雪のなかを走っても平気! NESTOUT オープンイヤーウェアラブルスピーカー『SPEAKER-1』は1日中着けていたいほど快適でびっくり
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イヤホンを持っていないという方はかなり珍しいでしょう。多くの方がさまざまなシーンでイヤホンを使っていると思うのですが、筆者は毎日のように走ることもあり、オープンイヤータイプのイヤホンをずっと探していました。そして、今回、エレコムのアウトドア製品ブランド NESTOUT からリリースされたオープンイヤーウェアラブルスピーカー『SPEAKER-1』を試したので、その実際をお伝えします。
目次
NESTOUT オープンイヤーウェアラブルスピーカー『SPEAKER-1』とは?
ELECOM発のアウトドア向けシリーズNESTOUTのオープンイヤータイプヘッドホン
パソコン好きには説明の必要もないと思いますが、ELECOM(エレコム)といえば、大阪市中央区に本社を置く、大手パソコン周辺機器メーカー。創業は1986年ですので、40年近い歴史のあるパソコン周辺機器の老舗です。そんなELECOMのアウトドアに特化したブランドがNESTOUT(ネストアウト)だといいます。アウトドア向けのモバイルバッテリーやソーラーパネルなどを発売しているのは知っていたのですが、今回とりあげた「SPEAKER-1」はアウトドア向けのBluetooth接続オープンイヤーウェアラブルスピーカーです。
オープンイヤータイプのため、耳を塞ぐことなく、長時間の使用でも耳が痛くなりにくく、自然の音や仲間たちの会話といっしょに音楽などを楽しむことができるといいます。また、雨や汚れに強い防塵・防水仕様でIP54相当の性能を持ち、長時間駆動も可能で、満充電であれば1度の充電で最大約15時間の連続再生を実現。バッテリーが空になっても15分の充電で約3時間の連続再生ができる仕様になっています。
音質についても直径16.2mmのダイナミックドライバーとバスレフ構造によってオープンイヤータイプでは失われやすい低音域も豊かに表現してくれるそうです。当然、マイクも搭載しているので電話やWEB通話を楽しむこともできます。
操作系についてもアウトドア向けのため、グローブをしていても、そのまま操作できる大きめの物理ボタンを採用。センサー式ボタンで起こりやすい誤操作を少なくしています。
これらの機能にプラスしてSILENT/LIVEモードを搭載。メインとなる「SPEAKER-1」とそのほかの複数の「SPEAKER-1」で音楽などをいっしょに楽しめる機能です。残念ながら、今回は筆者がひとりで「SPEAKER-1」をテストしたため、体験することはできませんでしたが、多人数でアウトドアやキャンプ、登山などを楽しむにはとても魅力的な機能だと思いました。
アウトドア向けのタフな機能を搭載したBluetoothの接続オープンイヤーウェアラブルスピーカー「SPEAKER-1」は実勢価格が14,800円前後。選択できるカラーは今回テストしたサンドベージュのほかにブラック、オリーブ、グレーの4色展開になっています。大きさは幅約100mm×奥行約140mm×高さ約52mm、重さは約40gです。この使い勝手をアウトドアでの撮影はもちろん、ランニングや都会への出張といったさまざまなシーンで試してみましたので、その結果をみなさんにお伝えします。
おすすめのポイント
- まわりの音、鳥の鳴き声なども聞こえるオープンイヤータイプ
- 1日中でも装着していたくなる耳の痛くならない構造
- 寝るときに充電しておけば、ほぼ1日中使える長時間駆動
- 吹雪のなかでランニングしても問題ない防水防塵性能
- 走りながらでも安心して操作できる大きめ物理ボタン
気になったポイント
- 飛行機や都会の電車のなかでは音がほとんど聞こえない
- オープンイヤーなのに妻の声はよく聞き逃す
主なスペックと評価
項目 | ELECOM NESTOUT SPEAKER-1 |
---|---|
通信方式 | Bluetooth標準規格 version5.2 |
出力 | Bluetooth Power Class2 |
最大通信距離 | 約10m ※障害物なきこと |
使用周波数帯域 | 2.4GHz帯 |
変調方式 | FHSS(周波数ホッピング方式スペクトラム拡散) |
対応Bluetoothプロファイル | A2DP、AVRCP、HFP、HSP |
A2DPの対応コーデック | SBC、AAC |
A2DPの対応コンテンツ保護 | ○:SCMS-T |
最大登録可能台数 | 8台 |
再生周波数帯域(A2DP) | 20-20,000Hz |
連続再生最大時間 | 約15時間/サイレントライブモードホスト時約5時間 |
連続待受最大時間 | 最大約80時間 |
電源 | 充電式リチウムイオン電池 |
定格電圧 | DC5V |
充電時間 | 約3時間 |
マイク型式 | エレクトレットコンデンサーマイク型 |
外形寸法(幅×奥行き×高さ) | 幅約100mm×奥行約140mm×高さ約52mm |
質量 | 約40g |
付属品 | USB充電ケーブル(USB-A – USB Type-C(TM))、収納袋、カラビナ、クイックスタート |
ヘッドホン型式 | オープン型 |
ドライバーユニット | 16.2mm フルレンジダイナミックドライバー |
Outdoor Gearzine 評価 | |
デザイン | ★★★★☆ |
着け心地 | ★★★★☆ |
操作性 | ★★★★☆ |
タフさ | ★★★★☆ |
長時間駆動 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★☆☆ |
詳細レビュー
まわりの音が聞こえるヘッドホンがほしかった!
