一度着けたらもう外せないアウトドアウォッチの賢い選び方と、実践的おすすめの6本【あると無いとで山登りが変わる】

登山やアウトドアでの利用を想定して作られた腕時計、アウトドアウォッチが便利です。

もちろん着けていなくても、山には登れます。ただ個人的にはこの手の「無くてもいいけど、あったら便利」的なアイテムの中でもかなり優先度の高い道具、山を本気で楽しむなら必ず持っていたいアイテムの筆頭なのではないかと思っているのがこのアウトドアウォッチです。

自分の場合を振り返ってみると、初めて手に入れた憧れのCASIO PRO TREKシリーズに始まり、かれこれ10年以上前からさまざまなタイプの腕時計を渡り歩いてきました。現在の現役は Garmin Fenix 6X Pro Dual Power。決して安くはないモデルですが、後悔の2文字が頭に浮かんできたことは一度もありません。やはりこのどんな場所にいても得られる唯一無二の安心感と便利さは、一度使ってしまうともうもとには戻れないほど破壊力抜群の魅力を備えています。

この記事では、これから本気でアウトドアウォッチを手に入れようという人のために、さまざまなタイプの違いや構造、特徴、あると便利な機能といった、購入時にチェックしておくべきポイントを整理して紹介します。

目次

アウトドアウォッチの賢い選び方

アウトドアウォッチとは? ~アウトドアウォッチでできること~

コンパスや高度計を搭載したいわゆる「アウトドアウォッチ」は、基本的には人も電波も入らない山深い自然で活動する登山家や山岳スキーヤーが時間を知るだけでなく、より正確な現在地を把握したり、気象上の危険を回避したりすることができる、強力で便利なツール(腕時計)です。

かつて長らく主流であったアウトドアウォッチには主に「高度計・気圧計・コンパス」という3つの機能が搭載されている腕時計を指し、これらを高度計(Altimeter)、気圧計(Barometer)、コンパス(Compass)それぞれの頭文字をとって「ABCウォッチ」なんて呼ばれています。

高度計・気圧計・コンパスは、アウトドアウォッチの3大必須機能。

ただ近年これらの機能はもはや当たり前として、さらに登山に限らず多種多様なアクティビティ・スポーツに合わせた高度で複雑な機能がふんだんに盛り込まれた高機能ウォッチが続々と登場しているのが実際です。

たとえば、多くの最新アウトドア時計についている代表的な機能のひとつに「GPS」があります。今や誰もが持っているスマートフォンではおなじみのあの機能です。

ここでもしかして「それだけったら、ぶっちゃけスマホで事足りるのでは?」という人もいるかもしれません。確かに身近な自然にちょっと足を踏み入れる程度ならばそれもありでしょう。

ところがより長く、過酷な旅を目指すらば話はまったく違います。アウトドアウォッチはスマートフォンに比べてより高い精度で現在位置を特定できるし、より長い時間記録し続けられるし、おまけに壊れにくいなど、タフな環境で使用するのに都合の良い特徴を多く備えています。危険と隣り合わせの過酷な大自然で、より正確に、壊れずに、安定して使えるという信頼性を考えるならば、スマホでは到底頼りなさ過ぎます。

さらに、かつては「高度計・気圧計・コンパス」がついているのがアウトドアウォッチでしたが、技術の進歩によって先ほどのGPS機能をはじめ多彩で高度な機能を備えるようになり、昔に比べてより安全なだけでなく、登山をもっと楽しくモチベートしてくれるような素敵な機能がどんどん出てきています。

自分にとって最高のアウトドアウォッチを選ぶためには「その時計で何をするか」ということに基づいて「必要な機能」を見定めることが重要です。現在ではシンプルな機能から高度で複雑なものまで、多種多様な選択肢が用意されており、購入にあたっては金銭的余裕と照らし合わせて、さまざまな点を考慮しながら最適なモデルをチョイスする必要があります。

