ワークマンで登山!2020春夏注目モデルを徹底レビュー 〜トップス・ベースレイヤー編〜
登山やトレッキング、トレイルラン用に作られたTシャツやカットソーは、経験上、実際に着てみてある程度の極限状況に遭遇してみれば、その快適さと安全性・機能性の高さ、つまりは品質の高さを嫌というほど実感できるのですが、いかんせんぱっと見たときの、その価格の高さは否めません。ただ一度その品質と快適さを理解できさえすれば、その後は日常生活でさえ手放せなくなる人が多数いることは事実です。
もちろん、そんな専門ブランドの製品にだって当たり外れがあるのも、また事実。それなのにさまざまな季節、アクティビティごとに、それ用のギアや服を毎回揃えるのは、アウトドアを始めたばかりの人にとって簡単なことではありません。ましてやより安全だからといってハイエンドなものばかり揃えていては、すべて揃え切る前に力尽きてしまいます。・・・そこでワークマンです。これまで多くの製品をレビューしてきましたが、そのたびに、エントリーレベルの幅広いアウトドアに対して専門ブランドもビックリのコストパフォーマンスをこれまで何度も見せてくれています。
そこで今回はワークマンの2020年春夏モデル(主に新製品)から、機能性がアウトドアアクティビティに向いていそうなトップス・ベースレイヤーをピックアップし、実際に登山に使用してみました。登山という視点で見たとき、毎年安定して使える製品が多いのが山シャツ・カットソー(ベースレイヤー)です。果たして今シーズンはまた新たな掘り出し物に出会えるか。
目次
レビューにあたって ピックアップアイテムと評価基準について
当サイトではこれまで同様、特にことわりのない限り「登山やトレイルランなどのアウトドア・アクティビティ」をメインにした使い方という視点から、使えるワークマンアイテムのレビューをお届けしていきます。ここで「使える」というのはあくまでもハイキングや軽い登山などのアウトドア。逆にいうと、ここで低評価であったとしても、キャンプやバイクツーリングなどの軽いアウトドアであれば問題なかったりもしますので、そのあたりはみなさん読み替えてください。
今回は2020春夏モデルから「ハイキングや登山、トレイルランに使えそう」という視点から以下の3モデルのトップス・ベースレイヤーをピックアップしました。この3モデルは決して登山用に作られているわけではなく、あくまでもアウトドア用トップスやベースレイヤーの特徴を取り入れたワークウェアです。ただ過酷な本格登山でなければ、十分利用できる可能性は十分あるとみてピックアップしています。
- 1335 クライミング長袖ハーフジップ
- 1347 遮熱-5℃冷感クライミング半袖ポロシャツ
- 1342 肌がさらさら ZERO DRY(ゼロドライ) -5℃ 長袖ハーフジップ
評価基準
評価項目については、以下の5点を指標に設定しレビューしました。
- 快適性・・・汗をかいたあとのベトベト感や、動きへのストレスの低さなど、快適に着続けられるか。
- 通気性・・・単純な風通しの良さだけでなく、水分を含んでいる状態も空気がしっかり循環してくれるかどうか。
- 吸水性・・・汗をかいた時の汗を吸い上げる機能性を比べました。
- 速乾性・・・汗を吸ったあと、洗濯後の乾きの早さを比べました。
- 耐久性・・・性能が高くても、すぐへたってしまえば元も子もありません。生地の丈夫さの指標です。
以上5点を意識し、実際に山道を歩いたり走ったりしてテストしました。それぞれの項目について◎◯△の3点で評定し、軽い登山へのオススメ度として★5点で評価しました。
レビュー結果&スペック比較表
スマホ向けの軽量表示で表が見づらいという方はこちら
総合評価 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
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アイテム | 肌がさらさら ZERO DRY(ゼロドライ) -5℃ 長袖ハーフジップ |
クライミング長袖ハーフジップ | 遮熱-5℃冷感クライミング半袖ポロシャツ |
ここが◎ |
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ここが△ |
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快適性 | ◎ | ◯ | ◎ |
通気性 | ◯ | ◎ | ◎ |