現代社会において、多くの方が毎日のようにイヤホンやヘッドホンなどを利用していると思います。多くの場合は電車やバスなどの公共交通機関のなかで動画や音楽を楽しむために利用されているのではないでしょうか。そのため、イヤホンにしても、ヘッドホンにしても音漏れに配慮した密閉型が一般的でしょう。
しかし、自宅で原稿を書いたり、撮影をしたり、アウトドアフィールドでは1人で森や林のなかを歩き回り、鳥の鳴き声などを頼りに野生動物を撮影し、毎日のように自宅のまわりをランニングする筆者はまったく逆の周りの音もいっしょに聞こえる耳をふさがないイヤホンやヘッドホンをずっと探していたのです。
多くの方が自宅で1人で作業をしているなら、素直にスピーカーから音を出せばいいと思うでしょう。ですが、自宅で作業といっても、パソコンの前で原稿を書いたり、調べ物をしたりする合間にちょっと物撮影をしたり、洗濯機を回したり、気分転換に食器を洗ったり、コーヒーをいれたりと意外と動き回っているわけです。そうすると、どこかでスピーカーから音を出しても、聞こえなくなることも多く、すると結局自宅のなかでイヤホンをしてスマートフォンをポケットに入れてウロウロしていることも多くありました。このイヤホンが密閉型だと今度は宅配便のチャイムなどが聞こえないといった弊害もあり、ネックスピーカーや骨伝導タイプのイヤホンを検討したわけです。
ネックスピーカーは自宅などの屋内で使用するには、長時間使っても耳が痛くならず、まわりの音も聞こえて、かなりいいとの評判でしたが、アウトドアフィールドやランニングの際には使用できないので候補から落ち。骨伝導タイプのイヤホンについては、使っている知人などから「やはり音がこもるんだよね」という話を聞き、踏み切れずにいたわけです。
そんなときに、たまたまほかのパソコン周辺機器を探しているときにみかけたのがELECOMの「SPEAKER-1」。オープンイヤータイプなので音漏れの問題がありますが、メガネなどと同じ耳掛け構造なので長時間使用しても耳が痛くならず、アウトドア向けのNESTOUTブランドなのでIP54クラスの防水防塵仕様、最大15時間の連続再生が可能だというので、早速試してみたわけです。
とりあえず「SPEAKER-1」と走ってみた
OUTDOOR GEARZINEの記事でも何度か、書かせてもらっているのですが、筆者は毎日のように走ることを趣味にしています。現在は雪道を2時間で18キロ前後走るジョギングの日と5キロを25〜30分程度で走る中距離のランニングの日に休息日を組み合わせ、この2種類の屋外ランニングのほかに、気温や天候に合わせて屋内のトレッドミルを使用するので4パターンのランニングを行っています。
それぞれ走る速度や路面状況による揺れ具合などが異なるので、4つのランニングパターンすべてで「SPEAKER-1」を試してみましたが、予想以上に装着した「SPEAKER-1」が揺れないのにびっくりしました。実はある程度、走ると弾むように揺れるのでは? と思っていたのですが、ほとんど揺れないのです。逆に予想していなかったマイナス点としては、首を左右に動かすときのほうが、首の後ろに「SPEAKER-1」の存在を感じ少し邪魔な印象を受けます。とはいえ、ランニングの際はあまり頭の左右に動かすことはないのでほとんど気になることはありません。
また、2月や3月といっても筆者の住む北海道は余裕でマイナス気温のため、ランニングのときも手袋をしているのですが、厚手のもののときは手袋を脱いで操作する必要がありますが、薄手のものなら脱がずに走りながら再生や一時停止、音量の調整といった操作が可能です。この点は「SPEAKER-1」の使い勝手を大きく向上させてくれています。