そこで次からは、自分にとって最適なアウトドアウォッチを選ぶときに考えるべき機能と選び方について紹介していきます。

ポイント1:アウトドアウォッチのタイプを選ぶ

主流はアナログ表示からデジタル表示、そしてスマートウォッチへ

アウトドアウォッチも普通の腕時計同様、アナログ表示とデジタル表示、どちらのタイプも存在しています。

伝統的なアナログタイプのアウトドアウォッチは単なる懐古趣味なのか?そう切り捨てるにはやや早計です。アナログにはアナログのメリットも確かにあります。

よく言われるのが、短針と長針の位置関係で時刻が大枠ですぐ理解できるという意味での「分かりやすさ」。安定した技術による時計としての「信頼性の高さ」、そして普段使いしていても違和感のない優れた「デザイン性」も人によっては外せないポイントかも知れません。

これに対して数年前まで山岳ウォッチの主流であったデジタルタイプの腕時計は、一般的にミリ秒単位での「精密さ」と確認できる「データの豊富さ」に加えて、それらのデータを上手く整理して表示できる、アナログとは違った意味での「分かりやすさ」を提供しているのが強みといえます。

ただ、個人的な感覚でいうと、今となっては上のどちらも基本的な差はそこまで大きくないような気がしています。どちらも「時計機能」「ABC機能」「ソーラーバッテリーによる長時間駆動」という最も大切な特徴を備えているという意味では共通しており、10年後でも廃れずに安心して使うことができるという「可用性の高さ」では何物にも代えがたい魅力を有していることは間違いありません。アナログ・デジタルが混在している表示タイプも最近では多いですし。

対して、何よりここ最近で特に注目なのがスマートフォンとの連携を前提とした「スマートウォッチ」タイプの進化です。こちらは表示(ウォッチフェイス)を自由に着せ替えられるためアナログ表示もデジタル表示も関係なし。利用できる機能は登山に関係のないものまで含めて飛躍的に増加し、まるでスマートフォンが腕時計にあるかのような便利さ・快適さを実現します。ここまでくると、もはやこれは高機能時計というよりも「時計機能付きコンピュータ」という方がしっくりくる。スマートウォッチの登場は、何千年も続く時計の歴史においても極めて大きな転換点といえるでしょう。

これらのメリット・デメリットを考えると、今、アウトドアウォッチを買うなら、最新のアクティビティを最新技術で常により最先端の安全性と快適さで楽しみたいという人は間違いなくスマートウォッチを選ぶのがベストです。理由の第一はもちろんアクティビティを安全・快適にする多彩な機能の豊富さにありますが、他にも視認性やバッテリー寿命といった、かつてアナログの長所であった要素の多くがデジタル・スマートウォッチタイプで克服されてきているということも大きい。何と言っても一度使うと戻れなくなる魅力の多くがここにありますから、今スマートウォッチを選ばない理由は無くなってきているといえます。

ただ、これまで通り登山をゆっくり楽しめればそれでいい、3年おきに新機種を買うなんてとんでもないという人には、スマートウォッチタイプは正直あまりおすすめできません。スマートウォッチタイプは完全に電化製品ですので、数年経てば機能もバッテリーも劣化し、使い続けることが現実的にはできなくなるからです。そういう人にはアナログ・デジタルどちらかのクラシックなアウトドアウォッチから選ぶようにしましょう。

いずれにせよ、アウトドアウォッチのタイプは必要な機能と価格、そして将来的な買い替えなどを天秤にかけながら選ぶようにしましょう。参考までに、今話した特徴の比較を表にまとめてみました。

種類アナログタイプデジタルタイプスマートウォッチタイプ
分かりやすさ
デザイン性
データの精密さ
データの豊富さ
機能の豊富さ
長時間駆動
可用性(末長く使えるか)

ポイント2:どんな機能が必要か?

