ワークマンで登山!2020春夏注目モデルを徹底レビュー 〜トレッキングパンツ編〜
このサイトではおなじみ、ワークマンの格安ギアレビューも早いもので5年目に突入しました。この間、ワークマンの知名度はあれよあれよとうなぎのぼり。(当時からは信じ難いことですが)今では「高コスパ」アパレルの代名詞から「イケてる」アパレルブランドとして認知されるまでになりかけているとか、いないとか。この快進撃どこまで続くのやら、まさに天井知らずと言ったところです。
その勢いを反映するように、ワークマンでは今シーズンもさまざまな新作・アップデートが数多く登場しています。そこで毎年恒例、低山ハイキングや軽登山、トレイルランニングなどに活用できそうなアイテムを発掘すべく、2020年春夏モデルの中から商品をピックアップして、登山に実際に使ってみたレビューを今年もはじめていきます!
目次
レビューにあたって ピックアップアイテムと評価基準について
ワークマンのアイテムについては、人気者になったおかげで、最近ではたくさんの情報が集まるようになった一方、あまりにも多くの情報が溢れすぎているため「誰にとって・何にとって」良いのか(悪いのか)という、読み手にとって実用性のある有益な情報が届きにくくなっている気がしています。このレビューでは何でもかんでも絶賛することもせず、もちろん一面的に批判するわけでもなく、変な誤解のないように、このサイトの評価スタンスをあらかじめお伝えしておきたいと思います。
このレビューでは特にことわりのない限り「登山やトレイルランなどのアウトドア・アクティビティ」をメインにした使い方という視点から、使えるワークマンアイテムのレビューをお届けしていきます。ここで「使える」というのはあくまでもハイキングや軽い登山などのアウトドア。逆にいうと、ここで低評価であったとしても、キャンプやバイクツーリングなどの軽いアウトドアであれば問題なかったりもしますので、そのあたりはみなさん読み替えてください。
まず今回は2020春夏モデルから「ハイキングや登山に使えそう」という視点から以下の3モデルのパンツをピックアップしました。この3モデルは決してストレートに登山用に作られているわけではなく、あくまでもアウトドア用パンツの特徴を取り入れたワークウェアです。ただ過酷な本格登山でなければ、十分利用できる可能性は十分あるとみてピックアップしています。
- Aero Stretch クライミングパンツ
- Aero Stretch カーゴパンツ
- CORDURA EURO デュアルパンツ
評価基準
評価するにあたり、以下の5項目を評価の指標に設定しました。
- 快適性・・・いかに快適にストレスなく穿いていられるか
- 機動性・・・動きを妨げられずにアクティビティに集中できるか
- 機能性・・・ポケット等の機能が充実し、それが実用的かどうか
- 通気・透湿性・・・夏は特に気になる衣服内のムレ
- 重量・・・実重量のみでなく、実際に使った時の重量感も考慮
以上5点を意識し、実際に山道を歩いたり走ったりしてテストしました。それぞれの各項目について◎◯△の3点で評定し、軽い登山へのオススメ度として★5点で評価しました。
レビュー結果&スペック比較表
スマホ向けの軽量表示で表が見づらいという方はこちら
おすすめ度 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
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アイテム | Aero Stretch クライミングパンツ | Aero Stretch カーゴパンツ | CORDURA EURO デュアルパンツ |
ここが◎ |
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ここが△ |
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快適性 | ◎ | ◯ | △ |
機動性 | ◎ | △ | ◯ |
機能性 | ◯ | ◎ | ◎ |
通気・透湿性 | ◯ | ◯ | △ |
重量 | ◯ | ◎ | △ |
スペック | |||
参考価格(税抜) | ¥1,900 | ¥1,900 | ¥3,900 |
実測重量 | 330g | 225g | 494g |