音の聞こえ方についても、筆者は北海道のなかではかなり交通量の多い国道36号線沿いを走っていることが多いのですが、十分に音楽や音声を聞き取ることができ、しかもまわりを走っているクルマの出す音もしっかりと聞き取ることができるので、安全の確保のためにも大きく貢献してくれています。
筆者は天候の悪い日は、基本的に室内のトレッドミルでのランニングにしているのですが、長めのジョギングの際に吹雪に遭遇。走っているとメガネに付着した雪が溶けて、再度凍っていき、視界がどんどん失われるような状況だったのですが、防水防塵の「SPEAKER-1」は吹雪のなかでの約2時間のジョギングの後もまったく問題ありませんでした。
音楽はもちろん、Audibleなどで情報のインプットを行いながら、走っている多くの方におすすめできる結果だと思っています。筆者的にも大満足です。
鳴き声を頼りに小鳥を撮影するアウトドアフィールドでも便利
「SPEAKER-1」は音を発するスピーカー部分の角度を変えることができるので、耳とスピーカーの距離を調整して聞こえ具合を直感的にコントロールすることができます。
<本文>
ランニングやジョギングとは別に筆者はスケジュールの都合がつけば、近所の青葉公園で望遠レンズを持って、1周約4〜5キロのコースをエゾリスや小鳥、シマエナガを探して、歩いたり、走ったりしています。
このときは小鳥の鳴き声や小動物たちが時折立てる物音を頼りのその姿を探しているので、まわりの音が聞こえなくなる普通のヘッドホンやイヤホンは使えず、音楽などを楽しみながらというわけにはいかなかったのですが、「SPEAKER-1」を導入してからは、まわりの音もしっかり聞こえるので音楽だけではなく、Audibleなどでの情報のインプットを行いながら、日課のような撮影が楽しめるのがうれしいところです。
ちなみに「SPEAKER-1」のスピーカー部分は角度の調整が可能な構造になっているので、ボリュームによる音量の調整だけではなく、スピーカー部分と耳との角度や距離を調整することで、スピーカーから出る音とまわりの音の聞こえ具合をアナログ的に調整できるのも便利な点といえます。手袋をしたまま、素早くスピーカーの角度を変えられるので、目的の小鳥の声がしたら、よりまわりの音がよく聞こえるようにスピーカーの角度を変更するといった使い方もできるのです。
雪の季節の北海道の林のなかは、新雪の日などもあり、かなり路面はデコボコしていますが、チタンワイヤー入りだという「SPEAKER-1」のネックフレームは、しっかりと首にフィットして落下などの心配も感じませんでした。
飛行機や都会の公共交通機関にはあまり向かない
ジョギングでも、アウトドアフィールドでも、非常に快適な「SPEAKER-1」。筆者の普段の生活では、ほぼ満点といってもいい使い勝手なので、たまたま首都圏に向かう5泊程度の出張にも持って行ってみました。
すると、残念ですが、まずは飛んでいる飛行機の機内ではエンジンに近い席ではありましたが、エンジン音などの外部の音にスピーカーからの音がかき消されて、ほとんど音楽などを聞き取ることができません。スピーカーの音量を最大にしても、ほとんど聞こえなかったので、飛行機での移動の際の使用はおすすめできません。
また、首都圏についてからのバスや電車での移動でも使ってみたのですが、車内が静かなバスの中ではなんとか聞こえるのですが、都会を走る電車では車内放送や駅のアナウンス、その他の騒音にかき消されて、ほとんどスピーカーからの音が聞こえません。しかも、おそらくスピーカーからの音はまわりにもダダ漏れなので、近くの乗客のみなさんにご迷惑を掛けている可能性があります。
基本的に公共交通機関では音の漏れやすいオープンイヤータイプのイヤホンやヘッドホンは向いていないので「SPEAKER-1」だけの問題ではないのですが、公共交通機関などを使う都会では密閉型のイヤホンやヘッドホンを使用するほうが快適でした。この点は割り切って使いわけることをおすすめします。
自宅での使い勝手にも大満足!