あればあるだけ便利だが、その分コストアップも避けられなし。価格と相談して必要な機能を見極めよう

アウトドアウォッチには、価格に応じてさまざまな機能が搭載されています。すべての人にフル機能は必要ないので、自分の好みに合わせて必要な機能が備わっているモデルを選ぶのが重要ですが、初めのうちはどの機能が自分にとって必要な機能なのかが分かりにくいのも事実です。そこでこれまでベーシックからハイエンドなモデルまで使ってきて、個人的に優先度の高い機能から順番に紹介していきます。ちなみに「時計・アラーム・ストップウォッチ」といった時計機能は大前提として除きます。

1)高度計

アウトドアウォッチといえば、何はともあれこの機能を欠かすことはできません。

高度計はその名の通り現在地の標高を知るのに役立つ機能。例えばその場所の高度が分かれば、地図上で山道と高度の交わる点が自分の現在地であるという形で、どんなに視界の悪い場所にいようと自分の現在地が把握できるわけで、道迷いを防ぐのに非常に役立ちます。

ただ注意したいのは、高度計はメーカーやモデルによっても、さらに環境によっても精度にばらつきがあり、常に正確な数字を示すとは限らないということです。これは標高の測定方法が、高度が上がると気圧は低下するという原理に基づき、時計についている気圧センサーと基準となる気圧を使用した複雑な計算式によって高度を割り出しているからです。この仕組みは逆に言うと、同じ場所にいるのに天気(気圧)が変わるだけで高度が変化するということも意味しています。このことは、高度計はできる限りこまめに標高が分かる場所で手動の補正が必要といわれている理由です。

2)気圧計

気圧センサーは先ほどの高度を計算するために必要なだけでなく、単純に大気圧とその時間的変化を知るということでもアウトドアでは大変役に立つ機能です。一般的に気圧が低下するということは低気圧の訪れを意味しており、急激に気圧が下がたことが分かれば、その場所に嵐が近づいていることを察知することができます。

一部の時計にはそれを利用して暴風雨警報(ストームアラート)を鳴らすことができます。逆に気圧が高まっていく傾向の場合は、嵐が過ぎ去って高気圧がやってくることが期待できます。デジタル時計ならば、これらの気圧変化をグラフ化して見ることもできるかもしれません。単に気圧が分かるかどうかだけでなく、こうしたアラート機能やグラフ機能があるかないかもチェックするといいでしょう。

3)コンパス

現在地を把握する際に必要なコンパス(方位磁針)は登山での必携道具ではありますが、腕時計にその機能があれば、毎回バッグから取り出したり、いちいち首にぶら下げたりしなくて済みます。これもアウトドアウォッチで最も重要な機能のひとつであることは間違いありません。その際、時計が傾いていてもきちんと機能する3Dコンパスが搭載されていれば、手首の角度にある程度関係なく正確な方位を示してくれます。

個人的にはこれでも十分ですが、他にも方位計測の基準を(磁北ではなく)真北に変更する「磁気偏角補正」機能などがあれば、現在地から目的地までを地図上の方向とピッタリ合わせながら進むことができるなど、アウトドアウォッチならではの便利な機能が搭載されているモデルもあります。こうした機能はハイキングでも役立つことはもちろんですが、地図とコンパスをフル活用するオリエンテーリングなどのアクティビティでは特に重宝するに違いありません。

4)GPS

GPSとは全地球測位システム(Global Positioning System)であり、地球を周回する複数の衛星によるネットワークです。GPSレシーバーが3機以上の衛星からの信号を受信すると、位置を三角交差法によって現在位置を特定することができることから、GPS機能を使えば自分の現在位置が分かるだけでなく、正確なルートや移動速度・ペースをグラフィカルに知ることができます。

