比較レビュー:いろんなタイプのスリーピングパッドで寝比べてみた 2016

最新モデルの比較レビューはこちらです ⇒ 比較レビュー:山での寝床を考える。気になるスリーピングパッド(マット)で寝比べてみた 2018

 

地面の凸凹を緩和し、地面からの冷気を遮断し、シュラフの効果を最大限に引き出す。スリーピングパッド(マット)はテント泊にはなくてはならない装備です。このギアが難しいのは、大きさはペットボトル程度から、バックパックの外に括り付けるしかないものまで、価格もわずか数千円のロールマットから、3諭吉を優に超えるものまで、ちょっとアウトドアをかじっただけではその違いが分かりにくいほどのバリエーションの広さをもっていることでしょう。ちなみに、どんな点に注目して選べばよいかについては先日お話ししました

そんななから自分はいったい何を選べばよいのか。この疑問に応えるべく、今回はタイプやメーカーの異なる注目モデルをピックアップし、さまざまな角度から比較テストを行ない、それぞれのメリット・デメリットを浮き彫りにしてみました。あらかじめいっておきますと、今回は総合点も大事ですが、それよりも自分が重視するポイントを中心に、各項目の凸凹に注目してみてみることで、より自分なりの最適パッドが見つかるのではないかと思います。それではいってみましょう。

すぐに結論が知りたい方はこちらから結果へジャンプ

比較アイテムのピックアップにあたって

今回の比較にあたっては意識して以下の点でバリエーションと統一性に配慮し、ピックアップしてみました。このため、あえてピックアップした「暖かくない」モデルは総合点で今回ちょっと割を食ってしまっていますので、そこはご了承ください。

  • メーカー
  • タイプ・種類
  • R値(断熱性)
  • エアの注入方式(バルブの独自性など)
  • 大きさはレギュラー(約180cm)で統一

テスト環境

2015年9月~2016年2月にかけて複数回の山行、および日常の地面・テント・土・岩・雪面などにて試用・テスト。

sleepingpad_test

実地テストによる詳細評価

評価比較

【タイプの見方】■クローズ・・・クローズド・セル(独立気泡)パッド ■エア・・・エアー(空気注入式)パッド ■セルフ・・・セルフインフレーティング(半自動膨張)パッド ※各タイプの詳細はこちらでも解説しています

総合順位1位2位2位4位5位7位7位9位9位10位11位
アイテムTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir XTherm ネオエアー Xサーモ ベイパー レギュラー(R) 【日本正規品】 30177Therm-a-Rest NeoAir XthermSEA TO SUMMIT(シートゥサミット) ウルトラライト インサレーション マット (レギュラー) 1700484Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マットTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir Xlite ネオエアー Xライト マリーゴールド レギュラー(R) 【日本正規品】 30273Therm-a-Rest NeoAir XliteKLYMIT(クライミット) Insulated STATIC V(インシュレーティッド・スタティック・ブイ)/レッド 06IVOr01CKlymit インシュレーティッド スタティックVTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット RidgeRest SoLite リッジレスト ソーライト レギュラー(R) 30207 【日本正規品】Therm-a-Rest Ridgerest Soliteニーモ NM-ZOR-20R ゾア 20R【Mens】Nemo ゾア 20RTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Z Lite Sol Zライト ソル シルバー/レモン R (51×183×厚さ2cm) R値2.6 30670 【日本正規品】Therm-a-Rest Z Lite SOLNEMO(ニーモ・イクイップメント) コズモ20R NM-COSMO-20RNemo コズモ 20RDSC03149_150山と道 U.L.Pad15L+KLYMIT(クライミット) イナーシャ X フレーム パッド INERTIA XFRAME PAD [並行輸入品]Klymit イナーシャXイスカ(ISUKA) ピークライトマットレス 180 インディゴ 203509イスカ ピークライトマットレス 180
タイプエアエアエアエアクローズセルフクローズエアクローズエアセルフ
ここが◎圧倒的な断熱性、コンパクト性、付属のポンプ十分な断熱と快適さ、軽量、コンパクト軽いのに意外と暖かい寝心地の良さ、断熱性使いやすさ、価格、適度な断熱性軽さ、コンパクト性使いやすさ、価格、適度な断熱性寝心地、耐久性軽さ、調整のしやすさ軽さ、コンパクト性、空気の入れやすさ快適性、裏面の滑りにくさ
ここが△価格、やや耐久性に不安やや薄い価格、耐久性重量、空気が抜けにくい寝心地、収納性耐久性、断熱性寝心地、収納性、断熱性重量、断熱性断熱性、収納性、価格断熱性、価格断熱性、重量、収納性
快適性
(20)
171817191214121612815
断熱性
(20)
191615161410131210610
重量
(20)
1515181017181611191913
収納性
(20)
171818169171116102015
使いやすさ
(10)
89869696975
耐久性
(10)
65579487875
総合
(100)
8281817470696968686763

