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来年まで待ちきれない!Outdoor Retailer Winter Market 2017 で気になった最新ギアまとめ

毎年恒例の『Outdoor Retailer Winter Market』レポート。今年の冬も残念ながら現地取材は適わずでしたので、今回も外野から分かる範囲で2017-2018シーズンの最新アウトドアギアについてあれこれ妄想を膨らませてみようと思います。

『Outdoor Retailer(以下、OR)』とは毎年夏冬の2回、アメリカ、ユタ州の州都ソルトレイクシティで行われる全米最大の(小売店・プレス向け)アウトドア用品見本市。世界中から大小1,000を超えるアウトドアメーカーが集結し、来シーズンを見越した新製品たちがお披露目される巨大イベントです。イベントはダウンタウンにあるメイン会場の他、郊外のフィールドに設けられたさまざまなブランドの製品が気軽に試着・試乗できるデモ会場とに分かれており、今年のデモ会場の様子はYouTubeに紹介されています。

それでは早速、以下、今回発表されたアイテムのなかから「これは!」と思った注目の新製品をご紹介します。なお、発表されている製品情報は北米マーケット向けのため、これらが日本で発売されるか、また発売時期・価格ともまったくの未定ですのでそこは踏まえてご覧ください。

アパレル編

Mountain Hardwear StretchDown DS Hooded Jacket

MHW自体、ストレッチするダウンジャケットは昨年からラインナップしていました。ただそのトラディショナルな風情がどうにも引っかからなかったのですが、次期モデルにあたるコイツは一目見てあからさまにそそりますね。その個性的なバッフルは縫い目なく圧着され、不連続なバッフルを作成することでこれまで以上にストレッチ性が増し、通気性も向上、一般的なダウンジャケットよりも保温力も向上させたとか。 もちろんダウンなので非常にコンパクトにまとまります。早く実物みてぇよぅ。

Outdoor Research Alpenice Hooded Jacket

毎年新しい素材などに積極的なアウトドアリサーチの新作は、最近大流行の”通気する”中綿素材「Polartec Alpha」の進化系「Polartec Alpha Direct」を採用した高機能インサレーションジャケット。最大の特徴は表面を起毛させることで裏地を当てずに保温性と通気性を最大限に活かせるということ。さらに表地に配置された高密度な「Pertex Microlight」によって防風性、撥水性に加え強度・耐久性を確保。上腕、肩、フードには独自の防水透湿ファブリックを組み合わせ、アウターにもミドラーにも活躍しそう。※参考イメージは下電子カタログ上の6番

ARC’TERYX Alpha IS

毎年この場で誰もがあっと驚くアイデアの新作を発表してくれるアークテリクスはまたしても「おや」と思うアイデアで我々を悩ませてくれます。新作(ビレイ用?)ジャケットはどうやらインナーの化繊インサレーションとアウターのGORE-TEXシェルが一体化した、いわゆる中綿入ジャケット。2つのレイヤーを1つにまとめたことで18%の重量削減を実現したとか。ただこれまでの常識で言えば、普通に考えて登りで暑くならないか?と思うのですが、アーク独自の高通気性インサレーション「CORELOFT Continuous」と組み合わせたことによって通気性・汗処理能力を高めているらしい。もしくはビレイ用だから汗処理は二の次なのか。実際に見てみるまでなんとも言えませんが、妥協を知らないArc’teryxのことなので今は期待しかありません。ついでに価格も抑えめであることを期待!

THE NORTH FACE W SUMMIT L3 VENTRIX HOODIE

米国TNFのハイエンド向けモデルSummit Seriesは毎年デザインも機能も突き抜けた製品が多くて眼が離せないのですが、このミドルレイヤーはストレッチ性のある断熱材「Ventrix」を使用し、ストレッチ時に汗や余分な熱が放出されるように設計されたというダイナミックな通気断熱機能を備えているといいます。 肩の部分には摩耗に強い厚手の生地をマッピングし、動きやすいスリムなシルエットなど、寒い季節の激しい活動に耐えうる仕様は期待大。

Montane Icarus / Phoenix (PrimaLoft Insulation Thermoplume)

ここ数年の高機能インサレーション素材競争は止まることを知らず、世界的トップブランドのひとつであるプリマロフトが来期またしても画期的な新素材「ThermoPlume」発表。早速こちらを採用したインサレーションジャケットがイギリスのアウトドアブランド、モンテインから発表されています。この素材、一般的な化繊中綿がシート状で生地に縫い付けられるのに対し、ダウンに似て息で吹き飛ばすことができるほどの画期的なふわふわ構造。つまり化繊の「濡れても保温性が落ちない・手軽に洗える」とダウンの「嵩高・軽量・パッカブル」のいいとこ取りがついに実現というわけです。あとは実際の保温力がどれほどかというところでしょう。いずれにせよダウンと化繊の境界線もこれからどんどんなくなっていき、いつかそんなこと気にしていた時期があったねなんていう日が来るのかと思うと感慨もひとしお。

参考:PrimaLoft Insulation Thermoplumeの紹介映像(英語)