実はGPSは衛星測位の仕組みそのものを表しているのではなく、実際にはアメリカの運用する測位衛星ネットワークの名称です。他にもロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本のみちびき、中国のBeiDdouなど、現在では多くの測位衛星が地球の周りに浮かんでいます。さらにいうと、これらの衛星はそれぞれL1とL5という2つの周波数の電波を発していたり……。これ以上は複雑すぎて説明を省きますが、とにかく近年これら複数の測位衛星や周波数を受信し解析する技術が進化しており、優秀なアウトドアウォッチでのGPS精度は現在進行形で向上を続けています。このため、どの測位衛星をどういった技術によって解析しているかはアウトドアウォッチによって異なっており、当然受信する衛星と電波が多ければ多いほど、そして測位計算技術が高ければ高いほどより素早く正確になるため、GPS機能が付いているかどうかだけでなく、どのような衛星をどのような技術で受信しているかどうかもチェックしてみることをおすすめします。

5)スマホ・アプリ連携(ログ計測)

スマホ・アプリ連携は簡単に言うと、行動中に記録されたさまざまな計測データ(ログ)をコンピュータやスマートフォンに送信・保存したり、スマートフォンからの電話・メッセージ・通知などを時計で受信したりできる機能を指します。この場合は前提としてGPS機能によってさまざまな行動データを計測して記録する機能が必要ですし、PCやスマホ上でそれらの保存記録を表示し分析・操作したり、アクティビティを友達と共有したりできるアプリケーションも不可欠ですので、アナログのアウトドアウォッチではそもそもこうした機能がついておらず、これらは現在アウトドアウォッチの主流になりつつあるスマートウォッチの最も得意とする部分です。

例えばガーミンの場合、スマートフォンとBluetoothで接続して情報の送受信を行うことができ、「GarminConnect」というアプリを使用して情報をスマホ側に保存・分析・共有することができます(下写真)。このガーミン製品のユーザーのみがアクセスできるプラットフォームでは、ガーミンユーザーを対象にしたチャレンジに参加できたり、ワークアウトやランニングコース、トレーニングプラン等を共有したり、新しいアプリや機能を追加したりできる独自の「エコシステム」を構築しています。同じように、Suunto、Coros、Polarなど他のメーカーでもそれぞれが専用のアプリとプラットフォームを有しており、それぞれが機能性の高さと利便性を競い合っているのが現状です。

ここで注意したいのは、万が一次に購入するのが別メーカーのアウトドアウォッチである場合、過去のデータを引き継げないこと等が往々にしてありえるということです。アウトドアウォッチを選ぶときには、アイテムだけでなく、同時にどのプラットフォームを選ぶかということも意識しなくてはなりません。

6)オフライン地図

腕時計上で、電波が届かない場所でも常に地図を確認する方法は2つあります。1つは時計で使用するアプリにその都度地図をダウンロードしておく方法。これはiPhoneのwatchOSやAndroidのWear OS by Googleといったプラットフォームで動くスマートウォッチで、それに対応した登山地図アプリなどを使用することで可能となります。

この方法ではうっかり地図をダウンロードし忘れてしまう場合や、ダウンロードできる地図の容量に限りがあること、さらにはアプリによっては快適に使うのに課金が必要といった不便さを我慢する必要があり、個人的にはもうひとつの方法である、この「オフライン地図」を内蔵しているアウトドアウォッチがお気に入りです。これがあればいちいち地図をダウンロードしなくてもいつでも登山地図が確認できますし、追加で課金する必要もありません。

オフライン地図機能の欠点は、この機能を備えたアウトドアウォッチは、えてしてハイスペックで高価なこと。また所詮は腕時計のディスプレイなので、広い範囲は見にくいこと(地図としてなら紙かスマホの方が見やすい)。とはいえ現在地を確認するだけならば十分便利なので、今でも非常に重宝しています。

7)心拍数モニター

最近の高機能アウトドアウォッチには心拍数モニターがついていることが珍しくなくなりました。これによってリアルタイムで現在の心拍数をチェックしたり、行動中の心拍数の変化を記録し、後で自分のパフォーマンスをより細かく振り返ることが可能になります。

