体感重量3グラム。高出力なのにこれまでにないほど快適なつけ心地の万能ヘッドランプ PETZL IKO COREレビュー

オーソドックスなヘッドランプだけでなく、超高出力で長時間のヘッドランプからスマホで操作できるヘッドランプ、そして巻取り式リールで装着する消しゴムのように小さなライトまで、常にユーザーをワクワクさせるようなエッジのきいた新製品を世に問い続けているアウトドア・ギアメーカーのPETZLが、またしてもインパクト抜群の新作をリリースしました。

それが今回レビューするPETZL IKO(アイコ)シリーズ。昨年秋冬シーズンに新登場し、これまでのヘッドランプの概念を覆す外観に高性能なライトと便利な機能を盛り込んだ革新的なライトです。きっと僕たちにこれまでとはまったく違った、新しい「ヘッドランプ体験」を提供してくれるでしょう。さっそく何がどう新しいのか、実際に着けて歩いて調べてみました。

PETZL IKO COREの主な特徴

PETZL IKOシリーズはアルカリ電池3個が付属したPETZL IKOと、リチャージャブルバッテリー『コア』が付属したPETZL IKO COREの2つのモデルがあります。ただどちらも性能に差はなく、付属電池以外の内容はほぼ同じであることから、今回はPETZL IKO COREを試用し、それについて評価しています。

おすすめポイント

  • 着けていることを忘れるくらい快適でしっかりフィットする装着感
  • ビーム性能を考えると非常に軽い
  • シンプルな操作性
  • 登山・キャンプ・ラン・クライミングなど幅広いアクティビティに対応できる汎用性の高さ
  • ランタンにもなる収納袋

気になるポイント

  • ビーム性能は基本的に満足できるが、奥行き・広がり・赤色モードや出力調節の有無など、細かな性能・機能では他モデルより抜きん出ているとはいえない
  • 収納時に若干かさばる
  • 強モードでのバッテリー寿命はやや短い
  • 防水性(IPX4)
スペック
アイテムPETZL IKO CORE
イメージ
光量(lm)(最大/最小)500/6
公式照射距離(m)(最大/最小)100/10
公式照射時間(h)(最小/最大)2.5/100
実測重量(g)(本体+バッテリー)80
専用バッテリーリチウムイオン電池(1250mAh)
乾電池単4電池×3(アルカリ、リチウム、ニッケル水素)
防水防塵性能IPX4
ライト種類近接(弱)、近接+遠距離(中)、近接+遠距離(強)
評価
遠距離照射★★★☆☆
近距離照射★★★☆☆
バッテリー寿命★★★☆☆
使いやすさ★★★★★
重量★★★★★

詳細レビュー

快適性:これだけでも使う価値あり。唯一無二の快適なつけ心地

豆粒のような非常用のライトを除けば、いわゆるヘッドランプというのは往々にして、平ゴムのバンドで頭を締め付けて固定・装着するものでした。ただ、それなりの重量を額に固定しておくとなると、どうしてもある程度の力で締めつけていなければならず、ぶっちゃけ数十分もつけていれば窮屈さで不快になってくるのはしょうがないと諦めていたものでした。実際テント内で食事するときなど、歩くとき以外は早々に頭から外して首にかけているという人は、ぼくだけではないはず。

それがどうでしょう。IKO COREを着けた瞬間に頭部をに走る衝撃といったら。煩わしさとはまったく無縁の、体感重量約3グラム(適当)、まるで着けていることを忘れてしまうような装着感です。

その秘密はこのライトの主要構造を成しているバンド部分「AIRFIT ヘッドバンド」にありました。

IKO本体は前方のライト部分と、後方のバッテリー部分に分かれ、それらをつなぐケーブルを内包した柔らかい樹脂製のベルトによって孫悟空の頭の輪のような形を成しています。そのなかでAIRFIT ヘッドバンドは人間工学的に計算された複雑なカーブを描きながら頭部を一周しており、頭を締めつけてその摩擦力によって留めるのではなく、頭の上にそっと載るようになっています。もちろんただ頭に載せるだけではゆるすぎますので、微調整のための伸縮ひもを軽く締めることによって、より頭部にフィットさせることができます(下写真1・2)。

これによって頭に載せるという重力と、バンドを締めることによる摩擦力の両方で力を分散させられるため、頭に乗っているだけということでもなく、耳にかけるということでもなく、さらに頭周りを締め付けるということでもないという絶妙なつけ心地の良さとフィット感が得られます(下写真3・4)。

このしくみに加えて全体重量80g(実測)という驚きの軽さ、さらに重さが前後に分散されていることによって、実感としては同じ重量のオーソドックスなヘッドランプよりも断然軽く感じられます。これこそが「着けていることを忘れる」感覚の正体です。

