Review:Fire-Maple ISLAND 中国発、蒸し料理も可能なヒートエクスチェンジャー付クッカーは買いか!?
クッカーの役割。ひと言で言うと食材や水を安全に加熱する山道具。大概が焼くやお湯を沸かすことでしょう。ですが、山で調理する以上、念頭に置いておかなければいけないのは、調理の手間と時間、その燃料消費量。そこで、今回レビューしてみたのは中国のアウトドア調理器具ブランドFire-Mapleが手がける新製品ISLANDです。
むむ!? このクッカー。底面の蛇腹形状は……。ジェット◯◯!?(←小声で)。 気づかれた方も多いでしょうが、そうです。そうなんです! JETBOILと同様、使用燃料・沸騰までの時間を低減するヒートエクスチェンジャー機構(別名「フラックスリング機構」)を採用しているのです。
2001年、アウトドア調理器具界に革命的なムーブメントを起こした現 米JETBOIL社のDwight Aspinwall氏とPerry Dowst氏。なんでも、こちらの両氏が開発したヒートエクスチェンジャー機構のみを使用することについては、特許権利を放棄しているとか。確かにISLANDに限らず、ヒートエクスチェンジャーを搭載したクッカーは、現在他にもちらほら見ることができます。
日本では認知度があまりないFire-Mapleですが、実は本国の中国では一流のアウトドアブランド。その証拠に欧州最大のアウトドア用品展示会ISPO Munichでは優れた商品力を認められ、2013年以降、3度の受賞歴もあります。では、ISLANDのセット内容をみてみましょう。
目次
ISLANDセット内容
- クッカー
冒頭でもお話ししたようにヒートエクスチェンジャー機構を採用している深型クッカーです。材質は熱伝導率が高いアルミ素材。内側の目盛には1Lまで250mlごとに刻まれていますが、水を沸かすだけであれば、1Lにさらに300mlは追加しても大丈夫そうです。 ハンドルは左右に開こうとするハンドルの弾力によってロックされるタイプです。
- 付属アクセサリー
トライタン(樹脂製食器)× 2、ふた× 1、スチーマー× 1、折畳み式樹脂スポーク(先割れスプーン PP製) × 2、キャニスターサポート、まな板、スタッフポーチ
ISLANDは日本の食品衛生法の適合検査は受けてませんが、既にアメリカ食品医薬品局、ドイツ食品衛生管理法検査安全基準の認証は取得しているので、ご安心を。
中国クッカーでも熱伝導率はホンモノ!
まずは、ヒートエクスチェンジャー機構を採用しているクッカーの実力を試してみました。ストーブにはSOTOのアミカスを使用。ヒートエクスチェンジャー機構にしっかりと噛み合います。
お湯を沸かしてみます。比較するのは、別に用意したチタン製とアルミ製、そして、今回の主役Fire-Maple ISLANDです。200mlの水をクッカーに注ぎ、火力は器具栓つまみを半回転した状態をキープし、いずれも蓋なしで沸騰するまでの時間を測りました。風等の影響はあるかもしれませんが、沸騰した結果は下記の通り。テスト環境は9月上旬の海浜公園のバーベキュー広場です。
- チタン EVERNEW チタンマグポット500 約1分43秒
- アルミ SOTO アミルクッカー 約1分11秒
- FIRE-maple ISLAND 約41秒
チタンは軽量で焦げ付きにくいですが、熱はまわりにくい材質ゆえに、時間はかかりました。また、クッカーで一般的な材質のアルミでも、1分以上の時間を要しました。 ISLANDも材質は同じくアルミですが、ヒートエクスチェンジャー機構のおかげでしょう。約41秒と、沸騰するまでの時間はズバ抜けて早かったです。中国クッカーと言っても、機能性はホンモノでした。
中国古来の蒸し料理!スチーマー活用で超時短料理
お次は料理です。ヒートエクスチェンジャー機構と同じくらいに、ISLANDで注目すべきなのが、蒸し料理ができるスチーマー。クッカーに取り付ける蒸し皿は別売りであるにはありますが、概ね2,000円程度(うーん、そこそこしますよね)。それもセットについてくるのは、かなりお買い得。 中国生まれのFire-Maple。中国古来の料理方法は蒸し料理はどうで出るか。
野菜をスチーマーに入るくらいにカットして蒸してみたところ、じゃがいもは約13分、ブロッコリーは約2分半。焼売(4つ)は温めるだけなら約2分でOKでした。
合わせ技としては、スチーマーで蒸し料理をしながら、クッカーのお湯ではお米やスープなどのレトルトを温める方法です。燃料の節約になるばかりか、ヒートエクスチェンジャーも相まって、超時短になります。上からスチーマーでクッカーを抑えつける形になるので、多少、レトルトがはみ出ていてもイケました。
スタッフポーチもなにかとモノが置けるので重宝しました。ただ、クッカー内のお湯は蒸気となって減っていくので空焚きと、スチーマーの蓋の穴から出てくる熱い蒸気には注意が必要です。
戸惑わずに後片付けも落ち着いてラクラク!収納手順も優しく記載
焼き料理とは異なって、蒸しているため、焦げつきや油汚れもなく、手入れがしやすいです。フィールドではテッシュで拭き取る程度でも問題ない印象です。
クッカー側面には収納手順がレーザープリントで、まな板を収納できるスタッフポーチにも収納手順が記載されています。
スチーマー、トライタン、スポーク、キャニスターサポートなど、図面を見ながら、落ち着いて片付けることができます。収納時はクッカーのハンドルを折りたたむと、固定され、収納物が飛び出す心配はナシ。スタッフポーチで包んで紐を絞ればカンペキです。
まとめ:侮るなかれ。細かい点まで行き届いたパフォーマンスは想像以上。
ISLANDはクラウドファンディングサイト「キャンプファイア」(募集終了)だと6,300円。決して格安とは言いませんが、相応の、いやそれ以上の十分な品質を備えているといえ、単なる中国クッカーと一蹴してはなりません。
スチーマーの活用は手間、時間、燃料すべて節約できます。お手入れもカンタン。収納手順がクッカー 側面などに記載済みという嬉しい気遣いもステキ。シリーズにあるガスランタンOrangeもそろえたくなる(Amazonで3,000円ときた)。
個人的にはスポークやトライタン、まな板はさすがになくてもよかったかなと(持っている人は持っているし)。その分、もっとコストダウンにつながるはず。逆に蓋の代用にもできる小型クッカーがあればさらに使い勝手がよかった(別売りでもいいから)。また、スタッフポーチは通気性のいいナイロンメッシュ素材が良いのかな、と。実力派中国クッカー。ひとまず、今後の販売動向に期待したいところです。