吸水性 | ◎ | ◎ | △ |
速乾性 | ◎ | ◯ | ◯ |
耐久性 | ◯ | ◯ | △ |
スペック | |||
参考価格(税抜) | ¥1,500 | ¥1,500 | ¥980 |
実測重量 | 179g | 186g | 161g |
サイズ展開 | S、M、L、LL、3L | S、M、L、LL、3L | M、L、LL、3L |
素材 | 表:ポリエステル100% 裏:ポリプロピレン100% | ポリエステル100% | ポリエステル100% |
UVカット | ○ | × | ○ |
商品番号 | 1342 | 1335 | 1347 |
各モデルのインプレッション
肌がさらさら ZERO DRY(ゼロドライ) -5℃ 長袖ハーフジップ アウトドア的おすすめ度:★★★★☆
おすすめ◎ポイント
- 続く肌のドライ感
- 動きやすさ
ここが△
- やや重みを感じる着心地
今回テストしたモデルの中では、唯一表と裏の生地の仕様が異なったモデルです。表地はポリエステル生地ですが、肌の当たる裏地には、水分を蓄えないポリプロピレンを採用しています。ZERO DRY®という名前の由来となっているその機能によって、汗をかいてもポリプロピレンが表地へと水分を移動させてくれるので、常にドライな状態を保ってくれます。
裏地から水分を送られた表地は、その水分を広く拡散させて蒸発させるので、超大量に汗をかけば滴ってくるでしょうが、適度な汗であれば肌は常にドライ、名前通りさらさらな状態を維持してくれます。
と、これがこのモデルの特徴です。この構造、アウトドア用のシャツでもよく見かけるものではあります。細かいところを見ていけばもちろん品質に差はあるのですが、この価格でここまでできるのだということはやはり驚かずにはいられません。
ラグランスリーブのおかげで肩周りも動きやすく、ザックのショルダーベルトに縫い目が重なることもありません。また腕を真上に挙げても変に裾がずり上がってくることもなく、運動時の快適性も考えられたカッティングです。
体側から脇まで、色の異なる生地を使っていますが、メッシュ地になっているわけではなく、色が異なるだけで生地は同じ仕様のようです。
胸元はジッパー仕様。みぞおちまで開けられるので、熱気がこもった時の換気に役立ちます。アゴ部分にはガードがあり、顎に直接当たらないようになっています。ちなみにこのジッパー、ロックを掛けられるので、フックを下に向けておけば勝手にジッパーが開閉しないようになっています。こういう細かい機能も嬉しいポイント。
フィッティングは体のラインに沿ったタイト目な作り。他の2枚が脇から裾まで幅がほとんど変わらないのに対し、このモデルは徐々にやや狭くなっています。しかし横方向へのストレッチは十分効くので、きつく感じることはないでしょう。あと、前身頃より後ろ身頃の方が長いので、屈んだ時に背中が出にくいようになっています。
常に肌がドライな状態に維持してくれるのは、ベトつきを気にする必要もなく快適。今年のモデルからは表地に太陽光を反射して衣服内の温度上昇を抑制する繊維を採用しているので、夏には特に活躍しそうです。
クライミング長袖ハーフジップ アウトドア的おすすめ度:★★★★☆
おすすめ◎ポイント
- メッシュ地による高い通気性
- フラットな縫い目
ここが△
- 生地が保水しがちで、速乾性がやや弱い
生地はポリエステル100%。汗をかいたり水がかかるとちゃんと吸い上げて拡散し放出してくれます。そのおかげで多少汗をかいても、それなりに快適に過ごせます。しかし汗の量が多くなると、どうしてもキャパオーバーになり、滴ってきます。適度な運動強度が適当です。
しかし汗をかいて蒸れやすい箇所である体側から脇下、そして腕の内側にかけてメッシュ生地を採用し、汗が溜まる部分の通気性は確保されているため、全体的な速乾性は低いわけではなく、発汗の多い場面での快適性も悪くありません。
生地には表裏共に特殊な加工はしていませんが、サラサラな手触りで多少汗をかいて湿っていても不快感はありません。
肩部分はラグランスリーブなので、腕っを上げる時につっぱらないので、ランニングのみならずダイナミックな動きをするアクティビティでもストレス無く着られます。
縫製は概ね丁寧、縫い目はフラットに処理されていて肌とのアタリは気になりません。
フロントは長めのジッパー仕様で、みぞおちまで開けることができます。アゴ部分はガードが付いていて、ジッパーを締め切った時に顎に当たらないようになっています。
