購入ガイド:CASIO・GARMIN・EPSON、ぜんぶ試してみて分かった、目的別GPS付きアウトドアウォッチの最適解【後編】
目次
まとめ ~タイプ別おすすめは?~
さまざまな点から代表的な登山向けGPSアウトドアウォッチ3つを比較してきました。各項目のなかでも何度か触れましたが、価格が高いモデルであればすべての点でより満足いくというわけでは決してなく、自分にとってちょうどいいアウトドアウォッチは、ユーザーの目的や用途(時計に求めること)によって決まってくるようです。
最後に今回の試用を通じて分かった目的別のおすすめをまとめてみます。いずれにしても、一度使えば手放せないという魅力をもったギアであることは間違いありません。賢く選んで、もっとアウトドアを楽しんじゃってください。
CASIO PRO TREK Smart WSD-F20
使いやすさと利便性、汎用性、耐久性、正確さ、すべてにおいてバランスのとれた万人向けアウトドアウォッチ
端的にいってもっとも使い勝手がよく、誰にでもおすすめできるのがカシオのPRO TREK Smart WSD-F20。スポーツウォッチというと、どうしてもよりマニアックな計測や記録・分析ができるモデルがもてはやされる傾向にありますが、実際のところそれらを使いこなす人々はかなりの少数派。はじめてこうしたスマートな機能をもったアウトドアウォッチを使うなら、とりあえずどこでも地図が見れて、山行は基本的な記録がしっかりとれていればよく、あとはとにかくストレスなく使いたいという人の方が多い気がします。そんなユーザーにとってはこのモデルはうってつけです。
アウトドアでも安心の耐久性を備えながら最も地図が見やすく、スマホライクで操作がシンプル・簡単。登山ではYAMAP、その他幅広いアクティビティをカバーしたアプリがそろっている。さらには日常使いにも便利なgoogle関連アプリも合わせて将来性も十分です。
ただ裏を返せば、極めたいと思う人にとっては、現状のアプリたちでは物足りなさを感じるだろうと思います。心拍数がとれない、(ランニングでは)ピッチやストライドが計測できない、温度センサーがない、バッテリーの持ちが悪い、デバイスの性能に合わせた専用のアクティビティ管理ソフトなどがないなど、ある程度スポーツウォッチなどを使いこなしている人が、さらなる追求を目指すためにこれを選ぶと、(現時点では)失望するかもしれませんので、そこは覚悟しておきましょう。
GARMIN fenix 5x Sapphire
パフォーマンス向上のために必要なあらゆる情報を記録し、分析し、サポートしてくれる、野心的なアスリートにとって最良の相棒
一方ある程度予想はしていましたが、予想を超えて「こんな細かいことまでできてしまうのか」と驚かされたのがガーミンのfenix 5xです。光学式心拍計を含めた多彩なセンサーと、専用のパフォーマンス管理・分析ソフト「Garmin Connect」によって数えきれないほどの機能がてんこ盛り。
圧倒的に優れているのは、ランニング系のアクティビティにおけるパフォーマンスの計測・分析機能です。ここに関しては他のモデルではまったく太刀打ちできません。自分のVO2Max値が、トレーニングによって徐々に公表されているプロ選手のそれ近づいていく様子を日々実感できるとしたら、上を目指すランナーのモチベーション維持にとってこれほど強い味方はありません。
ただ一方で、はっきりいうと、これらはレースでの好成績を目指すアスリートのためには重要ですが、まずは楽しみたいファンランナーや、ベーシックなナビゲーション・トラッキング機能で十分なハイカーにとってはそこまで必要ではないかもしれません。何といってもこれらの強力な計測機能をフルに活用するためには、面倒で複雑な操作と設定を駆使し、日々のトレーニングに励み、さらに寝る時も肌身離さず装着し続ける必要があります。単にオフライン地図やナビゲーションの便利さ目当てで購入したユーザーは、まだまだ発展途上の地図表示機能に拍子抜けし、そのあまりの多機能を持て余し、面倒なボタン操作に苦労する様子が容易に予想できてしまいます。
今回感じたのは、高価格の理由は決して極上の使い心地にあるのではなく、目標をもった野心的なアスリートが喉から手が出るほど欲しい情報を計測し、記録することに注がれているのだということです。それに納得できる人にとっては、間違いなく価格に見合ったベストな相棒となってくれるでしょう。
EPSON Wristable GPS for Trek MZ-500
登山・ランニング限定、計測・ナビ・記録機能をできる限りリーズナブルに、長時間安心して利用したい人におすすめ
ガーミンほど多様で複雑な分析ができなくても、より安価に必要な機能を実現したい。あるいカシオのようにカラーオフラインの地図とか、汎用性とかなくていいから、もっとシンプルに、山行やレースのナビ・計測・記録機能があって、そしてバッテリーの不安はできる限りしたくない。そんな人にはこのMZ-500がおすすめです。特にモノクロ液晶ということもあって、バッテリーの持続時間については他の2つと比較しても飛び抜けています。機能的にはトレッキングモードとランニングモードの2つしかないのは確かですが、その2つに絞ったことでそれぞれのモードでの操作は比較的簡単で、情報の表示内容もシンプルで見やすいものとなっています。
少し前に発売されたモデルということもあって、インターフェースについてはチープな感じが否めません。ただ基本的な計測データの詳細さ、正確さをはじめ、登録地図によるナビゲーションなどちょっと気の利いた各種機能については、まだまだまったく捨てたものではないということは今回の比較で分かりました。国産ウォッチとしての安定感もあります。今回比較した中では最も安価なこのモデルは、登山(ランニング)用アウトドアウォッチとして用途を限定すれば、コストパフォーマンスが最も高いモデルといえるでしょう。
【参考】WSD-F20・fenix 5x Sapphire・MZ-500Lスペック比較表
※各公式HPより抜粋