ギア編

Crescent Moon EVA All-Foam Snowshoe

今イベントで最も大きな話題をかっさらっていったのは、コロラド発の若いアウトドア・ガジェット・メーカーが7年を費やして生まれたという遊び心満載の新しいスノーシュー!基本的にはランニングシューズのように配合の異なるEVAフォームを組み合わせたアウトソールで、浮力を得るために十分な幅と長さをもった足型、スムーズな歩行を助ける前後に反り返った構造。そして何より圧倒的な軽量性。普通のスノーシューはつま先を支点としてかかとが上下に動かせる構造ですが、このシューズはかかとが固定されているタイプのようです。にもかかわらず、映像を見ると、とにかくとてつもなく歩きやすそうなことが一目瞭然。厳しい地形にはもちろん向きませんが、起伏の少ない雪原を楽しく歩くにはこの上なく快適でしょう。上手くいえないけどこれこそが「スノーシューイング」という新しいアクティビティなのかもしれません。

 

Garmin fenix5

実際にはORよりも前のCES(Consumer Electronics Show)にて発表されていましたが、年明け一番のサプライズは何といってもこの話題でしょう。車載・アウトドア向けGPS機器メーカーからフィットネス・マルチスポーツ・スマートウォッチ分野へ鮮やかにシフトチェンジを果たしたガーミンのフラッグシップモデルfenixが2年のブランクを経て進化しました。前モデル3でも十分過ぎるほどの豊富な機能を揃えていたところを、今回さらに地図機能、通信機能、スマホ連携機能の充実、心拍数計測は標準になり、電池の持続時間も増えるなど大幅なアップグレード。何よりうれしいのはデザインが一層洗練されたこと。普段から着けてても違和感ないよ。日本地図に対応したモデルはよ!!

Salomon S/Lab X-Alp Boot

バックカントリースキー人気は本物やわ。ツーリング向けスキーブーツ(山スキー兼用靴)も昔では考えられないほど次々と大手スキーブランドから意欲的なモデルが登場しています。 一見するとアークテリクスから今年新発売された、超軽量・足首可能性抜群のツアーブーツプロックラインに似てなくもないです。ただこちらはより滑降時の剛性・安定性を重視したモデルであるとのこと。その分若干重量はアークのモデルよりもやや重めです。同じアメアスポーツグループの兄弟ブランド同士、コンセプトは似せながらも互いに得意分野で勝負しているといったところでしょうか。なんにせよスキーの不得手なぼくはこっち!

Yaktrax Summit

12本爪のアイゼンを使うほどでもない冬の低山をはじめ、凍った路面などにも手軽で使いやすいと評判のスパイクアイゼン(チェーンアイゼン?)のニューカマーは、ワイヤー&ダイヤル操作によって固定するBoaクロージャーを備えたモデル。スノーボード用のブーツにはじまったBoaクロージャーのここ数年の勢いは目を見張るものがありましたが、ついにここまで来たかという感じ。これまでのチェーンスパイクは伸縮性のあるゴムをぐいーっと引っ張って履いていたのが、スッと履いてダイヤルを回すだけで素早く・簡単に・安全に固定できるというんだから、もうそれだけで購入確定っす。にしても海外の常により良いギアを求めて形にしてしまう貪欲さには毎度頭が下がります。

SUPERFEET 3D PRINTED INSOLES AND DIGITAL FIT

ついにインソールも手軽にカスタマイズできる時代が到来か。足病医学に基づく理論背景をベースに設計されたインソールブランド大手のスーパーフィートはHP社、SafeSize社と提携し、小売店で誰もが簡単に自分の足を3Dスキャンし、その足に合わせたインソールを注文するシステムを開発しました。日本でもカスタム商品を取り扱える店舗はいくつかありますが、このシステムではスキャン→ベストな靴(ただし種類は限られているっぽい)のレコメンデーションもしくはその足型に合ったインソールの注文までがパネル上で完結するとか。完璧なフィットを目指すぼくにとっては願ってもないシステム。これがすべてのメーカーのシューズのデータベースと連動してレコメンデーションしてくれたらいうことなしなのだが。

goTenna Mesh

2012年米国を襲ったハリケーン・サンディによる通信設備の壊滅。その惨状をきっかけにブルックリンにあるスタートアップが2014年に開発した、通信キャリアのエリア外でもテキストメッセージや位置情報を送受信できる無線通信デバイスgoTennaについては、ガジェット好きの方ならばもしかすると以前耳にしたことがあるかもしれません。平たくいうと、これを使えばインターネット接続の届かない、相手と何マイルも離れた場所にいても、goTennaをペアリングしたユーザー同士でテキストメッセージを送受したり、GPSの位置データを共有することができるというデバイス。

前世代モデルのアキレス腱は、信号が大きな物理的な障害によってブロックされる可能性があるため、山、渓谷、または高層ビル周辺でうまく機能しないことでした。それを克服したのがこのMeshで、ベース技術は変わらず、デバイス同士がリレーし、メッシュネットワークを作ることができるようになったため、飛躍的に通信可能距離を延ばすことに成功。電波の届かない場所で仲間同士通信するにはトランシーバーなんかよりも断然使い勝手がいいし、複数のチームで連携し合えば山奥から街までネットワークをリレーすることもできるなんて、登山者が多い山域で常時機能しておければ災害対策にもイケるんじゃないのかな。

ただし、使用されている電波の周波数帯が適合しない日本では今のところ使用できないらしい。残念。