サイズ展開 | S、M、L、LL、3L、4L | S、M、L、LL、3L、4L | S、M、L、LL、3L |
素材 | ポリエステル89% ポリウレタン11% | ポリエステル100% | 本体:ポリエステル65%/綿35% 膝:CORDURA(ナイロン)100% |
ポケット |
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商品番号 | CS003C | CS001D | CP005A |
各モデルのインプレッション
Aero Stretch クライミングパンツ 登山おすすめ度:★★★★☆
おすすめ◎ポイント
- ストレッチ性
- 立体裁断で高い機動性
ここが△
- 撥水性があればなお良し
Aero Stretchクライミングパンツは、ワークマンのフィールドコアシリーズでも高い人気を誇るベストセラーモデル。立体裁断・ストレッチ性による機動性の高さ、吸汗速乾を備えた汎用性の高いパンツです。基本的に大きな変更はありませんが、2020シーズンではブラウンのみ防虫加工が施されるようになったのは大きなトピックです。高所での本格登山ではさほど重要ではないかもしれませんが、低山歩きやキャンプではありがたい。
生地は全方向へ4wayストレッチが効くので、細身でタイト目なフィッティングながら動作の妨げになることはありません。
股の部分は180度開脚できるようにマチが付いているのと、膝の部分は立体裁断で生地のストレッチ性に頼ること無く、機動性を高めています。
生地の厚さはやや薄めですが、耐久性はワークマンだけに悪くありません。通気性は高めで、その反面防風性は殆どありません。撥水など水に対する耐性はないので、水がかかると染みてきて拡散してくれますが、乾くのにはやや時間がかかり気味です。同じように汗も吸い上げて、速乾とまではいきませんが蒸散させてくれます。
生地の裏はベトつかないように凹凸をもたせているので、通気性も相まって快適性は高めです。
ポケットは全部で6つあり、そのうち3つはジッパー仕様、2つがスナップボタン仕様で、行動中にモノを落としにくいようになっています。ポケットの裏地は全てメッシュ生地を使っているので、ここでも通気性を高める工夫が見られます。
現在6色展開していますが、そのうちの一色ブラウンは、2020シーズンモデルから防虫加工が施されるようになったので、これからの季節のキャンプなどでは重宝するかもしれません。
高いストレッチ性、通気性、そこそこの吸湿速乾性をもった、価格以上の価値があるパンツです。さすがベストセラーモデルだというのは納得です。ハイキング・登山・クライミングをはじめとした下半身を大きく動かす幅広いアウトドア・アクティビティに使用できる汎用性の高いイチオシモデルです。ぜひ次回のアップデートで撥水性をもたせてくれれば、アウトドメーカーとも渡り合えるはずです。
Aero Stretch カーゴパンツ 登山おすすめ度:★★★☆☆
おすすめ◎ポイント
- 軽量な実重量・履き心地
- ポケッタブル
ここが△
- ストレッチ性
Aero Stretch カーゴパンツは、実測重量240gの軽量性とストレッチ性のある、薄手のカーゴパンツです。ストレッチは横のみの2wayで、ストレッチ性はそこまで高くありません。しかし、膝周りは立体裁断になっているので、ある程度の動きやすさは確保されていますが、クライミングのようなダイナミックな動きには対応は難しそう。
生地自体が薄いので、通気性は高めです。そして生地裏には凹凸があり、汗をかいてもベタつきを減らす工夫がされているので、この季節でも快適に履いていられます。
スラッとしたストレートで、ボタンは金属製のような塗装で、普段遣いにも違和感はありません。
腰には服がズレないように定間隔でシリコンの滑り止めがついています。
ヒザ下はロールアップできるようになっています。
カーゴパンツだけあり、ポケットは全6つで収納性は高めです。そのうち右後ろのポケットはジッパー付きで、ポケット兼パンツをしまい込めるポケッタブル仕様です。
軽量でポケッタブルなので持ち運びにも便利で、ストレッチ性と立体裁断による機動性はトレッキング程度であれば十分。薄手で通気性も確保されていることからも、これからの季節トレッキングで活躍しそう。宿泊を伴う山行で着替え要因としてバッグに入れておくのも良さそうです。