現在の心拍数が分かると何が便利か。端的にいうと、心拍数によって自分が今オーバーペースになっていないかどうか、運動強度を客観的に確認できるということです。趣味のハイキング程度ならば運動量をキープするのに役立ち、タイムを縮めることに興味のあるアスリートならば筋力やスタミナを向上させるための効率の良いトレーニングの指標としたりできます。また、心拍数モニターがあることによって、フィットネスレベルを示す指標である「VO2 max」が計測できたり、消費カロリーが測定できることも個人的にありがたいことのひとつです。

心拍数は時計裏のセンサーによって手首から計測するモデルが主流ですが、より正確な計測には胸に装着する心拍数ストラップを使用することです。よりストイックに限界を目指すならばそうしたオプションを備えたメーカーやモデルを検討すべきでしょう。

8)ナビゲーション機能

一部のスマートウォッチには、アプリから時計にルートやコースをアップロードしておくことで、行動中分岐や曲がり角に差し掛かるとビープ音を鳴らしてルートをナビゲートしてくれる機能を提供するものがあります。初めてのルートや暴風雨、ガスに巻き込まれた場合などでこれらの機能が助けにになる可能性があります。ただ、電子地図やナビゲーション機能はある程度の安心感を与えるかもしれませんが、信頼性という意味では古き良き紙の地図に勝るものはないことは忘れてはなりません。

9)その他のあると便利な機能

他にも(いつもではないけれど)登山やアウトドアアであって嬉しかった機能がいくつかあります。基本的な機能からメーカーで独自の機能までバラバラですが、以下参考までにご紹介します。

日の出日の入り時刻・・・当日翌日の行動計画をたてるのに重宝。

温度計・・・手首に着けているあいだは役に立たないが、バックパックやテント内に括り付けておくと、外気温が測定できる。

血中酸素レベル・・・空気中から酸素を体内(血液)に十分取り込めているかどうかの指標。高山病の危険をいち早く察知できるという意味ではありがたい。

天気予報・・・GPSで特定した周辺地域の大まかな現地の天気傾向は知ることができる。あくまでも参考程度。

音楽プレーヤー&電子マネー対応・・・山の上というよりも、普段のランニングなどで大活躍。

ポイント3:耐久性・防水性・低温での動作

アウトドアウォッチの使用場所であるありのままの自然では、土ぼこりや泥、硬い岩、川や雨水、そして鋭利な山道具などあらゆる場所に時計を傷つけるきっかけが潜んでいるといえます。こうした過酷な状況や不意な転倒などに遭遇する可能性を考慮して、優れたアウトドアウォッチは、相応の「堅牢性」と「耐水性」そして「低温に耐える性能」が必要です。初めてのモデルを選ぶ際にはこの3点を必ずチェックするようにしましょう。

1)耐久性

耐久性の高さを確認するときにチェックするのは、例えばレンズにサファイヤクリスタルガラスなどの傷のつきにくい硬度の強いガラスを採用しているか、またケースやベゼルにも軽さと耐久性を考慮した素材が使われているか、あるいはアメリカの軍用基準である「MIL規格準拠」といったある種のテストをクリアしたモデルであるかどうか、などです。

2)防水性

また水濡れ、水没にも対応している必要があり、最低でも50メートル、できれば100メートル以上の防水性を備えた時計を探すことをおすすめします。これにより、泳ぎの際の水や、雨、汗などが時計の内部機構に侵入して腐食する心配はなくなります。

3)低温での動作

さらに冬山登山でも時計が正常に動作することを求めるならば、動作温度域の下限が最低でも-10℃、できれば-20℃は欲しいものです。

ポイント4:稼働時間(バッテリー寿命)

毎回電池が切れるのを心配しながら時計を使う――これほどストレスフルなことはありません。数年前まではいくら高機能のスマートウォッチといっても、この毎日のようにUSB充電が必要なバッテリー寿命の頼りなさから購入を敬遠していた人も多かったと思います。

