エバニューの軽量クッカー比較!ミニマリスト志向のライターが山行によって使い分ける、5つのお気に入りエバニューのクッカー
かれこれ30年ほど前になるでしょうか。筆者が初めて購入したクッカーはエバニューのアルミクッカーセットでした。
以降、エバニューはミニマム志向の筆者の心を鷲掴みにするアイテムが多く、気がつけばたくさんのエバニューアイテムをバックパックに詰め込んで山へと出かけています。
今回はエバニュー好きな筆者が山行によって使い分けるエバニューのクッカーを5つ紹介します。日帰りから泊まり、キャンプまであなたにぴったりなクッカーを見つかるはずです。
それでは早速みていきましょう!
紹介するエバニューのクッカー・5選
短時間の日帰り山行でコーヒーやスープが飲みたいならこれ!「Ti Demitasse 220」
最初に紹介するTi Demitasse 220は筆者が使う中で最も小型!クッカーとして紹介していいか迷いましたが、ちゃんと「湯沸かし」ができることからクッカーとして紹介させてもらいます。
日帰りの山行で、短い行動時間の時は食事はコンビニのおにぎりや菓子パンで済ませてしまう筆者、ですがやっぱりスープやコーヒーは飲みたいものです(温かい飲み物があるだけで食事の豪華さや満足度はだいぶ変わります)
そんな時に活躍してくれるのがTi Demitasse 220。容量は220mlですが、実用的には150〜180mlほどの湯沸かしをするのにぴったりなサイズ。おにぎりと一緒に味噌汁を飲んだり、パンと一緒にスープを飲んだり。食後にインスタントのコーヒーを飲む程度の時にちょうどいいです。
本体重量が42gですから、アルコールストーブや固形燃料と組み合わせれば一式で100g以下にでき、サクッと里山をハイキングしたり、短いトレイルを歩く時に活躍してくれます。
お気に入りポイント
- コンパクトさ
- コーヒやスープが飲める容量
- サブとして持っていきやすいサイズ感
気になるところ
- 食事として「調理」をするクッカーとしては小さすぎる
- 経が小さいため、ガスストーブだと効率よく炎が当たらないことがある
日帰りからテント泊まで、「ザ・究極のULクッカー」Ti 400 NH
Ti 400 NHはUL志向のハイカーなら知らない人はいないといっても言い過ぎではないクッカー。
元々はハンドルのついたモデルのTi 400 FDのみ販売をしていましたが、一部のULハイカーたちがNH(ノンハンドル)仕様にカスタムをして使っていることが話題になり、ついに商品化されたアイテム。
ハンドルレスであることで誰でも使いやすいとは言えない尖ったクッカーですが、Ti 400 NHは容量が400mlですが実用的に300mlまでのお湯を作るのに便利なサイズで、カップ麺に必要なお湯を用意することができます。
登山での食事の定番とも言える日清のカップヌードルはちょうど300ml、シーフードヌードルで320mlです。筆者はシーフードヌードルを食べる時も300mlのお湯で食べていますが問題ありません(味の濃さには個人差があるので参考程度に)
300mlのお湯があればアルファ米とスープの分のお湯が確保できます。これならテント泊の食事でも使えるギリギリのサイズ。
最低限の食事に必要なお湯が作れるTi 400 NHは重量が驚きの34g!フタを用意しても50gほど。装備をカリカリに絞るULハイカーであればテント泊でも使うことのできるザ・究極のULクッカーです。
テント泊から長期トレイルのクッカーとして選ぶとすればTi 400 NHの大きさは最小クラスかなと筆者は考えます。短期の縦走ならアルコールストーブと組み合わせて最軽量を狙ってもいいし、ガスストーブと組み合わせてスピードを手に入れることもできるので好みに合わせてベストなセットにできます。
Ti 400 NHをメインクッカーにしてもいいし、メインクッカーの中にスタッキングしてサブとしても持っていきやすいサイズなので汎用性も高いです。
ちなみにNH(ノンハンドル)のクッカーは扱いに注意が必要なのは言わずもがな。特に火力調節や自由に消火できないアルコールストーブや固形燃料の時は注意です(吹きこぼれたら手がつけられなくなります)
そのままでは持つことができないので、シリコンバンドや難燃のカーボンフェルトなどを本体に巻いて対策することもできますが、シリコンバンドを追加するとせっかくノンハンドルを選択したアドバンテージが少なくなってしまうので筆者は手拭いをうまく使い、熱さ対策をしています(気をつけて)
ハンドル「あり」か「なし」で迷っている人は「あり」にしておくのが無難です(ハンドルありの場合は重量が50g)
お気に入りポイント
- 軽さ
- カップ麺に必要なお湯が作れる
- ひとつでメイン(アルファ米)とスープ用のお湯が作れる
気になるところ