もちろん世の中にはバッテリー部分を延長ケーブルで腰や胸などに逃がすことができるようなランニング向けモデルもあります。また弱い出力であれば、軽量コンパクトでつけ心地も軽いヘッドランプも確かにあります。ただ、このIKOがスゴイのはそうしたスペック的な妥協や装着での煩わしさは一切なしで、ここまでシンプルな構造かつ他の何かを諦めることなく、ここまで大幅な快適さの進化を実現していることであり、見事としかいいようないです。

汎用性:テントでも、走りにも、登りにも使えるオールラウンドさ

実際に着けて行動してみたのですが、この軽くて密着するフィット感は、たとえ激しい行動でもブレることはありませんでした。ランニングで使ってもまったく支障はありませんでした。

さらに驚いたのは、一見ヘルメットには装着できなさそうなこのライト、しっかりヘルメットにも装着可能です。メーカーの公式情報では「全てのペツルヘルメットに対応します」と記載されていますし、自分の手元にある某メーカーのヘルメットにも普通に装着することができました(下写真)。もちろんすべてのヘルメットに対応しているとは限りませんが、このエルゴノミック形状のヘッドバンドは、以外や以外結構伸びてくれますので、ヘルメットが必須のアクティビティでも諦める必要はまったくありません。

テントの中などで首にかけて使う場合でも掛け心地よく、上下方向へ可動域の広いライト部分が適切な角度に調節可能なため、一般的なライトを無理やり首にぶら下げるよりも断然快適です(下写真)。

ビーム性能:十分な出力でシンプル、クセのない見やすさ

たとえ異次元の快適さであったとしても、肝心のライトの性能はどうでしょう。ライト(配光)部分に目をやると、これも一見していつものパターンとは違うことが見て取れます。上に3つ、下に4つの小さなLED電球が並んだ、独特の構造です。

1ボタンのシンプルなスイッチを1回押すと弱モード(下写真)。このときは上の3つのライトのみが点灯します。これが近接ライトモードなので、上の3つの光は広範囲に拡散するように配光されている電球と考えられます。

次にボタンを1回押すとで中、もう1回で強(さらに押すとOFF)となりますが、中以上のモードでは下段のライトが同時に点灯し、このときは遠距離と近距離のミックスされた配光となります(下写真)。

IKO COREの光量は最大で500ルーメンということで、一昔前ならばハイエンドモデルに位置づけられていたような高出力なので、パワー的には何も不安はありません。照射距離も最大100メートルとかなり奥まで届き、光の範囲も広すぎず狭すぎず、中心からなめらかに薄まっていってます。裏庭の暗がり道で照らしてみたところ、周囲をムラなく快適に照らしてくれています(下写真)。

ビーム性能:同社の他モデルと比較してどうか?

ここからはこのライトの特性をより深く評価するため、以前からレビューしていたPETZLの他モデルと比較しながら見ていきます。

上の写真では、最大450ルーメンと、同レベルの出力を備えたモデルであるPETZL アクティックコアIKO COREを、強モードで2.5メートル先の円形チャート、そして5メートルほど先の土手に照らしてみた様子です。

まず光の色については、若干IKO COREの方がより明るく見やすく感じられやすい白系に近い色ですが、見え方に大きく影響するほどではありません(上写真上段)。

次に光の内容について詳しく比べてみます。すると円形チャートではそこまで気がつかなかったものの、実際のフィールドで照射された光を比べてみると、若干ですがアクティックコアの方が広く周囲を照らしてくれて、印象としては見やすく感じられました(上写真下段)。スペック的には光量450ルーメンのアクティックコアよりも500ルーメンのIKO COREの方が明るく見やすいと期待していただけに、ちょっとこれは予想外。

もちろんこれをもってアクティックの方が「明るい」とするのは早計で、後ほど説明する中心部分の照度だけに着目すればIKO COREの方が高い傾向にあったことから、おそらく光量自体はIKO COREの方がわずかに大きいというスペック自体は間違いないと思われます。ただその配光の仕方に差にあるように思われ、結果としては若干ですがアクティックコアの方が暗闇でのトレイルは見やすいようです。

さらに弱(近接)モードで手元を照射した様子を比べてみますと、IKO COREが見にくいということは決してないのですが、若干アクティックコアの方がワイドで広範な照射範囲によって視界全体を照らしてくれ、相対的には見やすく感じられました(下写真)。このことから考えると、全体的な見やすさという点においては、IKO COREは比較したアクティックコアよりもスペック通りで高いとはいえず、やや劣る印象と言わざるを得ません。