スペック比較

アイテムTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir XTherm ネオエアー Xサーモ ベイパー レギュラー(R) 【日本正規品】 30177Therm-a-Rest NeoAir XthermSEA TO SUMMIT(シートゥサミット) ウルトラライト インサレーション マット (レギュラー) 1700484Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マットTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir Xlite ネオエアー Xライト マリーゴールド レギュラー(R) 【日本正規品】 30273Therm-a-Rest NeoAir XliteKLYMIT(クライミット) Insulated STATIC V(インシュレーティッド・スタティック・ブイ)/レッド 06IVOr01CKlymit インシュレーティッド スタティックVニーモ NM-ZOR-20R ゾア 20R【Mens】Nemo ゾア 20RTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット RidgeRest SoLite リッジレスト ソーライト レギュラー(R) 30207 【日本正規品】Therm-a-Rest Ridgerest SoliteTHERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Z Lite Sol Zライト ソル シルバー/レモン R (51×183×厚さ2cm) R値2.6 30670 【日本正規品】Therm-a-Rest Z Lite SOLNEMO(ニーモ・イクイップメント) コズモ20R NM-COSMO-20RNemo コズモ 20RKLYMIT(クライミット) イナーシャ X フレーム パッド INERTIA XFRAME PAD [並行輸入品]Klymit イナーシャXDSC03149_150山と道 U.L.Pad15L+イスカ(ISUKA) ピークライトマットレス 180 インディゴ 203509イスカ ピークライトマットレス 180
断熱素材4枚のサーマキャプチャー層サーモライト1枚のサーマキャプチャー層プリマロフトウレタンフォーム軽量EVAフォーム軽量EVAフォームXLPEフォームウレタンフォーム
重量430g440g350g709g380g400g410g670g258g198g580g
参考価格34,560円15,660円27,000円15,660円11,880円5,184円7,776円12,528円14,040円8,100円9,072円
R値5.703.303.204.402.802.60
収納サイズ10×23cm10×23cm10×23cm12.7×20.3cm11×23cm51×20cm51×14cm10×20cm7.62×15.2cm52×約17cm 13×26cm
厚さ6.35.02.51.51.52.08.01.32.5

快適性

今回ピックアップしたモデルは、発砲ポリエチレンにアルミを張っただけの、いわゆる「銀マット」よりはどれもすこぶる快適な寝心地を提供してくれることは確かですが、それでもさまざまなスリーピングパッドの上で寝比べてみると、その寝心地の違いには驚かされます。そこではただぶ厚ければよいというわけでもなく、エアチューブの形や構造など含めた密着部分全体の感覚的な差異が寝心地に大きく影響してきます。

総合的に最も快適な時間を過ごせたのは Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット、 Klymit インシュレーティッド スタティックV の2点。どちらにも共通しているのは、加重がかかった場所に注入された空気全体が影響するのではなく、それぞれのセルが体重を受け止めてくれる構造のため、どこかが凹むとどこかが膨らむような感じになりにくく、それが何とも心地よい寝心地を実現してくれる点です。さらに Klymit は59cmと幅広、なおかつ独特なV字のチェンバー構造が身体の動きに合わせて屈曲してくれるため、寝返りや寝相でズレるということがありませんでした。

断熱性

断熱性については、共通指標であるR値が公表されているモデルとされていないモデルがあり、この比較を行うまではどのような結果が出るか未知数、非常に楽しみにしてましたが、結果はご覧の通り。まず Therm-a-Rest NeoAir Xtherm の断熱性能は予想通り圧倒的。4枚の熱反射がつくり出す、まるで地面から発熱されているかのようにじんわりくる暖かさは病みつきになります。そして思ったよりも健闘したのが Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット。R値では小さめ(3.3)ですが、Klymit インシュレーティッド スタティックV(独自基準で4.4)と同等、もしくはそれ以上の断熱性を感じました。また予断ですが、昔ながらの発泡プラスチックにもかかわらず意外と健闘したのが Therm-a-Rest Ridgerest Solite。前々からやるヤツだとは思っていましたが、あらためてこいつの使い勝手の良さを思い知らされました。

重量・収納性

他のアウトドア・ギアと違って重量と収納性が綺麗に比例しないのがスリーピングパッドの独特なところですが、一般的に軽さでいえばクローズド・セルパッドが優位。今回のモデルでいえば、山と道 U.L.Pad15L+ の十分寝られる快適さを備えながらも200gを切る重量は特筆に値します(ファスト・パッキング派はここからさらに余分な箇所をトリミングして使います)。一方、収納性でいえばエアー注入式パッドが優位。今回の比較では(予想通りですが)Klymit イナーシャX のコンパクト性は他を寄せ付けません。ただ、これらの特化型モデルはそれによって犠牲になっている要素が必ず存在しているため、個人的にはこの重量・コンパクト性と他性能のバランスが絶妙な Therm-a-Rest NeoAir Xlite を評価したい気がします。