- ノンハンドルは吹きこぼれなど扱いに注意が必要
1泊以上の山行に。実用性と軽量化のバランスが絶妙!「Ti Mug pod 500」
一般的には正式にクッカーと呼べるのはこのあたりからかもしれません。
Ti Mug pod 500は実用性と携帯性のバランスが絶妙なクッカー。容量500mlで、すり切りまで水を入れると600mlまで入るので、実用的にも500mlのお湯が作れるサイズ。500mlといえばインスタントラーメンに必要なお湯の量ですが、Ti Mug pod 500でインスタントラーメンを作るにはさすがに溢れてしまうので無理。ですが、「マルタイラーメン」は400mlでOK。吹きこぼれに注意が必要なのと、出来上がりは溢れるギリギリになりますが、なんとか作れます(麺は半分に折って)
その他パスタも作ることもできるサイズなため、UL志向のハイカーやキャンパーでも食事のバリエーションを増やせます。(パスタの場合、茹で汁でスープを作ると水を捨てることなく飲み切れます)
山メシを楽しみたい人にとっては最低限このくらいのサイズ感は欲しいところですね。
Ti Mug pod 500ならではの機能として、注ぎやすくなっていることと、フタがかっちりとハマるので逆さにしても落ちないことが非常に使いやすいポイント。
朝のコーヒーを飲む時や、アルファ米にお湯を注ぐ時に便利さを実感することができるはずです。最後の一滴まで注ぐ時に、フタが落ちないようにおさえなくてもいいOK。安心して傾けることができます。
フタと合わせても重量が75gで、これまで紹介してきたTi Demitasse 220やTi 400 NHと比べると重量はありますが、実用面を考えると「調理用」としては十分に納得できる軽さではないでしょうか。
お気に入りポイント
- 500mlのお湯が用意できる実用性
- 携帯性
- お湯の注ぎやすさ
- フタがカチッとハマること
- アルコールストーブ使用の場合、必要なものが全て収まる
気になるところ
- ハンドルは熱くなるので注意
- 110サイズのガス缶とストーブが入らない
- スタッキングできるカップが少ない
山でしっかり「食事」を楽しみたい人に!「Ti U.L Deep pod 640」
「やっぱり食事はしっかり楽しみたい!」そんな人におすすめなのがTi U.L Deep pod 640です。
容量640mlのTi U.L Deep pod 640は、すり切りまで入れると750mlほど。吹きこぼれを想定すると実用的な容量はスペック通り640ml。このサイズ感になると食べる食事を豪華にできるようになります(豪華さは筆者調べ)
例えば、多くのインスタントラーメンが作れるようになり、さらにはトッピングすることも。筆者はウィンナーや魚肉ソーセージを入れたり、乾燥野菜を入れて楽しんでいます(乾麺はそのまま入らないので半分に折って入れています)
一人分の鍋料理を楽しむにもぴったりで、ハンドルにはシリコンカバー付きで熱くなりにくく、形状も握りやすいためクッカーから直接食べやすくなっています。
容量が「600ml」ほどのクッカーであれば、アルファ米(200ml)、スープ(200ml)、コーヒー(200ml)のお湯を作ることができ、燃料の消費を抑えたい人にとって600mlの容量があることはおすすめしたいポイントです。
サイズが大きくなる分、重量は95gと紹介している他のクッカーと比較すると重量はありますが、軽量化しつつもしっかり食事を楽しみたい人にとっては合格点ではないでしょうか。
Ti U.L Deep pod 640の中には110缶のカートリッジと、小型バーナーがすっぽりと収まるサイズになっていて、Ti U.L Deep pod 640の外側にはTi 400 NHがぴったりとスタッキングできるため筆者は調理用にTi U.L Deep pod 640を使い、湯沸かし用にTi 400 NHを組み合わせることが多いです。鍋など煮込み料理をするのであればガスストーブと組み合わせて持っていくといいでしょう。
泊まりの山行では翌日に疲れを残さないためにも食事は重要。筆者は寒くなってくると山の上で「鍋」を楽しみたい時にTi U.L Deep pod 640を持ち出します。
お気に入りポイント
- 食事を楽しむのにぴったりな余裕のあるサイズ
- クッカーから直接食べやすい
- 110缶のカートリッジとガスストーブを収容できる
- フタに高さがあるのでクッカーの中に収納しやすい
気になるところ
- 比較したクッカーの中では大きい
- 深型クッカーなのでストーブとのバランスが重要になる
キャンプでガンガン焚き火にかけたいならコレ!「Back country Almi pot」
焚き火があるならクッカーを吊り下げることにロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか。