左胸にはジッパー式ポケットがあります。ポケットは6インチのスマホくらいなら余裕で入るほどに大きく、実用性も高いです。ただあまり重いと歩く時弾むので、重いものは入れられません。ちなみにファスナー周りは反射プリントになっていて、暗闇で光が当たると反射します。
生地はそこまで薄くはありませんが、通気性もあり、吸汗速乾性も備わっていて、胸元のジッパーとメッシュ地で熱も放出できるので、春〜夏〜秋いつでも着ていられて、おもわずヘビーローテーションしたくなります。ただ防臭性能はないようなので、いっそのこと数枚購入して着回してもいいかも。
遮熱-5℃冷感クライミング半袖ポロシャツ アウトドア的おすすめ度:★★★☆☆
おすすめ◎ポイント
- 軽い着心地
- 胸のポケット
ここが△
- 生地の薄さゆえの耐久性
今回の3着のなかで唯一接触冷感機能を備えたモデル。夏向けの山シャツとして期待大です。今回はそんなわけで半袖ポロシャツをチョイスしましたが、ロングスリーブモデルもあるので、好みに合わせて選べます。
生地は柔らかく、生地感的にも軽量で着心地はかなりいい。そして密度低めに編みこまれているため、通気性は高く、夏の暑い日でも快適に着ていられます。
注目の冷感効果ですが、意外にも名前にあるほど着て冷たいと感じるわけではありませんでした。ただ、生地に遮熱効果がある糸を使用することで太陽光を反射し衣服内の温度の上昇を抑える機能もあるため、それらと合わせて暑い時期での涼感は3つの中では頭一つ抜け出ていると言えます。暑くなればなるほど、この快適さは際立つでしょう。ただ正直これだけが半袖モデルのため、その差がそう感じさせているだけであることも否定できず、いざ汗をかき始めてから汗びっしょりになった時の吸水・速乾性については前2モデルの方がよく感じられました。
ポケットはクライミング長袖ハーフジップ同様圧着仕様ですが、サイズは小さくファスナーも耐久性というよりも目立たなさを優先です。
身頃のフィット感はゆったり目。ピッタリ着るより、すこし余裕をもって着られる様になっています。ストレッチはかなり効くので、ピッタリ着たい方は1サイズ小さいサイズを選ぶようが良いでしょう。
通気性は高く吸汗速乾性もあり、着心地も軽快なので、真夏でも快適に着ていられそう。シルエットはピッタリスリムではないので、トレイルランニングやクライミングなどではそれが気になりそう。どちらかというと、登山・トレッキング、キャンプサイトで使うとのが良さそうです。1,000円を切る格安さと、カラーバリエーションも豊富なので普段着でも活躍するし、軽量・速乾なのでキャンプや旅行に数枚持っていけば、汗をかいても洗って使えて便利。とても汎用性の高いモデルです。
まとめ
今回もワークマン・フィールドコアシリーズから、2020年春夏モデルで登山・トレッキングやトレイルランなど、アウトドアアクティビティで通用するトップス・ベースレイヤーがあるのかテストしました。
個人的なオススメは、肌がさらさらゼロドライ-5℃ 長袖ハーフジップ。やはり裏地に保水しない生地を採用することで、常に肌に触れる部分はドライな状態に保ってくれます。フィット感も僕の好きなタイト目で、春から秋まで長く活躍する逸品です。これなら秋口に気温差がある場面でも汗冷えしづらいので、今シーズン長くお世話になれそうです。
しかし、クライミング長袖ハーフジップも負けてはいません。ドライ感や総合的な快適性ではやや劣るものの、メッシュ地を使い分けたハイブリッド仕様で、通気性は抜群。UVカットこそついていませんが、真夏の日焼け対策などで使うのもありです。裏地の縫い目がフラットなのも、着心地が良くて◎でした。この長袖2枚は長所短所がありどちらが優れているとは言い難く、使う人の好みやシチュエーションで使い分けると良さそうです。
遮熱-5℃冷感クライミング半袖ポロシャツも軽快な着心地と、高い通気性、そして太陽光を反射して遮熱してくれるということで、真夏の炎天下では活躍するでしょう。ただ、フィット感が意外とゆったりフィットなのと、吸水性がいまいちなので、大量に汗をかくと生地が処理できなくなるので、アクティビティで使うより、アクティビティ後の着替えや普段遣いのほうが気持ちよく使えそう。
今回テストしたモデルはシーンによってはかなり使いがいがあることは間違いなさそうです!モデルによってはすぐ品切れになることもあるので、気になる人はチェックしてみてください。
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