【専門家に聞いてみた】心拍数の計測できるPRO TREK Smart WSD-F21HRを使った疲れない、持久力を高める歩き方とは?
疲れをためない登山、持久力をつける登山を意識して、実際に心拍数登山をしてみた
さっそく前河教授のご意見を踏まえ、10月下旬に丹沢の大山(標高1251.7m)で疲れない登り方、トレーニングのための登り方の2パターンの歩き方を実践してみた。登り口はヤビツ峠(標高761m)からで、テント泊を想定し、背負った荷物は9.215kg。なお、筆者(41歳)の最大心拍数は179bpm。
登り始める前に、F21HRの設定を忘れずに。安静時心拍数と最大心拍数を設定。また「ゾーンアラート」機能で、まずゾーン2を超えるとアラートが鳴るように設定した。
疲れにくい登り方には脂肪を燃焼させるペースで
まずは、疲れない登り方からスタート。肌寒いので、薄手のフリースジャケットを着て登る。できる限り心拍ゾーン2の状態で登る。おさらいすると、ゾーン2は脂肪燃焼、ゾーン3は持久力向上だ。登りはじめの400mほど進むところで、急に心拍数が上昇するなど、心拍数の上がり加減がつかめずにいたが、徐々にペース感覚が慣れてきた。ゾーンアラートを設定しているため、ゾーン2を超えたところで時計からバイブレーションと共に通知され、表示を見るとゾーンが「3」を示し、点滅している。アラートがあることでペース感覚をつかむのはすぐにできた。
感覚がつかめてからは、心拍数は110bpm前後で、心拍ゾーン2をキープしながら登ることができた。登山中の状態はと言うと、息が少し早まり、汗が出る感じはしたが、滴れ落ちるほどではない。話しながら登っていられるペースだ。勾配が上がるところでは、心拍数が上昇しないように、ペースを落とし、小股で登るように心がけた。約9kgの荷物を背負っていたものの、大山山頂までの登りタイムはコースタイム通りの80分だった。
ちなみに、山頂からはヤビツ峠までなるべく早めに下山するも、汗をかきやすいが、心拍数はなかなか上がらず、ゾーン2もしくはゾーン1(最大心拍数の50~60%)。下りの移動ペースはそこそこ早まるものの、登山道特有の凸凹した形状もあり、足運びが難しいところもあり、随所でペースダウン。心拍数は低いままであった。参考に、下図が当時の山頂までの登りの心拍数のグラフ。
項目 | 疲れない登り方 |
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登りタイム | 80分 コースタイムどおり |
平均ペース | 26:20/km |
平均心拍数 | 111bpm |
心拍ゾーン(登り) | 2〜3 |
コンディション |
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トレーニングを意識してゾーン3キープを目指すが……
ゾーン2のキープは最初こそペースをつかむのに戸惑ったが、おおむねすぐに慣れることができた。しばし休憩を入れ、次にトレーニングを意識した、ゾーン3キープでの登山をスタート。
同じ約9kgの荷物を背負い、心拍ゾーン3を意識して登る。心拍ゾーン3は持久力、そして4は筋力・スタミナ向上の領域だ。登りはじめの400mぐらいから急激に心拍数が上がりはじめた。実際のところ、ゾーン3をキープして登るのはかなり難しい。どうしてもゾーン4にまで心拍数が上昇してしまうからだ。
心拍ゾーン4となると、息は上がるし、鼻水もかなり出てくる。全身から汗が吹き出してくる感じだ。特に脇下、胸部、背中はダラダラと汗をかく。フリースジャケットを脱ぎたくなるくらい、発汗している。できる限り勾配がキツいところもペースを落とさずに登りつつ、適度に休んでゾーン3に戻そうとするが、休むとゾーン2まで落ちそうになってしまう。
心拍数が高い状態であると、ゾーンを保ち続けるのはかなり慣れが必要のようだ。中盤から体が疲れ、時折、ペースを落とさざるを得ない。山頂に着いた時のタイムは53分。コースタイム80分に対し、約3分の2のタイムで登ったことになる。終盤の勾配がキツくなっているところでは、筋肉が疲労しているのか、足が重く感じた。ゾーン4(最大心拍数の80~90%)は、体への負荷が大きく、乳酸が出てくる領域。足を上げるのに、重く感じてもおかしくはないだろう。
下図が2回目の持久力向上を目指してゾーン3を意識した登山。どうしてもゾーン4になりがちだった。
項目 | トレーニングとしての登り方 |
---|---|
登りタイム | 53分 コースタイムに対して3分の2 |
平均ペース | 21:17/km |
平均心拍数 | 138bpm |
心拍ゾーン | 3〜4 |
コンディション |
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まとめ
心拍数を使って疲れない登山を実践することはそれほど難しくはない。ゾーン2(最大心拍数の60~70%)をキープするということは、自分の場合に関してはコースタイムをキープした登りとほぼ同等であった。ただ今回は約9kgの重量を背負っていた。気温も含め条件が異なれば目安も変わってくるだろう。
脂肪をエネルギーとして燃焼、最大心拍数の80%以内であれば乳酸は出にくい。とはいえ、勾配が急なところでは、やや抑え気味のペースで登ることを心がけないといけない。個人差や天候等にもよると思うが、発汗はややするので、状況に合わせてウェアリングは調整は必要だ。
一方、トレーンニングを目的とする登山にはゾーン4か3。初めて心拍数を意識しての登山だったこともあってか、高心拍数ではなかなかキープするのが難しかったという印象だ。どんどん乳酸も溜まって体は疲労していき、思考も鈍ってくる。ただ、そんな時こそF21HRのゾーンアラートはなかなか役に立った。より疲れない体づくりという意味では、最大酸素摂取量を増やすための意識的な心拍数上下トレーニングも有効だ。
心拍ゾーンを保つには感覚的なものもあるが、ペースをつかむまでは、ある程度経験を要するようだ。そういった意味では、PRO TREK Smart WSD-F21HRは手首で手軽に心拍計測ができ、表示やアラートで心拍ゾーンが把握しやすい。もちろん、ペースや距離、高度なども随時チェック可能だし、最大酸素摂取量の計測も設定できる。のんびりと疲れない登山をしたい方、持久力やスタミナをつけて登山に挑みたい方など、幅広い方に最適なスマートウォッチだと言えるだろう。
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