ただ最近の優秀なスマートウォッチタイプのアウトドアウォッチでは、バッテリーの品質はかなり改善され、物によっては数日にわたる長いコースでもGPSトラッキングをし続けていられるモデルが登場しています。もちろん、バッテリーを浪費する機能(地図処理、音楽の再生、プッシュ通知など)の使用や、GPS信号が低い場所(空の視界が悪い)での移動などによって電池の持ち具合は変動しますが、その他のモデルも、少なくとも日帰りハイキングの途中であっけなく息絶えるといったナンセンスな事態には遭わないようにはなってきています。

もっとも、スマートウォッチ以外の(アナログ・デジタルタイプの)アウトドアウォッチの場合は基本的には従来のソーラー駆動であるのがほとんどで、それらはUSB充電式時計よりもはるかに長持ちし、信頼性があります。このため数週間にわたる長い遠征でしかも充電の機会が限られているという場合にはまだまだこちらのタイプの方が適しており、普段から着けているだけでほとんど半永久的に充電され使い続けることができます(時計の電力要件によって電池の寿命は変わってきます)。

バッテリー寿命を考えるときのポイントですが、当然のことながら機能とバッテリー寿命を両立したモデルはより高価です。自分がどれだけのバッテリー性能を必要とするかどうかは、自分が将来的に行きたいコースや、充電なしでどれだけの時間フル機能で使用したいかを想定し、そこに少しの余裕をもたせた上でアイテムの仕様と照らし合わせ確認することをおすすめします。

バッテリー寿命はモデルによって大きく違う。スペックはそれなりに正確な数値を表しているので、購入前にはしっかりとチェックしよう。

例えば自分は(とりあえず)最長1週間程度の山旅で安心して使いたいと考えます。そのなかでモバイルバッテリーを1つは持っていくだろうから、それで1回は充電する、となると今のGarmin fēnix 6X Proの「GPS + 光学心拍計で最大60時間」というスペックは、1日10時間程度の使用を想定してちょうど1回充電すれば約1週間使い続けられるだろう、となり、容量的にちょうどいいとなるわけです。さらにこのモデルは最新のソーラー充電機能も備えているため、それによる寿命の上乗せも期待できます。一方これがもし日帰りや1泊の登山で十分なのであれば、この数字はオーバースペックなので、もっと安価なモデルでも構わないと思います。

あるいはUTMFのような100マイルのウルトラトレイルレースを目指しているランナーの場合も、スピードにもよりますが、悠長に充電する暇もなく長時間でフル機能を利用すると考え、30時間以上は欲しいところ。一方マラソンや街ランその他で音楽を聴きながら使う場合には、単純な距離に加えてその分電池の消費量が増えるということを計算に入れる必要があります。

ポイント5:重量・サイズ

もちろん、腕時計は軽量・コンパクトなことに越したことはありませんが、今のところ機能やバッテリー寿命と重量・サイズはトレードオフの関係にあります。長年使ってきて慣れてしまったということもあるのですが、どちらかを選ばなければならないとしたら、個人的な経験では(度を越した重さ・大きさの場合を除いて)重量よりも機能を優先した方が幸せになれると思います。

ポイント6:画面の視認性

文字盤やディスプレイのサイズ、および画面の鮮明さは時計の見やすさに大きく影響します。また強い日差しの下での画面の見やすさなども隠れた評価ポイント。特にたくさんのデータを1画面で表示させたり、地図をみたりする場合には、さまざまな悪条件下でも大きな画面でクリアな表示を可能とするモデルが最適ですが、ただ一方で手首にはかなりのゴツさを感じることも否めません。その辺は好みになってくるかもしれませんが、個人的な経験でいえるのは「大きさはいずれ慣れる」ということです。