使いやすさ

スリーピングパッドに選びにとって意外と見過ごされがちですが、道具として使ううえでは地味に効いてくるのがこの使い勝手の部分。例えばテント場に着いてからのセッティングの容易さについて。この部分はどうしたってクローズド・セルパッドのシンプル設計にはどれもかないませんが、それに勝るとも劣らない作りの良さを感じさせていたのが Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マットです。非常に少ない空気量で効率的に厚みと快適性を確保できる点や、入れた空気が抜けない一方通行のバルブがスピーディなセッティングを可能にしてくれます。また、別売りオプションのスタッフサック兼用ポンプ(SEA TO SUMMIT ジェットストリーム ポンプサック)を使えばさらに簡単なセッティングが可能に。

pump_sack

その他、逆に地味に使い難かったのが、Nemo コズモ 20R の足で踏む空気注入ポンプ。せっかく期待していたのですが、踏んでも踏んでも終わらない(泣)。また、Klymit インシュレーティッド スタティックV の空気は、その分割された気室のせいか、1度入れた空気が抜けにくく、片付けるのに一苦労です。

耐久性

パンクしてしまったら即終了のエア注入系のスリーピングパッドにとっては、生地が破れにくいなどの不安があってはやはり使い難いと思うのです。とはいえ軽量性を追求していくと、どうしても生地の厚さを切り詰めざるを得ないときが来ます。その意味で、Nemo ゾア 20R は危険との隣り合わせを楽しめるウルトラ・ライト派にはおすすめですが、耐久性についてはギリギリ限界のラインだと考えた方がいいでしょう。その他のエア式パッドを一通り試してみた結果、あくまでも感覚的な話ですが、裏面生地の厚さは最低40Dくらいは欲しいところです。一方でクローズド・セルパッドについては耐久性まったく問題なし。もちろん絶対に破けないということはありませんので、藪漕ぎや険しいルートではあまり裸にしておかない方がよいかと思いますが、例え傷がついたり、切れたりしたところで全体の性能がゼロになるわけではないので、あまり心配いりません。

今回の比較まとめ

Editors’ Choice: Therm-a-Rest NeoAir Xtherm

これまでのパッドという概念を塗り替えてくれるほどの体験ができたのが、Therm-a-Rest NeoAir Xtherm。このパッドに寝転がってしばらくすると、端的にいうならば、背中の向こうから熱がやってくる感じ?パッドは「冷たくないもの」というレベルで留まっていた自分の固定観念がここにきて「暖かいパッドがある」とはじめて思えました。にもかかわらず軽くてコンパクトなのもいい。もちろん寒いシーズンにこそ真価を発揮すると思いますが、夏に使ったら使ったで、シュラフのレベルを1つ下げてより軽量コンパクトなパッキングができるかもしれません。横方向のエアーチューブは寝返りをうつような左右の動きに合っていて寝心地も十分快適です。さらには専用のスタッフサック型ポンプがついており、口を使わなくても簡単に空気が入るようにできている。何とも至れり尽くせりなパッドは、その高いコストの期待を決して裏切らないことでしょう。

Therm-a-Rest NeoAir Xtherm

Best Buy: Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット

NeoAir Xtherm を絶賛しておいて何ですが、Sea To Summit のスリーピングパッドシリーズも性能的にはまったく引けをとらないどころか、価格も含めるとこちらの方が優秀かもしれません。今回の比較ではあえて軽量モデルを選んでいたため、フラッグシップモデルであるコンフォートプラス インサレーション マットとの性能を比較することはできなかったのですが、にもかかわらずこれだけ評価が拮抗するとは思っていませんでした。確かに断熱性では1位にかなわなかったものの、それでも十分に暖かく、その独特のエアスプリングセル構造が他にはない抜群の快適性を提供してくれました。もちろん軽量・コンパクト、そして上でも述べましたがバルブ周りの使いやすさと、より便利に使えるアクセサリー類の存在がさらに道具としての完成度を高めています。別売りのジェットストリーム ポンプサック(激便利)にギリギリ収納できるサイズのため、これとセットでコンパクトかつオーガナイズされたパッド環境が手に入れられるところ。厳冬期以外では、数あるパッドのなかでもエース候補No.1です。

スリーピングパッドについてはこちらの記事もおすすめ

山仲間にシェアしよう!

399 Shares

最新ギア情報をゲットしよう!