バッテリー寿命:飛び抜けて長くはないが、最後までしっかりとした明るさを保ち続ける

いつものように、照度計を使用して、最大照度で照射し続けた場合、時間経過による実際の明るさがどう変化していくかをチェックしてみました(下図)。今回はIKO COREの他に、アクティックコア、そしてアウトドア用のもうひとつハイエンドなスイフトRLの3モデルで比較しています。

アクティックコアやスイフトが約2時間でストンと照度が落ちて使い物にならなくなるのに比べ、IKO COREの方はそれよりも約30分程度長い160分程度まで現実的な明るさを維持できています。ちなみに今回のテストのように中心部分の明るさだけを計測した限りでは、90分過ぎまではIKO COREの方がアクティックコアよりも明るい状態を保っていることから450ルーメンと500ルーメンという出力の差は確かなようです。ただIKO COREの方は時間が経過するにつれて光量が緩やかに落ちていくため、他の2機種のと比べて高いレベルでずっと使い続けられるというわけではありません。

ヘッドランプのパッケージやHPで表示されている電池寿命は、あくまでもメーカーの考える限界の明るさまでどれくらいの時間照らすことができるかということであり、決してフルパワーないし満足のいく明るさを保っている時間ではありません。せっかく長もちだと思って買ったのに、実際にはすぐに満足のいく明るさでなくなってしまうなんてこともあります。その点についてはこのグラフからも分かるように、PETZLのスペック表示内容である「2時間30分」という照射時間は概ね正しいといえます。

なお、今回はあくまでも「強」モードでのテストです。長時間使用するならば最大光量で使用し続けるのではなく、中モードなどにして使えば格段に長時間照射することが可能ですので、当然利用目的にしたがって臨機応変に利用できるし、すべきでしょう。

使い勝手:シンプルな操作感に加えて使いやすく便利な機能が満載

先程説明したように、操作性は間違いようのないくらいにシンプル。明かりの強弱とON・OFFの切り替え、ボタンロック(解除)がボタンは1つのみで可能です。もう少し自動光量調節など高機能でもよかった気がしますが、ややこしい機能をたくさんつけて複雑な操作性になるよりは全然いい。

またバッテリーはPETZLの専用リチウムバッテリー『コア』が標準で付属されており、軽量かつ大容量という点にでアルカリ電池よりも抜群に使い勝手がよいです。

嬉しいのは専用リチウムイオンバッテリー以外でも、アルカリ単4電池で代替できるという点。これで予備バッテリーを他のデバイスと兼用することができるなど使い勝手の点で明らかにプラスです(下写真)。

バンドがかさばるのではないかと思われた収納方法も、前後をクリップで繋げて、左右を折りたたむだけと、意外なほど簡単にコンパクトにまとめられます(下写真)。とはいえ、一般的なヘッドランプに比べるとやはり若干気になるかさばり感ではありますが。

収納袋はライト部分にかぶせて使えばランタンにもなります。テーブルの上に置いたり、テント内で天井にカラビナで引っ掛けて使うなど、行動時だけでなくキャンプでも活躍してくれます。

まとめ:未体験の軽やかな装着感とシンプルな操作感は、一度使うと病みつき

少なくとも今回数回使用した限りでは「ヘッドランプを再定義する」という、このアイテムのキャッチコピーに偽りはありませんでした。IKO COREをはめたあとに普通のヘッドランプを付けてみると、今までどんだけおでこに重みを感じていたのかが身にしみて実感できます。それくらいに、もう戻れなくなるほどの忘れがたい軽さ、心地よさです。

このヘッドランプは奇抜な外観に惑わされがちですが、決していわゆるマニア向けモデルでも、マーケティングのための見世物でもありません。

そのシンプルな操作性や、多様な使い方を可能とする汎用性の高さなどは、誰もがあらゆる用途でストレスなく使えるようなシンプルな使いやすさを備えており、これからメインストリームとなるだけのポテンシャルを十分に感じさせてくれるものでした。

何かのアクティビティに特化したハイエンドモデルを求めている人、あるいは特段高い防水性が必要な人でなければ、多様なアクティビティにフィットしてくれるはずですので、心配せずにこの驚きの心地よさを体験してみることをおすすめします。

ただ、普段から同社のスイフトRLや他社のハイスペックモデルを使用している自分としては、500ルーメンという潤沢な光量から期待していた程には、高いライティング性能を感じられなかったのがやや残念なところ。もしも光の質とパワーで確かなモデルを探しているとしたら、他に最適なモデルがあるでしょう。何れにせよもうこの快適さから戻れなくなりつつある自分は、これからこの構造をベースとしたより高機能・高出力モデルが出ることを切に期待しています!

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