ポイント7:操作性

その他、冬にグローブをはめたまま操作するなどのシーンを想定すると、なるべく大きなボタンでボタンの間隔が広いほど操作性が高く便利です。すっきりしたデザインや、最近増えてきている「タッチスクリーン」型の時計も嫌いではありませんが、1年を通した山での使い勝手を考えるのであれば、必ずしもそれらは必要ないかもしれません。

おすすめアウトドアウォッチ6本

総合1位:Garmin fēnix 7X Sapphire Dual Power Ti Carbon Gray DLC
アルピニストからトレイルランナーまで。極限に挑むすべてのアスリートのためのフラッグシップ

最高クラスの機能性と精度、タフネス、長寿命を兼ね備えたハイエンドモデル。オフライン地形図を内蔵し、進化したGPS測位機能とソーラー充電機能によって過酷な環境での信頼性がさらに向上。今作からタッチ操作にも対応し操作性も向上。前モデルからはGPS精度、バッテリー寿命がさらに向上しタッチスクリーンにも対応などいくつかの点で進化していますが、自分は前モデルの6でもまだ満足しているので当分買い替え予定はありません(価格が…)が、間違いなく現時点でのキング・オブ・スマートウォッチです。

  • サイズ:51×51×14.9mm
  • 重量:89g(シリコンバンド含む)
  • レンズ素材:Power Sapphire(ソーラー充電対応のSapphireガラス)
  • 耐水性:10 ATM(100m相当)
  • 動作温度:-20~45°C
  • 衛星システム:GPS・GLONASS ・みちびき(補完信号) ・Galileo  ※マルチバンド周波数対応
  • 主な機能:気圧・高度計、コンパス、加速度計、温度計、血中酸素トラッキング、光学式心拍計、GPS、オフライン地図、日の出日の入、ナビゲーション、タッチスクリーン、ソーラー充電、天気予報、音楽保存、GarminPay、Suicaほか
  • プラットフォーム:Garmin Connect

次点1:COROS VERTIX 2 GPS Adventure Watch
軽量・堅牢・高機能に加え操作性も抜群のアドベンチャーウォッチ

DLCダイヤモンドコーティングとチタン合金製の軽量ボディにGPSモードで約60時間という長時間稼働を実現し、過酷なアウトドアに最適化。二周波衛星通信によって抜群のGPS精度が実現。高山病の発生を防ぐ機能も搭載。タッチスクリーンの他、デジタルダイヤルによって手袋をしていても操作性は抜群。

  • サイズ:50.3×50.3×15.7mm
  • 重量:89g(シリコンバンド含む)
  • レンズ素材:サファイアガラス
  • 耐水性:100m
  • 動作温度:-30~50°C
  • 衛星システム:GPS・GLONASS・GALILEO・みちびき・BEIDOU ※二周波衛星通信
  • 主な機能:気圧・高度計、コンパス、加速度、光学式心拍計、血中酸素レベル、オフライン地図、GPS、日の出日の入、ナビゲーション、スタートに戻る、ナイトモード、タッチスクリーン、音楽保存、ほか
  • プラットフォーム:COROSアプリ

次点2:SUUNTO 9 PEAK
軽量かつ堅牢・スタイリッシュなボディに先進的な機能を満載

超薄型・軽量で洗練されたデザインに、優れた機能性と強靭性を両立。80以上のアクティビティをサポートし、GPSナビゲーションからペースメイキング、血中酸素レベル、音楽コントロールといった多彩な機能に加え、ロングバッテリーも実現。デザインも素敵で使い勝手も悪くないものの、アプリの利便性と故障のしにくさでは個人的に今はややGarminの方に軍配。

  • サイズ:43×43×10.6mm
  • 重量:62g(ボディのみ)
  • レンズ素材:サファイアクリスタル
  • 耐水性:100m
  • 動作温度:-20~55°C
  • 衛星システム:GPS・GLONASS・GALILEO・みちびき・BEIDOU
  • 主な機能:気圧・高度計、コンパス、加速度計、温度計、血中酸素レベル、光学式心拍計、GPS、日の出日の入、ナビゲーション、タッチスクリーン、ペースメーカー、天気予報、音楽コントロールほか
  • プラットフォーム:Suunto App