そんなことはないはず、吊り下げたクッカーでコトコト煮込み、焚き火を楽しみながら料理が完成するのを待つ。そんな楽しみ方ができるのがBack country Almi potです。
ただ軽いクッカーを求めているのであれば素材はチタン一択かもしれませんが、焚き火を楽しむ、米を炊くのであればチタンよりも熱伝導の高いアルミに分があります(Back country Almi potはお米一合を炊くのにちょうどいいサイズ)
特殊コーティングはせずにアルマイト加工のみになっており、何も気にすることなく焚き火の中に突っ込むことができるBack country Almi potはシンプルなアルミのクッカーですが、使いやすくなっているギミックが盛りだくさん。
例えば吊り下げ用ハンドルは片側は収納しやすいように倒れますが、逆側に倒そうとすると、途中で止まるため、吊り下げずに焚き火かける時もハンドルが熱くなりにくいです。
フタの取手は中心ではなく、オフセットされて取り付けてあるので、木の枝などを引っ掛けて、「テコの原理」を使えば直接持たなくてもフタを開けて中の状態を確認することができます。
多くのクッカーがスタッキングするか、されるかを想定し作られているのに対し、Back country Almi potは収納面からも使い勝手がいいとはいえませんが、焚き火のあるキャンプには持ち出したくなるクッカーです。
お気に入りポイント
- 焚き火との相性抜群の吊り下げハンドル
- ソロキャンプにぴったりの容量
- 熱伝導率の高いアルミ製
気になるところ
- 直接食べるには別途ハンドルが必要
- 吊り下げないシーンでは使いにくい
- 他のクッカーとのスタッキングがしにくい
番外編:「焼く・炒める・煮込む」を全て一つでまかなうなら「HD.ALU Pan 16」
山行に合わせて持ち出すクッカーを5つ紹介しましたが、もう一つ紹介させてください。
一台で「焼く・炒める・煮込む」の三役こなしてくれるクッカー「HD.ALU Pan16」です。フライパンなんですが、深さ4.5cmあり、すり切りまで水をいれると、800mlまで入れることができるため鍋料理など煮込み料理もできます。
アルミ製のHD.ALU Panは厚さが2mmあるので耐久性は抜群ですし、予熱調理も可能。コーティングはされておらず、穴が開くまで使い続けることができます(厚さ2mmのアルミに穴があくには相当使い込む必要があり、実質一生物といえるフライパンです)
単体での重量はハンドルと合わせて244gと軽いとはいえませんが、一台で三役こなしてくれるHD.ALU Panは持っていくクッカーを少なくすることができるので結果的にUL志向のキャンパーやハイカーにおすすめできるアイテムです。
お気に入りポイント
- 焼く・炒める・煮込む一台で三役こなしてくれる
- ハンドル分離式で焚き火向け
- 厚さ2mmのアルミ製で予熱調理も可能
気になるところ
- 単体としては重い
- 浅く広いので冷めやすい
主なスペック比較
アイテム | Ti Demitasse 220 | Ti 400 NH | Ti Mug pod 500 | Ti U.L Deep pod 640 | Back country Almi pot |
---|---|---|---|---|---|
イメージ | |||||
容量 | 220ml | 400ml | 500ml | 640ml | 650ml |
サイズ | 径80 × 深さ55mm | 径102 × 深さ58mm | 径97 × 深さ87mm |
| 径122 x 深さ67mm |
重量 | 42g | 34g | 75g | 95g | 140g |
素材 | チタン | チタン | チタン | チタン | アルミ |
参考価格(税込) | ¥2,750 | ¥1,980 | ¥5,940 | ¥6,380 | ¥5,280 |
まとめ:用途にあったクッカーを選んでアウトドア飯を楽しもう!
山行の規模やスタイル、道具へのこだわり、何を食べるかなど、食の好みによっても最適なクッカーは変わります。
道具は冒険を充実したものにしてくれるための手段であることを忘れてはいけませんが、一方で愛着のある道具を使うことで冒険はより楽しいものになるはずです。
自分に合ったクッカーを選んで山飯・キャンプ飯を楽しみましょう!
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Yosuke(ヨウスケ)
不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
一年中アウトドアを楽しんでいるフリーのライター。 自身の経験や使ってみて良かった道具を発信しています。