルーズすぎては裾に足を引っかけて転倒する危険があるし、逆にタイトすぎても屈伸したときに突っ張ってしまいます。このため多くのトレッキングパンツは人間工学的に設計された立体裁断になっています。これは右の写真の膝部分を見てもらうと分かるように、膝部分に余裕を持たせるような作りにすることで屈伸しても突っ張らないようになっています。メーカーやモデルによって、他にもヒップの形状や股の遊び(ガセット)などさまざまな部分に身体の動きを妨げない構造が取り入れられているので、試着して比べてみることで、自分の身体や動きによりフィットするモデルを選びます。

ストレッチ性

もうひとつ、身体の自然な動きを可能にするために取り入れられているのが生地の高度なストレッチ性です。ストレッチ性の高いトレッキングパンツには素材にポリウレタン(スパンデックス)等が含まれており、驚くほど動きやすいモデルが数多く登場しています。これによって比較的タイトなシルエットでも自然な動きやすさを保つことができるため、安全かつ快適な歩行が可能です。選ぶ際にはストレッチの強弱や伸縮方向(縦・横一方向だけのストレッチや、縦横全方位のストレッチなど)がメーカー・モデルによってクセがありますので、実際に試着してみて感触を確かめてみましょう。

選ぶときのポイント

  • 実際に試着して大きく屈伸するなど身体を動かしてみて、動きやすさを確かめてみる
  • パンツに足を引っ掛けにくくなるので、ルーズ過ぎずストレッチ性の高い(動きを妨げない)立体裁断のパンツがおすすめ。タイトすぎて蒸れやすいのはNG。
  • ストレッチ性が高すぎると生地が厚めになる傾向があり、耐久性が落ちるなど、デメリットもあるので要注意。

チェックポイント4:素材(撥水性・透湿性・速乾性・UPF・耐久性・重量)

上に挙げたストレッチ機能以外にも素材によってさまざまな特性が存在しているので、以下をチェックしておきましょう。

撥水性

DWR(耐久性撥水)加工済みの生地であれば、多少の小雨や雪を弾いでくれますので非常に便利。ただし「防水」ではないので、本格的な雨への対策は忘れずに。

透湿性・通気性・速乾性

長時間にわたって行動すると、パンツは下半身の発汗に加え、上半身から流れ落ちた汗によって多くの水分を含んでしまいます。濡れはアウトドアにとっては致命傷となりますので、トレッキングパンツには高い透湿性と速乾性、適度な通気性があるものを選びましょう。この意味からもチノパンやジーンズは厳禁です。なお、素材そのものより高い通気性を確保するため、側面に配置されたベンチレーション(換気口)で通気性を向上しているパンツもあります。

UPF素材

UPFは「紫外線防止指数」、つまりその衣服が紫外線や日焼けからどのくらい肌を守ってくれるかを表しています。数値が高いほど紫外線防止効果が高いのですが、通常の衣服自体も当然ある程度の紫外線は防いでくれています。どうしても日焼けが気になるという方はこの特性をもつ素材のパンツを選びましょう

耐久性・重量

動きも激しく外部との摩擦も多いパンツは、実はウェアのなかでも非常に消耗しやすい部類に入ります。ぼくの場合はというと、どうもかかとで裾の内側をすっていることが多いらしく、歩いているうちにいつの間にかできた裾のほころびに気づくことがしばしば。このため当然のことながら、トレッキングパンツにとって耐久性は重要な要素です。理想は高い耐久性を備えた軽量な素材、なのですが、実際には薄手の軽量素材では耐久性をある程度犠牲にしなければならないでしょう。ベストな選択は耐久性と重量のバランスがとれたパンツを選ぶことですが、間違いないのは目的別に特化した複数のパンツを使い分けることで、結果的に長持ちさせることです。

チェックポイント5:ディテール(ウェスト・ポケット・裾)

ウェスト

トレッキングパンツのウェストは大きく調節機能がついているタイプとついていないタイプに分けることができます。調節できないタイプはベルトループが付いており、自分で別にベルトを用意する必要がありますが、その分融通性は高いです。一方調節できるタイプはさまざまな調節方法があり、使い易さや調節の幅もそれぞれ異なるので、実際に試着して確かめる必要があります。他に経験上注意すべき点としては、中央のボタン(バックル)が厚みのある金属だったりすると、人によってはバックパックのヒップベルトで痛いくらいに圧迫されたりする場合があるので、ベルト部分は過度に凸凹しないかどうかもチェックしておくとよいでしょう。

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さまざまな調節機能。左上は左側のテープを引くことで長さを調節、左下は内部に仕込んだ付属ベルトで調節するタイプ。右上はベルトループのみ、右下はベルトループと両脇の面ファスナーで調整するタイプ。

  • ウェストの調節機能はシンプルであるほど快適。調節部分がよりシンプルで、簡単にサイズをフィットさせられるものを選ぶ
  • 実際に試着してフィットするかどうか確かめてみる

ポケット

パンツの使い勝手を大きく左右するポケットの仕様ですが、ついている場所や数、大きさ、ジッパーのある無しなど、実際のところパンツによって大きく異なります。また単なるポケットとしての役割ではなく、ヒップ部分の耐久性補強や、ベンチレーション(通気性UP)機能を担っていることもあり、実際に満足できるかどうかは試着してみないと分からない部分が多いです。ただひとつだけいえるのは、使い易さという意味では多いに越したことはないということ。重量やスタイルなどを優先して(?)控えめなモデルがたまにありますが、その結果何を入れてよいか分からない、ただあるだけのポケットになっていたりすることもありますので、ここはしっかりとチェックしましょう。

pockets

ポケットの位置は一般的にはヒップ・ウェスト・太腿が多いが、大きさや数はさまざま。

  • 重量やフォルムを考えなければ基本的にはポケットは大きくて数が多い方が使い易くおすすめ
  • モノが落ちないようにポケットはジッパー付きの方が安全
  • クライミングにも使う場合にはハーネスのベルト位置に被らないかどうか確認

ドローコード付きの裾

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最近のトレッキングパンツでは一般的な、ドローコード付きの裾(写真左)

最近では裾にドローコードがついているモデルが一般的になりつつあり、あれば便利なことが多いですが、トレッキングに支障が出るほどではないので、優先度は低くてよいと思います。便利な点は主に3つ。

  • 裾が広がるのを抑え、脚に引っ掛けにくくなります
  • シューズの上から締めて、簡易的なゲイター(小石や水の侵入を防ぐ)になります。
  • ロングパンツをまくり上げて、ハーフパンツとして履けるようになります。

まとめ

日常のパンツと同じ感覚で選ぶとせいぜいフォルムと動きやすさ程度で満足してしまいそうですが、調べてみると意外と機能差が大きいのがトレッキングパンツであったりします。今回のまとめが利用シーンや季節、場所によって最適の一着を選ぶ際の参考になれば幸いです。それでは素晴らしいアウトドア・ライフを!

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