機能充実の高コスパモデル:Garmin Instinct 2 Dual Power Tactical Edition Black
強化されたソーラー発電によって「タフネス+ロングバッテリー」を実現

軽量ながら米国軍用規格に準拠した高耐久性に加え、強化されたソーラー発電によりGPS+光学式心拍計モードで最長48時間の長寿命を実現。より見やすくなったディスプレイや電子マネー決済機能も追加され、日常使いでもより便利に。

  • サイズ:45×45×14.5mm
  • 重量:52g(ボディのみ)
  • レンズ素材:Corning® Gorilla® Glass DX (ソーラー充電対応)
  • 耐水性:10ATM(100m相当)
  • 動作温度:-20~60°C
  • 衛星システム:GPS・GLONASS ・みちびき(補完信号) ・Galileo 
  • 主な機能:気圧・高度計、コンパス、加速度計、温度計、血中酸素トラッキング、光学式心拍計、GPS、日の出日の入、ナビゲーション、ソーラー充電、天気予報、音楽コントロール、GarminPay、Suicaほか
  • プラットフォーム:Garmin Connect

価格満足の高コスパモデル:Casio Pro Trek PRG-270-1JF
PRO TREKブランドで安心の基本機能と耐久性を備えながら、ビギナーに優しい価格と使いやすさがうれしい

  • サイズ:54.6×52.4×15 mm
  • 重量:67g(ボディのみ)
  • レンズ素材:無機ガラス
  • 耐水性:10気圧防水
  • 耐低温仕様:-10°C
  • 主な機能:気圧・高度計、コンパス、温度計、日の出日の入、ソーラー充電、気圧傾向グラフ、気圧差グラフィックほか

普段使いがメインで、少しアウトドアもという人におすすめ:Apple Watch Series 7
耐久性と視認性が向上、アウトドアでより使いやすく進化

第7世代は割れにくい前面クリスタルや強化された防塵・防水性能などの耐久性、拡張した表示領域と高精細ディスプレイによってアウトドアでもより使いやすく。登山地図アプリなど豊富なアプリと連携することで日常はもちろん、登山に便利な機能が多数利用できます。ただ厳冬期含めた厳しい環境での本格登山にはやや耐久性・動作温度に不安あり。

  • サイズ:45×38×10.7mm
  • 重量:38.8g(ボディのみ)
  • レンズ素材:無機ガラス
  • 耐水性:ISO規格22810:2010にもとづく50メートルの耐水性能
  • 動作温度:0℃ 〜 35℃
  • 主な機能:高度計、コンパス、加速度、血中酸素レベル、光学式心拍センサー、GPS、タッチスクリーン、耐水50mほか
  • プラットフォーム:iOS

まとめ

コンピュータと時計の統合が10年前には考えられなかった驚異的なスピードで進んでいることで、アウトドアウォッチの世界は急速に進化しています。

ただこれは電子デバイスの宿命か、たった3年前のスマートウォッチですらもう時代遅れで何となく使う気が失せてしまうということもまた事実。その意味で「家電」となってしまったスマートウォッチには、以前には想像できないほど便利になった一方でちょっとした寂しさが残ります。対してクラシックなアウトドアウォッチには、機能こそ物足りなさを感じてしまう一方で、シンプルがゆえの安定感、時計としてのデザイン性と操作性の高さ、そして何より長く付き合って初めて生まれる愛着という、道具のもつ原始的な魅力が確かにあるということは世間で忘れられがちです。

いずれにせよ、自分にとってピッタリマッチする時計を探すときは、そんなさまざまな特徴と機能を予算と照らし合わせながら、自分にとって必要なもの・必要でないものを選り分けていくことが必要です。どうかこの記事が参考になり、皆さんがそのプロセスを楽しみながら最高の1本に出会えますように。

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