ランニングやアウトドアでの撮影、都会への出張といったシーンでの使い勝手を紹介しましたが、筆者の日常でもっとも長い時間を過ごす自宅での使い勝手についても、大満足です。
実際には原稿を書くといった言語思考の多いシーンでは、音楽も音声も聞かないので、情報収集やちょっとした室内での撮影といったシーンで「SPEAKER-1」を使うことが多くなります。するとオープンイヤータイプで音楽などだけでなくまわりの音も聞こえるので、宅配便の方が鳴らすチャイム、洗濯機の終了ブザー、ストロボのチャージアラートといったまわりから発生する必要な音が把握できるので、とても快適です。
また、筆者の場合、一般的な形状のイヤホンを長時間着けていると耳が痛くなるのですが、「SPEAKER-1」はメガネのように耳の付け根で支える構造で重さも約40gしかないので、1日中装着していても気になりません。バッテリーも満充電なら15時間の連続再生が可能なので、朝起きて夜寝るまで、本当に1日中装着していることも珍しくありません。
ただし、まわりの音は聞こえているのですが、家族、特に妻からはずっと着けっぱなしは不評です。元々何かに集中していると、妻の声が聞こえておらず、怒られることが多いのですが、「SPEAKER-1」を装着して何かを聞きながら生活していると、妻の声を聞き逃す頻度がさらに上がっているとのことです。この点には利便性だけでなく、幸せな家族生活を過ごすために配慮が必要でしょう。
まとめ:田舎暮らしの筆者には、非常にフィットする「SPEAKER-1」
都会暮らしでは密閉型との使い分けが重要なポイントのなるでしょう
屋外でのランニングやジョギング、フィットネスクラブでのトレッドミルでのランニング、アウトドアフィールド、林や森のなかでの動物撮影、自宅での仕事や日常生活においても非常に便利な「SPEAKER-1」。首都圏への出張でもない限り基本的に飛行機やバス、電車といった公共交通機関を利用しない筆者にとって非常に便利なイヤホン? オープンイヤーウェアラブルスピーカーということができます。本気でおすすめです。家族、妻からの常時装着への評判はやや悪いですが……。
気になるポイントは、飛行機や都会でのバス、電車といった公共交通機関でのスピーカーからの音の聞こえの悪さや音漏れの問題です。もしかすると骨伝導タイプイヤホンであれば、この問題がクリアされるのかもしれませんが、音のこもりといった問題もあるといいます。骨伝導タイプイヤホンの検証は近いうちに行うとしても、現状において都会に住む方が「SPEAKER-1」を使うのであれば、公共交通機関などでは密閉型を使うといった使い分けでより快適に使うことができるのではないでしょうか。
そもそも、アウトドア向けのオープンイヤーウェアラブルスピーカー「SPEAKER-1」をあまりにも気に入って都会への出張の際にも筆者が使ってみた結果、都会の公共交通機関での使用には向かないことがわかっただけなのですが……。屋外やアウトドアだけでなく、自宅での使用にも向いた「SPEAKER-1」は、まわりの音もしっかり聞こえるオープンイヤータイプのイヤホンとして、とてもおすすめです。まわりの音も聞こえるイヤホンを検討されている方はぜひ1度試してみてはいかがでしょうか。
「NESTOUT SPEAKER-1」の詳細と購入について
製品の詳細についてはELECOMの公式サイトをご覧ください。
齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)
元月間カメラ誌編集者。北海道の絶景や野生動物の姿を追い求めているうちに、キャンピングカー・車中泊でのアウトドアライフにどっぷりハマっていました。現在2歳の息子、そして妻と全道を巡っているうちにカメラ・レンズはもちろん、アウトドア・キャンプ、子育て、PCガジェット、料理に、ダイエットまで経験したすべてを撮影し、執筆するフォトグラファーライター。OUTDOOR GEARZINEではキャンプ及びキャンピングカーでの生活クオリティを上げる「QOCL(Quality of camping life)向上委員会」を中心にさまざまな記事を執筆していく予定です。