CORDURA EURO デュアルパンツ 登山おすすめ度:★★☆☆☆
おすすめ◎ポイント
- 高い耐久性
- 縫い目の肌触りが気になる
- ハーフパンツにもなる2way仕様
ここが△
- 実重量も履き心地も重い
- 登山ではあまり使わない機能性が過多
最後はCORDURA EUROデュアルパンツです。パンツの名前にある、CORDURAは生地に耐摩耗性のあるコーデュラを採用したことから、デュアルはファスナーの開閉でシハーフパンツにもできるという2way仕様だからでしょう。この耐久性や機能性の高さからアウトドアで活躍しそうな気がしますが、実際はどうなのでしょうか。
まず生地には、先述のようにコーデュラはもちろん使われているのですが、実はパンツ全体ではなく膝部分のみ使われています。それでも膝以外には耐久性のあるリップストップ生地を使っています。生地は見た目のゴツさに比べて薄めなので、思ったより快適ですが、耐久性を上げるためか編み込みが密なため、通気性はいまいちです。
その通気性の低さを補うためか、膝裏はストレッチ性のあるメッシュ生地を使い、ムレを防いでいます。
その膝部分ですが、基本的には他の部分と同じ生地なのですが、膝を覆うようにコーデュラが使われていて、ポケットのようになっています。そしてなんと、そのポケット内ににはEVA素材と思われる薄めのパッドが入っています。このパッドは衝撃を吸収するためで、アウトドアでは使いみちあるかな…といったところです。取り外しは可能です。
他にも付随する機能は多く、機能性は高め。まず、ポケットは合計7つありその内の4つは、モノを入れても動きが窮屈にならないように生地に縫い付けてありません。
左のバックポケットには、タオルなどを掛けられるようにバンドが付いています。
あとはなんと言っても、膝下のジッパーを開けることでハーフパンツになることです。通気性が低いので暑い時は外せば暑い夏でも十分使えそう。
全体のシルエットはゆとりのあるデザインのように見えますが、実際履いてみるとそこまでルーズではなくややタイト気味。ゆとりのあるパンツを求めている人には向かなさそうです。
生地の耐久性は高く、機能性も高い(多い)ですが、これら機能をアウトドアで活かせるかという点は疑問です…生地に縫い付けられていないポケットは動きやすいのですが、外側にひらひら動くので、引っかかったり邪魔になることがあります。タオル工具を掛けるギミックも、使いみちが思い浮かびません。この生地を使って、もっとシンプルなパンツがあればとても重宝しそうなものですが…
まとめ
今回はワークマン・フィールドコアシリーズから、2020年春夏モデルのパンツをハイキングや登山など、アウトドアアクティビティで通用するのかテストしました。
エアロストレッチ・クライミングパンツ、エアロストレッチ・カーゴパンツは十分アウトドアユースでも活躍してくれそう。特にクライミングパンツはどんなアウトドア・アクティビティにでも使える汎用性があり、”値段以上”の上を行くお買い得感があります。高耐久素材であるコーデュラを使ったデュアルパンツは、その売りの通り耐久性も機能性も高いのですが、その機能性がアウトドアアクティビティでは活かせられるかは悩みどころです。ただ、冒頭で話したようにあくまでも登山・ハイキングなどに限っての評価ですので、これがこのアイテムの絶対評価だとは思わないでください。山行を伴わないキャンプなどでは活躍の場を見いだせるかもしれません。
いずれにせよ、この価格でここまでの性能のパンツが手に入るとは、相変わらず驚きのワークマン。もちろんこれさえあれば十分ということではなく、あくまでも入門用・あるいは用途を低山・日帰りなど軽いルートに限ればということではありますが、奥深いアウトドア道具の入り口としては十分なクオリティ。山登りって道具が高いからとハードルの高さを感じていた人は、ぜひともここから多様なアウトドアの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょう。
なお、当サイトは2019年秋よりワークマン・アンバサダーとして、ワークマンよりレビュワーが興味をもった道具についての提供を受けています。しかしレビュー記事内容については当サイトの通常レビューポリシーに従って作成されており、事前にチェックなどは行っておらず、また物品提供以外で金銭的な報酬などはいっさい受けておりません。